天星さん、断空我さん、感想ありがとうございました。
明久がどんな道を行くか、楽しみにしていて下さい。
明久は次の試合を観戦、更に自分の今の状態をチーム全員やブライト達に伝えるべく観客席に来ていた。
万が一、自分が瑞希が力に目覚めた当初、何かに取り憑かれた様に力を追い求める様になった時の対策を兼ねて。
「おっ、漸く戻ったかお前ら」
「………吉井、火野?
何やら思い詰めた表情をしているが、何があった?」
「………ちょっとね。
で、皆にその事で少し話がしたいんだ。
ブライトさん達も、聞いて下さい」
雄二やブライトらと合流した明久は龍二の方を向き、龍二も頷きそのまま話をするよう促す。
そうして明久も口を開く。
「………変な事とか、頭が可笑しくなったのかと思うかもしれないけど、実はさっきのファイト中に僕はある力に目覚めてね」
「何だ、中二病設定か。
真面目な話かと思えば」
「設定じゃないよ雄二。
これ、事実だよ」
明久は茶々を入れる雄二を真剣な眼差しと雰囲気で見る。
その姿、様子に雄二は何かを感じたのか全員に茶々を入れない様に促し、黙って聞き始めた。
「………この力はね、カードの声が聞こえて来て、ファイトの流れが読み取れるだけじゃなく勝利する過程をイメージで見えるんだ、いきなり唐突過ぎて信じられないかもしれないけど」
「カードの声が聞こえて、ファイトの流れが分かる………まるでカンニングだな。
で、そんな物に目覚めたばかりの明久が何でそんなにその力に詳しいんだ?」
力を発現したばかりの明久が何故か詳細を知っている事に疑問を感じた雄二は、明久にそれを問いただした。
すると、明久と龍二の口からその答えがあっさり出た。
「………何で知っているかは、ね」
「姫路が同じ力を持っている。
明久と違い、随分前に目覚めたんだ………俺達がまだ笑い合えた頃にな」
明久と龍二、二人はそれぞれ何故力の事について知るのか雄二達に話す。
だが須川達は話が急過ぎて全く付いて行ってなかった。
すると、そんな須川達や雄二達を見てなのか、又は明久や龍二にしっかりとした情報を伝える為なのか、ブライトが観客席から立ち、明久達の前に行く。
「………カードの声が聞こえて、ファイトの流れが読み取れる、ね。
それは間違い無く『PSYクオリア』だよ」
「PSY………」
「クオリア………だと?」
初めて知る力の名前、PSYクオリアに少し戸惑いを隠せない明久と龍二、否、明久達全員がそうである。
「解せないなチャンピオン。
何故力、この場合はPSYクオリアか。
どうしてそんな名前だって言えるんだよ?
てか、何で知っているんだ?」
根本がブライトに、雄二が明久にした質問と似た質問を聞き、答えを求めた。
勿論これは全員が同じ考えを持っていた。
すると、ブライトは直ぐに答えを出した。
「何で知っているか?
それはね、僕もPSYクオリアを使えるからだよ」
ブライトはその言葉を口から発した瞬間、瞳にスカイブルーの光を宿した。
明久もそれに共鳴させられたのか、瞳に虹色の光が宿った。
龍二も雰囲気で、二人がPSYクオリアを現在形で発現している事が分かった。
「な、ブライトさんもこの力、PSYクオリアを使えるの⁉︎」
「相談する相手を間違えなかったから安心したよ。
今から君には、いや、皆にはこの力がどんなものか知って貰うね」
ブライトは周りを見渡しながら全員に声を掛ける。
それに対しての全員の返答は頷きである。
「PSYクオリア、この力はさっき明久君が言った様にカードの声が聞こえ、デッキの流れやファイトの過程が分かる能力だよ。
カードのユニット達がヴァンガードファイターを導く事で、勝利のイメージや最善のデッキ構築を教えてくれる、所謂お手本を見せてくれるんだ」
「おいおい、それだとファイター自身は何も考えずにその流れに沿ったプレイングをすれば勝てるって事じゃないか!」
「………カンニング紛い」
「ファイトの公平性が無くなるずるい能力ね。
ウチはそんな物を使って得た勝利を勝利とは絶対呼ばないわ」
PSYクオリアの能力を話すと案の定、不満や否定的な意見が出る。
これはブライトの予想通りであり、話が中断させられる素材では無い。
「まだ話が終わってないよ。
但し、この力にも抜け穴があってね。
完璧に近いファイトをされたら微妙に勝利のイメージとはズレた展開になって行って、それが原因で勝利出来ないなんて事が度々あるんだ。
つまりは高確率で当たるが、外れる場合も確かにある占い程度の能力に過ぎないって事」
「………へっ?
