バカテスファイト‼︎ヴァンガード   作:”蒼龍”

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第十五話です。
前回から時間が経過しましたが、これからも大体こんな感じの更新スピードになります。
ですが、完結を目指しているので頑張りますよ。
では、どうぞ。


第十五話「僕達とお礼と暗躍」

PM16:30、島田葉月は公園のブランコに座りながら明久達を待っていた。

姉の島田美波を元気づけられるノイ君人形を心待ちにしながら。

その近くを瑞希が通り掛かり、まだ見知らない筈の葉月が気になり声を掛ける。

 

「こんにちは。

誰かを待っているんですか?」

 

「あ、こんにちは!

はい、バカなお兄ちゃん達を待っているんです!」

 

「バカな………お兄ちゃん……………まさか………」

 

葉月のバカなお兄ちゃんの発言に何故か明久の顔が浮かび、直ぐにそんな訳が無いと振り切る。

しかし、現実は甘くなかった。

 

「ま、まさかお巡りさんの厄介になるなんて………」

 

「ウチ達が必死で庇わなかったら危なかったわよ?」

 

「すまんなブライト、俺達もこの人形が必要でな」

 

「ううん、別に良いよ。

良いんだけど………僕ってやっぱり女の子に見られてるのね……」

 

昨日決めていた待ち合わせ場所である公園に明久達が来る。

無論瑞希もその場に居る。

よって起きる事と言えば。

 

「あ、葉月ちゃんに………瑞希ちゃん⁉︎」

 

「姫路………」

 

「………」

 

幼馴染三人の気まずい空気だ。

更に、葉月は自分の姉がまさか明久達と一緒に居た事に驚く。

 

「あ、お姉ちゃん!」

 

「は、葉月⁉︎

まさか、ノイ君の人形を買って欲しいって頼んで来た子って……」

 

「………何だ?

葉月は島田の妹なのか?

世間は狭いな」

 

「………マジ?」

 

まさかの島田と葉月の関係に呆気に取られてしまう明久と龍二。

しかも今ので、ノイ君人形をあげれば元気づけられる姉が島田だと確定した。

改めて明久達は世間は狭いと感じてしまう。

 

「……で、ノイ君人形をあげないの?」

 

「あ、うん………えっと、(龍二、どっちにやったら良い⁉︎)

 

(葉月で良いだろうな。)( 流石に島田に直接渡すのは門違いだし、)(葉月に渡させるべきだ)

 

ヒソヒソ話でどちらにノイ君人形を渡すか決める二人だが、それを見ている島田は少し恥ずかしく、顔が紅潮し始めていた。

 

「はい、これ」

 

「わぁ!

ありがとうです、バカなお兄ちゃんとカッコいいお兄ちゃん‼︎」

 

「うう…………まさか葉月と吉井達がこんな接点を持つなんて………」

 

明久は葉月にノイ君人形を渡すが、島田にとってそれは羞恥プレイであり、嬉しい事は嬉しいが恥ずかしいがそれを上回っている。

すると、それを見てたブライトはその場から去った。

恐らくこの後にある展開が予想出来た為なのかもしれないし、何らかの用事があっての事かもしれないが、結局その真意は本人にしか分からない。

 

「はいお姉ちゃん‼︎」

 

「あ、ありがとうね葉月。

…………あ、後吉井に火野も、(ありがとう)……」

 

葉月、そしてボソッと明久達にお礼を言う島田。

明久は頭に?を浮かべたが、龍二は聞こえたらしく普段はあまり見せない笑顔、しかしぎこちない笑顔を返す。

 

「えと………は、葉月!

そろそろ遅くなるから帰ろうね!」

 

「はいです!

