魔法少女ほむら☆マギカ Live in a Twilight World/No Friends at Dusk   作:トマスアレポ

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Day 8

神浜の雑踏を歩くほむらに、キュゥべえが声をかける。

「やあ、ほむら」

「何?」

「まだ神浜にいたとはね」

「あなたには関係ないわ」

「そうもいかないさ。この街は特殊だからね。色々警告もしておくべきだと思ったからさ」

「必要ない」

「そうかい。それより、君が調べている時間逆行、僕たちにとっても興味深いよ」

キュゥべえが続ける。

「もしエントロピーの減少が魔法少女を介さずに実現できるなら、大きな進歩だ。僕らの技術でも時間の矢は逆回転できなかった。君にも思うところがあるはずだ」

「…そうね」

「否定しないんだね。考えてみれば、魔女はネゲントロピーの塊とも言える。この性質を利用したのがあの回転ドアなら、僕らは魔法少女に頼る必要が少なくなる。ソウルジェムの浄化が必要な魔法少女のあり方も、一変するだろうね」

ほむらは人通りの少ない路地に誘導し、キュゥべえを射殺しようかと考える。だが、キュゥべえの言葉で思いとどまる。

「ところで、君はグリーフシードを持ってるかい?」

「それが何?」

「君が劇場のテロで入手しようとしたグリーフシード。あれは近々移送されるらしい。マギウスという組織が動いているんだろう」

「なぜ分かるの?」

「僕たちにはグリーフシードの位置を特定する能力があるからね」

ほむらは一考する。あの謎のグリーフシードを入手できれば、状況を打開できるかもしれない。

「君にとっても悪い話じゃないと思うよ」

「そうね…」

「よい返事を期待してるよ」

ほむらはキュゥべえに背を向け、神浜の雑踏に消える。キュゥべえの赤い目が、ほむらの背中を刺すように光る。

 

 

 

ミレナ座に立ち寄ったほむらに、みたまが新聞を差し出す。

「これ、あなたがやったんでしょ?」

見出しにはこう書かれている。

「神浜空港で貨物機ハイジャック/犯人の目的は金塊奪取と警察/貨物機が倉庫に激突し炎上」

ソウルジェムの「調整」を終えた後、みたまが会話を切り出す。

「空港で何があったの?」

「分からない」

「話してみて?」

ほむらが記憶をたどり、自由港での奇妙な遭遇を語る。

「自由港に回転ドアのような装置があって、そこから二人…おそらく魔法少女が出てきた。両方逃げられたけど」

「それは時間逆行によるものね」

「逆行? 逆行技術はまだ完成してないんじゃなかった?」

「みこと――瀬奈みことがその回転ドアを置いた。未来人から贈られた、逆行を生むマシンよ」

「やっぱり、瀬奈みことを調べるしかないわね」

「彼女に会った?」

「まだ会えてない」

「『まだ』ね…」

みたまの含みのある言葉に、ほむらが疑問を抱く。

「彼女の手下に命を狙われてる。アリナを介しても難しいわ」

「でも、もっと彼女に近づかないと。彼女の望むものをぶら下げて、未来人との関わりを探って」

「なぜそこまでしないといけないの?」

「みんなのためよ。魔法少女や人類全体のためにも、ほむらちゃんに『主役』を張ってもらわないと」

ほむらはみたまの言葉に短くため息をつく。

「ところで、ここに来る前にキュゥべえが妙なことを言ってたんだけど」

「キュゥべえね。何か言ってた?」

「例の立方体のグリーフシードが移動されるって」

「私の情報と同じね」

みたまがタブレットを寄せ、画面を見せる。遠距離から撮影された画像には、コンテナに何かを積み込む白羽根の姿が映っている。

「グリーフシードは5日後、神浜港の貨物ターミナルから貨物列車で移送される。手を出すなら移送中がいいわ」

「それも私の仕事?」

「元々、ほむらちゃんたち見滝原の子が回収しようとしたものだからね」

ほむらは数日前の市立劇場のテロを思い出す。おそらく、あの場で奪取しようとしたグリーフシードだ。

「グリーフシードをエサに瀬奈みことに接近して。でも、グリーフシードは奪われちゃダメ。状況を有利に活用しないと」

「危険すぎるわ」

「彼女があのグリーフシードを手に入れたら、もっと悲惨なことになる」

「何が起こるの?」

「絶望よ」

みたまが立ち上がる。

「私たちは、時間を行き来する希望と絶望の戦いに巻き込まれているの。未来人の時間は尽きかけている。だから、過去を使って時間を奪い、絶望から希望を生み出そうとしてる。瀬奈みことがその道標。ほむらには彼女を見つけて、その秘密を探ってほしい」

その瞬間、ほむらのスマートフォンが振動する。画面にはアリナからの通知。

「どうやら来たみたいね」

ほむらは立ち上がり、アリナのもとへ向かう。

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