上空を凄い速さで飛ぶ3人がいる。悟空とカノン、筋斗雲に乗る悟飯だ。
「どうした?カノン。オラまだまだスピードを上げられるぞ!」
カノンのわずか先を飛ぶ悟空がカノンの方を見る。それを受けて、カノンもまだまだ余裕だと悟空に並ぶ。
「勿論、私も余裕です。カメハウスまで全力ですよ!」
今日、一年ぶりにカメハウスでみんなと集まることになった、ガーリックJrとの戦いが終わった後、悟飯を連れて一度遊びに行ったがそれ以降カノン達は忙しい日々を送りなかなか行けず仕舞いだった。そこで亀仙人からの誘いを受け久しぶりにみんなと会おうということになったのだ。そしてカメハウスまでの道中、修行がてら二人はスピードを競い合っていた。
「おねえちゃーん!おとうさーん!二人とも頑張って~!!」
悟飯の声援でスピードが2割増し上がったカノンだった。
カメハウスの上空を悟空とカノンが通り過ぎる。勝負は僅差で悟空が勝った。
「へっへ~。どうだ!オラの勝ちだぞ!」
喜ぶ悟空にブスっとした顔を見せるカノン。
「むう~。今度は私が勝たせてもらいますからね!」
「お父さんも早かったけどお姉ちゃんも凄かったよ!」
筋斗雲で、二人の傍に寄ってきた悟飯の言葉にカノンはキュンキュンしてガバッと抱きしめる。
「ああ~ん、悟飯く~ん。今度はお姉ちゃんが勝つからね~」
筋斗雲の上で悟飯を抱きしめ頬にキスの嵐を巻き起こしているカノンにこれは家族愛と見るべきか、それとも欲望と見て乗れなくするべきか悩む(?)筋斗雲。
そして上空から凄まじい大気が弾ける音がした為、カメハウスから出てきた亀仙人、ブルマ、クリリン、ウミガメは生暖かい目でそれを見る。
((カノン(ちゃん)ってブラコンだったのか~))
以前遊びに行った時はそのことを隠していたカノンだった。
テーブルを囲み食事を食べ笑っている悟空、まだ人見知りするのかカノンの後ろに隠れる悟飯。そしてカ~と耳まで赤らめて俯いて座るカノン。
「ほらほら、カノンちゃん。いつまでも気にしないで食べて食べて!悟飯君も隠れてないで、はい!ジュース」
ブルマはそんな様子のカノンに食事を勧め、悟飯にジュースを出す。
「いや~!それにしても久しぶりじゃ!おぬしらは来いと言わんと来てくれんからの~」
ビールを飲みながら上機嫌で悟空達を見る亀仙人。
「いや~わりいな!亀仙人のじっちゃん!オラたち毎日修行に夢中になっちまってよ。カノンなんてピッコロのところに通って修行してるぐらいなんだぜ」
それを聞いた亀仙人たちは飲んでいた飲み物を吹き出す。
「な、な、な!それホントか!カノン!!」
まるで嘘であってくれと言うようにカノンを見るクリリン達。その視線を受け甲斐甲斐しく悟飯の世話をするカノンはキョトンとした顔をして本当ですと頷く。
「ご、悟空~!お、おま、おまえなにしてんだよ~!カノンを止めなくていいのかよ!!」
悟空に詰め寄るクリリンにこちらもキョトンとした顔をして答える。
「何がだ?」
「な、なにって!カノンをピッコロのところに行かせていいのかってことだよ!殺されちまうかもしれないだろ!!」
クリリンの言葉に亀仙人、ブルマ、ウミガメが激しく同意と首を縦に振りまくる。それに反論するのはカノンだった。
「大丈夫ですよ、クリリンさん。私もピッコロさんを殺すぐらいの勢いで修行していますから」
ね、大丈夫でしょ?と笑顔を向けてくるカノンに疲れた顔を見せるクリリン達。悟空達親子以外が思う、もしかしてこのカノンが一番大物かもしれないと。
「でもよくチチさんがそんなこと許したわね~。」
ブルマが信じられないという風に言う。
「そうですね。確かに初めは怒られましたけど、根気よくお願いしました」
悟飯の世話をしつつ食べ物を行儀よく凄まじい勢いで食べながらそう答えるカノン。実際に拝み倒したのは本当だが、実は他にも許してもらった理由がある。カノンは気を微細にコントロールする訓練の過程で気功エステともいうべきものを開発した。その効果は生命エネルギーを対象に適度に送り込み肌を活性化させたり、強弱をつけマッサージ機能を持たせたり、毛穴を刺激して脱毛させたり等々。
それを知ったチチが週に一度はそのエステをしてくれればいいという条件で許可を貰えた。おかげでチチは血行が良くなりむくみ、くすみがとれ色白で柔らかい肌になった。のちにブルマにもその恩恵がもたらされるが未来の話になるので置いておく。
「まあ、もうその話はいいよ。しっかしそんな毎日修行をしてるってことは相当強くなったんだろうな。悟空もカノンも」
