RESIDENT EVIL Tyrant reincarnation   作:ss好き

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 今回は中々難産でした。原作以上に強くなっているG変異体ですが、あくまでもバーキンのような感染者ではなく、不完全な生物としての側面とさらなる変異により強くなったことを表現しようとして、何度も書き直しました。分かりやすく表現できていたら幸いです。とりあえず、もう少しで第一章が終わります。引き続き本作をよろしくお願いします。


Chapter.12 磁力の鉄槌

 (静かね・・・、こういう時はたいがい良くないことが起こる前触れだけど、ジョンは大丈夫かしら?)

 

 レベッカ・チェンバースは機械室にいた時に比べ、急に静かになった施設に一抹の不安を抱いていた。黄道特急・幹部養成所・アークレイ研究所でも同様に、急に静かになるのは何かが起こる兆候だと理解していた。それも起こってほしくない方のものだ。自分とカルロスが目玉の化物が来たときに備えて、射撃ポジションを整える。タイレルはレールガンのチェックを行っていた。試験場は想像よりも遥かに広く、警察署のエントランスもすっぽりと入りそうだった。迎撃の準備は滞りなく行われ、何も問題はなかった。

 

 (ジョン、こっちの準備はもうすぐ終わるわ。貴方も無事に戻ってきて)

 

そう心のなかで祈っていた時、

 

 『レベッカ!!聞こえるかっ!?ジョンだ!問題が発生した!目玉野郎がh』

 

無線から焦った様子のジョンが通信をしてきた。しかし、その通信も途中で途切れてしまった。切れる直前にほんの一瞬だけ、破壊音と雄叫びが聞こえたような気がした。

 

 「ジョン!?どうしたのっ!?聞こえるっ!?ジョンっ!?」

 

 「問題発生k」

 

 カルロスが確認のため此方に近づいてきた瞬間、施設全体が軋むほどの大きな揺れが襲ってきた。地震と錯覚してしまうほどの大きな揺れは、踏ん張っていなければ立っていられないほど大き く、施設そのものが崩壊してしまうのではと思ってしまった。だが、揺れはすぐに収まり、あたりに静寂が包みこんだ。その時だ、二階の通路がある扉が勢いよく開いた。全員が銃を構え身構えたが、直ぐに下ろした。入ってきたのはジョンだった。彼はそのまま通路の手摺を乗り越え、自分達のフロアに飛び降りた。かなりの高さがあるはずだが、彼はそんなの関係ないと言わんばかりに普通に着地し、此方に走り寄ってきた。その顔は焦りの色が浮かんでいた。どうやら不安は的中したらしい。

 

 「ジョン!良かった、心配したのよ。でも何かあったの?」

 

 「ああ!あの目玉野郎が変異した!」

 

ジョンが其処まで言った直後に、試験場の奥の左側の天井付近が破壊され、巨大な何かが侵入してきた。それをなんて表現したら良いのだろうか。巨大なワーム類かナマコのような(・・・・・・・・・・・・・・・)グロテスクな巨大な生き物だった。そいつは軟体動物のようにブヨブヨした体を試験場に入れた途端、先端が花のように開いた。開いた箇所は口だった。中は大小様々な牙が生え揃っており、飲み込まれたら一巻の終わりだと一目瞭然だった。そしてこの化物にある特徴を見つけてしまった。精製機の部屋で遭遇した目玉の化物の頭部が、肥大化し半ば化物に埋没したような形で存在し、体のあちこちにあの巨大な目玉がいくつも存在していた。この化物の正体はあの目玉の化物なのだと。

 

 (そういえばブラッドが以前に「悪いことは重なるもんだ」って言ってたわね)

 

 私は現実逃避気味に心のなかで呟きながら、迎撃のため銃を構えた。

 

 

 

 

 (オリジナルとRE版のG第5形態のような、しかもRE3のネメシス第3形態くらいの大きさに変異をするなんて、イレギュラーにもほどがある)

 

