ここでキャラ改変の意味の一部が分かります。
また、タイトルにファイトがあるのに、まともなファイト描写は文字数の関係上次回になっています。
ご容赦下さい。
第一話「幼馴染と再会とヴァンガードファイト‼︎」
入学式を遅刻したが、何とかクラスの自己紹介に間に合った明久。
周りを見れば…………男子、数少ない女子から着ているセーラー服のせいで哀れみの視線を向けられていた。
「うう………僕のせいじゃないのに………」
「はい、次は君の番ですよ、セーラー服を着て来たせいで精神的にダメージを受けてる少年君」
「あからさまに傷を抉る様な事を言わないで下さいよ!
………長月中卒の吉井明久です。
何でセーラー服を着てるかは聞かないで下さい……」
完全にデビューを失敗した男子の如く意気消沈し、机に突っ伏す明久であった。
しかし、このクラスは意外にも個性派揃いらしい。
まず、地元では有名な不良で『悪鬼羅刹』の二つ名を持つ坂本雄二。
見た目は美少女、その実男の娘の木下秀吉。
如何見ても女の子にしか見えないのは気のせいでは無い、彼(彼女)は女の子なんだと明久は思っていた。
無口、無愛想を貫………こうとした土屋康太。
趣味は盗さ「ゲフンゲフン」、特技は盗ちょ「ゴホッゴホッ」らしい。
因みに後々彼は ………『
ドイツからの帰国子女で名前を書き間違え、更に余り分からない日本語で、何処で知ったのか「黙りなさい豚野郎」と言ってしまった島田美波などが居る。
最後の島田は何とかして友達を作ってあげたいと思う明久。
実は明久はイジメやハブする輩が大嫌いなのである。
但し、本人は完全なバカであり、ギャグ要員の一人であるが。
「えっと………最後に一人が残っているのですが……『ガラガラ』あ、やっと来ましたね。
君の席は窓側の一番前が残っていますので、早く座って下さい」
「……………」
「えっ…………?
龍二………?」
最後の一人と思しき生徒の自己紹介が終わった後、教室の戸を開けて入って来た男子が居た。
この少年は、中学に入学する前のトラブルと、幼馴染間の問題で袂を分かつ事になった為に明久達とは別の中学へ行った少年………火野龍二その人だった。
「では火野君、最後は君の自己紹介ですよ」
「………火野龍二、趣味はヴァンガードファイト、特技は特に言うべき物が無い」
質素な挨拶で早々と自己紹介を終わらせた龍二。
その姿は、明久が知る元気一杯火の玉小僧の龍二とは掛け離れた………例えるなら不完全燃焼、又は燻っている様な雰囲気になっていた。
「火野龍二?
それって、全国大会常連で『アジアサーキット』でも好成績を何時も叩き出すあの?」
「その二つ名は『孤高のヴァンガードファイター』で、奴が通った後にはペンペン草すら生えなくなるって噂の?」
「…………へぇ、面白い奴が来たな」
龍二の名を聞いた途端、ザワザワと教室で小声話が蔓延する。
それもその筈。
このクラスの大半はヴァンガード経験者or現在も続けてるファイターで、龍二は世界有数の実力者。
彼らにとっては、火野龍二は超えるべき壁の一つであり、戦っただけでもステータスになる程の大物なのだ。
「…………」
そんなざわめきに意も介さず机に突っ伏し、そのまま眠りに入る龍二。
それを見た明久は、まだ『
あの時の事、それは…………姫路瑞希が突然別人の様になり、明久達と袂を分かつ原因を作った事である………。
(あの時の瑞希ちゃんは可笑しかった。
ヴァンガードの事になると人が変わって………優しい普通の女の子から、刃の様に鋭い雰囲気を出して、相手を圧倒して、確実に倒す事を前提にしたするファイトをする…………
僕はあの時の事を詳しくは分からない。
多分龍二も…………それが、今もまだ龍二を縛ってあんな風に………)
「………君。
吉井君。
この問題は分かりますか?」
「………えっ、僕⁈
…………分かりません」
簡単な授業中に考え事をし、更に余り成績がよろしく無い為に問題が分からない明久。
因みにクラスの大半もこの問題が分からないのは内緒らしい。
「やっちゃったな〜……」
この一言の直後、チャイムが鳴り授業が終わる。
最後の授業まで明久はボーっとしていたらしく、自己紹介以降の事を一切覚えていなかった。
それ程龍二の事を気にしていたのだ。
「はい、では後はHRだけです。
こちらからの連絡事項は特にありません。
明日から通常授業が始まるので頑張って下さい。
では、さようなら。
あ、後私はこのクラスの『副』担任です。
明日からは担任の西村先生が皆さんを指導するのでそのつもりでいてください」
先生が自分が副担任やら何やらを言って教室から退散した後、生徒全員それぞれ帰路に。
但し、龍二と明久を除くではあるが。
「龍二………久しぶりだね」
「………あの時以来、だな」
久々に声を交わした二人はぎこちなく、明久は照れ臭く、龍二は後ろめたさがあった。
後ろめたさ、それは瑞希の豹変を止められなかった事だ。
「済まない………あの時、俺は姫路を止められなかった。
そのせいでお前は姫路や俺から離れざるを得なくなった」
「ううん、僕も………悪いから。
瑞希ちゃんの事、しっかり見ていなかったから……」
互いに互いの本心を曝け出す。
が、龍二はそれをしても負い目が消えないままだった。
瑞希の件を解決しない限りこの状態は続くだろう………永遠に。
「………姫路もこの学園に居る。
だから、余り俺に関わりを持たない方が良い。
今の姫路に目を付けられたら、何があるか分からない。
そう、全部俺のせいで………お前と姫路の関係を崩壊させたんだ……」
「龍二……」
瑞希がこの学園に入学している、自分には関わるな、そう明久に告げた龍二はそのまま教室から出て行った。
明久は龍二の言う事を聞くか聞かないか迷っていた。
瑞希がこの学園に入学していると分かるが、龍二も放って置けない。
二人の間に居続けた明久には、二人がまた元の関係に戻って欲しいと思っている、何年経ってもその気持ちは変わらない。
そう、あの時の三人に戻りたいのだ。
一人教室に残った明久はずっとそれだけを考えていた。
夜、明久は自室で二人の間に入り、二人を、特に瑞希を元の状態に戻したい。
そう考えた明久だが、良い方法が浮かばない。
何をしたら二人は仲違いを止めるのか、自分には何が出来るのか、それをその時以来で必死に考えていた。
「僕に何が出来るのかな……?