お兄ちゃん達、ありがとうです‼︎」

 

少し恥ずかしくなったのか、島田はそのまま葉月を連れて帰ってしまう。

だが、その際に少し嬉しそうな顔を振り向いて行く際に見せ、その顔が魅力的であった為か龍二や明久の頭に残った。

 

「………何だが、ドタバタしたね」

 

「ああ………だが、有意義だった。

しっかりと意味があった、それで良いだろう」

 

そうこうして漸く一日のイベントが終わる。

………瑞希関連を残して。

その場に残った三人の間に沈黙の壁と冷たい風が流れていた。

 

「………やっぱり明久君達だったんですね。

昔と変わってませんね」

 

「瑞希ちゃん………」

 

瑞希の言葉を聞き、明久は少し罪悪感を持つ。

何故なら、瑞希と龍二、この二人が袂を分かつ時に明久は見てるしか出来なく、結局二人が別れた際にどちらの側にも付けず、そのまま離れるしか出来なかったからだ。

 

「………でも、私の時は来てくれませんでした。

分かってはいるんですよ、あの時の明久君は龍二君の方にも、私の方にも味方出来なかったって。

………私が『力』を得て、二人に何が何でも認めて貰おうとしたから、二人より強くなった、もう弱くないと認めさせようとしたから。

………それが今の結果を生んでしまいました。

でも、それでも二人には近くに居て欲しかった、離れて欲しくなかったです」

 

瑞希の言葉に返す言葉が見つからない明久。

迂闊に何か言葉を返せば話が可笑しくなるとも分かるので尚更黙るしか無かった。

それに対して龍二は言葉を返す。

 

「確かにお前の近くに居てやれば、今みたいに気まずくは無かったな。

だが、それは本当のお前であったならだ。

今のお前は、『力』を得る以前のお前とは違う、本当の自分を見失っている。

だから、本当のお前を取り戻すまでは一緒には居られん」

 

龍二の言葉は否定、拒絶と同義の言葉だった。

だが、明久には何が変わったか何と無く分かる為か、龍二の言葉に反論を返せなかった。

 

「……それが龍二君の答えだって事も分かります。

なら、私は龍二君に今度こそ認めさせますよ。

私は、もう弱くないって」

 

結局二人の意見は平行線を辿り、またしても喧嘩別れの様になる。

昔の明久なら此処で何も言わないのだが、今は昔と違い年も重ねた上、昔の笑い合えた三人の時間を取り戻したいと強く願っている。

 

「瑞希ちゃん、僕は昔みたいに笑い合えたら良いなって思ってるよ‼︎

昔みたいに、三人で………‼︎」

 

「………私も、そうなりたいとは思ってますよ。

でも、今は無理ですよ………私の目的もまだ果たせてませんから………」

 

瑞希に言葉を掛けるが、結局こちらも平行線を辿ってしまい、そのまま瑞希は去って行った。

三人の溝は意外にも深く、矢張り互いの壁を取り払わない限り解決出来なかった。

だが、この一件で明久は更に昔の三人の関係を取り戻したいと願い、絶対強くなると改めて思う。

そして二人も公園から去り、そのまま家へ帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜中のとある豪邸、その一室に、額に緑色の模様がある少年と、オレンジ色の髪とロールヘアが特徴の少女と緑色の髪とショートカットが特徴の少女、更に金色のロングヘアが特徴の少女が居た。

 

「全国大会地区予選、開催まで後数ヶ月………今回は誰が優勝すると思いますか?」

 

イタズラそうな笑みを浮かべて協力者である三人の少女に聞く少年………大企業、遠峰グループの若きCEO、『遠峰カイト』。

それに対して三人の少女達は口を開く。

 

「ふん、豚野郎共が姫路瑞希に勝てるとは思いませんわ」

 

「ボクも姫路さん達AL4が今年も勝つかなと思うよ。

姫路さんに対抗しようにも火野君と同じ位強くないと無理だし、何より姫路さんは『先導者』の証を持つ候補者。

負ける要素が無いからね」

 

「私は姫路以外………今年こそ現れる筈のもう一人が勝つと思う。

流石に姫路瑞希に力を貸し過ぎた、そのツケがそろそろ回って来るわよ」

 

三人の中で、ただ一人瑞希以外が勝つと予想する金色のロングヘアの少女、『遠峰セイナ』。

しかし、そのセイナの答えを他の二人が口を出す。

 

「でも、幾ら候補者同士の戦いでもあそこまで『先導者』の証を使える姫路さんを倒すのは容易じゃないよね?」

 

「それに、汚らわしい豚野郎だった場合はこの手で……」

 

二人の意見(一人は男限定の黙殺宣言)を聞いたセイナだが、自分の考えは曲げない事を信条としてる為意見は変えなかった。

 