じゃあ姫路瑞希があんなに強いのは……」
「PSYクオリアもあるかもしれないけど、そのPSYクオリアが見せたイメージを自分の技術に転換、取得して地の実力を向上させた結果だよ。
姫路さん自身もPSYクオリアは当たるも八卦、当たらぬも八卦程度にしか思ってないって言ってたよ」
其処に能力の唯一の欠点と言える部分も話し、良く当たる占い程度と結論付けた。
雄二達もその程度かと思い、たかが知れたと割り切る。
が、ブライトはまだ話す。
この力の闇とも言える部分をも。
「けど、強過ぎる力だって事もまた事実。
そして、この力は発現者の精神や人格に大きな影響を与えて、その人の元からあった性質を大きく歪めてしまう場合があるんだ。
例えば普段はいつも通りでも、ファイトになると態度を一変させて挑発的、且つ傲岸不遜とか尊大な態度みたいな感じの言葉が似合う感じになって、更に実力が至らない人が挑んで来たら無論蹂躙間違いなしな俗世間で言う闇堕ちの様な事になりかねない危険性もあるんた。
更に相手を自分のイメージの中に引き摺り込んで、精神的ダメージも与えられるんだ。
しかもPSYクオリアはファイトをする度に強大になるから、それを増長させるんだ」
ブライトの発言が楽観視していた雄二達の表情を強張らせた。
緊張を持ち始めた当人達はブライトが話したPSYクオリアの長所短所、更に危険性を頭の中でまとめる。
長所はカードの声が聞こえた上でファイトの流れが分かる。
短所は外れる時もあり、必ずイメージ通りにはならない。
危険性は発現者の精神と人格に悪影響を及ぼし、性質を変貌させる上、相手にも精神ダメージを与えかねない事。
更に使えば使う程能力が強大になり、危険性が増す爆弾式である事だ。
「発現者の人格を歪める………?
精神的ダメージ?
だが、明久や姫路にはその傾向が見られないんだがこれは?」
「個人差もあるけど、稀に悪影響を受けない人も居るみたい。
精神的ダメージもある程度抑えが効くから一気に精神崩壊なんて事は滅多にないよ………抑えてれば。
それに明久君の場合は目覚めたばかりだからその影響がまだ出てないだけかもしれない。
予断を許さない状況、は言い過ぎだけど気を付けた方が良いよ。
特に明久君、君自身はね」
「………はい。
そうか、やっぱりあれは………」
雄二との会話中にも明久へ忠告を加えるブライト。
だが、それらの言葉で明久は何かの確証を得たらしく、キャラに合わない瞑想ポーズをしていた。
龍二も明久と同じく確証を得たが、明久のそれとは違い闘志を滾らせていた。
「さあ、準決勝第二戦中堅戦を始めたいと思います!
先ずAL4からは姫路さん、バードヘッドからは大鳥さんが前に出ます!
大鳥さんは元AL4メンバーで有名ですが、前回の地区予選で見せていた態度と180度も違う誠実性を見せています。
それと相対する姫路さんは如何なるファイトを見せてくれるのか⁉︎」
「む、いつの間にか準決勝の中堅戦が始まっておったのか」
話をしている間に準決勝が始まり、瑞希と大鳥がファイトをするようだった。
明久達はそれを見る事にし、話を中断した。
大鳥の先攻から始まったファイトは恐ろしく静かに進み、第8ターン目にして遂に動く。
「ドロー。
………行きます、これが私の最後の切り札です‼︎
『魔王 ダッドリー・エンペラー』にライド‼︎
そして、ワンダー・ボーイのブーストでアタック‼︎
更にリミットブレイク‼︎」
大鳥はダッドリー・エンペラーにライドし、そのままアタックをする。
その上リミットブレイクまで発動し、一気に畳み掛ける。
「カウンターブラスト(2)を払い、手札二枚をソウルへ送る事で、デッキからスパイクブラザーズのユニット二体をスペリオルコール‼︎
ジャガーノート・マキシマムを二体コール‼︎」
「……っ!