ピッコロの話を打ち切ったクリリンが二人を交互に見る。
「まあな。どうだ!ちょっとやってみっか?クリリンも腕を上げたんだろ?」
クリリンから感じられる気を見た悟空がそう言うがクリリンは苦笑して首を横に振る。
「いいよ。今の俺じゃあ悟空には歯が立たないのは分かってる。くそ~俺も結構修行、頑張ったんだけどな~」
「まあまあ!今日は修行のことは忘れてパ~としようじゃないか!ブルマ!クリリンも!じゃんじゃん飲み物、食べ物を持ってくるんじゃ!悟空、今日は泊まれるんじゃろ?」
「ああ、そうチチには言ってき!?な、なんだ!この気は!」
急に顔色を変え、外に出る悟空に付いて行く亀仙人たち。海の向こうを見るように佇む悟空、そしてカノンはその横に並ぶ。
「大きい気が二つ。さらに大きい気が一つ。ど、どういうことでしょうか?これ程の気が突然現れるなんて」
「わかんねえ、わかんねえけど。こいつはやべえかもしんねえ!」
突然現れた謎の強大な気に戦慄を覚える悟空とカノン。訳が分からない亀仙人たちはその様子に戸惑う。
「お、おい。どうしたんだよ?悟空、カノン?なんだって?」
カノンは顔をクリリンたちの方に向ける。
「急に巨大な気が現れたんです」
「巨大な気?ピッコロじゃないのかの?」
そういうがピッコロの気は別のところから感じられる。それに感じる気は三つだ。
「いや、違うぞ。じっちゃん、現れた気は三つ。そしてその中の一つはオラたちよりでかい気だ」
その言葉に驚く亀仙人たちだったが、更に事態は動く。
「移動しだした!これはピッコロさんのところ!」
間もなくピッコロのいる場所に移動する三つの気。そして一人はその場に残り、ピッコロの気が急激に上昇し始め戦いが始まるのを感じる。残りの二人は。
「とんでもない速さでこっちに来るぞ!じっちゃんたちは悟飯を連れて家に入っていてくれ。カノン!おそらく戦いになる!準備はいいな!」
「はい!父様!」
すでに遠くに見えつつある敵をキッと見定める悟空、そして自分達以上の強大な気を持つ敵が来るのを、口角を持ち上げて待ち構えるカノンだった。
時間は悟空達が強大な気を感じた時、その強大な気を発しているラディッツたちは宇宙ポッドから出てきて広大な草原に降り立っていた。
「やはりこの星の奴らは生きていたか。カカロットの奴め!」
「結構いい星じゃねえか。バカンスとしゃれ込むかビジュー?」
「はんっ!てめえ一人でやってろ、バイアム」
3人、いやバイアムとビジューは軽口を叩く。目の前に猟銃を構えた農夫がいるのにだ。その農夫は突然降ってきた隕石に驚き様子を見に来てしまった。そこに宇宙ポッドから出てきた3人の異様な迫力に怯え猟銃を向けているのだ。
「な、何もんだよ!おめえらは!」
「あ、これがこの星の人間か?隊長さんよ、こいつの戦闘力いくつよ?」
左耳に取り付けられている片眼鏡、スカウターを使い農夫の戦闘能力を測る。
「戦闘力たったの5か。ゴミめ。残念だったなビジュー、バイアム。この星はやはりはずれだ」
溜息をもらすビジュー、そして欠伸をしながら農夫の元に歩いていくバイアム。それに怯える農夫は猟銃をバイアムに向ける。
「ち、近寄るんじゃねえよ!ぶ、ぶっ殺すぞ!」
さらに一歩近づくと農夫は銃をぶっ放す。その弾丸を何でもない風に掴みしげしげと眺める。
「お~い。見てくれよ。ラディッツさん!ビジュー!随分原始的な武器使ってるぜ!」
そう言って笑うバイアムにいいからこっちに来いと言うビジュー。
「ちぇ、なんだよ。もうちょっと遊んでもいいだろうがよ。」
その間も恐慌状態に陥っている農夫は銃を撃っているがバイアムに当たっているのに全く効いていない。それがより恐怖をもたらす。
「バンバンッ!バンバンッ!うるせーぞ!!このゴミ虫が!」
バイアムは農夫の頭頂部を叩くと農夫は地面に埋もれハンバーグみたいにひしゃげる。
「おい!さっさといくぞバイアム!あっちの方角に大きいパワーを持った奴を見つけた!ついてこい!ビジュー!バイアム!」
そういうとラディッツは飛翔し、スカウターが示している場所に向かうのだった。
この時勿論ピッコロは強大な気を察知していた。ここに来ることも。
「ちっ!なんだこの気は!」
そして身構えるピッコロの前にラディッツ達が現れ、上空から降りてくる。目の前に来るとより強さが感じられる。それでも途轍もない力を持っているラディッツを睨みつけるピッコロ。
「チッ!カカロットじゃない」
ラディッツの言葉にビジューとバイアムは肩を竦めるが、それを舐められてると思ったのかイラつきながら言うピッコロ。
