Fate Night Unnamed ~チート転生者はデスマーチに挑む(ほぼ強制)   作:空門 志弦

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第25話   俺とワカメ、じゃなく間桐慎二

 

 うーん、士郎君たちの動きを監視していたら、間桐慎二がライダーのマスターを偽称しているのを見てしまった件。

 さてはあれだな?

 妖怪爺がいなくなったことで気が大きくなって、桜に俺が代わってやるとか言い出したヤツだな?

 そしてライダーがこれ幸いと、桜から目を逸らす被害担当のデコイとしてワカメ君を利用しているんだろう。

 

 ほんとワカメ君、マジワカメ君。

 この時期はまだ魔術にコンプレックスバリバリだからなあ。

 まあでも、ワカメ君には悪いが俺としてもこの流れはアリだ。

 

 妖怪爺がいなくなったとしても、桜の中の聖杯の欠片まではまだ除去できていないからな。

 その桜を聖杯戦争から遠ざけられるのはでかい。

 頑張れワカメ君。

 死んだらなんだかんだで桜が悲しむと思うし、一応は死なない程度に見守っておいてやるから、是非とも被害担当の役目を全うして欲しい。

 

「メドゥーサとは接触しないの?」

 

 俺の傍に控えていたメディアが、聞いてくるが今のところそのつもりはない。

 相手から同盟の打診がない限りは、同盟寄りの中立あたりが理想だ。

 

「あまり陣営を固めすぎると、聖杯大戦のシステムが発動しかねないのがな」

 

 そうじゃなければ、さっさと事情を共有して外道神父以外で大連合組んで、何ならランサーも奴から引っぺがして、圧倒的多勢による奇襲でギルガメッシュを嵌め潰すんだが。

 いくらギルガメッシュでも、今次聖杯戦争のレベルのサーヴァント全員で奇襲をかけたら、周辺に被害が出る前に削り切れるだろうし。

 

「聖杯の器の核を手に入れたおかげで、聖杯戦争の大体の仕組みは分かったし、干渉も容易よ?」

 

 そう、あの一手で、すでにこの聖杯戦争はシステムごと俺たちの手中にあると言っても過言ではない。

 だがしかし、である。

 

「流石にそれをやると、ギルガメッシュが動くだろう。周辺被害を抑えた形で倒しきれる算段が付くまでは、大聖杯に触れることはしない方が無難だ」

 

 ほんっとに、つくづく邪魔なんだよなあ。

 その性質から俺の生き方的には相容れなくはあるが、それでもギルガメッシュは尊敬できる部分も多いし格好良くてかなり好きな英霊ではあるんだが。

 敵にまわると、マジ本気で厄介。

 

 頭も回るし、多少の数的不利は覆せる戦闘スタイルに、底のまったく見えない無限の手札。

 英霊の中でも最上級に位置すると、キノコの神にはっきり明言されているのも納得しかない。

 しいて言えば、自覚的に慢心を良しとするその在り方だけが付け入る隙と言える。

 その隙を隙のままにしておくために、あんまり大きな手札が使えないから、よりによって魔境と名高いこの第五次聖杯戦争で、縛りプレイのような真似をする羽目になる始末。

 

 くそう、激辛麻婆をあの口に突っ込んでやりたくなってきたぞう。

 

「この様子だと、少なくとも今日のうちには動きはなさそうだな。イリヤスフィールも城に籠っているようだし。まあでも、あの結界はいただけないな」

 

 ワカメ君の指示だろうけど、あの人食い結界はやっぱり学校に敷くのか。

 発動したらその瞬間に横合いから破ってやろう。

 流石にアレは許可できない。

 

「ご命令とあれば、いかようにも。キャスターとして、この手の手管でライダーに後れを取る気はないわ」

 

 冗談めかしてへりくだって言うメディアだが、その声には確かな自信があった。

 しかし、今回の偵察程度ならメディアまでついてこなくても大丈夫だったんだが。

 ヘラクレス戦以来、ほとんど片時もそばを離れないんだよなあ。

 まあ、気がすむまでは好きにしてもらうか。

 状況的にその必要がある時は、ちゃんと別行動を容認してくれる程度には理性的だから、それで十分だろう。

 

「発動したら即座にインターセプトできるように仕掛けを頼む。ただの気分や脅し程度の為にあんな規模の被害を出すやり口は正直、気に入らないしな」

 

