トーマSide
スゥちゃんと初めて逢ったのはもう何年も前…
「地元の子ー?ご飯作り過ぎちゃったんだけど、良かったら食べない?」
びっくりした。気付かれたことと声をかけられた事。それから明らかに作りすぎにも程があるだろって事。あまりにも大きすぎる大鍋を見て俺はそう思った
「どう?美味しい?」
「美味い」
「近所の子?」
「遠く。北の鉱山町にいたから」
「ひとり?」
「ひとり」
「あたしも今は一人。ちょっと悲しいことがあってね」
「誰か死んだの?」
「……うん。助けなくちゃならない人が死んじゃったの。あたし、消防士さんなんだけどね。ものすごく大っきな火事があって…仲間たちみんなで沢山助けたんだけど、だけど沢山助けられなかった人がいたの…大人も子供も…沢山」
「それで落ち込んでるの?」
「助けたかったって思ってる。だからこそ一人で鍛え直してるんだ」
ふとテント横に置かれた大量の荷物にはトレーニング道具が置かれていた。
「うんと鍛えて、もっと早くもっと強くなれれば、きっともっと助けられる。助けてって泣いてる人をちゃんと助けてあげられるから」
今にも泣き出しそうなその笑顔は、強がってるんだって事が俺にもわかった。
だからか俺も柄にもなく、身の上話なんかをした。
そしたらうんと優しくしてくれた。
故郷の事故の追加調査依頼。俺の身元の確認と縁者の捜索。保護の申請と居場所作り。
彼女…スバル・ナカジマ防災士長こと、スゥちゃんのお陰で、故郷を無くした浮浪児は随分とあたたかな保護施設に入ることが出来た。
ナカジマ家のみんなはいつも優しくしてくれて…それから
ナカジマ家のみんなと花見をしていたときのこと
「もう少ししたら学校行くでしょ?良かったらミッドの学校にしない?」
スゥちゃんからの提案…
「ミッドの?でも都会で一人暮らしはなんか不安かも」
「だからさ…良かったらうちの子にならない?って」
「お前は優しい良い子だ。みんな分かってる」
「お前が来てくれたらあたし達も嬉しいし」
「家族は多い方が楽しいッス」
チンク姉、ノーヴェ姉、ウェンディ姉もそう言ってくれていた
「そうだよね。父さん、ギン姉」
「あぁ、息子が出来んなぁ。嬉しいやな」
「うん」
はじめてのあたたかさ、はじめての家族。手に入ったはずの温もりを、だけどすぐに受け容れることが出来なかったのは、やっぱり故郷の事故のこと。どんな形でもいいから踏ん切りをつけたかった。
あたたかな温もりに溺れて、普通になってしまう前に……
「違うね」
目の前に現れるヴェイロン
「お前が家族とやらと向き合わなかったのは、自分の本質を知ってるからさ。自分の居場所と幸せを壊した敵への憎悪。誓ったろ?溜めた恨みを
晴らすってよ。鉄には鉄を。血には血をだ!憎む情熱はいつだって正しい。憎悪の快楽に身を浸せ」
シキウスSide
目を覚ましたトーマの姿は戦闘形態へと変わっていた。
「さて、1つ問うてみよう。エクリプス感染者は発症すれば元には戻らん。あの少年はもうお前たちの世界では生きられんだろう。どうする公僕?私もあの少年も社会の毒と斬って捨てるか?だが我々フッケバインは彼を見捨てん。同じ病に感染し、世界に憎しみを持つのなら、彼はもう我々の同志だからだ」
マズいな…このままでは…私の本で抑えられるか?
第3世界ヴァイゼンCW社機器試験場
ヴィータが報告を受け、走り出していた。
「シグナムが戦ってる!?あいつの武装はまだ出来てねーのに!」
『操作の途中でフッケバインとぶつかったらしいです。それでやむなく…』
「出撃命令は?」
『直ぐに出ます!状況によっては旗艦の出撃もありますし』
報告するリイン。さらに続ける
『フェイトさんとティアナも現場に向かってます。AEC武装の方は?』
「あたしの03とスバルの07はもう現場に出せる!なのはの00と02は今…最終調整中だ!」
シグナムSide
ディバイダー保有の感染者が二人。どうにかしてどちらも捕獲しなければならん。
『アギト…融合を解いて下の子供達を頼む』
『…わかった。ロキの部下は?』
『捕縛するつもりで…だが状況によっては手を貸して貰うしかない。奴らの目的も恐らく…』
『わかった。念のため、遅延魔法を置いておくよ。左手に火炎弾。右手に捕獲輪だ!』
『心得た』
ユニゾンを解き、直ぐさまフッケバインの女に火炎弾を放つが…当たる直前で防がれる。いや、魔導殺しの名の通り、稼働を開始したディバイダーの共通性能は…魔力エネルギーの結合分断。魔力によって編成された弾丸や保護された物質は、その全てが無力化される。
レヴァンティンで斬りかかるがフッケバインの女は手首で受けると同時にレヴァンティンの刃が砕ける
「残念だったな」
これが感染者の肉体の多様な病化を起こし、特に強度の病化は感染者の肉体そのものを兵器へと変える
「リアクト時には刃物も魔力も我々には通らん」
(そこまでは知っている。だがこいつの体は…)
「理解して絶望したか?ならば死ね!」
フッケバインの女の刃に斬られ、そのまま地面に落ちる
シキウスSide
烈火の将がやられた!?それに融合機の方も撃ち落とされていた。
「くっ!アイシス!気絶させておさえるぞ!」
「分かってる!」
私は本を開いた瞬間…
「悪いけどあんたは邪魔だよ」
不意に声が聞こえた瞬間、身体に銃弾が撃ち込まれた
「かはっ!?」
「アイシスさん!?」
倒れる寸前、見えたのはもう一人のフッケバインの女がいた。
ロキSide
傷だらけのシキウスを連れて帰ってきたニンフ
「シキウス回収したよ。現場には例の子たちはいなかった」
「連れ攫われたか」
「回収の時にシキウスが報告してくれたよ。感染した子に発信機をつけたって」
「そうか…シキウスを治療ポットに入れたあと、アレスに声をかけておけ」
「了解。暴れて良いんだ」
「あぁ、フッケバインへの嫌がらせ。そして管理局の嫌がらせのために…」
モニターに映し出される二人の少年
「声をかけておくさ」
感想待っています