それらに注意して下さいね〜。
「だったら修正して投稿すれば良いのに…………駄作者」
「やっぱりこのブライトさんかなり辛辣………修正され………ないんだろうな〜」
さて、天星さん、AMsさん、F/U駄文製造機さん、感想ありがとうございました!
いやはや、トリガーを引く人は引きますからヴァンガードは駆け引きが凄いんですよ。
しかも一枚のカードで戦況がガラリと変わりますから。
ではそんな訳で、始まり始まり〜。
追記
なんか気が付いたらお気に入りが50突破していて感想も100になってました………読者の皆様、お気に入りしてくれた皆様、本当にありがとうございます‼︎
準決勝が終わってからの翌日。
決勝戦は準備と最後のデッキ調整を兼ねて次の日に回されており、出場選手達は一日だけ自由な時間を与えられている。
そんな一日の自由時間を、火野龍二はバスに乗り家に帰宅していた。
これ以上に無い位自分様に調整されたデッキを見ながら、自らの想いを全て詰め込んでいた。
「…………頼むぞ、俺の〈かげろう〉デッキ……………俺の分身、オーバーロード………」
デッキの中にあるオーバーロード二種に言葉を掛け、目を険しくしてそのまま自室から出て外に出る。
先日の姫路瑞希を見た途端に感じた予感、それを確信に変えるべくある場所に向かうのだ。
そう、龍二と明久と瑞希……三人の始まりにして原点、更には転機と終焉を一挙に集約した聖地の様な普通の場所へと。
「あいつは恐らく其処にしか居ない、いや、其処に必ず居る。
あそこは俺達にとってみれば一番重要な場所だからな…………待っていろ姫路、今直ぐお前の前に行ってやる!」
龍二はそう呟くと早歩きになり、何時もよりも機敏に動く。
ただでさえ動くのが早いのに尚更早くなれば、目的地に直ぐに到着するのは明白である。
しかしそれは直ぐには叶わなかった。
何故なら…………。
「………むっ?」
「やあ、龍二!」
「待っていたわよ」
龍二の眼前に明久、霊夢達が現れたからだ。
実は明久達に感じた予感を話さず、自分一人で瑞希の下に向かおうとしていたのだ。
しかし、それを予想していたのか明久、雄二、秀吉、康太、島田、霊夢、魔理沙、フラン、レミリア、咲夜、亮、根本、小山、玉野、ブライト、ネプテューヌ達全員は先回りしていた。
それも、丁度龍二がその場所に向かうのに使う最短ルートの中で。
「………はぁ、お前ら何故此処に……」
「龍二、あの時瑞希ちゃんを見て決着をつけてやるって思ったでしょ?
しかもそれがもう近いって予感がしたから。
全く、君が感じた予感を幼馴染の僕が感じないなんて思ってた訳?」
どうやら龍二が感じた予感その物を明久も感じ取っていたらしく、彼もまた決着をつける気なのだ。
「後ね、これは杞憂かもしれないけど………今回の件、何だか嫌な予感がしてならないんだ。
しかも、これは霊夢も感じたらしいんだ」
「私も自慢をする訳じゃないけど、勘は人並み以上だからね………嫌な予感がしたら大体は当たるわ」
更に勘が良い二名が嫌な予感と言う警告を発し、いよいよもって龍二はこれから瑞希とのファイトがあり、油断や慢心などをすればあっさり殺られると確信する。
因みにこの二人の勘を信じるにはあるエピソードがある。
それは合宿中にて、フランが見ていない中であった出来事………龍二に対して、『嫌な予感がするから後5分位したら館の外に出て良いよ、今は絶対駄目』と言って館の外に出ない様に促し、龍二も一応それに従うと龍二の散歩に選んだコース上、しかも館の窓の真下付近でメイド達が誤って三階から大き目の鉢植を落としてしまっていた。
もしも龍二が勘を信じずに外に出て散歩していたら、丁度その場所を歩いていて頭上から鉢植が飛来し、直撃していただろう……そう龍二は思い、それからは良く当たる勘を条件抜きで信じる事にしていたのである。
「………それで、これから姫路瑞希の下に向かうのでしょう?
