ゼンゼロのキャラを曇らせたくなった時に書くやつ 作:豚足と豚骨の化身
「朱鳶さん、身元引受け人はこの部屋にいます。」
「分かりました。立会人は私が引き受けます。」
お父さんが私を探しているという通達がお姉さんの耳に入ってすぐ、私は彼女に連れられて治安局に来ていた。1人の治安官の案内の元、私は大きなドアの前へと導かれる。今更ながら、このお姉さんの名前は「朱鳶」であることを知った。
「えっと、この子が……虐待を受けて……?」
「待ってください。そのことは……!!」
私の事を上から覗ぎながら、治安官が迂闊にも零した「虐待」の2文字。朱鳶お姉さんがそれを静止しようとしたのを見るに、もう完全に気がついていたようだ。いや、お風呂に一緒に入ったのだから当たり前と言えば当たり前でもあるが……
「早く行こう。お父さんが来てるんでしょ。」
私は彼女らの会話に反応を示さず、扉の目の前に立つ。
「あの、すみません。」
「……何?」
「ここは治安局です。恐らく新エリー都でも1番安全な場所ですから、どうか安心してください。」
「……うん、ありがと。」
ドアノブに指を絡めて重く深呼吸をする。そして私は、重苦しい扉を押し上げた。中は対して広くない空間に白い塗装の壁、そして部屋中央に置かれたデスクの前で、1人の男が座っていた。扉の開く音に気が付いて、彼はそちらを向く。そして、私の存在に気付くや否や、慌てた様子で駆け寄ってきた。
「どこ行ってたんだ!心配したんだぞ!!」
私を強く抱き締めて、そんな虚言を叫ぶこの男こそが私のお父さん。邪魔なんて理由で私を外へと投げ出し、治安官という便利な犬に私を探させた迷惑な人。
私を一通り抱き締め終わった後、あろうことかこの男は私の後ろにいた朱鳶お姉さんに目をつけたようだった。直ぐさま立ち上がり、お姉さんの両手を大事そうに握る。
「あぁ!貴方が娘を助けてくれたのですね!ありがとうございます!娘が居なくなって、もう心配で心配で……」
「ちょ、近……離れてください……」
「あぁ、すみません。感謝を伝えたくてどうも距離感がお粗末になってまして……。」
お父さんは朱鳶お姉さんの手をパッと離して、慌ただしいようすで椅子へと腰を降ろし、近くにいた私を勢いよく抱き寄せて、ニヒルな笑顔を浮かべていた。
「娘はもう連れ帰って良いでしょうか?ほら、もう夜も遅いですし……」
「いえ、それは容認しかねます。」
「はい?」
お父さんを纏う空気が1段重くなった。心做しか、私の肩を掴む手が強くなった気がする。朱鳶お姉さんが何故そんなことを言ったのか、その理由は単純だった。
「その子にある切り傷、打撲痕、火傷跡……それらの説明をお願いします。」
「……は?」
「貴方には今、児童虐待の容疑がかかっています。」
私の肩に鈍い痛みが走る。見ると、物凄い力で肩を締め付けるお父さんの手が、プルプルと小刻みに震えていた。
「……心外ですね。まさか、そんな訳ないじゃないですか。」
「では彼女の傷についての弁明は?」
「切り傷は植物の棘で引っ掻いただけ、打撲はぶつけただけ、火傷は火遊びでもしたのでしょう。全く、この子も年頃とは言えやんちゃで困りますよ。」
「遊びで付いた傷にしては、多くありませんか?」
「あはは……はぁ、なるほど。あなたの誤解はどうしても解けないようだ…。そうですね、それなら本人に聞いてみましょう。この子が『されてない』と言うならそれが事実ですよね?」
「……えぇまぁ。」
「ほら、どうなんだ?お父さんはお前に虐待なんかしてないだろ?な?」
お父さんは、随分必死になってる。本当にバカなんだな。今までこの話題に触れられてこなかったことが奇跡だったのに、言い返す術を録に持ってないなんて。ここは治安局。私が「助けて」と言うだけで、この男の身元は洗いざらい調査される。
