度重ねて申し訳ありませんでした。
明久達は決勝トーナメントの為に本選終了後は直ぐにデッキを見直し、構築変更のタイミングを有意義に使おうとしていた。
「島田、お前は海外で発売されたカード群は使わないのか?
例えば『封魔神竜 ダンガリー』とか『ドラゴンモンク ギンカク』とか」
「入れないわ。
日本で発売中のカード群だけで勝負したいわ」
「……………」
雄二が島田にダンガリーなどを入れる気が無いか聞いたが……結局入れないと言われる。
矢張り彼女にもプライドなどがあり、自分だけが〈なるかみ〉を使っているだけでも少し気にしているのにこれ以上テスターの肩書きを利用したく無いとも考えているのだ。
そんな中、明久はデッキを見つめて、何といきなり崩し始めていた。
「あ、明久何を⁉︎」
「………実はね、僕のデッキはある意味バランスは崩れてるけど何故か回りが良いデッキなんだけど、クリティカルを入れてないから破壊力が無いんだ。
ダブルスタンドの弊害………さっきの本選、最後のファイトや須川君とのファイトで痛い程思い知ったよ。
だから、今度はクリティカル中心のデッキにしようと、ね」
明久の話を聞いた龍二達は確かにと納得していた。
先ずダブルスタンドは攻撃回数を増やしはするが、破壊力向上に直結しているとは言えず、またリアガードを消されたり〈メガコロニー〉の特性であるパラライズをやられれば、それで機能停止し兼ねない他と違ったリスクを背負っている……スタンドトリガーでパラライズにある程度耐性を持っていてもだ。
「じゃあ、如何するんだ?」
「単体でも攻撃力、応用力があるユニットを選びたいよ。
カウンターブラスト消費が増えてコストがカツカツになっても良いから兎に角高いパワーを生み出したいんだ」
「単体でパワーがある………『ブラスター・ブレード』や『エクスカルペイト・ザ・ブラスター』を使っているなら『友誼の騎士 ケイ』や『忠義の騎士 ベティヴィア』ね」
明久の要求した単体でパワーがあるユニットを、島田が『ブラスター』に反応する〈ロイヤルパラティン〉を挙げる。
それを聞いていた龍二は、カードバインダーを取り出して五枚ものカードを引き抜く。
「なら明久、お前は『ブラスター・ブレード』にライドする確率が高いからこのFV、『ういんがる・ぶれいぶ』を使うと良い。
『ブラスター』をブーストし、そのアタックがヴァンガードにヒットすればデッキから『ブラスター』を一枚手札に持って来れる。
更にグレード3には、この『ブラスター・ブレード・バースト』を使え。
このユニットは本来はスキルの関係上二世代上のユニットなんだが、アルフレッドを劣化した様な性能だから特別に数年前に限定配布されたカードだ。
ヴァンガード時はブーストを受け付けないが、前列の〈ロイヤルパラティン〉のパワー分パワーアップするぞ………カウンターブラスト(2)、しかも〈ロイヤルパラディン〉のダメージ指定でな」
「うひゃ〜、『ブラスター』ザックザクだ!」
明久は新たな『ブラスター』やFVを受け取り、気分が弾む。
しかも龍二の酷評が耳に入らない程にだ。
其処に雄二が、二枚カードを取ってそれも明久に渡す。
「じゃ、『ブラスター・ブレード』をソウルからスペコ出来るこの『アルフレッド・アーリー』も使ってみるか?