私達も見ていてあげるから案内しなさい、火野龍二」
「当事者の俺としては応援や観戦は要らないんだが…………まあ良いか。
分かった、こっちだ」
そうして渋々明久達の同行を許し、龍二はまた歩き出した。
しかし、現在の場所は目的地まで10分程で着くので龍二は昔の事を思い出し始めていた。
「………そう言えば、皆はまだ僕達の詳しい始まりとかを知らないよね?」
「?
明久…………?」
それと同時に明久が雄二や霊夢、ブライト達に何かを話し始めようとしていた。
しかもその内容は、たった今龍二が思い出そうとしている過去の記憶…………自分達の始まりや終わりの話だった。
今から八年前、明久がまだ小学生低学年の頃。
この時点では明久、瑞希、龍二の三人はまだ接点らしきものが無く、明久も何処か学校が少しつまらない場所と思っていた。
元々勉強が苦手、及び嫌いな方だったのも拍車を掛けてしまい、その気持ちは徐々に強くなっていっていた。
「あーあ、何だかつまんないなぁ〜。
何か楽しい事無いかなぁ〜…………」
昼休みになり、周りを見渡して何か面白い物を探し始める明久。
しかし前、右、左を向いても誰一人として明久が面白いと思う様な物を一切やっておらず、結局駄目かと思いはじめた。
しかし…………それは後ろに居た。
「見せてやる、この世の物全てを焼き尽くす黙示録の炎を‼︎
ライド・THE・ヴァンガード、『ドラゴニック・オーバーロード』‼︎」
「げっ、オーバーロード⁉︎
なんつー激レアカード(SP版)を持っているんだよ‼︎
け、けどカードを持っていても使いこなす実力が「喰らえ、エターナル・フレイム‼︎
トリガーチェック、リアガードとヴァンガードへのアタック分を合わせて三回、全てクリティカルトリガーだ‼︎」
…………オワタ\(^o^)/」
明久は後ろの席で最近巷のカードゲーム、『カードファイト‼︎ヴァンガード』をやっており、しかもその内の一人がヴァンガード自体を知らなくとも名前は聞いた事が絶対にあるユニットの一体、『ドラゴニック・オーバーロード』を繰り出していた。
「…………何か凄く楽しそう………」
「うん?
お前、ヴァンガードやってみたいのか?」
明久が物珍しそうに見ていた事に気付き、ドラゴニック・オーバーロードの持ち主の少年が話し掛けて来た。
しかもご丁寧に何処で買ったのかトライアルデッキを持ちながらである。
「えっ、あ……………何か楽しそうだから見てたけど、僕にも出来るの?」
「初心者大歓迎だ。
誰も始めたばかりは弱いしつまらないなんて思わないし、思わせはしないさ。
いやー、偶々別のクランのデッキを作ろうとしてトライアルデッキ買ったのは運が良かった!
これやるから、ヴァンガろうぜ‼︎
あっと、俺は火野龍二だ、よろしくな!」
この様に明久は少年………当時の龍二と出会い、〈ロイヤルパラディン〉のトライアルデッキ4つ分を組み合わせたデッキを手渡され、ヴァンガードへの道を歩いて行く事になった。
それからしばらくして、明久と龍二は妙なあだ名で呼ばれていた瑞希を遠回しに助け、飼育委員となり、彼女にもヴァンガードを教えて三人で仲良くファイトをし合っていたのだった。
「ふーん、お前らの始まりってそんな感じだったのか」
「うん、本当なら何らかの拍子で話さなくなるのに、ヴァンガードが僕らを繋いでくれたんだ。
飼育されてた兎が死んじゃった時でさえ僕らは同じ道を歩いて行けてた」
雄二達にそう話しながら遠い空を見る明久。
しかし、その表情は直ぐに曇り始めた。
「………でも、あの日から全てが変わっちゃった。
そう………瑞希ちゃんがPSYクオリアに目覚めたあの日から…………」
明久からその言葉が出た瞬間、雄二達は明久ら三人の運命が変わったその時が遂に明かされると確信し、息を呑んで聞き入る。
何も変哲の無い日、夏の残暑が続きまだまだ暑いと感じるだけの日。
明久、龍二、瑞希は三人で相変わらず公園に来ていたが、その日は瑞希が何故か上の空で、中々話が盛り上がらないでいた。
そんな時、明久達は龍二狙いの不良に絡まれた。
「てめえ‼︎
よくもあの時はやってくれたな‼︎
レアカードばかり詰め込みやがって………お陰で、このシマで無敗だった俺の戦績にキズが付いたじゃねえか‼︎
この落とし前、きっちり付けてもらうぞ、クソガキ‼︎」
「はっ?