 俺は何度目か分からないため息を心のなかで吐いた。しかし、これはいくら何でも予想外にもほどがある。変異体とはいえ、本来は不完全な生物のはずのG成体がベースの筈にもかかわらず、G感染者のような凄まじい変異をしてくることに生物の神秘を垣間見た気がした。くだらない考えを消すように軽く頭を振り、改めてこの化物の全体を観察した。形状自体はG第5形態をRE3ネメシス第3形態くらいの大きさにしたような姿をしている。体の数カ所に腫瘍のような膨らみと小さな目玉が集合している箇所があった。かろうじて見える頭部はG変異体のものだが、大小様々な触手があちこちから生えており、その数は数十本はありそうだ。そのうち半分が天井や壁に爪のある先端を食い込ませ、体を支えていた。変異の理由は、施設中の感染者やB.O.Wを取り込んだのが原因のようだ。よく見ると体のあちこちに人間やハンターの手足や頭部、タイラントの上半身が溶けかかった状態で体のあちこちに中途半端に融合していた。背中や数本の触手から強酸性の液体を滴らせている。見るだけで生理的嫌悪感を抱かせる容姿をしていた。

 

 「タイレル!レールガンの準備は!?」

 

 「すまん!準備は出来ているが、電力の充電に九十秒必要だ!暫くは持久戦だ!」

 

 直ぐに撃てないことにもどかしさを感じるが、使用不能よりはマシだ。触手と強酸性の体液に気をつけていれば何とかなる。そう考えていたのだが、突然G変異体が巨大な口を閉じて、モゴモゴと口を動かし始めたのだ。まるで何かを噛んでいるか、痰でも出そうとしているようだった。

 

 「アイツはガムでも噛んでるのか?」

 

 「だとしたら余程のバカか、もの好きが作った超巨大ガムだな」 

 

 「二人とも馬鹿なこと言ってないで、構えて!」

 

 レベッカがカルロスとタイレルの軽口に怒りの声を上げる。唐突にG変異体が口の中のものを吐き出した。それはG成体と巨大化前のG変異体だった。

 

 「嘘だろ・・・!アイツは自分を複製できるのか!?」

 

 「最悪・・・!このままじゃ数に押されちゃう!」

 

 そう言っている間に更にもう三体のG成体が吐き出されてきた。

 

 「何食ったらそんなにポンポンと産めるんだよっ!」

 

 「タイレル!レールガン!?」

 

 「あと十秒だ!」

 

 タイレルがレールガンを構える、G変異体とG成体がタイレルを脅威と感じたのか五体全てが向かっていた。当然黙って見ているつもりはない。が、タイレルは巨大G変異体との射線を調整し、変異体と成体が巻き込まれるようにレールガンを発砲した。凄まじい轟音と雷が落ちたような音を響かせ、変異体と成体を吹き飛ばし、巨大G変異体の口に命中した。しかし黄色い汁を大量に吐いただけで、然程効いているようには見えなかった。

 

 「そんな・・・」

 

 「効いてないのか・・・」

 

 「畜生っ・・・!」

 

 「いや、生き物なら効かないなんてことはない。見ろ、血反吐かは分からないがあんな事になっているのは、それだけのリアクションを取る程のダメージを与えたってことだ」

 

 俺の言葉に諦めかけていた三人は再び闘志を燃やした。

 

 「それに、肉腫や小さな目玉が集まっているところがあるだろ?おそらく急激な体積の増加に体が追いつかず、心肺機能に限界がきて補助のための内臓か何かが、あの肉腫と目玉の集まっているところなんだろ。あれを潰せば、一時的に動きをかなり阻害できると思う。俺が吐き出してくる奴らを相手するから、二人は本体に攻撃を頼む。タイレルは引き続きレールガンを頼む」

 

 「「「了解」」」

 

 「よし!始めるぞ!」

 

 

 

 

 タイレルは元フランス外人部隊のメンバーであり、情報戦のエキスパートでもある。交渉力も中々のものであり、そのスキルを駆使して様々な作戦で活躍してきた。部隊を離れ、U.B.C.Sに入隊してもそのスキルはいかんなく発揮され、歴戦の傭兵としても様々な戦場を生き抜いてきた。戦友であるカルロスとも長い付き合いになり、今までも何度も死ぬかもしれないと考えた任務は数しれず。しかし、そのたびにチーム・バディを組み過酷な任務をこなしてきた。そのため、彼はちょっとやそっとでは動じないどころか、軽口を叩く胆力も持ち合わせていた。しかしそんな彼は今、

 

 「畜生っ!!くそったれめっ!!」

 