〈かげろう〉相手でも、お前なら確実に前列確保出来るぜ。
しかもこれにライド→バーストにライドの流れも出来るし、エクスカルペイトを使うならアーリーを使わずに前列に張るのもアリだ。
『ブラスター』じゃないが、いざと言う時に役立つ筈だぜ」
「アルフレッド………ありがとう、雄二!」
以前明久も使っていた『騎士王 アルフレッド』の派生ユニットを見て、更に心が躍っていた。
それを見て秀吉達も笑い始め、場の空気が良い具合に和み始めた。
そして、明久はデッキを完全改造し新たな勝ち筋を見出していた。
「にしても、『ソウルセイバー・ドラゴン』を二枚入れるのは変わりないんだな。
そしてバロミデスを敢えて抜いてバーストやアルフレッドの枠を確保か。
だが………何でグレード1に『ぽーんがる』じゃなくて『導きの賢者 ゼノン』を入れてるんだよ‼︎」
「いや〜、カウンターブラストコストがカツカツだから使えなくて……『まぁるがる』一回とういんがるのスキルを使った後にライドするし、ならスペリオルライドでも良いからソウルセイバーを使いたいって………そんなに問題だった?」
「由々しき問題だぁぁぁぁぁ‼︎
ゼノンのスキルが成功する確率なんか無いに等しいんだそ‼︎
だったらカツカツでも良いから『ぽーんがる』入れろよ‼︎」
………しかし、明久は如何してもネタに走りたいのか、『導きの賢者 ゼノン』と言う誰も使わない様な半分ネタカードを採用し、雄二達をツッコミに回していた。
ゼノン、そのスキルはコールされた時にデッキトップを公開し、それが自分のヴァンガードと同じグレードならスペリオルライドするもの………だが、グレード3の場合大抵八〜十枚しか無い為、一枚が既にライドしているので−一枚の上、他のグレードがデッキにある為成功率は皆無である。
なので、雄二達が怒ったりツッコミに回るのは仕方が無かったのである。
「ったく、これでお前が負けても知らないからな」
「分かってるよ。
絶対に勝って、瑞希ちゃんと今度こそ決着をつけるんだ………勿論、皆と一緒にね!」
雄二の皮肉に明久は満面の笑みで答え、全員を半分呆れさせつつ半分納得させる。
これも全て、明久の正直で嘘の無い言葉が上手く働いている結果であり、それぞれの信頼の証でもあった。
そうこうしている内に就寝時間となり、全員それぞれの部屋に戻り、明久と龍二も電気を消してベッドに入る。
「………龍二、明日は必ず勝とう。
相手が誰であっても」
「………ああ」
最後に二人は短く言葉を交わし、そのまま目を閉じて眠る。
いよいよ明日は決勝トーナメント、出場する四チームのメンバー全員は夢の中であっても、勝利のイメージを膨らませて意識を高めて行くのであった。
そして朝、朝食を手早く済ませた後に四チームは会場の舞台前に集まり、トーナメント発表の瞬間を待っていた。
「さあさあこの歓声を聞いて下さい‼︎
決勝トーナメントが始まるその時を待つ観客達の熱を‼︎
これこそが、全国大会決勝トーナメント前の醍醐味です‼︎」
『わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎』
「因みにこの歓声は前回、前々回の決勝トーナメントと比べましても比較にならない程大きいです。
何故こうなったかは明白、全国チャンプのAL4が三連覇を控えているのもあれば、それらの雪辱を果たそうとするカエサル、アンバランスサークルが居る事。
そして何より、初出場ながらも数々の強豪を打ち倒して決勝トーナメントに駒を進めたダークホース、リベレイターズが居るからでっす‼︎」
『おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎』
余りの大歓声により会場が震え、それによって観客達が如何に興奮しているのかよく分かる明久。
更にこの歓声が過去最高の物とも知り、自分が改めてどんな場所に来たのか理解した。
だが、此処まで来る為に経験を積み重ね、数々のファイターと激闘を繰り広げた今の明久は最早この程度では臆さなくなっている。
「………いよいよだね」
「ああ。
一番の目的は姫路達AL4に勝つ事だが………それと同時に全国優勝も目的なんだ。
誰が準決勝、決勝と当たろうが絶対勝ってやる!」
「そうだな、雄二。
………さて、発表されるらしいぞ」
明久、龍二、雄二の代表格三人が気を引き締めている中、モニターにトーナメント表が映される。
遂に対戦チームの組み合わせが発表される………先程まで歓声に満ちていた会場は一気に静まり返り、その瞬間を待ちわびている。
無論、観客のみならず参加選手、既に敗退したチームの選手もだ。
「では、待ちに待った決勝トーナメントの組み合わせを発表します!