ジャガーノート・マキシマムが二体………しかもソウルが0、前列のリアガードが一切居なかった筈が、ジャガーノートのスキルのコスト分ソウルが増えて、二体スペリオルコール………これが日本にはまだ無いリミットブレイクの凄さですね………完全ガード、マクリール‼︎」
大鳥の気迫が篭る初撃を完全ガードで躱すが、ツインドライブの中にクリティカルが紛れ込んでしまう。
更にジャガーノート二体の後列にはしっかりとブースト出来るユニットが居る為、ガード要求値が片方は20000、もう片方は15000もあり、瑞希の手札も残り五枚、ガード出来るか出来ないかはギリギリである。
「ジャガーノート、アタック‼︎「グリム・リーパーとアビス・フリーザーでガードします‼︎」
パワーアップしたジャガーノート、ワンダー・ボーイのブーストでアタック‼︎「もう一度完全ガードします‼︎」
…………すみません、チームの皆さん………ターン終了です」
「私のターンです。
………バイブ・カーをコール、スキルでデッキトップもコール、バイブ・カーです。
ヴァンガードの後ろにブラスター・ジャベリンをコール、ファントム・ブラスターのスキル、ダムド・チャージング・ランス‼︎」
PBD、P11000→21000、C1→2
ファントム・ブラスターの必殺スキルであるダムド・チャージング・ランスを発動させ、大鳥に王手を掛ける瑞希。
対する大鳥はツインドライブで引いた二枚の中の完全ガードを使い、クリティカル2の攻撃を防ぐ気だった。
「ブラスター・ダークをコール、ファントム・ブラスターでアタックします「完全ガード‼︎」ツインドライブ………ダブルクリティカル、ブラスター・ダークに全てプラスします。
全てを斬り裂く漆黒の刃、その一撃は光も、勇気も、絆をも断ち切る‼︎
ブラスター・ダーク、ダッドリー・エンペラーを闇に堕として下さい‼︎」
瑞希はPSYクオリアを発動し、大鳥のイメージ内に干渉、そのまま大鳥の意識をイメージ内に持って行く。
すると大鳥の前にはスパイクブラザーズのユニット達が盾として立つが、それを斬り裂く漆黒の騎士が現れ、大鳥の前に立つ。
だが大鳥はそれを恐れず真っ向から受けて立とうとしていた。
そして、それを見たブラスター・ダーク(瑞希憑依)はそのまま大鳥に一閃を入れた。
「うぐっ‼︎
………相変わらず、その力は凄いですね。
此方も全力で挑みましたが、届かなかった。
完全に負けました」
「………昔の貴方からは考えられない誠実な物腰とファイトの展開、そしてこの力、PSYクオリアの力と存在を恐れずに真っ向から来る勇気………強靭な精神力………変わりましたね。大鳥さん。
本当はしたくなかったですが、PSYクオリアの力を向けて確かめた甲斐がありました。
貴方とのファイトは凄く楽しかったです。
………いつか、またファイトしてくれますか?
今度はこんな事が無く、笑いながら」
「………はい。
そう遠くない日に、またファイトをしましょう………リーダー」
ファイトは瑞希の勝利に終わったが、その後に瑞希は今までと違う大鳥に握手を求め、大鳥もそれに応えて握手をする。
更に大鳥は瑞希が自分を信じてPSYクオリアの力を抑えて使った事を瑞希の言葉や本能で気付き、自分に精神ダメージを与えない様にした事を感謝していた。
この握手で大鳥と瑞希達の間にあった溝が無くなり、また大鳥は涙を流したのであった。
すると、この握手を見た観客達から自然と拍手が沸き起こり、二人や二人のチームのファイトを讃えた。
「いや〜決勝と言っても可笑しくないレベルのファイトが準決勝の試合二つで起きましたね〜」
「はい、そして勝ち残ったチームは片や初出場ながら高レベルのファイトを見せてくれましたリベレイターズ。
片やわざわざシード枠を蹴ってでも実戦をし、実力向上を図る優勝チームのAL4。
この二つのチームが戦う時、どんなファイトを見せてくれるか予測不可能でしょう。
正にドッキドキです〜!」
解説、実況者が明久達のチームが如何に魅力的かをアピールし、観客の注目を集めさせる。
その雰囲気に明久は、いよいよ決勝が始まると理解する。
そして、明久と龍二は瑞希を見て闘志を更に燃やす。
瑞希も二人を見て闘志を燃やし、二人が自分の前に立つのを待っている。
「いよいよ決勝だな。
だが明久や姫路が危険性が高い特殊能力を持っているのは不安が………」
「今僕らが心配しても明久君に余計な負担を掛けるだけだよ。
僕らが出来るのは、決勝でPSYクオリアが暴走せず無事に決勝が終わる事を願うだけだよ」
須川の心配をよそに、ブライトは明久に配慮して負担を軽減する事を言う。
が、明久はブライトの配慮も受け入れたが須川の心配もまた受け入れる気でいた。
「須川君にブライトさんも心配ありがとう。
けど僕は、いや、僕達は大丈夫だよ。
ね、皆?」
「おう、この決勝は必ず勝ってやるよ!」
「うむ!」
「当然だ」
「ウチだってね!」
「………明久のPSYクオリアは、俺達で何とかする。
仲間を、変な方向には行かせない!」
リベレイターズの全員は須川やブライト達にサムズアップをし、心配や不安を消し飛ばず。
その姿を見た西村は、指導者として彼らのファイトを見守る気持ちをより一層強め、しかし導く事も忘れぬ様に心掛けた。
「では行くぞ吉井、火野、坂本、木下、土屋、島田!
この試合を勝ち、全国大会への切符を手にするぞ‼︎」
『はい/おうよ/うむ/ああ‼︎』
西村の号令を合図に、明久達は決勝の舞台へと赴く。
その背中を見る須川達は、明久達を心から応援して勝つ事を信じる。
ブライトもまた、明久が勝つ事を信じ手を振った。
そして時計の針は遂に、決勝開始時刻を指す………。
大鳥がイメージ拉致を受けましたが、姫路さんは極限まで力を抑えた結果、大鳥のオーバーリアクションだけになりました。
此処でPSYクオリアの補足、一度発現したら二度と失われません。
また、一般人には感知出来ない上、PSYクオリアの存在を知られていないです。
感想、指摘をお待ちしています。