【地雷ジョブ】陰陽師は毎日金欠です! 〜スキルを使うためのアイテムを買うお金が足りないVRMMO〜   作:きなかぼちゃん

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5.himechan

【☆ナビゲーターよぞら からのワンポイントアドバイス☆】

ジョブチェンジをすると、ジョブごとにステータスの補正が変化します!

得意な能力はアップし、不得意な能力はちょっぴり下がることも……?

 

 

 

 

【ジョブ:陰陽師にクラスチェンジしたことによりステータスが変化します】

【レベルアップによりステータスポイント・スキルポイントが付与されました】

【ステータス画面で実際にポイントを振り分けてみましょう!】

 

 ヤヨイとハイタッチした直後、目の前にステータス画面が2枚展開された。

 さっき見た装備画面の右に、能力値名と数字がずらずらと並んでいる。

 

 これは普通のMMOでもよく見る画面なのでどうすればいいのかはなんとなくわかる。

 

「とりあえず《知恵》極振りでよさそう? これってINTのことだよね?」

『せやせや、最初はそれでええんちゃう。陰陽師のスキルダメージは全部知恵依存やからな』

 

 ヤヨイは大層にうんうんと頷いた。INTとは知識のパラメーターであり、ソーサラー系の職はだいたいこの数値依存でスキルの威力が変わってくる。

 

 わたしはあまり細かいことを考えないので……

 

・スキル威力=知恵依存 ⇒ 知恵極振りでOK

・敵が強くなったら他のステに振るつもり

・振り直しアイテムとかどうせそのうち手に入る

 

 →だから今は知恵振り 終了!

 

 ネットの攻略サイトとか掲示板も見ない。

 なんか取り返しの付かない失敗してるのがわかるとテンション下がるんだよね……。

 

 でも別にわたしは最強を目指してるわけでもないので、これくらいが合ってると思う。いわゆるライトプレーヤーに当てはまるといえばそう。

 

 ってことで、知恵の横にある▲マークを連打し与えられたポイントをすべて突っ込む。はい、終わり!

 

《アリスのステータス》

LV:3

HP:100 MP:120 TP:100

体力:5

記憶:7

持久:5

筋力:3

技量:6

知恵:10 → 18

信仰:2

幸運:2

 

【次にスキルポイントを振り分けてみましょう!】

【スキルツリーは《攻撃》《防御》《パッシブ》の3つに分かれています】

 

 ステ画面が消えて、今度は系統図をひっくり返したような図が3枚並んで現れた。

 ついさっき使ったばかりの《炸裂符》スキルのアイコンだけが点灯していて、そこから徐々に分かたれるように数えきれないほどのスキルツリーが展開している。

 

「ねえヤヨイ、スキルはこれから何を上げたら良さそう?」

 

 自称・ゲームシステムのアドバイスも可能なAIらしいのでなんとなく聞いてみた。おすすめ的なのがあればそれにしてみようかな。

 

『おーん? せやなあ、陰陽師はDPSやし、最初は攻撃とパッシブの取れるスキルを適当に取りゃんせ。さすがに具体的にこれを取ればええみたいなのはまだ何とも言えんで』

「だいじょーぶ、そのくらいフワッとした感じで平気。ありがと! あとさ、りゃんせって関西弁だっけ」

『アリス的にはそうなんちゃう? さっきも言ったがワイってアリスの想像力から生まれた被造物やし』

「人のせいにするのやめてくれますー?」

『アリスが決めたんやろ、知らんけど~』

「うさぎパイにしてやろうか?」

『ウ~ラ~ヤハヤハ』

「いきなりちいかわのうさぎになるな!」

『プルャ』

「だめだこりゃ」

 

 わたしは閉口した。しらを切るのが無駄にうまい。

 ていうか、どっちかいうとお前の見た目はピーターラビットやないかい。

 

 ……うーん、出会ったばかりなのにこれだけ気安く話せてる時点で、確かにこのヤヨイというウサギは本当にわたしの想像力で作り出されたのかもしれない。

 

 まあいいや。とりあえずスキルポイントが2レベルアップ分の4ポイント入ってるし、最初から取得していたスキルである《炸裂符》のスキルレベルを1から3に上げることにしよう。

 

 《炸裂符》自体は詠唱時間が0なので、上げて損の無い優秀なスキルだと思う。

 スキルツリーの先にあるほかのスキルはしっかり詠唱時間が付いていたので、きっとこれは《炸裂符》ならではのメリットなんじゃないかな。

 だからこれをメインで強化しながら余裕あるときに少しづつ他のスキルを取得していくのが良さそう。

 

 残りの2ポイントはヤヨイのアドバイス通り今すぐ取れるパッシブスキルに振ってみよう。

 

『パッシブは見た目効果ショボいから敬遠されがちやけど、後々効いてくるから後悔はせんと思うで』

「まあ、そこはわたしの想像力を信じるよ」

『ワイを信じて~な~』

 

 ヤヨイはまたくねくねしながら気持ちの悪い声で媚び始めた。めんどくさ……。

 

 

 

 

《符動強化:一》

属性:パッシブ

投擲系モーションを行うスキルの初速と距離がやや上昇する。

 

《符効率化:一》

属性:パッシブ

霊符の消費確率を段階的に軽減する。

《符》の名が付くスキルを使用する場合、使用アイテムを5%の確率で使用しない。

 

 

 

 

 その後、弓削氏に話すと無事にジョブクエストクリアになった。

 その際に「見世物以下の茶番」「もっとまともな式神を呼べ未熟者」「陰陽師の恥」などとさんざん罵倒されたが、それでもクエスト自体はクリアできたのできっと大丈夫……なんじゃないかなあ?