先ずは前々回、前回と優勝を果たしたチームAL4は…………第二枠つまり第一試合となります!
次に優勝候補の一角、チームカエサルは…………第四枠、第二試合です‼︎」
AL4、カエサルはそれぞれ第一、第二試合に分かれて決勝で相対する組み合わせになり、両者共に楽しみの一つをとって置ける事が分かりホッとする。
対して残りのアンバランスサークルとリベレイターズ、此方に関しては前門の虎、後門の狼と何方に転ぼうが難敵が待ち構えている形となり緊張がピークに達し始めていた。
「どっちじゃ………カエサルか、AL4か?」
「どっちでも同じでしょ?
戦って勝つ、それだけよ!」
「……………(ゴクッ)」
そして秀吉や明久達が見ている中、遂にチームアンバランスサークルがどちらと戦うか発表され始めた。
その結果は…………。
「さー、チームアンバランスサークルはカエサルとAL4、どちらと戦う事になるか⁉︎
いよいよ発表しますよ、しっかり見ていて下さい‼︎
チームアンバランスサークルは……………………第一枠、第一試合にてチームAL4と対戦します‼︎
と言う事で、残りのチームリベレイターズは第三枠となり、チームカエサルと激闘を繰り広げます‼︎」
…………明久達がチームカエサルと戦う組み合わせとなっていた。
明久達の目標である全国大会優勝とAL4との対戦、これらを実現する為には先ずはカエサルに勝たなければ果たせなくなり、明久達全員と光定達全員が互いを見つめ合い、闘気を燃やし始めた。
これに対し瑞希達は一旦は明久達と直ぐに戦わない事に少しは喜ぶが、いざ戦うにはカエサルが障害となるトーナメントの形に残念とも思っていた。
だが、こちらもまた勝ち残って来た強豪と戦うので、意識を直ぐにそちらへと回した。
「光定さん達が相手か……」
「ふふふ、合宿の時から待ちわびていた物が訪れたよ………君達リベレイターズと決勝を賭けて雌雄を決するこの時が」
「何にせよ、全力でやる。
ただそれだけだ………」
互いに火花をぶつけ合い、必ず決勝に勝ち上がろうと闘志を燃やす明久達と光定達。
そんな二チームを他所に司会者がルール説明を行い始めている。
「えー、ではこの決勝トーナメントのルールを説明します!
決勝トーナメントも本選同様限界人数による一斉ファイトとなりますが、二つつ追加ルールがありみゃーす!
それは、決勝トーナメント中にファイト内で戦っているファイターが最後の一人になり、次に勝っても黒星の数で負けが確定していた場合に限り、最後の一人が勝った瞬間に黒星と同じ数の白星が与えられ、次の試合で全てを決する延長戦………決戦ファイトが執り行われみゃーす!!
これにより、最後の一人になったとしても諦めずに勝つ事により、次に勝ち、試合に勝利するチャンスが得られるのです‼︎
なお、チームの黒星と白星が同数で並んでいたりした場合ですが、このの場合は通常通りのファイトとなり、そちらの勝敗が決した時点でチームの勝敗も決まりみゃーす。
また決戦ファイトに出るファイターはチーム内で決める事が出来みゃーす。
そして二つ目は、一つ目の追加ルールが潰れないようにするルール、一斉ファイト内で二人以上がほぼ同時に倒された場合、先に倒された人はそのまま敗北となりますが、ほんの少しでも遅かったもう片方に限り、ファイトを一回のみ最初からやり直す権利が与えられみゃーす!