「ふふ、まあ候補者同士の戦いならどちらが勝とうが如何でも良いのです。

そう、候補者の片側が真の『先導者』となる………これは決まっている事であり、我々の目的です。

まあ、セイナや彼ら……ブライト達は姫路瑞希に力を貸すのを気に入らないだろうけど、これも確実に『先導者』を決める為です」

 

そう言ってコーヒーを口にするカイト。

彼にとってみれば、候補者同士の戦いはどちらが勝とうと『先導者』が決まる為、誰が勝者になっても良いのだ。

極論を言えば、それが如何しようも無い野心家だろうがた。

それこそが世界の答えと割り切る故に。

 

「………で、もう一人は誰?」

 

「まだ証を覚醒させていないから分からないね。

でも、ブライト君やネプちゃんが力を貸してるこの人達の中に居るのは間違い無いね♪」

 

そう言ってショートカットの少女は写真を取り出し、テーブルに置く。

その写真は明久達の写真であり、如何やらブライトが力を貸した事は既に把握済みだった様だ。

 

「豚野郎ばかり………二人違う様ですが「あ、この子はブライト君と同じみたいだよ♪」………ま、まあ許しましょう」

 

「ふふふ、早く目覚めなさい候補者。

そして、真の『先導者』となり………クレイの未来を導きなさい」

 

カイトはそう呟き、それを聞いたセイナは複雑な気持ちを抱いている。

『先導者』の証が目覚める事、それはその人の人格を変貌させかねない危険な力を身に付ける事だからだ。

セイナはそんな場面は見たくないのだ。

その人の身近な人が傷付く事が多々あり、その人が心身共にボロボロになるのだから。

そして遠くない未来で、このセイナが抱いた懸念が現実になる事を、まだ誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の文月学園のホームルームにて。

 

「昨日、俺が管理していた没収物と俺の私物が何者かに盗られてしまった。

しかもそいつは堂々と学生証を提示して物を売り捌いたらしい」

 

西村の怒り混じり+如何にも指の骨がポキポキ音が出る様に指を動かしながらの話に明久は思い返した。

すると、確かに没収物と一緒に一まとめにされた何冊かの本があった。

しかし、見た目が少し古く、更に一つにまとめられてた為捨てる物と勘違いして売っていたのだ。

それをやらかしたと思いつつも平静を装う明久。

 

「そして、そいつには如何も同行者がいたらしい。

それを如何思う、吉井、火野」

 

「へぇ〜学生証で物を売ったんですか。

そんなバカを見てみたいですよね。

あはははは」

 

明久と龍二に同行者の事も含め没収物を売った人物を聞いてみる西村。

だが龍二はそっぽを向いて答え無かった。

しかもその表情は既に無表情で固まっている。

無論これは、この後の事を予想出来たからだ。

そして、遂に怒号が飛んだ。

 

「吉井、火野、貴様らぁぁ‼︎」

 

「ひぃぃぃぃぃぃごめんなさいぃぃぃぃぃ!!!!」

 

「…………………(ダラダラダラダラダラダラ)」

 

明久はジャンピング土下座をし、龍二も汗ダラダラで土下座して許しを請う。

流石に鬼の補習は受けたくないのだ。

因みに証拠を残さなかった雄二達は兎も角、島田がノーカンなのは、明久達と別れて葉月を家に帰した後直ぐに西村に謝りに来ていたらしく、あくまで悪意の無い協力者だったと証明され、その場で厳重注意に終わったからだ。

因みにこの時明久達の事は何も話していない。

 

「さて、そんなお前達にとって置きの役職がある!

朝の職員会議にて全会一致で決まったぞ、喜ぶが良い」

 

そう言って明久達に封筒を渡し、二人はその中身を見た。

すると、二人は真っ白になった。

 

「今日からお前達は、観察処分者だ‼︎」

 

「………Oh no………」

 

龍二の英語による呟きが虚しく教室の壁に吸収される。

観察処分者、その学校一の問題児であり、生徒達の間ではバカの代名詞として有名な称号。

教師側からすれば最も警戒すべき対象。

そして、この学園設立以来初めて出るものだ。

此処に、二人の先生達の雑務の手伝いと言う灰色に近い学園生活が約束された………。




以上十五話目でした。
暗躍のタイトル通りに名前が出たキャラがきな臭いフラグを立てました。
果たしてこれが物語に如何に関わるかは、お楽しみにしていて下さい。

感想、指摘をお待ちしています。
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