何言ってるのやら………あれはちゃんと実力で白黒付けたファイトじゃないか。
イカサマも何も無い健全且つ正当なファイト、それにケチを付けてくるとか………お前、その時点で自分の顔に泥を塗ってるって気付かないのか?」
「んだと‼︎」
「うわぁ………どうしようこれ⁉︎」
正に一触即発、少しでも触れたら爆発しかねない状況となり、明久は慌てふためく。
しかし………そんな二人の間に、瑞希が割って入った。
「………龍二君の言う通りですよ。
ちゃんとしたファイトで決着をつけているのにまだ負け犬の様に遠吠えを吐き続けるのは見苦しいとは思いませんか?
いえ、少し違いますね………負け犬の様にでは無く、れっきとした負け犬でしたね………」
「なっ、おい‼︎
女だからっていい気になるんじゃねえぞ‼︎」
瑞希の一言で不良は龍二から彼女に視線を向け、威嚇する。
それに動じず、懐からデッキを取り出した瑞希は少し冷淡な瞳で不良を見つめる。
「なら、こうしませんか?
私に勝てば龍二君ともう一度ファイトをして白黒をはっきりさせる。
逆に貴方が負けたら………もう二度私達に関わらないで下さいね」
「上等だ、やってやらぁ‼︎」
そうして公園の木のテーブル(屋根付き)でファイトを始める二人。
しかし…………いざファイトを始めた瞬間、瑞希が不良を圧倒し、気付けば瑞希のダメージは2、不良のダメージは5になっていた。
更に、瑞希のクランが〈ロイヤルパラディン〉から真逆の性質を持つクラン、〈シャドウパラディン〉に変わっていた。
「う、嘘だ………こんな、こんな…………」
「もう終わりですね。
ではじっくりと味わって下さい…………貴方が弱過ぎるせいで私に負ける屈辱と、圧倒的な敗北を‼︎
『ファントム・ブラスター・ドラゴン』、殺りなさい………」
そして最後に、クリティカル4のダメージを与えられ不良は唖然とする。
更に、瑞希の瞳が虹色に輝き、不良、及び明久、龍二がイメージの世界に引っ張られた。
「な、何これ⁉︎」
「まさか………これは瑞希のイメージ………なのか………⁉︎」
二人はまじまじとその風景を見て、ただただ驚くばかりであった。
更に、少し見渡すと不良が居て、その前には『ファントム・ブラスター・ドラゴン』が既に槍を構えて襲い掛かろうとしていた。
「あ、危ない‼︎」
そう明久が叫んだ瞬間、槍は不良を貫き、奈落竜はその罪深き雄叫びを上げた。
すると、周りの景色が現実世界に戻り、明久達の目の前には先程までファイトをしていた二人が居たが、不良は瑞希をまるで化け物を見る様な恐怖の瞳で見上げ、、瑞希は不良を冷淡な瞳、そして、敗北を嘲笑う表情で見下げていた。
「うふふ…………こんな程度の実力でこの辺りでは負け無しですか…………本当、レベルが低過ぎますねぇ…………はっきり言って、興醒めですよ」
「あ、ああ………あああああ……………」
「み、瑞希………ちゃん………?」
二人はその日、姫路瑞希が何らかの力を付け、彼女の中で何かが変わってしまった事を、唐突に理解した……。
それから数ヶ月後、龍二と明久は瑞希の事で話し合い、如何するべきなのか決めようとしていた。
「瑞希ちゃん、あの時からもう前みたいな思いやりのあるファイトをせず、ただ相手を叩き潰すだけの怖いファイトをする様になっちゃった…………しかも、あの『力』は何なの⁉︎
何で瑞希のイメージが見えるの⁉︎
しかも、あれはまんま惑星クレイだし………何が如何なってるの………‼︎」
「俺が分かると思うか‼︎
だが、言える事は一つ………今の瑞希を放って置くと、あいつの為になる所か、あいつは全部を失う!