これを使う場合はもう一度ファイトをする事になりますが、これに関しては完全な任意となり、負けたファイターの判断に委ねられみゃーす!」
明久達はそれを聞いて一番チーム人数が少ないカエサルで例えてみた。
先ずガイ、ユリの二人が負けてしまい光定のみが残った場合、本来はそのままチームの負けとなるが、光定がそこで勝てば最後のチャンス、決戦ファイトと言う延長戦が開始される。
これにより、最後の一人に本当の意味で全てを託す形になる。
更に、ガイとユリが同時に負けた場合、先にガイが負ければそのまま負け、しかしユリがタッチの差の様に僅差で遅ければ敗者復活の如くもう一度ファイトをやる事が出来、決戦ファイトに繋げたり、そのまま勝利する事が出来る。
しかし、敢えて復活せず最後の一人、光定が勝つ事にに賭けてしまうのもアリになっているらしい。
「成る程、決勝トーナメントだけに一試合の全てのファイトを最後まで見せたい、見たい、更に大逆転劇も見たい観客の願望と運営側の思惑、更に何が何でも勝ち進みたい、諦めきれないファイターの意地が合わさって出来た画期的なルールなんだな」
「だからこそ、この全国大会は何時も盛り上がるんだ。
チームだけで無く己も信じ、勝ち進むチームとそれらの闘志を、ファイトの技術を見に来た観客達…………その全てが集約されているのだからな。
そしてヴァンガードファイト協会もその分金を稼げてヴァンガードを宣伝も出来て二重の意味で利益がある。
故に見る側も参加する側も運営する側もこの大会は止めず、更に盛り上げようとする………それがサイクルとして延々と回り今がある。
まあ、今回はやる事が派手みたいだがな」
「へぇ〜………やっぱり色んな意味で凄いんだ、全国大会って」
雄二、明久達は龍二の全国大会の多方面の思惑を説明し、この大会が如何に回るのか納得し、感心すらしていた。
龍二も龍二でこの大会は全力で勝ちに行くファイターが多いので、好き嫌いで言えば完全に好きな方の大会なので、個人戦ながらも毎回の如く参加していたので、思い入れもあったりした。
すると会場内でチャイムが鳴り、試合の開始時刻が会場内の全ての人に伝えられる。
明久達も試合の邪魔にならない様に急いで自分達の控え室に向かう。
「さあさあさあ、いよいよ準決勝第一試合、チームAL4VSチームアンバランスサークルの試合が始まりみゃーす!‼︎
どちらもチーム人数は四人、例え三人負けようと最後の一人が希望を繋げ、決戦ファイトへと持ち込んで勝つ事も可能です‼︎
果たして、両者の内決勝に進出するのドティラだっ‼︎」
「………試合、開始‼︎」
『スタンドアップ・「THE」・ヴァンガード‼︎』
そして準決勝第一試合が始まるが…………チームアンバランスサークルの奮闘空しく、最後に残っていた翔子を下して決戦ファイトに持ち込むが、最後に再び翔子が前に出て先程の雪辱を果たし、決勝へと駒を進めてしまう。
「マジか……!」
「…………奮闘空しくだな。
チームのレベルもかなり高かったんだがな………」
「姫路達はプレッシャーに強いのう。
矢張り、普通のチームとは訳が違うと言う訳じゃな」
チームアンバランスサークルの実力も見つつ、それをプレッシャーに負けず、また圧倒的な実力を見せつける瑞希達。
反対側の控え室にて試合を見ていたカエサル達も冷や汗をかいてしまう。
「だが、次は俺達の試合だ。
気を引き締めて行くぞ。
何せ、相手はあのカエサルなんだからな」
「………(グッ)」
「ああ」
「よし、行こう皆‼︎」
しかし、自分達のファイトが多いその程度の理由で乱れる訳にも行かないので、直ぐに気を引き締めて試合場に向かう。
遂に合宿以来のカエサルとのファイトが目の前へと迫った…………明久達はそれを喜び、全力で勝つ気で行く……。
えー、前と違う点は逆転勝利をそのままルール化するか、延長戦に持ち込んでから逆転する可能性を掲示するルールであるか、です。
一応遅延行為を行い、相手チームを全員同時に倒す事への対策ルールも設けましたが………うーん、まだ穴があるかな〜?
再投稿したのですが、以前の感想は一応残しておきます。
再投稿への感想と指摘も受け付けております。
重ね重ね申し訳ありませんでした。