超鬼畜異世界生活二日目に突入した俺だ、前世では三日持たない坊主として知られていた俺だが二日目だ、やめらんねぇからな。
それよりも聞いてくれ一回寝たらこのクソ熱い地獄の環境に慣れていたんだ、例えるならヒーター効かせて締め切った部屋に居るのにクーラーが効いたような快適さがあるんだよ。
《熱耐性》レベル1
これが勝手に生えてきていた、溶岩水泳とまではいかないが火に負けない体になったと言えるだろう、進化と言うより適応と言うのが正しい気がするがね。
まぁ俺がいくら変わっても昨日と今日で状況が変わるはずもなく、延々と続く溶岩と岩盤の続く……
「なんだあれ……割れ目か?」
割れ目を見つけた、しかも溶岩が流れていない割れ目だ、だいたいこのあたりにある割れ目は溶岩の噴出孔で近寄ることは出来ないが、溶岩が流れていないなら別だぜ。
寄って、見てみる。
__ビュォォオオオ……
風が抜ける、頬を撫ぜる、前髪がめくり上がる、つまり……
「地下の地下があるじゃねぇか……」
割れ目から下が見えた、そう下が見えたのだ、その下にある世界は……やはり地獄だ、まず飛行できないと生きていけないほど溶岩で埋め尽くされ、ぽつりと島のように点在する岩盤があるだけの世界。そして何よりこれだけのことが分かるほど高い場所から見ていると言う事実、試しに小石を一つ落とせば見えなくなった、つまり今いる世界と同じような広さの世界が地下にあるってことよ。
「距離感おかしいよ……」
頭が痛い、どんだけ広いんだ地獄、当分ここに近寄らないことにしよう、うん。
__ビュォォオオオ!!!
ん! さっきより強いぃ! 耐えられずに風に体を持ち上げられて尻もちをついた……ケツの骨が痛い、ったくなんだよ、なんかいるのかと覗いてみる。
2体の悪魔が戦っていた。
「ん……? あれ……おかしいな……錯覚かな……島がポンポン消えていくんだけど」
2体の悪魔の正確な姿は分からないけどやってる事のえげつなさはハッキリ見て取れる、片方が目が痛いほど明るい光弾を放って飛び回り、片方はその光弾を跳ね除けながら飛んで逃げている。
飛んでいった光弾は着弾すると爆発して近くに浮いていた島が消え爆風が俺をまた尻もちつかせやがった。
「おかしいよ何あれあの光の弾……例の爆弾じゃん……ニュークリアじゃん……」
爆発範囲で見ればもっとあるかも知れないし、もっと酷いものかも知れない、一発で島が消える威力だ、砂の城を崩すんじゃなくて岩盤で出来た岩の山だぞ。
俺の本能がアレはやばいと告げる、理性も共感している、従って俺はこの場を離れ見たことも忘れよう、あんなの気にして生きてたらストレスで死ぬ……あ、まって流れ弾こっちに来てる!
「ぎぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
なんでピンポイントにこっちに跳ね返したんだ名を知らない悪魔ぁぁぁぁ!
俺は死ぬ気で走る、どこまでも遠くに出来る限り遠くに逃げたが……しかしそんな努力ミジンコ程の意味もなく爆風に巻き込まれ、弾け飛んだ岩盤と打ち上がる溶岩の中へ沈んでいくのだった!
「ぅぅ……」
生きてる……? 俺生きてる……! やったよ母さん生きてる……! うぐっ……! あ、足が痛え、けど……それだけで済んだのか……
目を開けて辺りを見る、視界に広がるのは大きな岩盤の塊だ、これが上手いこと壁になって溶岩から身を隠せたということか、代わりに右足はこの岩盤に持ってかれていたが……アレだ、アドレナリンがドバドバ出てる今は……そんなに痛くない、血の引く感覚はあるが。
右足は諦めて、岩盤を支えに無理やり立ち上がり、やっぱり倒れて張って移動する……直後、先程までいた場所は崩落して捲れ上がった岩盤が積み重なる山になる……タイミング良かった。
「うんしょ……えーこらしょ……く、あ……痛えな……死ぬ……」
そろそろ2度目の死にかけになってきた……やばいな、昨日は喉が渇いてただけだが今回は出血多量で全身干からびるぞ……早く止血しないと……だけど何もねぇ……止血だ……なんとかして血を止めないと……!
「血を止める……止血……炙るか……いや……今なら行ける、やるしかねぇ……!」
小さな溶岩だまりまで、這って進み、上体を起こして右足をその溶岩だまりへ向けた、大丈夫だ、ちょっと溶岩で止血するだけだから、熱耐性があるから溶けて無くなることはない、大丈夫だ、暗示を掛けろ自分に……よし
「────ぁッ!?」
人の喉から出ないはずの音程で声にならない絶叫が飛び出し、俺の…………焼ける死ぬ絶対死ぬ死ぬから許してくれ熱いいいいぃ! 足上げろ!
「お、らっ!」
右足は見事に焼けて、傷口は焼き固まっていた。これでいい……これで……
「マジで……はぁ……いてぇが……ステータス……サマサマだな……」
ステータスで見た、基礎能力値、これは人間一人の能力の平均を元にしている、だから今の俺は人間の2倍強い、だから生き残れた……と、思っていいはず。全部2倍だ、全部な。
「何とか生き残った、血の気も引くような感覚も……薄い……意識もある……生きてる……痛みにも耐性が出来たのかな……はは」
全く鬼畜だよこの世界は……なんとなく歩いてるだけで足吹っ飛ぶんだもんよぉ……強くなる前に死ぬぞこれ、ホントマジで死ぬ……明日は多分もっと酷くなるだろうな……
「ともかく……凄い疲れた……寝るか」
明日のことは明日の俺に任せて今日は寝ることにする、強くなる前に足の代わり探さねぇとな……