ついに出てきたトリオンモンスター千佳ちゃん!実里は彼女に何を語るのか
「は?」
ボク達はとんでもない光景を見た。
「基地の壁をブチ抜いたぁ!? いやいやアイビスを使った所で無理! 狙撃手として恵まれたボクがアイビス使っても再現出来ない。なぁにこの子ぉ?」
理解を……脳が理解を拒んでいる!
「いや待てよ? 二宮さんなら出来るのか?」
興味が出たので本人に聞いてみよう。
『ハァ……馬鹿か? 本部の外壁をブチ抜く? アイビスがあれば出来るか? だと? お前は何をほざいている? さっさと部屋に来い』
「鬼怒田開発室長も呆然とする事態って言えば信じますか?」
『チッ……少し待ってろ。そっちに行く』
「東さんすら予見出来ない事態って言えば納得しますか?」
『………………先に言え』
鼻で笑われた。でも眼の前の出来事は紛れもない事実だ。とりあえず写真にでも撮って二宮さんに見てもらおう。
「おい久代ぉ! なぁに写真撮っとるのかぁ! 笑い事では無いんだぞぉ!」
「ヤベェ……鬼怒田さんに見つかった。八つ当たりされそ「聞こえとるぞぉ!」えぇ〜〜……」
結局二宮さん到着まで鬼怒田さんの八つ当たりで雷を落とされた。え……? 八つ当たりだよね? 壁ブチ抜いたのはあの娘な訳でボクはただ面白事態だから写真に残したのに……
「あの……私のせいでごめんなさい……」
「え? そうだよ? ぶっちゃけボク悪く無いよ? ていうかキミ何なの? もしかしてトリオンが多いの? いや仮に多くても規格外レベルなんだろうけど」
騒動の発端となった狙撃手ちゃんに涙目で謝られた。申し訳ないがキミのせいでボクは八つ当たりされてる。何故ですか開発室長? 何故ボクが怒られてるんですか? 世間ではコレを理不尽と言うのでは?
「…………なるほど。確かに見事な風穴だ。面白おかしな出任せだと思ったがコレほどとはな」
「すみません! 通してください!」
二宮さんがいつの間にか到着して破壊痕跡を確認しているようだ。それと……あの娘の連れなのかな? メガネをかけた隊員が鬼怒田さんに怒られてた。うん。理不尽だ。絶対に鬼怒田さんはあの娘以外に怒りをぶつけているな。
「はは……災難だったな久代。鬼怒田さんの逆鱗に触れたとは不幸だったな」
「東さぁ〜ん! 見てたなら助けてくださいよぉ! 私何も悪くないじゃないですかぁ!」
ボクは東さんに泣きついてひたすら泣いた。しかし現実は非情だった。
「仕方ないだろう? 鬼怒田さんはご家族と離れて暮らしている。大方あの娘は娘さんと年齢が近いんじゃないか? だから怒り難くて他に目についた相手に当たったんだろうな。不幸で理不尽ではあるが諦めた方が速いぞ?」
「二宮さぁん!」
「…………自業自得だ。俺は知らん」
二宮さんはボクに見向きもせずあの娘を見ていた。知り合いなのかな?
「あれ? もしかして二宮さんってあの娘達のお知り合いですか? 意外な交友関係者ですか?」
「いや…………まさかな。俺の知り合いでは無い」
それでも視線は釘付けだった。無関係では……無い筈だけど知り合いでは無い。どういう関係?
