魔法少女ほむら☆マギカ Live in a Twilight World/No Friends at Dusk   作:トマスアレポ

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Day -5

神浜市北養区の森の中に、ホテルフェントホープが佇む。ホテル全体は結界で隔離され、逆行する魔法少女たちの拠点となっている。

ほむらはホテルの廊下を歩く。逆行中のため、酸素マスクを装着している。窓から庭園やテニスコートを見ると、鳥が尾を先にして飛ぶ。庭には多くの魔法少女が訓練中だ。

逆行と順行の魔法少女に分かれ、武器を構える――逆行視点では武器を戻す――か、模擬戦を行っている。

ほむらが部屋のドアを開ける。

スイートルームでは、アリナがソファに腰掛け、オーディオで音楽を聴いている。ウーファーから重低音が響く。

ほむらが拙い英語力で歌詞を解釈する。おおよそ次のようだった。

 

「――幕が閉じた

外で赤と青のライトがうるさい、逃げ場はもうない

地図を行き来して、道筋を整えた

波に乗るように走って、まるで列のよう――」

 

ほむらがアリナの横に座る。

アリナは目の前の大画面――おそらくこの曲のMV――をぼんやり眺めている。画面では、黒人の男性がキッチンで殴り合っている。

「なんか、この曲ってアリナたちみたい」

「何が?」

ドアが開き、いろはが入ってくる。

「傷の具合はどう?」

アリナがシャツを捲り、下腹部の傷跡を見せる。

「良くなってよかった…」

「みことを倒しに行かないの?」

「それは無理だよ」

アリナの問いに、いろはが答える。

「デッドマンスイッチみたいなものがあって、彼女の死が発動条件になってる」

ほむらが補足する。

「ソウルジェムと連動してる。破壊されたり魔女化したら、みことが隠したポストの場所が記録される。未来人がその記録を見て、封印されたアルゴリズムを掘り出し、発動させる。それでゲームセットよ」

「みことがスイッチを押す訳じゃないのネ」

「彼女は集めるだけ。でも、引き金を引いてるようなものよ」

画面では、黒人の男性が金髪の男性と会話したり、はしご車から車に飛び乗っている。

「そのポストの場所は?」

いろはの問いに、ほむらは答えない。

「まだ話さない。知らないことが私たちの武器よ」

いろはが苦笑する。

「だいぶ慣れてきたね」

「アリナ、みことについて何か知らない?」

「――全ての生き物は滅びるようデザインされている」

「何それ?」

「アリナのアイデア」

アリナが続ける。

「アリナは人間が常に持っているデストルドーを完璧に再現したベストアートと生み出して、この世界を終わらせようとしてた。みこともそれをしたいって思ってたケド、なんか違ったみたいネ」

「同じようなものだと思ってたけど」

「違う。みことがやろうとしてるのは、絶望から希望への相転移」

アリナが遠くを見据える。

「時間逆行による滅びの回避――つまり、死という結果の逆転で、不可逆的な死を尊ぶアリナ的には、ナンセンスなのよネ」

アリナが自嘲する。

「でも、みことに刺されて、こんなものはベストアートにはほど遠いって気づいたワケ」

ほむらがみことの行動を整理する。

「みことは深い絶望の淵にいる。ソウルジェムの濁りがなくても、過去は消えない。そこに未来からの契約が追い打ちをかけた。だから、時間逆行で未来の絶望と自分の過去の絶望を世界ごと消そうとしてる」

いろはが続ける。

「確かに、魔法少女は絶望に追い込まれやすい。仕組まれたシステムだけど、だからって全てを諦める理由にはならないよね」

「アリナ、みことが最後の場所に向かいそうな場所、思い当たる?」

「大東団地の屋上。みことも前はそこに住んでたって。屋上から見える夕陽が綺麗だって、よくアリナに話してたネ」

「らしくないね」

いろはの反応に、ほむらが続ける。

「アリナ、大東団地に行って。できるだけみことの自殺を引き延ばして。さなを付けるわ。私たちはその間にアルゴリズムを確保して決着をつける」

 

画面では、黒人の男性が金髪の長身女性にキスしていた。

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