RESIDENT EVIL Tyrant reincarnation   作:ss好き

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今回はラクーン事件の悲劇が濃縮されたようなあの二人が登場します。


Chapter.5 助けられた命

 男は自分の店の奥にある小屋の中で愛娘の看病をしていた。ラクーンシティでバイオハザードが発生した際、男は自分の店の品物を可能な限り市民に提供した。男は銃砲店の店長であり、ジルやレベッカ達S.T.A.R.S.隊員達からの信頼も厚いガンスミスだ。彼は戦う意志(生き残る気)がある市民に銃器を渡した後、家族とともに避難の準備をしたがそのさなかに男の妻が犠牲になってしまった。街の混乱もあり、自分の店に残された娘とともに籠城しようとしたところで感染者の襲撃にあい、娘が感染してしまったのだ。思いつく限りの様々な方法で手当てを行い看病してきたが、娘の容態は一向に良くならず、男の胸には絶望の影が広がっていくのを感じていた。

 

 「なでこんなことになったんだ・・・?なんで俺達がこんな目に遭う・・・?俺達家族の天使だったのに・・・!」

 

 思わずそう呟いてしまうが答えなど分かるはずもなかった。男はいよいよ覚悟を決めなければならない時がすぐ近くまできたことを感じていた。娘が人間でなくなってしまう前に、まだ生きている人間に迷惑をかけ、業を背負ってしまわぬように。しかし、いざ覚悟を決めようとしても決められなかった。それが親として娘にできる最後のことだというのに・・・。

 その時だ、店の扉が開き誰かが中に入ってきた音がしたのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジョン達はレオンの案内で警察署に向かって歩いていた。事故を起こし炎上するタンクローリーが道を塞いでいたため、やむなく回り道をすることになったのだが、以外にもさほど遠回りせずに警察署に向かえる道をレオンが知っており、道案内を買って出てくれたのだ。

 

 「レオンはラクーンに詳しいのね?」

 

 「小さい頃に住んでたし、勤務前の下見と家を借りるために何度も来てたからな。・・・あぁ、少ないとはいえ、こんなことになるなら荷物は送らないほうがよかったな・・・」

 

 「ご愁傷さま」

 

 (レオンはなんというか・・・悪運は強そうだが、運自体は悪そうな感じだな・・・将来様々な厄介事や悪意にさらされなければ良いが・・・)

 

 ジョンはレオンに対して同情しつつ、彼が将来的に厄介事や悪意に巻き込まれて苦労しないか心配だった。レオンは話してみれば正義感が強く、困っている人や理不尽な暴力にさらされている人間をほっとけない質だとすぐ分かった。しかし、ラクーン入りするまでのことを聞くとトラブルメーカー気味な体質だと感じていた。本人は真面目で善良だが、トラブルが向こうからやってくるか、トラブルに知らずに突っ込むタイプの人間だと、この短時間に彼の人間性を理解していた。

 

 (クレアもクレアで19の大学生とは思えない身のこなしだな・・・普通はしないだろ、渡された銃のチェンバーチェックを始め、各部の簡易点検なんて・・・兄のクリスはどういう教育をしていたんだ?)

 

 クレアは兄クリスの消息が分からなくなったため、単身ラクーンにバイクに乗ってやってきたとのことだ。このアメリカで銃を所持しているとはいえ、未成年の女一人でバイクの旅など勇敢以前に無鉄砲にも程があると少し呆れてしまった。警察官であるレオンも「特殊部隊が設置されるぐらいには治安が悪い、ラクーンに一人でバイクで来るのは流石に無茶がすぎる」と言うほどだった。クレアも自覚があるのか、バツの悪そうな顔をしていた。

 

 (しかし、この二人と居ると妙に懐かしさと感動を覚えるな・・・前世の記憶がなくなったのが悔やまれるな・・・)

 

 ジョンは何度目かわからない、記憶の欠如に嘆いた。

 

 

 

 