それだけは何が何でも防ぐ…………明久、もしもの時はこの言葉をあいつに伝えて、俺達二人から離れるんだ。
もしかしたら………前の関係には戻れないかもしれないからな」
「っ⁉︎
り、龍二………何を言って………」
龍二はただそう言って明久に言うべき事を全て伝え、そのまま明久の制止を聞かずに瑞希の下に向かう。
そうして暫くしない内に瑞希を見つける。
しかも場所は、ヴァンガードで積み上げてきた絆が始まった地、三人がよく遊んだ公園であった。
「ふっふっふっ、龍二君…………何を言いたいのか分かりますよ。
この『力』を使うのを止めて昔の私に戻って、ですよね?
でも、龍二君は分かってませんよ。
私は、明久君や龍二君と並びたいからこの『力』を得たんですよ?
弱い自分を変えたい………それがいけない事なんですか?
『力』を持つのが、そんなに罪なんですか?
………そんなに、私を否定したいんですか?」
「違う…………俺はただ、お前に変わって欲しくないだけなんだ!
だから昔に戻ってくれと言ってたんだ…………俺は、お前が間違った方向に向かって欲しくないんだ‼︎」
「…………何も分かってくれないんですね、龍二君は。
だったら、実力で分かって貰う必要がありますね………」
二人の会話は最早平行線にしか行かず、また、龍二の気持ちは今の瑞希には届かなかった。
だが、瑞希の方からチャンスが渡る。
ヴァンガードで勝つ、最悪負けてしまったとしても、自らの思いを届かせる………そう考え、龍二はファイトを始める。
そして……………一進一退の末、龍二は……………負けてしまった。
「うっふっふっふっ、やっぱりこの『力』は凄いですよ。
ちゃんと私を強くしてくれる…………これで、二人に並べました……」
「(…………届かなかった、か…………くそ、もう、今の俺では無理なんだな…………もっと、己の実力を付けない限り…………)」
龍二は悔しさを滲ませ、何時の間にか降り始めた雨の中に歩き始める。
それを見た瑞希は、キョトンとしていた。
「龍二君?」
「………瑞希、最後に一つ…………その『力』は、お前のお前の思っている様な物じゃない。
尤も、俺も余り理解仕切れる物でも無いがな…………」
そう言って瑞希から、公園から離れ始める龍二。
それを見て、何が起きてるのか理解出来ていない瑞希。
何故なら、彼女はただ自分の実力を見せていただけとしか思っていなかったからだ。
「り、龍二⁉︎
まさか、負けて………」
「あ、明久君?
私、何かしちゃったんですか?
龍二君、何で行っちゃったんですか………?
私、ただ龍二君に実力を見せていただけなのに………」
其処に明久が到着し、瑞希は何が起きてるのか聞こうとする。
そして、それを聞いた明久は、龍二の言っていた通りだと理解した。
「………瑞希ちゃん、今の君の行動はね、『実力を見て貰いたい』じゃなくて、ただ『相手を叩き潰したい』なんだよ。
だって、今の瑞希ちゃんは前みたいに『勝っても負けても楽しい』ファイトじゃなくて、『相手を尊重していない』し、『暴力的なファイト』をしてるんだ。
それに…………今の君は、『自分で考えて』ファイトをしていた?