「何者だ、貴様ら。この俺様に用でもあるのか」
「お前などに用はない」
白けた目で見てくるラディッツ。
「じゃあ、何しにここへ来た。死にたいのか?」
それが虚勢に見えたのだろうビジューがラディッツの前に出てくる。
「なんだあ~。俺たちを前にして虚勢とは言え頑張るじゃね~か。どれ、戦闘力はっと」
ビジューはスカウターを操作しピッコロの戦闘能力の数値を測る。
「!?ひゅ~。こんな辺境の星の奴なのに戦闘力が1836もありやがる。やるね~」
スカウターの数値に喜ぶビジュー。それを聞いてラディッツも笑う。
「確かに中々の数値だ。だが所詮我々の敵ではない。さっさと片付けて次に向かうぞ」
「ラディッツさん、スカウターで向こうを見てくれ。大きいパワーがあるぜ。これがカカロットじゃないですか」
バイアムの言葉にラディッツとビジューはスカウターを操作する。
「距離12909、大きいなこの星で最も大きなパワー。それにすぐそばに同じぐらいのパワーがある。今度こそカカロットだ!」
カカロットの元に行こうとするラディッツ達にバイアムは待ったをかける。
「ラディッツさん、こいつやらせてもらいませんか?」
バイアムがニタニタ笑いながらピッコロを指さす。それに鼻を鳴らし、まあいいと許可する。
「バイアム!やられんじゃねーぞ!へっへっへ!」
ビジューが冗談めかして言うがバイアムも笑いながら
「こんな屑野郎に俺が負けるかよ!さっさと行け!」
しっしと手を振るバイアムを残しラディッツたちは飛んで行く。それを見送ったバイアムはピッコロの方を向く。
「よ~し!じゃあ始めるか!ちょっとは楽しい戦いにしてくれよ」
そういうバイアムだが、ピッコロは遠くに去って行ったラディッツの方を見ている。
「お~い、聞こえているのか?」
「お前たちの使っているスカウターといったか?如何やらそれは相手の強さを数値化したり、遠くにいる相手のパワーもわかるようだな」
バイアムにスカウターのことを聞いてくるピッコロ。
「よく聞いてるじゃねえか。そういうことだ、お前がここから逃げ出してもすぐ見つけることができるぜ」
「では、例えばここに巨大なパワーを持った奴が現れた場合あいつらは戻ってくるのか?」
バイアムは何言ってんだこいつという目で見て、そして理解する。
「ラディッツさんたちはスカウターにカカロットのパワーをセットした、警戒信号も近くに大きいパワーが現れなければでないから戻ってくる心配もない。だから安心しろよ。3人でボコったりしねえから、それにお前みてえな屑野郎は俺一人で十分だからよう」
バイアムは、ピッコロがスカウターを破壊し残りの二人が戻ってくる前に逃げ出そうとしているのだと思い笑う。恐らくその後、隙をつき残りの二人のスカウターも破壊するのだろうということも。だがピッコロは逃げずドスン、ドスンと着ている重りを脱ぐ。
「お?はっは~!戦闘力が2570まで上がったじゃねえか!このことか?おまえがラディッツさん達を戻ってくる心配をしたのは?」
この重い重装備を外すことがピッコロの切り札でバイアム一人だけならこれで倒せると思ったのだろう、だからラディッツ達が戻ってくることを恐れていた。そう思いバイアムはニヤリと笑う。
「でもまだおれの戦闘力にゃあ届いてないぜ!ま、少しは楽しめそうだ!!」
いきり立つバイアムに今度はピッコロがニヤリと笑う。
「くっくっく、まあ焦るな。ここからが本番だ!!かあああああ~~~!!!」
ピッコロは両足を広げ、気を高めていく。ピピっと音がしバイアムのスカウターはピッコロの戦闘力数値を測りだす。
「バッ、バカな!?何だこの戦闘力の数値は、2700、2900、3100!!まだ上がるのか!?」
「かああああああああーーーー!!!!!」
ピッコロの体に気のオーラが覆われ、気の高まりが安定する。
「せ、戦闘力、4112、、、そ、そんな、、ばかな、、、」
がくがくと体を震わせ後退していくバイアム。それを見て一歩踏み出すピッコロ。
「さて、これで少しは楽しめるようになったか?くくくく、はあ~はっはっは~!!」
高らかに笑い、その数分後バイアムの気が消えた。
前回ラディッツが詳しいことを話すと言ったのですがそこまでいけませんでした。
すいません。しかし次回こそは!
後、今回出てきた「カカロットのパワーをセットした~。」というのはナメック星でフリーザがドラゴンボールの合言葉(?)を聞き出す為最長老の元に行っている時、悟空の戦闘力を探知していなかったのでこうしました。