 たぶん全部システム任せで召喚したから怒られたんだと思う。普通に召喚したらまた別の反応だったのかしら。

 

「うわっ」

 

 陰陽寮本殿から外に出た瞬間、思わず声が出た。

 人、人、人人人人!

 

 明らかにプレイヤーっぽい挙動不審な人たちで陰陽寮の前が大混雑していた。

 みんな揃って黒い陰陽師の衣を着て、それぞれが召喚したであろう式神を連れて見せ合っている。

 式神はどの人のもそれほど大きくなく、人間型だったり動物型だったり、刀や戦車みたいな非生物系のものも見つけた。挙句の果てには壺とか箒みたいな武器ですらないものもいる。

 

 わたしもいろんな人と話して情報収集すべきかと思ったけど、ログインする前に約束していたとおり、大学の友達と合流しなければいけない。

 

「とりあえずチュートリアル終わったしフレと合流するね」

『ようがす』

 

 空中に画面を呼び出し、プレイヤー検索であらかじめ教えてもらってたPNである『伊予』を調べる。

 え~っと……あ、いたいた。ん? ロケーション(今いる場所)が《???》になってるけどこれはなんだろうか。

 

 フレンド登録を飛ばそうとすると、エラー音。

 

【ゲーム開始拠点が異なるプレイヤーはお互いがレベル20になるまでフレンド登録することができません】

 

 音声と赤いエラーメッセージが画面に出てくる。およ、そんな仕様が。とすると西京スタートじゃないってことか。

 

「ねえヤヨイ、《???》ってなんだろ」

『自分が行ったことないロケーションならそう表示されるで。東京モンなんちゃう?』

「それならしょうがないねえ」

 

 ログアウトした後にどこ選んだか聞いてみよっと。

 なら、とりあえず合流するのは諦めてレベル上げに専念しよう。従来のMMOならクエスト受注か都の外でモンスター狩るか、が導線だろうけど、どうしようかな?

 

「うわぁー! かわいい! ペットなんて連れて歩けるんだぁー!」

『それほどでもあらへんで』

「しかも喋るのぉ!? すごぉー!」

 

 考え込んでいると、いきなり後ろから女の子の黄色い声が飛んできた。

 見ればヤヨイが他のプレイヤーらしき人に抱きかかえられていた。ヤヨイはまんざらでもない顔をしている。ふーん、そういう系が好きなんだ。

 

「あ、陰陽師選ぶと式神召喚できるようになりますよ。まだジョブ選んでなければ、ここの陰陽寮ですぐなれます!」

 

 近づいて説明すると、色鮮やかで重そうな着物を着たピンク髪の女の子は露骨にがっかりしていた。

 この服はたぶん十二単だ。地面を引きずるほどに長い着物なのに、いかなる仕組かわずかに裾が浮いていて、重量感のわりにずっと軽やかに見える。

 

「えぇー……そうなんだ。もう歌人にしちゃったよぉー」

「歌人……?」

 

 つぶやいて、よぞらが出したジョブの選択肢の中に歌人がいたのを思い出した。

 

「うん! 北にある風韻殿? ってとこ行くと取れるんだよぉ。この服ね、十二単着られるって聞いたから取ったんだけどぉ、なんかヒーラー? らしいんだよね。難しいのかなぁ?」

 

 歌を詠って仲間を回復する的なやつかしら。

 女の子はわざとらしく首をかしげる。ヒーラーという言葉にすらピンと来ていないようだった。

 もしかするとMMO初心者かもしれない。

 

『歌人はDPSとヒーラーに分岐するジョブやで。ピュアヒーラーやからヒーラーの中じゃ割と初心者向けやないかな』

「要は簡単ってことぉ?」

『知らんけど~』

「えぇ~!? 知らないのぉ!?」

 

 ガーン! と擬音が出そうなくらいに女の子はオーバーリアクションをしている。このままだと話が進んでかない気がする! わたしは口を開いた。

 

「ねえねえヤヨイ、いきなりDPSとかピュアヒーラー*1なんて言ってもわかんないと思うよ」

『まあ、せやな。姉ちゃんはMMO初心者か?』

「……MMOってなに?」

 

 女の子は人差し指を頬に当てて考えるそぶりを見せた。そこからか~! ガチ初心者だ~!

 その割にスタダしてこのゲームやってるの凄いなぁ。VRMMOファンでもろくに当たらないくらいの競争率だったんだけど。

 

「ええっと、MMOっていうのはいまわたしたちがやってるSBO……森羅万象オンラインみたいなゲームのことですよ」

「あ! このゲームみたいなってことなら、やったことないかも! えっと、あなたは……」

 

 女の子が言い淀んだところではっとする。そうだ、お互い名乗ってなかった。

 

「あっ、わたしはアリスです」

「ショコラはショコラだよぉ〜! アリスちゃん、よろしくにぇ〜!」

 

 キラッ☆と星が舞いそうなくらいばちりと決めてウインクされた。

 背筋がぞわりとした。うわあああ! 名前イコール一人称の姫キャラだああああ!!

*1
HPが減った後に回復するヒーラー。対してHPが減る前にバリアを張るヒーラーのことをバリアヒーラーという




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