RESIDENT EVIL Tyrant reincarnation   作:ss好き

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 お待たせしました。いよいよあの二人の物語も始まります。そして新章に入ります。


市街脱出
プロローグ.2 ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ


 ジープを走らせながら運転手である若い男は自らの中の不安が大きくなっていることに気づいていた。男の名はレオン・S(スコット)・ケネディ、ラクーン市警に配属予定の新人警官だ。警察学校を優秀な成績で卒業し、めでたくラクーン市警の新たな仲間として、警察官としてのキャリアを踏み出そうとしていた。しかし、そのラクーン市警から数日前から待機命令を受けていらい音信不通になっていた。何度連絡しても繋がらず、とうとう自ら街に向かい状況を確認しようと愛車を走らせ、ラクーンシティへと向かったのだった。

 

 (おかしい・・・静かすぎる・・・まだこの時間ならカフェやバー、レストランで飲み物や食事をしている男女や、各々の理由や目的で外を出歩いている市民がいるはずだ・・・なのに何だ?この異様な閑散と静けさは・・・)

 

 レオンはハイウェイからラクーンシティに入ってからの街の様子に薄ら寒いものを感じていた。街の建物には明かりはついているが、人っ子一人いない様子だったのだ。通りには何台か車が止められてはいたが、市民の姿は見られなかった。

 まだ街に入ったばかりで、郊外とは言わずとも街の入口近くではあったため、人が少ないだけとも一瞬考えた。しかし、いくら少ないとはいえアパートやコンビニ、レストランやバー・カフェといった建物があるのだ。流石にここまで人がいないのはおかしいことだった。まるで街の住民すべてが引っ越しでもしてしまったようだった。

 

 (落ち着けレオン・ケネディ・・・大丈夫だ。今日はきっと何かのお祭りか教会のミサに参加しているんだ・・・皆スパゲティパーティーでもしているんだろ)

 

 自分でも現実逃避していると自覚はしているが、この普通じゃない状況に対して何かしらの理由を考えていなければ落ち着けないほど、レオンの不安は大きくなっていた。そして内心の不安と動揺を誤魔化そうと考えをめぐらしていた時だ、前方の道路の丁度中央に多数のカラスが何かをついばんでいるのを見つけたのは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クレア・レッドフィールドは長時間バイクに跨り走っていたため、お尻が固くなり痛みを感じていた。やっとの思いで到着したラクーンシティは異様な静けさに包まれていた。建物に明かりがあり、通りには何台かの車が止まっていたが、肝心の住民の姿はどこにも見えなかった。いくら街に入ってすぐ、外れるの方だとしても人がいないのは異常だった。

 クレアは誰か住人がいないかあたりを見回した。通りの一角に飲食店があり、中で人影が動いていた。

 

 (よかった、少なくとも一人は住人を見つけられた。一応は護身用に拳銃を持ってきているけど、正直心許なかったし。でも相手がおかしな奴だったら・・・)

 

 持ってきた拳銃[SLS60]は9mm弾を五発装填可能な小さな拳銃だった。それでも人間相手には十分な威力を発揮してくれるだろう。彼女は心を落ち着けるように深呼吸をすると、その店に向かって歩き始めた。

 

 

 

 

 中は明るく綺麗に掃除された小さめのレストラン兼カフェだった。しかし客の姿どころか店員の姿も見えない。先程の人影は何だったのだろうかと思いながら、慎重に奥へと足を進める。

 

 「あの〜、こんばんは〜。誰かいない?あの〜」

 

 声をかけれど返事はない、その時だった、妙に湿った”クチャクチャ”という音が聞こえてきた。店の奥のカウンター席の前に人が屈んで何かをしていた。

 

 「あの〜、すみませn」

 

 彼女は言葉を失い息を呑んだ。死人のような肌をした男が屈んで人を食べていたのだ。その男はこちらの気配を察したのか、ゆっくりと振り返りなが立ち上がった。両目は白濁し口元は血だらけだった。そしてゆっくりと両手を上げながらこちらに迫ってきた。その姿は映画や漫画で出てくる化物、ゾンビそのものだった。

 

 「な、何よ・・・邪魔したかしら?もしそうなら謝るから・・・だから来ないで!」

 

 銃を抜くことも忘れてそう叫びながら後ずさった。店の出入り口に背中がぶつかった瞬間、振り向き外に逃げようとした。だが不可能だった。外に二人、店の男と同じ様な姿(ゾンビ)をした男二人が扉の窓に顔を押し付けていた。