「大丈夫です。どうか、ご安心を。治安局は必ず貴方をお守りしますから。」
朱鳶お姉さんは私に優しく微笑みかけていた。本当に優しい人。私に無言の圧をかけて制御しようとするアホとは大違い。まず真っ先に、私の心を落ち着かせようとしてくれている。
「私は…………」
私は小さな口を緩く開いた。ここで真実を言えば、全ての悲劇が明るみの元に晒される。私を待っている未来がなんであれ、きっとそれは今よりもいいものとなる。
「私、は……」
お姉さんに出会って、お風呂に入って、フカフカのソファーで眠って、温かいご飯を食べた。優しい幸せを、夢のような時間を、私は体感した。幸せを見て……幸せを見せられて……私は確信した。
「私は、虐待なんて受けてません。」
「……え?」
確信してしまった。私がもし幸せを手にしたとしても、今まで生きた12年間を否定できないことに。この、積もりに積もった父親への憎悪は、ほんの一夜の幸福なんかじゃ決して消えないことに。
「ほら!言ったでしょう!僕は虐待なんてしていない!」
「え、いや……そんな……」
お父さんの歓喜の声、お姉さんの戸惑いの声。私の耳を対照的な2つの音が通り抜ける。朱鳶お姉さんには悪いけど、やっぱり私は救われたくない。まだ、救われちゃいけない。
「もういいでしょう? ほら、帰るぞ。」
お父さんは私の手を乱暴に引っ張って、出口へと歩いた。そんな私の手首に、細長い指が絡む。お姉さんのものだ。
「待ってください。そんなはずは……」
「貴方もしつこいですよ!いい加減にしてください!」
お父さんがどんどんヒートアップしている。このままじゃお姉さんのことを殴りかねない。はやく引き離さないと。
「お父さん、早く帰ろう?もう眠いよ。」
「いや、ちょっと待って……」
「ねぇ朱鳶お姉さん。そういう事だからさ、今日は面倒見てくれてありがとうね。……その、嬉しかったよ。」
お父さんがドアを壊す程の勢いで荒々しくに開く。部屋の前に待機していた治安官の1人が、その音に驚いて小さく悲鳴を上げると同時に、お父さんは大人の歩幅で歩き出した。
半ば引きずられる形で、私も後ろをついて行く。お姉さんの悲しそうな顔が、去り際に見えた気がした。もう話す余裕もないのか、お父さんは治安官らの静止も振り切って外に出てしまった。
後々色々と問題になりそうだが、彼の低能な頭ではそこまで考えが至らないらしい。治安局前の駐車場に、下手に止められたバンの扉を開いて、私はその中へと放り込まれる。噎せ返るようなタバコの臭いが、私の肺へと侵入するのを感じる。
「見せるなって言ったよな!?」
運転席に乗り込むや否や、お父さんは大声で叫んだ。やっといつもの彼らしくなった。「見せるな」というのは十中八九傷のことだろう。それのせいで捕まりかけたのだ、怒るのも当然か。
「ごめんなさい。」
「あれで俺が捕まってたらどうしたんだ!?誰がお前を養っていくと思ってる!!」
「本当にごめんなさい。殆ど強制的に脱がされたから……抵抗するのも変だなって……」
「言い訳なんて聞いてねぇよ。」
不安定な運転で横揺れする車の中、チカチカと移りゆく街頭に照らされたお父さんの顔は、今までに無いほど血が上っていた。若干息も荒くなっているように感じる。
「ねぇ、お父さん。あの女の人は?」
「飽きた。いいから黙っとけ。」
「…………」
そこから家までは窓に打付ける雨が下に流れてゆく様を眺めていた。これから起こる人生最大の喜劇に、胸を踊らせながら。くらいアパート廊下、玄関前。震えて鍵穴に鍵を差し込むのすらままならない手で、お父さんは玄関前を開けた。
「先入れ。」
「うん。」
言われた通りに玄関を抜ける。直後、激しい痛みと共に私の身体は宙に舞った。地面とぶつかって、まるでボールみたいに私は転がる。