 ワカメ君らしいというか。

 戦略的にも戦術的にも、どう考えても悪手なのにあれをやるんだからなあ。

 だから、魔術コンプレックスが抜けないワカメ君はワカメ君なのだが。

 

 なお遠坂嬢の方は、キャスターの工房を探しているようだが、残念。

 俺たちは工房を構えていないんだなあ。

 ヘラクレスと渡り合ったキャスターのマスターと思しき正体不明の髑髏の仮面の男に、自分が体よくあしらわれたイリヤスフィールをまんまと嵌めたアサシンとそのマスター。

 しかもこの両者が協力関係にあると思われるなら、遠坂嬢から見ればさぞ不気味で脅威だろう。

 

「わかったわ。その時までわからないくらいに隠蔽した完璧な陣を敷いておくとしましょう」

 

 まったくもって頼もしい。

 そして結界の敷設がバレバレなのを揶揄しているあたりに、ほんのり対抗心を感じてちょっと微笑ましい。

 そんなわけでその日は結界へのカウンターとなる陣をキャスターが敷いて、その後はお留守番となっているはくのんにお土産のスイーツを買って帰った。

 

 

 

 

 その翌日の事である。

 

「何やっているのかしら、あの子達」

 

 呆れた顔でそれを見ているメディアが思わず言葉をこぼした。

 俺もついつい、苦笑がもれる。

 

「まあ、血が流れる類のコミュニケーションだろ? メディアの生きていた時代とかなら割とあった話なんじゃないか?」

 

 俺たちの視界の先では、士郎君と遠坂嬢が校舎内を追いかけっこ中である。

 うん、アレだよ。

 遠坂嬢がガンドバンバン撃っていたアレ。

 

「まあ、そういうのが無かったとは口が裂けても言えないけれど」

 

 仮にも聖杯戦争の参加者が、サーヴァント抜きにマスター同士でやることかと言われたら、返す言葉は無い。

 お、教室の窓が光った。

 派手にやるなあ。

 んで、校舎の外で女の子がメドゥーサに血を吸われるのは変わらないわけか。

 

 でも命が危険なほどは吸ってなさそうだな。

 妖怪爺がいないし、桜の状態も良いからそういった形での魔力補給があまり必要ないのか?

 あれなら無理に俺が邪魔しなくても貧血くらいで済むだろう。

 

 悲鳴で二人が駆けつけて、遠坂嬢は治療を始めた。

 その後は遠坂嬢へのメドゥーサの攻撃を士郎君が防いで、メドゥーサと戦闘へ。

 このあたりはやはりUBW世界線の流れか。

 

「メドゥーサもなかなか容赦がないわね。それでも命までは奪わないのは、マスターの意向なのかしら」

 

 多分それが正解だ。

 一応、ワカメ君の意向であり、そして桜の意向なんだろう。

 怪我は平気でさせているあたりに、士郎君に対するこの時点でのメドゥーサの不満みたいなものがちょっと透けて見えるのは面白いかもしれない。

 

 しかし、ある程度同じ要因が揃っていると、同じような流れになるのは当然と言えば当然なのか?

 大分流れがUBW世界線のそれに重なるな。

 とはいえ、これでこちらが変な手出しをせずとも、士郎君と遠坂嬢は同盟を組むだろう。

 士郎君はちゃんとした知識のある遠坂嬢から学ぶ機会を得て、固有結界の習得に一歩近づく。

 

 よしよし、これについては実にえらいぞワカメ君。

 見事な噛ませムーブ、良い仕事じゃないか。

 

 おかげで、こちらが士郎君に仕掛けるための状況が整った。

 上手くおびき出せたなら、英霊エミヤにも、一つ大きな楔を打ち込み得るだろう。

 あの二人が組んだのを確認したうえで、後はタイミング。

 場所はやはり、柳洞寺あたりが条件としては良いか?

 このあたりはメディアと相談だな。

 

「一応は一段落ついたみたいだな。そろそろタイミングを見て、アーサー王とアーチャーに一当てするぞ。戻ったら白野とアサシンも交えて作戦会議だ」

 

 キャスターがため息を吐いた。

 

「あまり無茶はしてほしくないけど、言っても無駄なんでしょうね」

 

 うん、ホントごめん。

 心配をかけて悪いとは思っているけど、アーチャーはまだしも流石にアーサー王とまともにやり合えるのは、このメンツだと俺しかいないから、選択肢がないんだ。

 

 

 

 





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小話

主人公はこの時期の間桐慎二をどうかと思っているため、基本脳内ではワカメ君呼びです。

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