RESIDENT EVIL Tyrant reincarnation   作:ss好き

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Chapter.15 帰還と未帰還

 警察署まであと数分という処でその音が聞こえた。僅かな衝撃波と遅れて到達した爆発音。思わずパトカーを止めて通ってきた道、病院のある方向を振り向く。爆炎ときのこ雲が立ち上っていた。カルロスとタイレルも私と同じように確認し、

 

 

 「まじかよっ・・・!」

 

 「まさかっ・・・!」

 

最悪な予感を感じ、咄嗟に無線機に手を伸ばした。

 

 「ジョン、聞こえる?ジョン?ジョン!!お願い!!返事してっ!!ジョンっ!!」

 

どんなに声を張り上げても無線からはあの低く威圧感と優しさが同時に存在する彼の声は聞こえなかった。

 

 「そんなっ・・・!」

 

また仲間を失ってしまった。しかも自分と仲間を守るために、その身を犠牲にしてしまったのか?出会って間もなかったとは言え、もう彼は大事な仲間でありバディと言える存在だった。挫けそうになったり、絶望で何もかも諦めそうになってしまいそうな時も、励まして元気づけてくれた。意見や作戦を考えてどんな時でも道を示してくれた。そんな彼がもう戻ってこない、それだけで膝から力が抜けそうになる。その時、背中に強い衝撃を感じた。驚いて振り返ると、カルロスが背中を叩いたようだった。その目は力強い光が宿っているようだった。

 

 「しっかりしろレベッカっ!!ジョンは必ず戻ると約束しただろ!?それを疑ってどうするっ!?心配なのは分かるが、アイツも言っただろ?目的を忘れるな、運命は自ら切り拓くと。アイツとは付き合いが短いが、アイツの目はよく知ってる、確固たる信念と決意を持った目だ。ああいう奴は何だかんだ生き延びるタイプの人間だ。そして約束を絶対守る。俺達はそれを信じて警察署に戻り仲間を救う、だろ?」

 

カルロスが活を入れつつ茶目っ気のあるウィンクを最後に励ましてくれた。タイレルも、

 

 「カルロスの言う通りだ。心配なのは分かるが、今は俺達ができることを取り組んでいくしかない。大丈夫だレベッカ、ジョンは研究所のあの絶望的な状況でも俺達を守って、勝利を掴んできたんだ。このチームのリーダー(・・・・・・・・・・)を信じるんだ」

 

二人はジョンを信じていた。私よりも短い付き合いの二人がこれだけ彼を信じているのに、私は簡単に諦めてしまっていた。ふざけんじゃないわよ!レベッカ・チェンバース!バディと思っているなら何があっても彼を信じないでどうする!?私は両手で思いっきり自分の頬を叩き活を入れる。

 

 「ごめんなさい、そうよね。信じないなんて、私達を信じてくれてるジョンに失礼よね。カルロス、タイレル、ありがとう」

 

 「気にするなって!」

 

 「俺達は仲間だ、仲間なら互いにフォローし合うのは当然だ。何かあったら遠慮するな、何でも言ってくれ」

 

二人の力強い言葉にサムズアップと力強い頷きで応え、私達は再度パトカーに乗り込みラクーン警察署に帰還した。

 

 

 

 

 (おもしろい!!何なんだあのタイラントは!?素晴らしい!!)

