天星さん、断空我さん、感想ありがとうございました。
遂に三十話に突入しました。
これからもよろしくお願いします‼︎
時計の針が決勝開始時刻を指し、審判が選手を指定位置に来るように促す。
遂に、長い様で短かった決勝戦が始まるのだ。
早速明久達はくじ引きをやり、当たり棒を引いたのは明久、龍二、雄二の三人だった。
それと同時に姫路達の方からは木下優子が前に出て来た。
「さあ、あたしの相手は誰?」
明久達を見て、目を細めつつ冷たい空気をぶつけて来る。
その雰囲気は、誰もが共通に思うだろう………恐ろしくあるが、また此方を燃える様に促す闘気だと。
「よし、先に俺が「いや、俺が行って確実に一勝を取る」龍二⁉︎」
「えっ、ちょっ、龍二⁉︎」
雄二が前に出ようとしたが、それを龍二が制止して前に出て行く。
その行動に雄二と明久は驚き、慌てる。
しかし、この状況下で龍二の行動に対して最も青ざめる人物が居る。
そう、対戦相手の優子である。
実は優子も瑞希を実力で倒したいと思い、行動に移した時期があり、その時に何度も龍二とファイトした………と言うより、試合毎に何故か龍二と当たっていた過去があった。
そして、龍二とのファイトは一種のトラウマとして脳裏に刻まれたのである。
「…………えっ、ちょっと…………」
「さあ、ファイトだ………!」
こうしてファイト開始。
優子もツクヨミデッキで龍二のかげろうに対抗するが、デッキ一周も果たさないまま展開したリアガードを焼き尽くされ、そのままダメージ六枚を与えられてしまった。
「…………あれだけ、必死に実力を上げる為に経験を重ねたのに…………負けた………」
実力を確かに向上させた筈が、また龍二に敗北した事に完全に意気消沈してしまい、口の中から出てはならない物も出ている。
「き、木下さん………」
「龍二君………また強くなっている………あ、あの優子ちゃん?
次に勝てば良いんですから元気を出して下さい………私も特訓を手伝いますから!」
瑞希達は何とか優子を元気付けるべく声を掛け続ける。
が、やはりトラウマはトラウマらしく、口の中から出た物は中々戻らないでいる。
この間に雄二が指定位置に着き、相手が前に出て来るのを待つ。
「さーて、さっきは龍二に出番を待って行かれたから燃え足りなかったんだ!
さっさと二勝目を上げて優勝してやるぜ!」
「ま、不味い………こっちは木下さんがこんな状態にされた上に、坂本君の実力を考慮したら苦戦は必至か!」
久保は優子の状態を見た上で雄二の実力も龍二程で無くとも強いヴァンガードファイターである事に変わりない為、劣勢に立たされていると分析する。
全力でプレッシャーを掛けに行くつもりが龍二のせいで逆にプレッシャーを掛けられてしまったのだ。
「な、なら仕方ありません………こっちも私が「………瑞希、私が行く」えっ、翔子ちゃん?」
瑞希が前に出ようとしたが、霧島翔子が既に前に出ており、そのまま指定位置に着く。
すると雄二は回れ右をして控え席に戻ろうとしていた。
「雄二………貴様何戻ろうとしている………」
それを黙示録の炎のオーラを出した
が、それに対して雄二はと言えば。
「た、頼む龍二‼︎
不戦敗とまでは言わない、せめて明久と交代してくれ、後生だ‼︎」
………情けない声を出しながら龍二に懇願していた。
「な、何があったんだ雄二?」
その姿を見た龍二もタジタジになったのか、雄二から事情を聞く。
「し、翔子は俺とファイトをする時無茶苦茶な条件を叩き付けてファイトするんだよ!
しかも俺の人生お先真っ暗になるような条件を‼︎
お、俺はこのまま人生の墓場には入りたくねぇんだ………絶対、勝ったら結婚しよとか…………ウガァァァアァァァァァァ頼むから交代してくれぇぇぇ!!!!」
余りの雄二の取り乱し様に龍二も霧島翔子は何をしたと思い始めた。
しかし、今はこのヘタレた雄二を何とかする方が優先事項の為その考えは頭の隅に追いやった。
「雄二………この星にはこんな言葉がある。
『負けてはならない戦いなど、負けなければ良い』と。
そう、これは勝てば良いと全くの同意語、つまりは勝てば良いんだ勝てば。
負ければ崖っぷちなら勝って相手を崖っぷちにしてやれ、大丈夫だ、自分を信じて戦え!