 Fワードを連発しながら悪態をついていた。ジョンが生み出される化物の子供(G変異体とG成体)を相手取り、カルロスとレベッカが巨大化した目玉の化物(超巨大G変異体)の肉腫と目玉、時折此方に向かってくる触手に銃弾を撃ち込み、タイレルを守っていた。そしてジョンの予想どおり肉腫と目玉を潰された化物は、苦しそうなうめき声を上げて悶えていた。しかし、未だに状況が好転しているとは言いがたかった。細く小さい触手は此方を串刺しにしようと伸ばされ、太く大きい触手は全員をなぎ倒そうと振られることがある。カルロスとレベッカは何とか牽制射撃で阻止しているが、かなりきつい。ジョンは吐き出される化物の子供を一人で相手取っていた。最初に相手した目がない奴と、目がついた不細工な顔の新しい奴。普通に考えれば不利どころの話ではない、自殺行為だが不安は感じなかった。一対六の数をものともせず、マグナムとグレネードランチャー、体術を駆使して次々とノックアウトしている。

 

 (レールガンはあと十秒でチャージが終わる。クソッ!やはり極限状態じゃ一秒すら長く感じる。口の中に銅のような味がして、世界が減速して見える。アドレナリンが大量に出ているな・・・)

 

俺は焦りながらもどこか達観したように考えていた。そして遂にレールガンのチャージが完了した。

 

 「皆離れろっ!!レールガンを撃つぞっ!!」

 

その言葉に全員が距離をとり、衝撃に備えた姿勢をとる。いざ撃とうとした瞬間、唐突に化物の口が動き、何かを勢いよく吐き出した。自分に向けて。咄嗟のことに避ける事もできず、まともに食らってしまった。

 

 「ぐあっ!」

 

 「タイレル!」

 

 最悪の事態を考えた。しかし身体は死ぬほど痛いが、動けない程ではない。出血もなく、少し離れた場所にレールガンが転がっていた。そして視線を下に向けると、自分の腕くらいの長さがある爪が刺さっていた。抜いてみれば先端は若干丸みを帯びており、チョッキの布部分は貫かれたが、その下セラミックプレートに止められていた。

 

 (防弾チョッキに感謝だな)

 

 「タイレル逃げてっ!!」

 

レベッカの悲鳴のような声が響いた。咄嗟に化物に目を向ければ、大きな触手四本を自分に向けて振り下ろそうとしていた。そして、今から行動しても遅いと理解した。

 

 (すまん、後は頼む・・・)

 

覚悟を決め、衝撃に備え身を固めていると、

 

うおぉぉぉーーーー!!!

 

ジョンが雄叫びを上げながら此方に向かって走っていた。その速度は凄まじく、残像が見えそうな勢いだった。俺の傍まで来た時は少し減速し、掬い上げるように持ち上げられ、そのまま流れるような動きでレールガンを回収し、その直後に触手が振り下ろされた。ほんの数秒程の出来事だった。ジョンと俺の距離はかなり離れていたが、一瞬で接近し回収されてしまった。

 

 (ジョン・・・、お前はひょっとして・・・)

 

頭の中にある考えが浮かんだが、それはジョンがレールガンを構えた時に隅に追いやった。考えるのは後だ、まだ戦いは終わっていない。

 

 「食らえっ!!」

 

その声とともに引き金が引かれ、極超音速の砲弾が化物から見て左側面に命中した。大きく体がえぐり取られ、苦悶の声を上げていた。

 

 ギシャアアアアアーーーー!!!!!

 

 そして力が抜けたように怪物の体がぐにゃりと潰れ、頭の位置がかなり低くなった。ジョンはレールガンを構えたまま怪物の頭に近づき、その眼前に砲口を突きつけた。溶けかけのアイスみたいに潰れた怪物はかなり低くなり、今なら体の大部分を吹き飛ばせそうだった。

 

 「とっとと失せろ、ベイビー!」

 

 少し格好をつけた決め台詞とともに引き金が引かれ、化物の体が一瞬膨らんだと思った瞬間、空気を入れすぎた風船のように破裂した。俺達は腕で顔をかばい再び目を向ければ、大きく大部分が消し飛んだ二つに裂けたような肉片と、その奥の何枚もの分厚い隔壁のような扉を穿つ、赤熱した穴があった。その光景が生み出すのはある一つの結果だった。不死身かと思えたあの化物を仕留めたということだった。

 

 

 

 




 最後のダッシュはバイオ5のウェスカーダッシュを少し遅くした感じです。決め台詞はこれかなと思い書きました。某殺人機の二作目終盤のあの場面です。次回もよろしくお願いします。
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