 

アークレイ山中のモニターと無線機、盗聴器などの機器が詰め込まれた大型車の中で、黒装束の男は内心の興奮を鉄仮面のような動かない表情で隠しながら、モニターに映る対象[特殊変異個体のT-103型タイラント]を食いしばるように見入っていた。切っ掛けはアンブレラの無線盗聴から件のT-103型タイラントが暴走していると報告が入ったからだった。最初は然程興味はわかず、精々はないよりはマシ程度の考えしかなかった。ラクーンシティの監視カメラにハッキングし、そのタイラントはすぐに見つかった。そして彼にしては珍しく、かなり驚いてしまった。そのタイラントは拳銃で武装していたのだ。確かにタイラントの改良型であるネメシスT型は武装する知能は持っていた。しかし、T-002より格段に進歩しより人間に近い姿をしているとは言え、T-103型は其処までの知能は存在しない。一応は回収任務を任せられるくらいの知能は存在していたが、ドアの開閉が分からず破壊するしか出来ず、目標が違う階層にいる際は床や天井を同じ様に破壊することでしか移動できない筈だった。だが、このタイラントはゾンビやゾンビ犬を拳銃[アンブレラリボルバー]で処理していき、更にはリロードや間合いに合わせて体術を駆使して戦闘を行う戦術も身に着けていた。状況に合わせた適切な戦闘、力任せではない技を伴った体術、これだけでも通常のタイラントでは見られない高度な知能を有していることが分かる。

 

 (思わぬ収穫だ、これはかなりの有益なデータが取れる)

 

そう考え観察を続けていると予想外な人物が現れた、S.T.A.R.S.隊員のレベッカ・チェンバースだった。とっくに逃げ出している考えていたが、まだ残っていたようだ。しかし、タイラントと出くわすとは運がない。彼の予想では彼女はこのままタイラントに殺されると考えていたが、決定的にこのタイラントが特殊変異個体と何故言われているのかを目撃した。

 

 (馬鹿なっ!?タイラントが!人間と同じ言葉を話すだと!?そして何故、暴走状態にもかかわらず彼女を助ける!?)

 

あり得ないことだった。イレギュラーミュータント、同種の生物兵器間での何らかのコミュニケーションを取る事は確認されている。だが、人間と同じ言葉を話しコミュニケーションを取ることが出来る生物兵器は存在しなかった。そして暴走しているにもかかわらず、襲うことなく彼女を助けたのか?

 

 (一体このタイラントは何だ?どれだけの能力がある?興味深い!)

 

タイラントはレベッカの案内でアンブレラ系列の企業の食料庫に入っていった。カメラを切り替え会話を盗聴する。そして分かった事が、このタイラントには人間と同じように喜怒哀楽がありジョンという名前を持ち、自分の意志で生存者の救助に来た。独りでに起動し、目覚めた時には既に自我を有していた。一連の話を聞き、生物兵器の能力は素晴らしいの一言だがあまりにも人間的すぎた。黒装束の男としてはタイラントの性格は真っ直ぐな青臭い男の様だと評した。しかし、黒装束の男はそんな考えとは裏腹に、特殊タイラントの能力にますます興奮する。かつてアークレイ研究所で親友と共に目指した究極の生物兵器の完成形に近い存在が目の前に居たのだから。警察署・ラクーン総合病院・NEST2の一連の戦闘で、戦闘能力だけではなく作戦立案、戦術・戦略の作成能力にくわえて味方の鼓舞による戦意維持と人間との連携と指示、一生物兵器の範疇に収まらない素晴らしい能力に親しい者が見れば驚く位には興奮した様子を見せていた。タイラントの群れ・スーパータイラント・G変異体・巨大G変異体・グレイブディガー・ネメシスの戦闘には彼の心には興奮と高揚が湧き上がってきた。

 

 (使える!このタイラントは俺の計画とH.C.Fの権力の掌握に!)

 

今はネメシスのロケットランチャーによりガス管を爆破され、タイラントが爆炎に消え監視カメラも破壊されたため、タイラントの行方は不明だが死んではいないと己のウイルスの投与により得た能力で何となく分かった。男、元S.T.A.R.S.総隊長アルバート・ウェスカーは一度モニターを消し、彼にしては珍しい興奮を醒ます為に一度目を閉じ、深い思案に沈むことにした。

 

 

 

 




今回はちょっと短めです。次回からエピローグを数話入れて、新章に入って行きます。
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