魔法少女ほむら☆マギカ Live in a Twilight World/No Friends at Dusk   作:トマスアレポ

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Day 14

「それで、グリーフシードは調べた?」

ほむらはみことから渡されたグリーフシードを日にかざす。神浜市立大附属の白と赤のセーラー服が風に揺れる。ほむらといろはは学校の屋上で再び会話していた。隣のベンチに座るいろはが答える。

「該当する魔女を一通り調べたけど、どれも当てはまらなかった」

「でしょうね」

「ところで、前に話してた探してる子の件だけど…」

「探してる子?」

いろはがスマートフォンの画面をほむらに向ける。ほむらが疑問を抱きつつ画面を見ると、心臓が跳ねた。

ピンク色の髪をツインテールにした少女。黄色いリボンが揺れ、3歳くらいの男の子と手をつなぎ、楽しそうに歩いている。ほむらが求めていた少女――鹿目まどか。

「この子…」

「数日前に海外から来た子みたい。そろそろ神浜の中学に転入するらしいけど…知り合い?」

「そうね…」

ほむらの感情が揺れる。

「昔…同じ小学校で」

「それ、嘘だね」

いろはがほむらの顔を見てはにかむ。

「友達なら、後で紹介して? 私も会ってみたい」

「そうね…でも、今は目の前の課題に集中しましょう」

ほむらが鞄からタブレットを取り出す。航空写真に6本の線路と歩道橋が映し出される。

「路線図と時刻表を調べた。このポイントで貨物列車に乗り込み、グリーフシードを奪う。並走する回送列車に飛び乗り、次の駅で離脱する」

「オッケー。グリーフシードはみたまさんが回収しに来るって」

「じゃあ、早く終わらせましょう」

 

 

 

指定の時刻、ほむらといろはは歩道橋のフェンスによじ登り、腰を掛ける。眼下に6本の線路が並び、時折列車が通過する。

視線の先に貨物列車のヘッドライト。ターゲットの列車だ。

「時間よ。手は絶対離さないで」

ほむらがいろはの手を強く握り、貨物列車の通過を待つ。

中間車両が歩道橋の下を通る瞬間、ほむらが時間停止を発動。世界から音と色が消える。

二人は歩道橋から飛び降り、貨物列車の貨車に着地。目標のコンテナを見つけ、ほむらが天井に爆薬を仕掛ける。いろはが貨車の天井にしがみつき、横の回送列車を見据える。

ほむらが時間停止を解除。世界が動き出す。轟音と突風に晒され、ほむらが起爆装置を押す。

小さな爆発音の後、ほむらが穴からコンテナに滑り込む。中にはオレンジのケースだけが格納されている。ほむらがケースを手にし、天井によじ登る。いろはと手を繋ぎ、時間停止を発動。二人は回送列車の窓を開け、車内に滑り込む。

回収列車の中は照明が付けられておらず、薄暗いままだった。

ほむらがケースをこじ開ける。中には市立劇場で見た銀色の立方体――グリーフシードが輝く。

「それが…」

「間違いないわ」

瞬間、異音が響く。いろはが外を見て叫ぶ。

「ほむらちゃん、あれ!」

一本の線路先に、並走する車両。窓が開き、猿轡をされたアリナ・グレイが拘束されている。彼女の首に包丁を当てる瀬奈みことと手下たち。

「何?」

ほむらの思考が混乱する。

みことが三本の指を立て、一本を折る。残り二本。

「渡せってこと?」

「渡しちゃダメ! 絶対!」

「でも、このままじゃ…」

「もっと酷いことになるよ!」

いろはが叫ぶ中、みことがもう一本折る。

ほむらが外を伺う。みことの列車と自分たちの間に、貨物列車の無蓋車が並走する。その一両を一瞥し、アイデアが閃く。

「ごめん」

ほむらの言葉と同時に、みことが最後の指を折る。

ほむらがグリーフシードが入っていたオレンジのケースをみことの車両に投げる。

みことがケースを掴み、手下と共に後ろ歩きで外側の車両に飛び移った。車両にアリナだけが残される。

「助けるわ」

いろはが何か言おうとするが、ほむらが時間停止を発動。みことの列車に飛び乗り、窓を破って突入。

アリナを抱え、いろはの車両に戻る。眼下に並走する無蓋車が見える。窓に滑り込み、時間停止を解除。

「アリナちゃん、大丈夫?」

いろはが声をかけると、列車がブレーキをかける。予定の停車駅が近い。

「いろは、前方を見てきて。私はアリナの拘束を解く」

いろはが頷き、先頭車両へ走る。

ほむらが拘束を解こうとするが、その努力は失敗に終わった。

瞬間、窓が破られ、紫の電撃が走る。帆奈と手下が車内に侵入。ほむらとアリナに拘束魔法をかけ、2人を連行した。

 

 

ほむらが連行されたのは、自由港に似た回転ドアの部屋だった。ガラスで仕切られた部屋に回転ドアが二つ。ほむらは椅子に縛られ、帆奈に監視される。ガラス越しに、逆行するみことがアリナを人質に現れる。逆向きに歩き、アリナを椅子に座らせて包丁を突き付ける。

「?いなてし隠に中の車列をれあ」

逆再生のようなみことの声。

一拍置いて、スピーカーからみことの声が響く。

『あれを列車の中に隠してない?』

「知らない」

ほむらがガラスにべっとりと付いた血に気づく。みことの持つ包丁にも同じように血が滴っていた。

「す刺といなわ言」

『言わないと刺す』

「アリナを離して」

みことがカウントダウン。ほむらの脳が凍りつく。

「。―チイ、イニ、ンサ」

「サン、ニイ、イチ――」

みことがアリナをガラス前に立たせ、血がアリナの腹部に逆再生のように集まる。

 

アリナの声にならない悲鳴がこだまする。

 

みことが包丁をアリナの腹部から引き抜く。包丁に血はついていない。

「わいなゃじし脅、ムェジルウソは次」

『次はソウルジェム、脅しじゃないわ』

「やめなさい!」

ほむらが叫ぶ。

「網棚よ…列車の網棚に隠した」

ほむらが咄嗟に嘘をつく。

「るめか確かうどか当本」

『本当かどうか確かめる』

突然、ドアが開く。順行のみことが現れ、ほむらを睨む。

「グリーフシード、どこにやった?」

ほむらの混乱が頂点に達する。

「たった今…話したわ」

みことがガラス越しの逆行みことを一瞥。

「なるほど…なら、アリナと仲良く魔女にでもなって…」

その瞬間、大量の水が足元に流れ込む。ドアが破られ、津波のような水がみこと、帆奈、ほむらを襲う。

みことと帆奈が回転ドアに逃げ込む。ガラス越しの逆行みことも後ろ向きで回転ドアに入る。低い唸り音が響き、回転ドアが回転。シリンダーの中は空になっていた。

いつの間にか水は跡形もなく消えていた。

数人の魔法少女が部屋に入る。先頭の少女――ダークブルーのストレートヘア、青いドレス、トライデントを手に持つ――にほむらが声をかける。

「助かったわ。でも、みことたちはどこに…」

先頭の少女、七海やちよが答える。

「過去よ」

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