 慌てて周りを見た。店の左側に裏口があった。クレアは急いで走り出し、裏口まで急いだ。そして勢いよく扉を開けた先には、大型拳銃を自分に構えた若い男が驚いた顔で立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ありゃ何だ?」

 

 レオンは道の真ん中でカラスが多数集まっているのを確認した。車のライトとエンジン音にカラスたちが驚き飛び去った瞬間、レオンは心臓が早鐘のように早くなり、体が寒くなるのを感じた。女性が一人倒れていた。全身をカラスについばまれ血まみれだった。

 レオンは腰にさした拳銃[VP70]のスライドを引き、初弾を薬室に装填した。が、彼は一瞬悩んだあと、助手席の下に置いてある頑丈そうなケースを開き大型拳銃(・・・・)を取り出した。それはレオンの父と叔父(二人とも警察官である)に卒業祝いとして送られた物で、イスラエル製の大型オートマチック拳銃[デザートイーグル.50AE]だった。しかも、通常モデルとは違い10インチの銃身を持つカスタム仕様だ。VP70には装填したマガジン分の弾しかないが、デザートイーグルは装填分あわせて3つのマガジンがある。弾数的にも予備の銃を持っていった方が良いとレオンは考えた。

 VP70を構え周囲を警戒しながら慎重に女性に近づいていった。傍まで近づき、顔を確認すると、目は閉じられ顔は汚れているものの綺麗だった。口元と鼻に手をやり首筋の脈も確認するが、呼吸も脈も確認できなかった。その体は何かに噛みつかれ、食いちぎられた痕とカラスについばまれたであろう傷痕が無数についていた。

 その内のいくつかは致命傷と思われる傷も複数あった。

 

 「クソっ!ひどい傷だな・・・」

 (まさか・・・これが猟奇殺人事件の犯人の仕業なのか?新聞やニュースの情報と一致する傷だが・・・)

 

 レオンは噛み傷が犬やその他の動物ではなく、人間の歯がつけた傷だと見抜いていた。野犬などを始めとした様々な動物の歯型の傷の見分け方など、動物による被害についての研修を学んできたことにより、その傷の形がどの動物のものに当てはまらなく、人間の歯型以外あり得ないと分かったのだ。

 

 (どうする?モーテルでも電話は繋がらなかった。公衆電話から消防と市警に連絡しても繋がるか?)

 

 連絡がつかなかったら、この女性をここに置き去りにするしかなくなる。そうなったら女性がどうなるか分からない。住民が見当たらないなかで不審な死体、やっぱり最近の俺は運がないな。

 レオンがそう胸の中で愚痴をこぼしながら思案していた時だ、周りから凄まじい腐敗臭した。

 

 ア゙ア゙ァ゙ーーーーー・・・!

 

 オ゙オ゙オ゙ォ゙ォ゙ーーーーーーー・・・!

 

 それと同時に複数のうめき声があたりを包み始め、路地裏や建物の中から住民と思われる人々が次々と現れてきた。何故住民と思われるかと問われれば、その姿が異様だったからだ。身体のあちこちが傷だらけであり、首筋が大きく裂けているものいれば、腹部が破れて腸が飛び出しているか齧り取られた様な大きな傷があちこちにあったからだ。どう見ても動けるどころか、死んでいなければおかしい致命傷だった。

 何故動ける?どうして歩いていられる?そもそも生きているのか?レオンの頭は疑問と思案で一杯一杯だった。

 

 (何だコイツらはっ!?この姿・・・まるでゾンビじゃないかっ!?まさかっ!?ラクーンの猟奇殺人事件の犯人はこのゾンビ共が・・・?)

 

 レオンは眼の前の存在に対して半ばパニックを起こしつつも、警察官としての対応を行っていた。

 しっかりしろ!レオン・ケネディ!俺は警察官だ!訓練学校の手順を思い出せ!

 

 「よし!そこまでだ!全員その場で動くな!」

 

 レオンは内心警告は無意味だと思っていた。しかし、自分は警察官だ。問答無用で発砲することは許されない。だが近づいてきたため、より詳細に彼らの身体の状態を確認できてしまった。彼らの身体にある傷は、到底生きていられるとは思えない程には酷いものだった。よしんば生きていられたとして、あの傷では立ち上がるどころかうずくまっているのが精々な筈だ。

 クソっ!やはり最近の俺はどうも運がない!初出勤でまさかB級ホラーのモンスターのような連中の相手をすることになるなんて!

 

 「動くな!!」

 

 先程よりも更に大きな声で警告を発する。しかし住民と思われる者達は止まらず、両腕を上げながらふらふらしながら、さらに近づいてきた。

 やはり・・・!こいつら全員・・・ゾンビ・・・!