「お前……まじでいい加減にしろよ。」
どうやら私は玄関に脚を踏み入れた瞬間お父さんに蹴られたらしい。この人薬でもやってるのかな。
「お前の!せいで!人生終わるところだったろうが!」
ビチャビチャの土足で駆け寄って、私を何度も何度も硬い足裏で踏みつける。激しい衝撃と痛み、あと骨の軋む音が私を駆け巡る。腕を踏みつけられた瞬間、バキッと音がした。多分、骨が折れた。
「反省しろ!反省しろ!反省しろ!反省しろ!反省しろ!」
まぁ骨折なんて気にならないくらい全身痛い訳だけど、ここで言い返す訳にもいかない。そんなことしたら殺されかねない。5分か、10分か、もっと短かったか長かったか、分からないけど暫くしてその癇癪は治まった。
「はぁ……今からだ……いいな?」
そう言ってお父さんは奥の部屋へと行った。玄関に残るのはボロ雑巾みたいな私だけ。痛む身体を叩き起して、私は洗面台へと向かう。ここにドライヤーは無いし、お姉さんもいない。
あるのは服を脱いだ後それを片付けるための棚と、口の中に広がった血を吐き出すためのシンクだけ。私は蛇口を捻って出た水を、めいいっぱい口に含んで吐き出す。赤く濁った水は下水へと流れて行った。
自らを纏うブカブカの衣を剥いで、唯一あった私の服を更新するように棚へと片す。傷だらけの黒ずんだ肌が、ヒビ割れた鏡に反射した。
「気持ち悪い身体……」
次に私が向かったのはキッチン。早く行かないと怒られるけど、どうせ急ぐことに意味は無い。冷蔵庫を開ける。中には何も無かった。というか、キッチンには本当に何も無い。強いていえば、下の方の棚に、かつてお母さんが使っていたであろう調理器具が少し見られるくらい。
後はカップラーメンや割り箸のゴミが、乱雑に床に投げ捨てられているのを見ることが出来るくらい。まぁ見ていいことはないけど。
「ど、れ、に、し、よ、う、か、な、天、の、神、様、の……」
私が今回の出来事を通して、得られた教訓は2つ。1つは、「幸せは大切にするべき」ってこと。もう1つは、「殺意は幸せより優先されるもの」ってこと。
「言、う、と、お、り……」
無情な神は、私に最後の決断の時をくれたのだろう。私の指先は、数少ない調理器具の中の、一番切れが良さそうな包丁へと向いていた。とは言ってもかなり劣化していたけど、これしか無いのだから仕方がない。
「最初からこうしてれば良かったのに……」
包丁を携えたまま、私はキッチンに置いてあった家の固定電話へと手を伸ばすのであった。
意外だった。虐待に苦しむ1人の少女が、何故あのような決断をしたのか私には理解できなかった。
「後を追います!カモフラージュ用の一般車がありましたよね?」
「え、今からですか?駐車場に置いてますけど、彼女たちを追うのは遅いんじゃ……」
「分かりました!治安官朱鳶、出動します!」
「ちょっと!朱鳶さん!?話聞いてますか!?」
彼女らが治安局を出て行ってすぐ、私はそれの後を追うことにした。他治安官さんの静止も振り切って、私は車へと乗り込む。対象はボロボロのバン。治安局を左折して大通りに向かった。
目の前は赤信号。周りを見てもそれらしき影は見当たらない。ほんの数十秒遅れただけだと言うのに、あんなに目立つ見た目をしていたと言うのに、一体どこへ消えたのか。
信号が進めと言うまで私はブレーキを踏む。この間に落ち着いて考えるべきだ。目の前のT字路、選択肢は右か左。あの少女が雨に濡れて見つかったのは確かここから右方向にある場所だったはず……
幼い女の子の足で、この雨の中歩くとなればそう遠くには行けないのは明白だ。ならば、彼女のいた地点から少なくとも周囲4km以内には住居があるはず。いや、無かったとしても場所は絞らなくてはならない。
