欠番のエルフ   作:ななば

1 / 1

カレコレの二次創作あまり無いなと感じ、衝動書きしちゃった小説です。


欠番の十一人目

 

 

 

 

 

 

 

 

西暦2000年、地球は異世界転移した。

地球にいる何者かが、では無く、()()()()()()()()()()()()()。転移した先の世界は異宙と呼ばれ、本来存在し得なかった亜人や怪物が跋扈する様になった。────つまりはドラゴンや吸血鬼、鬼、悪魔などといった超常存在から、人類は生存しなければならなかった。当然の事だが人類は永らく守り続けて来た()()()()()、地球の生態系の頂点という椅子から転げ落ちた。異宙には銃や戦車、化学兵器などの利器はまるで意味をなさなかったのだ。

 

 

それから数十年、人類は生態系の頂点ではなくなったにしろ、それでも繁栄を続けている、古代から有る人類の強み────()()()()()()だけは異宙にも通用したようだ。

今も問題は多々あるが人類は大人しく、緩やかに進んで行く、まるで異宙が側に在るのが()()かの様に、転移以前の記憶は薄れ、天動説が時を追う事に地動説に成り代わって行く様に、いつしか人類が生態系の頂点であった事すら()()()()()()()()のだろう。

 

 

しかし、頂点捕食者(トッププレデター)はそれを許さない、頂点捕食者(トッププレデター)はそれを許せない。

鳥の翼から飛行機を生み出し、イカの神経から神経伝達の構造を模倣してみたり、人類は今まで全てを利用して頂点に立ってきた。だから、だから()()だってそうなのだ、そうでなくてはならない。

今は変異の時なのだ、人類が新たな領域にたどり着くための変異なのだ。────今回も乗り切る、乗り切ってみせる。

 

人類のために、今日も捕食者は働く。

捕食者らしく全てを喰らって、糧にして。

異宙も、人も、何もかもを利用して、そう────全ては人類のために。

 

 

 

 

 

 

人里離れた森林にある、とある施設。

病院と呼ぶにはいささか巨大すぎる施設で、異常と言えるほど白く、清潔に管理されている。そしてその中は、更に異常であった。

その中は当然のように清潔に管理されているが、ところどころ血飛沫が付着している、壁や天井、地面やパネルにさえも。

巨大な三つ目の狼の頭が血溜まりを作り沈んでいた。

妖精の様な異宙人の首から上が無かった。

巨大な骸骨の身体が、ことごとく粉砕されていた。

無数の小鬼の身体が引き裂かれていた。

 

まさに異様で、異常であった。

 

 

 

「おーい、早速この子の適合率、調べるぞ」

 

「あ、はーい」

 

さっき正規品の()()()が殺した異宙人の身体を弄っていたら、先輩から声が掛かった。

正規品の性能調査のために虐殺された死体だが、これも貴重なサンプルだ、なにせコイツらの外皮は現代武器では貫けないのだから……そう思いつつ、人工子宮の中から、泣き声を上げる乳児を取り出す。

 

「じゃあ読み上げますよ……対象乳児の体重2890g、性別は雄、出産期間295日……」

 

「うん、うん」

 

人工子宮により算出されたデータを伝え、先輩はそれをコンピュータにカタカタと打ち込む。そうして打ち込み終わったのか、先輩は乳児を台に拘束し、専用の機械のスイッチを押した。

ごおん、と低い起動音があたりに響き、乳児を乗せた台はどんどん機械に吸い込まれていく、乳児は恐怖を感じているのか泣き声を更に張り上げながら、その小さな手脚を動かしている。

そんな様子をよそに、ただただこの光景をじっと見つめる僕と先輩、先輩は何を考えているのかよく分からないが、僕に関しては"なんだかCTスキャンみたいだなー"と、呑気な事を考えていた。

 

 

「今度の混血児はどうなるかな……」

口を開いたのは、先輩。

 

「どう、とは?」

 

「そのままさ、()が抱え込んでる正規品と同じ品質になるか、それとも失敗作(ジャンク)になるか……」

 

「僕的にはどっちでも良いんですけどねー」

 

「?正規品のが良いに決まってんだろ、なんでどっちでも良いんだ────」

 

「いや、だってそうでしょ。失敗作だとしても僕等が解剖(たのしめ)るじゃないですか、正規品なら異宙の連中を狩らせればいい、失敗作なら僕等人類の明日の礎となれる、悪い事なんか一つもないでしょ。異宙人と人類のハーフなんて()()()はまだしも地球(ここ)の表舞台じゃ前例が無い、前例が無いから法規制もされてない、つまりは()()、ノーカンなんですノーカン。人に似た物を好きにできる。内臓も骨格も筋肉も皮膚もその下の脂肪も────()()()()()()()()()()()()。これほど良い話ないですよ────ねぇ、先輩?」

 

 

「………お前って時々こえーよな、そんな熱量俺にはねーぜ……」

 

しまった、つい喋り過ぎた。

僕の語りに先輩がドン引きしている、少し良くない空気になってしまった。

ここは楽しい話をして空気を変えなければ。

 

「そういえば今日異宙人の死体を解剖した時ですね──」

「いや、もういいわグロい話は、そろそろ結果でそうだし」

 

そう言われ機械の方に目をやると、ピッーっと耳を穿つ様な鋭い機械音がして、同時に上部のランプも緑色に染まっている。

これは検査が滞りなく成功した合図だ。

 

 

 

 

 

「………さあて、適合率はいくら…!?なに!!まさか……こんな数値が!!

「──ッッ!?ははは、マジすかこれ……」

 

 

その数値はまさに規格外であった。

一般的に混血児の新生児死亡率は高い、胎児に異なる二種のDNAを入れる実験、デュアルコアプランにより混血児の造り方は確立したが、やはり異なる二種というのは胎児に凄まじい負担をかける。

その負担に、未熟な胎児は耐えられない。

運良く生存したとしても、その殆どが適合率30%未満、正規品には程遠い。

人類を救う、素晴らしい()()になる事はできず、せいぜいが適当な異宙人と戦いデータを残して、それで終いだろう。だが……だが()()()

 

 

 

「適合率………85%だと……!?」

「先輩!僕はその、そう報告書!!上に提出する報告書を書いて来ます!!」

「これは…間違いなく正規品!────十一番目の正規品、elf(エルフ)────そう、エルフだ!!」

 

 

歓喜と驚きがまじり合う実験室。

その実験室の中心で、兵器の赤子は泣き叫ぶ。

おぎゃあおぎゃあと、静かな実験室で鳴り響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





◼︎研究者
トッププレデター所属の研究者、後輩はマッドサイエンティスト気味
◼︎混血児の赤子
正規品に見劣りしない適合率を持った赤子、DNAは???×???
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。