RESIDENT EVIL Tyrant reincarnation   作:ss好き

19 / 47
お待たせしました。今回でエピローグは終わり、次回あの二人が本格的に登場します。


エピローグ.3 ある傭兵隊長、金がすべての男

 その男は元ソ連軍人で大尉であった。ソ連崩壊後は退役し少数民族出身の妻と共に民族独立のためにゲリラ組織のリーダーとなり、数々のテロ活動を行っていた。その後に逮捕されるが、「U.B.C.S.」の傭兵コーディネーターから同じく逮捕された仲間の銃殺刑免除を提示され、それを承諾し雇われる。

 指揮官としては非常に有能な人物で、ゲリラ時代より発揮していたその優れた指導能力と統率能力を駆使して、計三十名のデルタ小隊をならず者の寄せ集めと思えない程の団結力を発揮出来るまでに成長させた。しかし、その小隊ももはや壊滅したと言っても過言ではなかった。

 自身の部隊をあわせて一個中隊程のU.B.C.Sがラクーンシティに投入されたが、1日も経たずに多くの死傷者を出してしまい壊滅状態に陥った。何とか生き残った隊員とともに市民の救助を行おうにも、感染者の数は予想以上に多く多勢に無勢だった。結局残った隊員は自分を含め、カルロスとタイレル、マーフィーとニコライの五名だけだった。そのニコライも行方不明になりいよいよ任務どころではなくなった隊は、司令部に撤退許可を求めたが帰ってきた言葉は”NO”だった。そして新たな任務としてラクーン総合病院の地下にあるNEST2にあるワクチンを取ってこいというものだった。

 ふざけるなと怒鳴り声をあげたかった。だが帰還の手段は司令部が握っているため下手なことは言えなかった。男はカルロスとタイレルにワクチンの回収を命じ、自分とマーフィーは引き続き市民の救助を続行した。そしてそれが生存者たちの合流という幸運とある悲劇につながってしまったのだった。

 

 

 

 

 「隊長・・・申し訳アリマセン・・・しくじりマシタ・・・」

 

 男の前には部下であるマーフィー・シーカーがいた。しかしその姿は変わり果てていた。細身だが長身でガッシリとした身体はところどころ欠損したような傷があり、血の気も引いていた。何よりも彼からは腐敗臭がしており、目も片方が濁って死人のような状態だった。もう片方の瞳も少し濁っており、感染しているのは明白だった。そしてその手には少し汚れた水筒が握られていた。

 

 「馬鹿者っ!市街の水は汚染されているといっただろう!・・・マーフィー・・・!」

 

 「スミマセン・・・ですが・・・もう限界だったです・・・!無茶なにむ・・・!全滅した他の部隊・・・!ホキュウも受けられない状きう・・・そんななかで、うえを耐えろナンテ・・・!」

 

 「マーフィー・・・」

 

 男は何も言えなかった。自分でも心が折れそうになっている。一歩間違えれば発狂しても可笑しくない状況で男は凄まじい精神力で冷静に行動していた。しかし、彼は発狂こそしてないが耐えられず混乱し、それに加えて喉の渇きを抑えられず何処かの水道の水を飲んで感染してしまったのだろう・・・。

 

 「隊長・・・自分はモウ助かりマセン・・・さいごにタノミを聞いてくれますか・・・?」

 

 彼が何を頼もうとしているかは直ぐに理解できた。人間として終わらせてほしいのだと。

 

 「モウ意識が持ちマセン・・・!コレイジョウは迷惑をかけられません・・・!隊長・・・!!コロシテ下さい・・・!セメて人間でアルうつに・・・!・・・タイチョウ・・・!」

 

 「ああ・・・分かった・・・マーフィー・シーカー伍長!・・・ご苦労だった・・・」

 

 「幸運を・・・!」

 

一発の銃声が街の一角に響いた。

 

 

 

 マーフィーを可能な限り丁重に葬り、一度救助のため拠点兼シェルターにしていた地下鉄

[カイトブロス・レールウェイ]に戻ろうした時だ、

 

 『ミハイル隊長!聞こえますか!?こちらカルロス!」

 

 無線からカルロスの声が聞こえてきた。

 

 「カルロス!無事か!?」

 

 「はいっ!タイレルと共に無事ワクチンの回収を完了しました!それと三人の生存者を救助しました!うち一名は感染していましたが、ワクチンにより回復に向かっています」

 

 朗報だった。二人はワクチンを回収し更には生存者の救助にも成功したのだ。それと同時にマーフィーがあともう少し持ちこたえてくれていたらと思わずにはいられなかった。

 

 (いや・・・ああすれば、こうすればなどもしもの話は意味がない。アンブレラに雇われた時点でまともな死に方は望めない。マーフィーもそれを承知で入隊した。しかし、親友だったカルロスに彼の死を伝えなければならないとは・・・)

 

 彼は明るい声で無線通信を行うカルロスにこちらの状況を伝えるべく口を開く。彼を介錯した者として、部隊の隊長として、彼[ミハイル・ヴィクトール]は状況を報告した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 男は大通りで行われたB.O.Wとイレギュラーミュータントの戦闘を静かに興奮しながら記録していた。特にイレギュラータイラント(ジョン)の戦闘はより細かく詳細が分かるように注意していた。

 (ネメシスもあの学習能力は凄まじいが、やはりあのタイラントは更に興味深いな。素早い再装填のためにグレネード弾を腰ベルトに挟み込み、足元に弾薬箱を設置し即席のIEDもどきまで作成するとは・・・ますます金になるな)

 

 男はNEST2での破壊工作とイレギュラーミュータントとB.O.W、感染者の生体組織の回収を行い、地上に戻ってきた時に偶然この戦いを目撃したのだった。貴重なタイラントクラスのB.O.Wの戦闘に加えて、巨大なイレギュラーミュータント(グレイブディガー)の出現、ネメシスの戦闘能力に生命力は男からすれば宝の山のような情報だった。

 残念ながらタイラントの方は爆発に飲まれて消えてしまったが違和感があった。タイラントが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。しかし、それは一瞬であったし確証があるわけではないため男は早々に思考から追いやった。

 

 (一度拠点に戻り装備を整えるか・・・サンプルの整理に報告もしなければな。ふふ・・・同志大佐が喜びそうだな。そしてその他の幹部達も今回の情報には今まで以上の額の金を払うに違いない!ネメシスもまだ生きているならS.T.A.R.S.の生き残りを襲うだろう。そちらも引き続き観察と記録を取ることにしよう)

 

 そう考え男は素早い身のこなしで拠点のあるラクーン私立公園に向かった。

 

 (S.T.A.R.S.諸君、生きろ。俺が更に大金を得るために、君たちには生きていてもらうぞ)

 

 男、ニコライ・ジノビエフは薄っすらと笑みを浮かべながら拠点に走っていった。




コロナに感染したり、仕事が忙しくなったりして中々手を付けられませんでした。又、新しく小説を書き始めたため、それも原因だったりします。マーフィーの階級はオリジナル設定で、カルロスと同じにしています。不定期ですが、これからも本作を宜しくお願いします。感想や評価もお待ちしています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。