ありふれた職業の短編   作:僕の名前は✕✕です。

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クロスオーバーネタです。恋愛、腐要素なし。葬送側はヒンメルしか出てきません。書きたいところだけ書いたので、めちゃくちゃ短いです。


勇者の定義(葬送クロスオーバー)

 トータスに『神の使徒』として召喚されたハジメたちは、魔神や魔物と戦うため、まず最初に自身のステータスについて調べていた。

 調べる方法は至って簡単であり、ステータスプレートと呼ばれている魔法陣が刻まれているプレート上に一滴の血を垂らす。それだけで自分の客観的なステータスを数値化して表示してくれる。そしてステータスプレートは、この世界では最も信頼のある身分証明書にも使われているらしい。

 

「きっと勇者様とその同胞の皆さんなら素晴らしい天職とスペックを持っているに違いない!これから見るのが楽しみだ!」

 

(勇者様ねー……)

 

 メルド団長のその言葉を聞き、ハジメはある人物に視線を動かす。

 

 サラサラの茶髪と優しげな瞳を持ち、容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の完璧超人であり、誰にでも優しく正義感溢れる男子生徒――天之川光輝。

 召喚時、光輝の足元から魔法陣が出現していたことを覚えているハジメは、そのスペックと相まって彼が勇者として呼ばれたのかもしれないと考える。

 

(まぁ彼は思い込みが激しくて、周りの状況が見えていない時がある。申し訳ないけど、勇者(偽)って言われた方が納得する。ならこの中で本物の勇者は――…)

 

 今度は、光輝よりも少し奥にいる人物に視線を動かす。

 

 青空のような優しい水色の髪の毛を持ち、泣きぼくろが特徴の男子留学生――ヒンメル。

 彼は光輝と同じ容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の完璧超人であり、誰にでも優しくかなりのお人好しでもある。困った者を放っておけず、その力を他者の為に振るう事を惜しまない。現にハジメもヒンメルには様々な場面でお世話になっており、光輝とは違い思い込みも激しくなくきちんと周りの状況も冷静に判断できる点から、心から彼の事を慕っている。しかしそんなヒンメルだが、少々…いや、結構なお調子者でナルシストな点が災いし、所謂残念イケメンと呼ばれる部類にいた。

 しかしハジメは、光輝よりも断然勇者に相応しいのはヒンメルであり、本物の勇者は彼なんだろうなと考えていた。

 

 そしてハジメは思考を切り替え、プレート上に血を一滴垂らし、自身のステータスを確認する。するとそれは何とも言えない物であった。自分たちの教育係を任されているメルド団長曰く、レベル1の平均は10であり、まさしくハジメはそれに当てはまっていた。

 ハジメが焦りを覚えていると、ステータスの報告に光輝が逸早く前へ出て、メルド団長に見せる。そしてそのステータスはハジメのものとは大きく異なっていた。筋力、体力、耐性など全てが100であり、十個以上の技能を習得していた。さらに光輝の天職は、見事勇者であった。

 

 次に前へ出たのはヒンメルであった。彼のステータスも見事であり、光輝と同じくらいのチートを持っていた。

 しかし、ある一点にハジメは目を見開いた。それは――――

 

 ヒンメルの天職が勇者ではなく、剣士だったからだ。

 

 言い方が悪いが、あんな性格である光輝が勇者ならば、まず間違いなくヒンメルも勇者であるとハジメは思い込んでいた。いや、恐らくハジメ以外にも複数人の人物たちが思っていただろう。

 

 その驚きの光景を見て、ハジメは少し前の出来事が脳裏に浮かんだ。それは、檜山たちから押し付けられた仕事をヒンメルに手伝ってもらっている途中、ハジメが興味本位から何故ヒンメルはそんなに人助けをするのか?と聞いた時の話だ。

 

『それはね…僕が勇者だからさ!』

『アハハ…』

 

 ヒンメルは入学当初から自分は前世、勇者だったのかもしれないと言う冗談をよく言い、皆を笑わせていた。そんなおかしな事を言っても皆がキモがらず、引かなかったのはヒンメルの人望と、「ヒンメルくんはナルシストだから」という共通認識があったからだろう。

 

『まぁそうだね。もしかしたら自分のためなのかもな。僕は誰かに少しでも自分のことを覚えていて貰いたいのかもしれない。

 生きているということは、誰かに知ってもらって覚えていてもらうことだからね』

『……だから人助けを?』

『うん。ほんの少しで良い。誰かの人生を変えてあげれば良い。きっとそれで十分、僕のことを覚えていてもらえると思うんだ』

 

 その時見たヒンメルの表情は、ハジメはこれからの人生決して忘れることはないだろうと思えるくらい美しいものであった。

 そしてそれをきっかけに、ハジメはヒンメルが言う前世は勇者だった発言は、強ち間違いでは無いのかもしれないと思うようになっていた。だからこそ、今回ヒンメルの天職が勇者ではなかった事がさらにハジメを驚かしたのだ。

 

「プッアハハ!!なんだよヒンメル!お前あんだけ自分は前世勇者だった〜とか言ってたくせに、天職全然ちげーじゃん!偽物の勇者じゃん!」

 

 一人の男子生徒が、笑いながら大声でそう言った。

 先ほども記述した通り、光輝とは違いヒンメルは結構なお調子者であるため、とてもノリが良く、よく乗ってくれる。なので男子生徒はいつものノリのように、悪気は一切なく気軽にそう発言したのだ。そもそもその男子生徒は全くと言ってもいいほど前世は勇者発言を信じていないので、そのような発言したのは仕方がない。

 

「フッ いいじゃないか偽物の勇者で。例え天職が違っても、僕が敵を倒してこの世界の平和を取り戻せば、偽物だろうが本物だろうが関係ない。そうだろ?」

 

 その発言とヒンメルの顔を見て、皆が彼に注目し目を見開かせる。

 

(あぁ、やっぱり彼こそが本物の勇者だ)

 

 

 




ヒンメルをからかった男子生徒を最初は檜山にしようかなー?とか思ったんですが、檜山が自分よりも立場が上だと分かる人物に突っかかるとは思えないため止めました。
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