…………後は分かるな、坂本雄二?」
龍二の言葉に雄二は勇気付けられる。
確かに負けなければ良いんだ、負けなければ何もかもが上手く行く、勝てば官軍と雄二は考えた。
更に雄二は思考を張り巡らして漸く意識が戻ったのか、落ち着きを取り戻して無言のまま指定位置にもう一度着いた。
「………雄二、やっとファイト出来る」
「ああ………翔子、俺はお前に勝つ。
そして明日の自由を取り戻してやる!」
「………じゃあ、私が勝ったら言う事を一つ聞いて」
「ああ、やってやるよ!」
二人はいきなり売り言葉買い言葉をし、翔子はさらりと約束事を一つ入れ、雄二はそれに気付きながらも勝てば良いと割り切り、目の前のファイトに集中し始めた。
その集中力は、今までと比べても例が無い程の物だ。
「では、始め!」
『スタンドアップ・ヴァンガード‼︎』
「『バトルライザー』‼︎」
「『冥界の支配人』」
冥界の支配人、P5000、C1。
雄二は相変わらずのバトルライザーに(イメージ上で)搭乗し、相対する翔子は冥界の支配人に憑依する。
互いに闘気を滾らせ、必ず勝つと心に誓う。
因みに雄二の手札はG1、2、2、3、2で、グレード2になった時点で速攻を掛けられる予定だ。
因みにグレード1は『ツイン・ブレーダー』、完全ガードユニットで雄二は後攻だ。
「………ドロー。
『スカル・ジャグラー』にライド。
冥界の支配人のスキル、ペイルムーンのユニットがライドしたら、ソウルチャージ(1)。
スカル・ジャグラーもヴァンガードかリアガードで場に出ればソウルチャージ(1)。
………今のでソウルに『ナイトメアドール ありす』と『クリムゾン・ビーストテイマー』が入った。
………雄二、覚悟して」
「へっ、言ってろ。
ドロー!
………マジかよ………『ツイン・ブレーダー』にライド!
バトルライザーは後ろへ移動!
バトルライザーのブーストを入れてアタック‼︎『シャイニング・レディ』『☆』」
雄二がさっき引いたカードはMr.インビジブル、よりにもよってグレード3である。
しかし、クリティカルトリガーを引いたのでまだ大丈夫………と言う訳には行かなかった。
翔子は今ので雄二の手札を予想、更にカウンターブラストが二枚あり、ダメージにもドロートリガーが落ちた事で手札に余裕すら出来た。
よって、雄二を倒す為の速攻を仕掛ける事にする。
「………ドロー。
『エレファント・ジャグラー』にライド。
更に、『ミラー・デーモン』をコール。
エレファント・ジャグラーのスキル、ペイルムーンのリアガードが場に出ればソウルチャージ(1)。
『レインボー・マジシャン』をコール。
再びソウルチャージ(1)。
もう一体のミラー・デーモンと『ダイナマイト・ジャグラー』もコールし、ソウルチャージ(1)×2」
翔子:布陣
ミラー、エレファント、ミラー
レインボー、ダイナマイト、R
一気にリアガードを四体コールし、エレファント・ジャグラーのスキルも活用してソウルも充実させる。
そして、ペイルムーンサーカス団の妖しき演技が雄二に牙を剥く。
「ミラー・デーモン、アタック『………クソ、ノーガード&ダメージチェック『タフ・ボーイ』」スキル発動、カウンターブラスト(1)、ミラー・デーモンをソウルに移動。
ソウルからミラー・デーモン以外をスペリオルコール………『ナイトメアドール ありす』。
次にダイナマイト・ジャグラーのブースト、エレファント・ジャグラーでアタック『ダイナマイト・ジャグラー』『☆』お返し」
ありす、P10000、C1。
先ずミラー・デーモンのアタックでダメージ一枚、更にヴァンガードのアタックでクリティカルトリガーを引き当て、三枚目のダメージすら与えた。
しかもダメージにトリガーは無い。
よって、ツイン・ブレーダーの素のパワー6000でこのターンを凌がねばならないのだ。
更にトリガーでパワーアップしたありすまで居る為、最悪このターンでダメージが五枚になる………ダメージにトリガーが落ちなければ。
「………ありす、ヴァンガードをアタック「シャイニング・レディでガード‼︎」次、レインボー・マジシャンのブースト、レフトラインのミラー・デーモンでアタック。
………ヒット、先ずはレインボー・マジシャンのスキル、
ブーストされたユニットのアタックがヒットしたらソウルチャージ(1)。
更にミラー・デーモンのスキル、カウンターブラスト(1)とソウルに移動。
ソウルから『パープル・トラピージスト』をミラー・デーモンの居たサークルにコール。