僕に出来て、二人に共通する事…………」
そう考えた明久は無い頭から知恵を絞って考えた。
すると、たった一つだけ方法が浮かんだ。
幼い頃の三人が何時も何時も夢中になり、三人で楽しんだたった一つの共通した趣味を使った方法を。
「あ、そっか………元々あったじゃないか、単純な答えが」
そう呟いた後、押入れの中からダンボールを一つ出す。
明久の考えて浮かんだ答え、それは…………。
明久と龍二が再会した日から次の日、龍二は朝早くから何故か出掛けていた。
時刻は午前5:30。
本来龍二はこの時間帯は朝食、昼食の準備をしていて手が離せない筈だった。
だが、今日だけは外へ行かなければいけない。
そんな衝動にも似た感情が、龍二を支配している。
そして、龍二が外を歩いて着いた場所は……かつて、明久と瑞希と龍二、三人が笑い合いながらヴァンガードを楽しんだ公園だった。
「何故俺は此処に………「やっぱり此処に来たんだ、龍二」⁉︎
明久………」
龍二が思案していた時、昨日自分には関わるなと言って突き放した筈だった明久が居た。
しかも、手には青いカードデッキケースを持っていて、である。
「虫の知らせ………かな?
何となく此処に来たら龍二と会えるかなって思って」
「………明久、俺は昨日言った筈だ。
俺には関わるなと、姫路とお前の関係を壊した俺には近付くなと。
なのに何故」
龍二は明久に何故関わるのか問いただしてみる。
すると、明久は口を開く。
其処から返って来た答えは、幼馴染として当然の答えであった。
「だって、幼馴染の君や瑞希ちゃんがギクシャクしてるなんて嫌だからさ!」
「⁉︎」
「だから、僕は二人が、僕らがまた昔みたいに笑い合えたら良いなと思って関わるんだよ。
だって、僕は簡単には折れないバカだから!」
「……明久」
龍二はこの言葉を聞いて、明久は昔から変わらない友達思いの良い奴と改めて理解する。
だが、だからこそ自分が引き金になった今回の関係に、明久を関わらせたくないとなお思う。
そう、大事な親友だからこそ、である。
「………だが」
「また突き放そうとするのはもう読んでるよ。
じゃあ、話しても駄目ならこっちは?」
そう言って明久はデッキケースからカードデッキを取り出した。
しかもそのカードはヴァンガードのデッキ…………かつて、明久が大事に使い、今の今まで押入れに仕舞い、だがなお傷つかないように注意を払って保管していた明久のデッキだった、
「ヴァンガードのデッキ………」
「僕と瑞希ちゃんと龍二、三人に共通した趣味で今世界で爆発的人気を誇るカードゲーム。
昔から、納得いかない事はこれで決着をつけていたでしょ?
だから今、このデッキを押入れから出してきたんだよ!
僕の気持ちを、龍二に納得して貰う為にね!」
明久は力強く龍二に言い放ち、かなりのドヤ顔をする。
その言葉は龍二の中で燻り続けていた炎を燃やし始める程魅力的な言葉だった。
更に言えば、彼は生粋のヴァンガードファイター。
ヴァンガードの勝負事、ファイトを仕掛けられたら全力を以ってこれに応える。
それこそが、彼なりの相手への配慮である。
「………良いだろう。
全力でファイトをしてやる!