 ふと自分の左足が掴まれ、引っ張られる感触がし後ろ下を確認する。どう見ても死んで倒れていた女性が自分の足首を掴んでいた!その口は大きく開かれ血と大量の唾液が滴っていた。

 レオンは咄嗟にVP70を女性に発砲した。ビクリと大きく痙攣し、動かなくなった。再び前を向くと更に距離を縮め、数も多くなっていた。レオンは警告することをやめた。十分に発砲する条件は満たしている。一番近くの住民・・・否、ゾンビの胸に二発発砲した。

 

 ドンッ!ドンッ!

 

 「バカな!?急所だぞ!?」

 

 人間なら致命傷になりうる位置への銃撃にも関わらず、多少怯むだけで構わず歩いてきた。

 

 (やはり・・・!コイツらは、紛れもない・・・ゾンビ!?)

 

 続けて発砲するが、やはり効いている様子は見えなかった。後退しながら撃ち続け、路地裏まで下がったところで、とうとう残弾が一発になってしまった。

 

 「もう弾が・・・!」

 

 デザートイーグルを抜くべきか考えていた時だった。右側から足音と共に扉が開いた。あいつらかと思い銃を向けたが違った。

 自分よりも更に若い女性だった。ポニーテールの髪型にホットパンツに赤いジャケット、皮の長いブーツを履いた活発そうな印象が特徴的だった。その後ろには男性のゾンビが近づいていた。

 

 「まって!撃たないで!」

 

 「しゃがめ!」

 

 ドンッ!

 

 しゃがんだ瞬間、女性の背後に迫っていたゾンビの額に向け発砲した。見事に命中し、電池切れの人形のように固まり、そのまま背中から倒れ二度と動かなかった。女性は驚いた表情で本当の死体になった男を見て、再び前を向くとレオンを見上げた。レオンは努め優しく冷静な声音で声を掛け、手を差し出した。

 

 「ここは危険だ。一緒に警察署に向かうぞ」

 

 

 

 

 (まずいな、数が多い。半ば包囲されてるな・・・)

 

 レオンは裏路地を抜けて通りに出たはいいが、状況は悪化の一途を辿っていた。自分が乗っていたジープがある通りはアイツらで溢れている。そしてこの通りも同じ様な有り様だった。

 

 (このままじゃディナーになるのも時間の問題だな)

 

 思わず弱気なそして最悪な考えが頭をよぎるが、隣りにいる保護した女性を見て自分を叱咤する。

 しっかりしろ!レオン!俺が諦めたらこの女性も終わりなんだぞ!それに見ろ!彼女は諦めていない。戦う意志を見せているじゃないか!

 女性は護身用と思われる小型拳銃(SLS60)を構えていた。それを見てレオンも活を入れ、弾のないVP70をしまい、デザートイーグルに交換する。弾数は心もとないが、弱点は頭部だと分かった。とにかくこの包囲網を突破しなければ。

 

 (コイツらは足が遅い。進路を確保した瞬間に走れば何とかなるはずだ。覚悟を決めろ!)

 

 俺は女性に作戦を話そうと口を開きかけた時だ、

 

 「伏せろっ!!」

 

 低くそれでいてよく通る声が通りに響いた。俺と女性は反射的に伏せた。その瞬間、

 

 ドガガガガガガーーーー!!!!

 

 連続した銃声が響いた。銃声の連射速度と時間から軽機関銃(ライトマシンガン)だとすぐ分かった。十秒近くたった頃に銃撃が止んだ。周りを見るとゾンビの群れがすべて倒されていた。そして銃撃を行った主を見る。

 二メートル以上の長身に筋骨隆々な身体、堀の深い顔立をして頭部は髪の毛がない、スキンヘッドにした大男だった。見慣れないデザインのトレンチコートを着ていて、ベルトには茶色のウエストポーチと大型のリボルバーが入ったホルスターを着けていた。そしてその手には軽機関銃(M249)を持っていた。大男はゆっくりと近づき声を掛けてきた。

 

 「無事か?」

 

 見た目とは裏腹に優しい声音で問いかけてきた。




 くどいような文章になってしまったかもしれません。読みづらかったり分かりづらかったら申し訳ありません。デザートイーグルはノベル版バイオハザード2では父と叔父に卒業祝いとして買ってもらい、最初からマグナム装備の状態でスタートします。機関銃はPC版バイオハザードの隠し武器として登場するため、それを拾ってきました。
 次回は彼の目覚めから始まります。よろしければこれからも本作をよろしくお願いします。
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