「とりあえず話聞きに行きます? 言語化はし難いですけど訳ありな関係者って事ですよね」
「確証が無い。徒労に終わる可能性がある以上様子を見る。それまでは久代にも話さん。文句は聞かない」
「ちょっと!? 二宮さん! 教えてくださいよ! 二宮さんってば!」
二宮さんは私の質問を無視して離れた。いや……
「離れる口実が必要だった? でもこの手の話で二宮さんは嘘をつかない。情報を伏せる事はあるかもしれないけど嘘はつかない」
恐らく東さんや二宮さん以外の隊員ならあるいは教えてくれるかもしれないけど
「とはいえあのトリオンモンスター……彼女は一体何者なんだろう?」
ボクはとりあえずトリオンモンスター……【雨取 千佳】ちゃんへ接触をする事とした。
「凄いトリオンだったね君。こんな混乱の後で印象はアレだけど名前を聞いて良い?」
「は、はい。【雨取 千佳】と言います。玉狛支部に先日入隊しました」
「玉狛支部……なるほどだからボクも知らない隊員だったんだ。もしかしてお隣の君も玉狛支部所属かな?」
「あたしっすか? あたしは【夏目 出穂】……本部所属の訓練生っすよ?」
「なるほど君は本部所属なのか。ちなみに君達はBに昇格したら何処かの部隊に所属するの?」
「わ……わたしは玉狛支部で友達と部隊結成する約束をしてるので……」
「あたしは特に。そもそも昇格するかもわからないんで……」
「千佳ちゃんに出穂ちゃんね。ボクは【久代 実里】コレでも所属歴2年の女子狙撃手ね?」
「に……2年って凄い人っすね。じゃあ正隊員なんすか?」
「まぁね。今はB級のとある部隊に所属してる。だから狙撃訓練で困ってる事があったら相談に乗るよ?」
「ありがとうございます。でもわたしは師匠がいるのでその人に相談します」
「へぇ……千佳ちゃんはちゃんとした師匠がいるならその人に教わるのが1番だね。出穂ちゃんも師匠を見つけてたり?」
「う〜ん……憧れますけどいませんね。もしかして実里さんがなってくれたり?」
「ごめん。それは無理。ボクの技術はまだ未完成で師匠から教わった事が身に付いて無いから人に教えるのは難しいの。ゴメンね?」
うん。弟子は取れない。未来さんの影を未だに追ってるボクに弟子を取る資格は無い……筈だ。それでも千佳ちゃんの瞳にボクは惹かれた。興味が無かったとは思わないけど、どちらかと言えば危うさが見えた。目的が空回りするような……既視感を感じる。そしてこの既視感が想像通りなら……
「千佳ちゃん……いや、多分気の所為だから忘れて欲しい」
「……はい?」
「わかんねー人ですね」
「変人って言いたいなら言っても良いよ出穂ちゃん」
変人……まぁボクは変人だ。欲しい技術の為にわざわざ
「………………」
「チカ子? どしたん?」
「その……わたしの事怖くないんですか? あんな大穴空ける人間なんて……」
「あ〜…………なるほど確かにあの穴は酷い。でも酷いのは
「久代さん!?」
実里へ突然空き缶が飛来し顔面にぶつかった。投擲したのは言うまでもなく無く……
「やかましいぞ久代ぉ! こっちの全部は聞こえとるからのぉ!」
襟首を掴まれたボクはブチキレた鬼怒田さんに開発室へ引き摺られた。う〜ん……コレは長時間お説教コースか?
「久代さん?」
「あの……あの……」
「大丈夫大丈夫。多分長時間お説教コースぐらいだしそもそもボクは冤罪だし本質はきっと八つ当たりだからぁ〜〜」
「やかましいわ!」
ボクは鬼怒田さんに引き摺られていった。
「で? ワシを煽って退出した意味を聞こうかのぅ?」
鬼怒田さんの鋭い眼光がボクを射抜く。まぁ敵意では無い。理不尽な八つ当たりでも無い。恐らく千佳ちゃん周りの情報を集めるのが目的だろう。
「彼女のトリオンは恐らく規格外です。まずは参考データとして同じ行動から推定値を出したいです。後は小耳に挟んだでのですが先日市街地に爆撃型が出たと聞きました。仮に……ですが本部にアレが来たら基地が壊滅します。あの娘……千佳ちゃんは本部で保護した方が良い人材と思います」
「その必要は無い。既に林道支部長から計測データは提供された。…………意図的に遅らしての提供だろうがな。お前がそこまで執着する理由を知りたいのだ」
「……………………羨ましいんですよ。BORDERでボクよりトリオンの多い狙撃手はいない。ポジションを問わなくても二宮さんや出水先輩くらいだと思います。そんなボクよりも明らかにトリオンの多いあの娘が埋もれるのが同じポジションとして目についたって所ですね」
「…………建前は分かった。確かにその理屈もあるのだろう。本音は?」
「二宮さんの視線……ですね。二宮さんの視線が何か千佳ちゃんに執着してる……気がします。ボクが加入する前の二宮隊とのかかわ「ならば告げる必要は無い」そんな! このままじゃあ「そしてお前が知る必要も理由も無い。それが我々の答えだ」…………ッ! わかりました。失礼します……」
穏健派とも言える本部長がここまで凄い迫力を感じて引かざるを得なかった。
「二宮さん……一体何が……。もしかして未来さんが関係してるとか……無い……よね?」
ボクの不安から来る呟きは虚空に消えた。
【まだ】実里は【雨取麟児】と【鳩原未来】と【隊務規定】は結びついて無いですが、
【鳩原未来】と【雨取千佳の知り合い】が繋がっているのでは?
と感じています。
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