それとも、その『力』が出す『答えをなぞって』ファイトをしたの?
…………君は、僕らと『並びたかった』の?
それとも…………僕らを、『倒したかった』の?」
「………えっ?」
瑞希は何を言われているのか理解仕切れず、訳が分からずにいた。
しかし………元々頭が良い為か、遠回しに『自分の気持ちと行動が合致しているか』と言う事だけは理解していた。
「………龍二曰くね、君は、その『力』にのめり込んで自分の思考を停止させちゃってるって。
僕は頭が悪いから余り分からないけど………でも、今のまま瑞希ちゃんがその『力』を使い続けたら、瑞希ちゃんに対しても大変な事になりかねないって分かるよ。
龍二は、それを最低でも伝えたかったんだよ。
でも………ダメだったみたいだよね、これって………」
「あ、明久…………君?
明久君も、私を、否定するんですか………?」
「………しない。
瑞希ちゃんが強くなりたいって気持ちは否定しない。
でも…………瑞希ちゃんがその『力』で相手を叩き潰すのは賛成出来ない………」
そう言って、瑞希を宥めようとする明久。
流石にそれを察してか、瑞希も黙り始める。
そして、二人の間には雨の音のみが響いていた。
「………ねえ、瑞希ちゃん。
僕達は、また…………ファイト出来るかな………?」
「……………」
明久は瑞希にそう切り出し、答えを求めた。
しかし、瑞希から何も帰って来なく、雨の音が次第に大きくなって行くだけだった。
そして…………答えが出ないまま数分が過ぎ、明久はその場を離れ始める。
瑞希はそれを止めようとするが、声が喉から先に出ず、引き止める事が出来なかった。
こうして……………三人は、決定的な亀裂を残したまま別れて行ったのであった…………。
「………そう、それが、明久君達の過去…………成る程ね、PSYクオリアの欠点である『人格面に影響を及ぼす可能性がある』が、顕著に現れていたんだね………」
「はい…………だから僕に何が出来るのか悩んで、龍二は自分の力をひたすら高めて行ったんです。
………尤も、僕は悩むだけで何も出来てなくて、結局ヴァンガードをやめちゃったんです………」
「………あの時、神社に来たのはその為ね。
………こりゃ、私が思った以上に重い話ね」
「うう〜、アッキーの話で場が重くなっちゃった。
でもここでバカするとレミリアやブライトにど突かれるよね………」
明久の話が終わり、雄二達いつメンは何一つ言えず、ブライトは同じPSYクオリアを持つ者として、最悪の結果があったと受け止め、ネプテューヌはネタを挟めす、また挟められないので少し気が重くなっていた。
「………そして、この場所が、その公園なんだ……」
すると、何時の間にか公園に辿り着いて居たらしく、いつメンやブライト達は周りを見渡した。
一見すればただの公園。
しかし、此処には明久達の様々な思いが詰まった、言わば聖地なのだ。
そんな場所に来た為か、この中で頭が良い方の雄二でさえ言葉を引き出そうとするが、何も出せないでいた。
そして、目の前の龍二の先…………屋根付きの木のテーブルの下に、見覚えのあるピンク色のウェーブが掛かったロングヘアの少女が居た。
「………待ってましたよ、ちょっと前から」
「………少し待たせたみたいだな。
だが、もう待たせないぞ………姫路、いや……瑞希」
龍二がその名を口にした時、少女………瑞希は、ゆっくりと振り向き、龍二を力強く、しかし、二人の過去にあった冷淡な瞳では無く、何処か達観すらした瞳で見つめていた。
「……………瑞希、ここ数年、まともに話し合うのは久々だな、短い会話はあれど、少し棘があった物しか無かったからな」
「ええ………本当は、仲直りをしたかったんです。