パープル・トラピージストのスキル、他のペイルムーンのリアガードをソウルに移動、そしてソウルからスペリオルコール………ミラー・デーモン、コール」
翔子:布陣
パープル、エレファント、ミラー
レインボー、ダイナマイト、R
何と翔子は雄二達の考えを上回り、前列に敢えてパープル・トラピージストをコールし、不要になったありすをミラー・デーモンと入れ替えた。
これも、雄二がツイン・ブレーダーにライドした事から始まった悪夢である。
パープル・トラピージストはパワー6000、ツイン・ブレーダーもパワー6000、丁度パワーが同じ為アタックはヒットする。
「………パープル・トラピージストでアタック「…………『ジェノサイド・ジャック』」………雄二、言い残す事は?」
五枚目のダメージチェックですらトリガーが落ちなかった。
これでミラー・デーモンのアタックを通し、六枚目のダメージを受けざるを得なくなり、ヒールトリガーが来る事を祈らねばならなくなった。
そして問われた雄二が最後に残す一言とは………。
「………………オワタ\(^o^)/」
………全てが終わったと悟り、両手を天に仰ぎながらのオワタであった。
「ミラー・デーモン、アタック『バトルライザー』『醒』………勝ち」
始まってみれば、たった3ターン目でファイト終了と言う雄二からすれば圧倒的な大敗である。
しかし、今の雄二にはそんな些末な事など気にする必要など無く、現時点で重要なのは翔子の言う事を一つを聞かねばならない事だ。
そんな状況下で雄二はと言えば。
「(^o^)」
最早何も頭に入らず、ただただ死刑判決に等しき言う事を待つだけだった。
しかも口の中から出てはならない物が出て、今にも天に召される様な状態になっている。
「あ、あの………雄二?」
「(^o^)」
「………ダメだ、もう向こう側に居る…………そう言えば、世の中には『諦めも肝心』と言う言葉があったな………すまん雄二、お前を死地に送った俺を許してくれ………」
控え席にゆっくり戻った雄二に話掛ける明久達だが、既に使い物にすらならなくなった雄二の様子を見て、明久達は涙を流してしまう。
しかし、これでリベレイターズとAL4共に一勝一敗、後は大将戦を残すだけとなった。
そして、指定位置には既に瑞希が立っていた。
それをふと見た明久は、いよいよ因縁対決が始まると悟りデッキケースを取り出した。
「………龍二、秀吉、ムッツリーニ、島田さん、鉄……西村先生、雄二をお願い。
僕は…………大将戦へ行くよ」
「吉井………」
「明久…」
雄二を除いたリベレイターズの面々と西村は、明久から滲み出る闘気を肌で感じ、更に反対側に居る瑞希の闘気すらこちらまで届き、遂に二人のファイトが始まると理解した。
こうしている間に明久は指定位置に着き、早速ディスプレイが足元から出た。
「………明久君、いよいよですね」
「うん………意外に早かったね、因縁対決」
二人は闘気を出しながらも普通に会話し、少し今までの事を振り返り始めた。
しかし、それを瑞希の方から終わらせた。
「ですが、このファイトは私が勝たせて貰います。
………例えPSYクオリアが目覚めても、実力の差は埋まりません…………私の本気、見せてあげます」
「PSYクオリアが使える様になっても自分の実力は自分で上げなきゃいけないよ。
………此処まで来る為に、僕も龍二も皆も努力を続けて経験も重ねたんだ、今それを全部ぶつけるよ‼︎」
二人はデッキからFVを取り出し、ディスプレイのヴァンガードサークルに置いてデッキをシャッフルする。
そして手札も引き直しを終え、いよいよファイト開始の宣言を待つだけだった。
「…………では、始め‼︎」
『スタンドアップ・「THE・」ヴァンガード‼︎』
遂に二人の因縁のファイトが始まった。
果たして、勝つのは何方か………。
まさかの翔子さん、第3ターンにてファイナルターン。
此処で雄二のファイト中のミスを。
ツイン・ブレーダーライドは致し方無く、次にアタックした事。
アタックしなければダメージにクリティカルトリガーが落ちてパワーが11000になってました。
アタックしてもクリティカルをバトルライザーに振ればダメージは一枚しか落ちず、あの様にミラー・デーモンなどのスキルをガン回しにされませんでした。
更にありすのアタックを防がなければ………と、ファイト中に幾つもミスを重ねてました。
それさえなければワンチャンありましたよ………。
次回、遂に明久対瑞希さんです………。