小さな冒険
クリスタルによって繫栄している世界《イリクティブ》この世界には人々からはオリジンクリスタルと呼ばれる物と、そのオリジンクリスタルを模倣し複製したクロムクリスタルというものが存在する。オリジンクリスタルは扱いが容易ではなく加工も困難であるが、多大な魔力を保有する上に鋼を遥かに超える硬度を誇る。クロムクリスタルはオリジンクリスタルと比べると保有している魔力の量、硬度については圧倒的に負けてしまっているが、その分扱いやすく加工も比較的容易である。基本的に世に出回っているのはクロムクリスタルであり、この世界の生活の半分はクリスタルによって支えられている。そしてクリスタルの始まりでもあるこの世界に住む者なら老人から子供まで知ってるあるお伽話が存在する。
【ある昔のお話、太陽が月に隠された日に、あるモノが現れた。それは全てを破壊し、紅に染めた事から人々から『紅に染めるモノ』と呼ばれ恐れられた。ただ世界が滅んでゆくなか、光を放つ結晶を持った四人の若者が現れた。若者は四人で力を合わせて『紅に染めるモノ』を『月』へと追いやり封印した。封印した後、若者は封印に使用した結晶を世界各地に残して去って行った。人々は若者達を英雄と称え彼らが持っていた結晶を『クリスタル』と呼び信仰した。】
この物語はこのお伽話にある月に封じられたモノを甦らせようとする者達と英雄と呼ばれた若者達の持っていたクリスタルを持つ少年少女達の話である。
都市から少し離れた場所にある小さな村《バスティア》既に朝を迎えたその村の小屋の中にまだ朝を迎えていない少年が居た。
「う~ん・・・」
少年は窓から零れる日差しを浴びて少し目を開けるがすぐに布団の中に潜ってしまう。本来人にとっては気持ちのいいものであるはずの朝の日差しも、少年にとっては安眠を妨害する忌々しいものでしかなかった。
「あとっちょとだけ・・・」
布団に潜った状態のままもう一度眠ろうとする少年だったが、その安眠は小屋のドアを勢いよく開ける音により妨害される。
「あー!ユーリィまだ寝てる!」
突如小屋に入ってきた少女はユーリィの寝ているベッドまで駆け足で近寄る。ユーリィは音を聞いて察したのか身を守るように布団をかぶりながら丸くなる。
「ゆ~りぃ~?いつまで寝てるつもりなのかな~?」
「ここにはユーリィなんて人は居ません・・・人違いです」
バレバレな嘘をついて誤魔化そうとするユーリィ。だが少女は意外とすんなりその場を後にしようとする。
「あ、そぅ。それならおばさんの特製オムレツユーリィの分も私が食べるから」
「なあっ!?」
それを聞いた途端さっきまで布団に包まっていたユーリィが飛び起きる。眠気よりも食い気が勝った瞬間である。
「ほら、やっぱり寝てた!ユーリィの嘘つき!」
「あ・・・ひ、卑怯だぞユズ!」
我に返り再び布団に入ろうとするユーリィをユズは逃がさなかった。そのままユズに連れ去られるような形でユーリィは外に出る。
外まで引っ張り出されたのはいいが、寝起きのユーリィにとって朝の日差しは殺人光線に等しいものだった。ユズに引きずられながらもユーリィは悲鳴を上げる。
「目がぁ!目があぁぁあ!!」
「大丈夫だ、問題ない。と、いうわけで行くわよ!」
ユーリィが居た小屋から少し離れた所に一人の男性が薪を割っていた。男性はユーリィの悲鳴が聞こえると、やれやれといった感じで二人の所へ歩いていった。
「ユーリィ、男の子だろう?そんな情けない声を上げるな」
「ぎゃあああ・・・て、父さん」
「あ、おじさん、おはようございます」
ユズは男性に対してお辞儀をする。彼はユーリィの父親のグレム=エルシア。この村の村長であり剣の達人でもある。ちなみにユズは幼子の頃に彼に拾われた過去を持つ。
「ユズ、いつも言っているが別にそんなにかしこまんなくてもいいんだぞ?」
「いえいえ、私がやりたくてやっているのでお気になさらなくてもいいですよ?」
「む・・・」
グレムはほんの少しだけ困った表情を浮かべた後、小さな溜息を吐きながら二人の背中を押す。
「さぁて、マティエが朝食を作っているはずだ、待たせるのは失礼だぞユズ、ユーリィ」
「それくらい分かってるよ、父さん」
「そうだよね~ユーリィはおばさんの作るオムレツの為に起きたんだもんね~?」
ユズに耳元で囁かれた途端に、ユーリィの顔が真っ赤になる。
「ゆうぅぅずうぅぅ!!」
「わーこわーい」
くすくす笑いながら逃げるユズを顔をユーリィは真っ赤にしながら猛ダッシュでユズを追いかける。そんな二人を猫のように摘み上げるグレム。そして三人で小屋に戻ると一人の女性が鼻歌を歌いながら料理をテーブルにならべていた。
「あら、みんな揃ってどうしたの?」
「いや、待たせたら悪いと思ってな」
「隣の寝坊野郎を起こしてました」
「おい」
ユーリィとユズの小さな喧嘩が起こる前に微笑みながら二人をたしなめる女性の名前はマティエ=エルシア。ユーリィの母親であり、グレムの妻である。
「まずは朝ご飯を食べましょう?ね?」
「・・・わかった」
「はーい」
この朝食でユーリィがオムレツを食べ過ぎたせいで卵が尽きかけたのはまた別のお話。
朝食を食べ終わり、一息ついたユーリィはふと疑問に思ったことがあった。
「ユズ、そういえば何所に行く気だったの?」
「はぁ?何よそれ、言いだしっぺはユーリィのくせに」
ユズの口から予想外の答えを出されて目を丸くするユーリィ。ユズは呆れ果てた感じでユーリィに質問する。
「村の外れの森を探検するって言ったの何所の誰?」
「僕だけど?」
「明日行くから寝坊するなって昨日言ったのは?」
「僕だね」
「・・・」
ユーリィが答える度にユズのこめかみがぴくぴくと脈打つ。
「じゃあ今日朝早く森に探検に行く筈が寝坊してその事を忘れちゃった馬鹿は誰かな?」
「うん、僕だ!!」
「歯ぁ食いしばれ」
渾身のドヤ顔で答えるユーリィの顔面に全力の右フックが襲い掛かる。歯を食いしばる前にそれが直撃し、ユーリィは空を舞う。
「行くわよ?」
「はい、すみません」
改めて村の外れの森に行くために二人で準備をする。お菓子、飲み物他にも色々バックに詰め込んで、グレムとマティエに出かけることを話して二人は森へと出発する。
「遅いよユーリィ、おいてくよ?」
「ユズが荷物持たないからだろう!?」
どうもどうも、初めましての方は初めまして。
前の輪廻の鎮魂曲から知ってる方、マジですみません。reidです。('A`)
前まで上げてた小説が詰んでしまったため今度はこちらをあげることにしました。
正直これも詰んだらもうマジで首切って侘びないとダメですね。
投稿速度は月一ぐらいのペースで行きたいと思います。
それではこの新たに投稿するQuartet Chronicleをよろしくお願いします!!
今度は詰まないようにがんばらなきゃな・・・