魔法少女ほむら☆マギカ Live in a Twilight World/No Friends at Dusk 作:トマスアレポ
神浜の雑踏の中、八雲みたまが歩いている。
後ろからほむらが声をかけ、みたまが驚く。
「何してるの? いろはちゃんは?」
「アリナが死にかけたわ。いろはが治癒してる。あなたの指示よ」
「私はまだ何も言ってないわ」
「2日後に私に指示する。グリーフシードの取引で瀬奈みことと渡り合う。数日後、神浜港の貨物ターミナルから貨物列車で移送中の『アルゴリズム』を奪い合い、その過程でアリナが人質になった」
「まさか…グリーフシードを渡したの?」
みたまの顔色が変わる。
「あれはグリーフシードじゃないわ」
「そうね…」
みたまがほむらの考えを察し、話し始める。
「そのグリーフシード――いや、『アルゴリズム』は、遠い未来の魔法少女が作ったものよ」
「それで?」
「その魔法少女は、時間逆行の危険性を確信して自殺した。でも、自殺前に時間逆行の核心技術――アルゴリズムを誰にも知られないよう隠したの」
「グリーフシードの形に?」
「そう。魔法少女は世界の目に触れない存在だから…衆目に晒され、利用されないよう、8つに分割して過去に送り、隠したのよ」
「なぜ瀬奈みことが『アルゴリズム』を集めてるの?」
「ふさわしい時と場所にいたからよ」
「福浜市の事故ね…」
「それで、彼女は未来に選ばれた」
みたまが続ける。
「この時代にある全ての『アルゴリズム』を集め、未来に送る。それが彼女の役目よ」
「残りの『アルゴリズム』は?」
「あのグリーフシードで全部揃うはずよ」
「つまり、世界の終わりってことね」
ほむらとみたまが歩き続ける。歩道が終わり、行き止まりに着く。
「2日後の指示を変えるべきよ」
「もし、その時、ほむらちゃんが『アルゴリズム』のことを知ったら、絶対に渡さないでしょ? 知らないことが武器になることもあるのよ」
「つまり、私はみすみす『アルゴリズム』をみことに渡すだけの役目?」
「そうすれば、彼女は他の『アルゴリズム』を動かし、最後のポイントに集めるわ」
「まんまと利用されたわね」
「ほむらちゃんは十分務めを果たしたわ。でも、出番はここまでよ」
「出番? 私は『主役』じゃなかったの?」
「『主役』の子は他にもいるわ。一人で世界を救えるわけないじゃない」
みたまが自嘲する。
「いいえ」
ほむらがニヤリと笑う。
「まだ、みことが『アルゴリズム』をどこに動かすか言ってないわ」
「なら、これから話してもらうわ。ホテルフェントホープでやちよたちと合流して。逆行の準備を進めてる」
「逆行? 私たちはその技術も回転ドアも持ってないでしょ」
「火には火で戦うものよ。瀬奈みことが『アルゴリズム』を使いたい未来の者たちに選ばれたように、私たちも『アルゴリズム』を封印したい未来の者たちに選ばれたの」
「私たち?」
みたまがほむらの顔を見据え、両手の指を組み合わせて見せる。
「『TENET(信念)』は過去で生まれたんじゃない。未来で生まれ、過去の私たちが実行するのよ」