もっと早くにでも話がしたかった………でも、私はその時、明久君や龍二君の言っていた事を理解していないから、また話が平行線に終わる事が目に見えてましたから、二人に近付く事も出来ず、また、PSYクオリアの欠点まで抱えてましたから、余計に…………でも、今なら…………」
二人は静かに、なるべく棘が無い様に話し合い、瑞希は手を差し伸べた。
龍二もそれを見て、前と比べれば大分PSYクオリア覚醒前まで戻り始めている事が分かった。
しかし、それでも龍二は手を出さず、デッキを出していた。
「………確かに、今ならばお前とも良い友人に、ファイト仲間に戻れる。
明久達と一緒に、昔以上に賑やかな毎日があるだろうな…………だが、それでもまだ足りない。
お前はまだ、大事な部分が変わったままだ。
それを証明する為にも、もう………あんな事が二度無い様に………決着をつけるぞ、瑞希。
今度は負けない………お前にも、俺自身の弱い心にも‼︎」
そして、ファイトの時の燃え盛る炎のオーラを出し、瑞希にファイトを申し込む龍二。
すると、瑞希は何が昔と違うのか、PSYクオリア覚醒前と比べ始める。
しかし、今の自分は容姿以外は昔と余り変わりないとしか思えず、何が違うのか理解出来なかった。
しかし、それでは昔と何一つ変わらないので考えて考え抜く。
が、やはり分からなかった。
だが、このまま終わるのも絶対に許されないので、瑞希はファイトを受け入れる。
しかし、それは中途半端な思いでは無く、自分が持つ全てを認めて欲しい。
全てを受け止めて欲しい………長年募らせた龍二に対する思いを全て、このファイト一回で吐き出す、そんな覚悟を以って挑むのだ。
「………はい、私も………一度、龍二君とは決着をつけなくてはいけないと思ってました。
なので………私の全て、私自身の実力も、PSYクオリアの力も、貴方にぶつけます!」
「ああ…………俺も、そう全てをぶつけて貰わないと困る………さあ、行くぞ‼︎」
瑞希も鋭い刃の様な、全てを斬り裂く覚悟を滲ませるオーラを出し、ファイトを始めようとする。
そして二人はテーブルに座り、FVをヴァンガードサークルに置き、手札を何枚かチェンジし、何時でもFVを展開出来る用意をした。
「ち、近くに居たら分かっちまう………俺らじゃ、龍二や瑞希には勝てねぇ…………」
「……俺ら応援組、場違いじゃないのか?」
「は、はい………」
「………違わないよ。
皆も見ないと駄目だよ。
………これは、君達の友達が誇りを、長年の思いや経験を全てぶつける戦いなんだから」
応援組の根本、須川達は二人の醸し出す雰囲気や場の空気に当てられ、ファイトをしていないのに武者震いすらし、場違いでは無いかと思い始めてしまう。
しかし、ブライトはそれを見てはっきりこの場に残り、ファイトを見る様に促す。
そう………これは、二人が全てを賭ける程の、大事なファイトなのだから。
そして………先程まで吹いていた静かな風が止んだ。
『スタンドアップ・THE・ヴァンガード‼︎』
「『フルバウ』‼︎」
「『リザードソルジャー コンロー』‼︎」
こうして、二人のファイトが始まった。
果たして、龍二の言う瑞希の昔との違いとは?
そして、ファイトの結果は?
今、数年前に止まってしまった二人の時が、確かに動き始めた…………。
当作の姫路さんは一度道から外れて堕ちましたが、幼馴染二人が離れていったのと龍二の言葉、明久の問い掛けが切っ掛けとなりまた姫路さんは元の道に戻り始めました。
しかし、この時姫路さんが気絶し、その間に龍二が居なくなれば間違い無く第一期のレンさんみたいになってました…………いや、マジで震えてきたんだが………(ー ー;)
さて、次回からファイトに移ります………結果は如何になるかはお楽しみを。
因みに、勘の良い人二人の内、名前が出てない方はブライトです。
感想、指摘をお待ちしています。