来い、明久!」
龍二がその言葉を放つと、明久は不敵に笑う。
それ程嬉しいのだ、龍二とまたヴァンガードを出来る事が。
二人は近くのテーブルに座り、龍二も懐からヴァンガードのデッキを取り出した。
「…そう言えばお前、ヴァンガードのルールは覚えているのか?」
「…………あっ……」
だが、明久はたった今重要な事が頭に浮かぶ。
そう、ヴァンガードを数年以上していなかった為にルールを完全に忘れていたのだ。
これではヴァンガードファイトをしようにもカードの使い方を知らない為まともなファイトなど出来ない状態だ。
「はぁ、俺がまたルールを教えてやるよ。
説明をしっかり聞きながらやるんだぞ」
「ご、ごめん………」
意外と龍二は世話焼きらしく、わざわざルールを教えながらヴァンガードをするらしい。
だが、当の明久はまたやらかしたと言わんばかりに目から大量の汗を流していた。
「良いか?
このカードゲームではイメージが重要な役割を持つんだ。
相手の手札に対するイメージ、次に自分が引くカードのイメージ、ファイトを組み立てるイメージ………色んなイメージが必要になる。
だが、最初はこのイメージ………この星に良く似た惑星、ヴァンガードの舞台となる星、『クレイ』をイメージしろ!」
その時、明久は自分のイメージに引っ張られる感覚を覚えた。
そしてイメージの中で、自分はヴァンガードのユニット達の母なる星クレイに降り立っていた。
「久々だな〜、この感覚」
「イメージ力は衰えていないな。
……イメージ内での俺達は、惑星クレイに降り立った霊体、スピリットだ。
こんな状態の俺達には本来何も出来ない………筈だが、俺達はクレイに祝福され、二つの能力を与えられている。
一つは『コール』!
惑星クレイの住人であるカードのユニット達を呼び出し、使役する力!
更に、俺達がユニットに憑依し、直接戦う力、『ライド』!
これら二つの能力を使い戦うカードゲーム………それがヴァンガードだ‼︎」
イメージ世界で龍二の説明を受けた瞬間、イメージから現実に引き戻され、ファイトの準備に入ろうとする。
「えっと、始め方は……」
「デッキ50枚の中からグレード0、左上の数字が0で右上に何らかのアイコンが無く、イラスト面下部が黄色じゃない奴を選んで
R、V、R
R、R、R
とプレイマットにあるが、このV、ヴァンガードサークルに選んだカードを裏向きで置くんだ。
そしてデッキをシャッフルし、上から五枚を引いて手札にする」
改めてルールを学ぶ明久だが、実は半分覚えられるかどうか不安でいた。
何故なら、ヴァンガードはゲーム性はシンプルだが、覚えなければいけないルールが全体的にあったりするからだ。
スキルアイコン、テキストスキルの発動タイミング、トリガー、ライドとコール、勝敗の決め方などだ。
だが、そんな明久を尻目に龍二はルール説明を続ける。
「次にだが、シャッフルして引いた五枚の手札は一度だけ入れ替えられる。
俗に言う引き直しだ。
手札を引き直すコツは、グレードが1、2、3が揃う様にするだ。
まずグレードの何が欠けてるかを見て、さっき言ったグレードに該当する奴を一枚ずつ残し、後はデッキに戻して再シャッフルしてまた上から戻した数だけ引く。
分からない部分があれば其処を説明するが、良いか?」
「だ、大丈夫だよ!
…………よし、この
龍二は耳を疑った。
明久は四枚も手札を入れ替えるのだ。
つまり、一枚は間違い無くグレード1以上、それ以外はダブりorグレード0になる。
そんな手札ではまともにファイト出来ず負けてしまうのは目に見えて分かる事。
だからこそ明久は手札を四枚も入れ替え、龍二は驚いたのだ。
「えっと………よし、何とか揃ったぞ!」
「稀に見る手札事故を起こすとは、明久はやっぱり予想の斜め上を行くな。
さて、これで準備は完了だ。
後はこの裏向きのカードを『スタンドアップ・ヴァンガード‼︎』の掛け声で表向きにした瞬間ファイトスタートだ!」
「何と無く其処は覚えていたぞ。
さあ行くよ!」
二人は裏向きのカードに手を掛け、何時でも表向きに出来る様にした。
そして。
「スタンドアップ!」
「スタンドアップ・THE!」
「えっ、THE?「ヴァンガード‼︎」うわっと、ヴァンガード‼︎」
………あまり締まりの無い始まり方でファイトがスタートする。
しかし、明久の相手は世界有数の実力者にまで上り詰めた幼馴染が相手。
しかもルールを忘れ、ほぼ初心者当然の実力まで落ちたファイターが挑む。
ある意味無理ゲーだった。
しかし、ヴァンガードは最後の一枚がデッキかは捲られるまで勝敗は分からない。
果たして勝者は龍二か、明久か……。
鉄人とキャラ改変について。
鉄人は始業式の後、急な用事が出来た為に、お偉い人のリアルラ○ホー後のホームルームに来れませんでした。
あるキャラの改変は、カードファイト‼︎ヴァンガードのとあるキャラを意識し、それの一部をアレンジして設定に組み込んだ結果こんな形になりました。
自分はアンチ・ヘイトの認識が甘い為、無意識の内に過剰なアンチになるかもしれません。
感想に加えてそれらの指摘をお願いします。