そうこう考えを巡らしている内に、頭上の信号は青へと色を変えた。仕方がない、今は右に賭けよう。そうして、私は右折した。そこから、ざっと2時間程探し回った。
見つかるわけがなかった。沢山の市民が暮らす新エリートで、特定の一家庭をを見つけるなんて現実的じゃなかった。彼女を見つけた時から降っている雨は、未だ止むところを知らずに勢いよくフロントガラスに降りしきり、私の視界を霞ませている。
そんな折に、治安局から一通の連絡が入った。曰く、「少女の声で人が死ぬという通報があった」と。その通信と共に、1つの住所が送られてくる。
「まさか……!」
私は急いでそれを確認した。間違いない、この近くのアパートだ。もしかすると彼女かもしれない。
「こちら朱鳶、今すぐ通報地点へ向かいます!」
私は早急に通達があったアパートへと車を飛ばす。ボンネットを打つ雨が更に勢いを増した頃、私は駐車場に止められたボロボラのバンを見つけることに成功した。
「あった……!確か場所は302号室……」
私は車から飛び降りて走り出し、302号室の前に立った。中の音を確認しようと耳を近づけるが降りしきる雨水が雑音となり、聞きたい音を掻き消してしまう。
こうなったら入るしか無い。そう思って銃に手をかけた時、中から大きな物が倒れる音が聞こえた。急いでドアに手をかけるが、案の定鍵は施錠済み。ノックしても返事は無い。私は最終手段として、ドアに脚を突き立てて蹴り開けることにした。
3……2……1……ドアが勢いよく開かれ、私はまるで檻を開かれた鳥のように飛び出した。廊下を勢いよく駆け抜け、リビングらしき所にいた人影に銃を向ける。
「治安局です!全員抵抗はやめ……て……」
そして、私は言葉を失った。何故なら私の視界一面に黒ずんだ赤が広がっていたから。それは人を生かす物であり、人から流れ出ては行けないものであった。私は、その流血の主に目を向ける。
そこに倒れて居るのは、みすぼらしい格好をした成人男性。身体には無数に穴が空き、顔は恐怖で歪んでいる。そんな彼を、私は知っていた。
そして、その男の上に少女が立っていた。傷に塗れてなお綺麗な白い肌は、誰かの血で塗りあげられ、手には同じ色に染まった包丁が握られている。その子はまるで悪魔のような狂気に堕ちた目で、私をゆっくりと見た。
「よりにもよって、お姉さんが来るんだ。」
悲しそうな目をしていた。嬉しそうに笑っていた。目からは涙が流れ落ち、顔は快楽に笑っていた。少女はもう、ぐちゃぐちゃだった。そんな彼女が私に1歩、近づいた。
「ねぇ、お姉さん……」
「動くな!」
私は咄嗟に、手に持っていた銃を彼女へと向ける。その直後、私はとてつもない後悔に押しつぶされそうになった。何故、私は彼女に武器を向けてしまったのだろうか。
私は銃をホルスターへおさめようとする。しかし、手が動かなかった。照準が、まるで彼女に釘付けにされたかのように固定されていた。指先は震えて仕方が無いのに、何故か今引き金を引けば彼女に当たるという確信があった。
「お願いだから……動かないで……」
「そう……だよね。うん、ごめんなさい。」
少女は私の言葉に自らの凶器を捨て、大きく手を上げる。そして、私が無防備となった彼女に投げかけた言葉は……
「何で……何で殺したんですか?」
「それが、必要だと思ったから。」
「人殺しがどれだけ重い罪か分かっているの!?」
「分かってる。でも、それじゃあどうすればよかったの……?」
「どうするって……私に言ってくれれば……!」
「言って……!言ってどうなるの!」
この時の私達は、自分たちがヒートアップしているのにも気付きもしなかった。ただ、私は納得がいかなかった。何故虐待を受ける彼女自身が救われることを拒んだのか。それが復讐の為だとしても、幸福を捨ててまでするべきことだったのか。
「私達治安官は全力で貴方達を守ります!それが私達のすべきことです!」
「それは知ってる!でも私を助けたところで、こいつはどうなるの!?」
そう言って、少女は脚元に転がるかつて自分だった死体を指さした。
「刑務所に入れられて、刑期は何年!?10年……それとも20年……。そんなので足りるわけ無い!!私の人生はこいつのせいで地獄だった!!それが刑務所で呑気に10年潰すだけで許されるなんてあっちゃいけない!」
「それは私刑でしょう!?」
「……はぁ、もういいよ。」
「なんで、私に言ってくれれば……」
「ねぇお姉さん、いや治安官さんかな。ねぇ……治安官さん、あなたの正義じゃ私は救えないよ。」
「……え?」
突然、まるで暗中へと放り込まれたような、そんな恐怖が私を襲った。「私の正義」、それがどんなものなのか私の頭はそんな思考が反芻する。
治安官は正義を持って誰かを助けるために存在する。優しく、慈悲を振りまいていれば皆を助けられると思っていた。だからショックだった。ふと、サイレンの音が聞こえてくる。
「やっと来た。それじゃお姉さん、ここでお別れだね。」
「ま、待って……まだ……」
「朱鳶お姉さん、私ね。嬉しかったんだ。」
「……ぇ?」
「お姉さんが私を拾ってくれて、色んな事をしてくれて。まるで姉妹みたいだって思ったの。だから、感謝してる。この気持ちは本心だよ。」
「そんな……なら……」
「それでも、やっぱり治安局であるお姉さんには私は救えない。それは絶対覆らないよ。でも安心してお姉さん。あなたの正義は間違ってないから。」
「待って……お願い……」
ゆっくりと少女の背中が赤いランプの方へと遠のいてゆく。私は手を伸ばしたが、その手は彼女に届かなかった。サイレンが頭の中に響いて気持ち悪い。「正義」の2文字が頭の中でバウンドして私の心を締め付ける。
「……ん、しゅ……よ……」
虐げられる少女1人を救えないこれが、正義なのだろうか。気持ち悪い。辛い。痛い。怖い。
「しゅ……ん」
声が聞こえ、辺りが暗転している気がする。しかしそんなことが気にならない程、私の心はかき混ぜられ、ぐちゃぐちゃになっていた。どうすればよかった?どうすれば……
「朱鳶、起きよ。」
バッと身体を起こす。ここは……治安局。私の顔を青衣先輩が覗き込んでいる。そうか……私は夢を見ていたのか。
「随分とうなされておったぞ……何か悪い夢でも見たか?」
「いえ、少し昔の夢を……」
「それにしても珍しいですね。班長が居眠りなんて……」
セス君が不思議そうに首を傾げてこちらを見ていた。そんなところで、私の意識も本格的に覚醒してくる。
「ねぇ、セス君。正義ってなんだと思いますか?」
「唐突ですね……。」
「ごめんなさい。夢で……そんな話をしていまして。」
「ん〜俺はやっぱり市民を守ることだと思います。それが治安官としての成すべきことですから!」
似ているなと思った。かつての私、治安官に入って間もない頃……がむしゃらに事件を解決し続けていたある日、雨の中で虐待を受ける少女を拾ったあの時の私に。
「どうした朱鳶よ。ニトロフューエルでも浴びたのか?」
「酔ってる訳じゃありません!全く……」
あの夢を見る度に考えた。「正義」とは何なのかを。でも決してその答えを見つけることは出来なかった。きっと……これからも私には分からないんだと思う。
それでも私は治安官を続ける。かつての私から一切変わらない「市民を守るためにがむしゃらに走り続ける」という安い正義を引っ提げて、私は平和を守り続ける。
それが治安官:朱鳶の在り方だと、私はそう決めた。だからこれだけは曲げない。たとえその先で別の正義と相対しようとも、私は私の尺度で生き続けるのだ。
願わくば、その先で「正義の定義」が見つかることを願って、今日も私はこの新エリー都を走り続ける。
クソ親の解像度が低い!難しい!