 レオンは通りから少し離れたガンショップにジョンとクレアを案内していた。街の下見をしていた時、レオンは様々な道を頭に叩き込んでいた。ラクーンは人口十万人規模の街の割には非常に発展しており、かなり複雑で迷路のような裏路地に通りがかなりの数存在していた。警察官として自分の勤務する街で迷子になるわけにはいかず、事前に頭に地図をインプットしていたのだ。そしてさほど遠回りせずに警察署に向かえる回り道はケンド銃砲店の裏から向かうのが一番近いことも知っていた。銃砲店にたどり着き、警戒しつつも扉を開けようとした時、

 

 「レオン待て・・・!」

 

 「ジョン?どうかしたのか?」

 

 「中に誰かいる・・・」

 

 ジョンの言葉にレオンとクレアに緊張がはしった。ゾンビも脅威であるが、この例を見ない異常事態に理性の(たが)が外れた人間もまた脅威であるからだ。理性はなくとも、知能があり何をしてくるか分からないため、ある意味ゾンビ以上の脅威だからだ。

 

 「俺が先行するから二人はカバーを頼む」

 

 「了解」

 

 「分かったわ、気を付けて」

 

 ジョンは軽くサムズ・アップし応えた。

 

 

 

 

 (さて鬼が出るか蛇が出るか、何にしても油断はできないな・・・)

 

 俺はM249からマグナムリボルバーに持ち替え、体の中心、胸の前あたりに銃を構えるCenter Axis Relock((センター・アクシズ・リロック))(C.A.R.システム)のHighの型をとり、ゆっくりと店内に侵入する。店内はかなり荒れており、陳列棚やガンラックには銃やその他の商品は置かれてなかった。店の奥に向けてゆっくりと進む、奥は屋外でちょっとしたスペースがあり、更に奥には倉庫のようなコンクリの小屋があった。

 

 (・・・人間・・・左だな・・・)

 

 C.A.R.システムの構えを解き、()()()()()()()()()()()小屋に向けて歩く。数歩進んだ瞬間、左側からショットガンを構えた男が飛び出してきた。レオンとクレアがはっとす気配と息遣いを感じた。だが俺にはその動きはとても遅いものに感じた。左手でショットガンを掴み銃口を上に向け、右手で胸ぐらを掴み身体を持ち上げる。男の顔は驚愕と僅かな恐怖が混じったような表情を貼り付けていた。そしてそのまま背中から放るように地面へと叩きつけた。男は意識があったが、痛みと衝撃で起き上がれないらしく、うめき声を上げながらもがいていた。

 

 「動かないで!」

 

 「両手を見える位置に出して動くな!」

 

 レオンとクレアも銃を構えながらやってきた。二人とも油断せずに飛びかかられても問題ない距離から警告と牽制の言葉をかけ、男を見据えていた。男は以外にも回復が早く、仰向けのまま俺達三人の顔を見つめていた。

 

 「お前は誰だ?何故此処にいた?俺達を襲った理由は?」

 

ジョンの問いかけに男は油断のない、それでいて申し訳なさそうな顔をしながら口を開いた。

 

 「俺はロバート・ケンド、このガンショップの店長だ。襲ったのはアイツらか頭のネジが飛んじまった連中が入ってきたからだと思ったからだ。街がこの有り様だからな・・・気が立っていたんだ・・・すまない・・・」

 

 どうやらこのガンショップの店長らしく、襲った理由も納得いくものだった。

 ジョンは二人に目線を向ける。二人も同じように向け嘘は言っておらず、しっかりと理性のある人間だと訴えている。ジョンは小さく頷き、右手を差し出した。

 

 「ジョンだ、こっちはレオンとクレアだ。よろしく」

 

 ロバートはジョンの手を取り起き上がった。

 

 「ああ、よろしくな」

 

 

 

 

 (どうなることかと思ったが、何とか穏便に済んで良かった)

 

 レオンはジョンとロバート・ケンド氏のやり取りを見ながら心のなかで呟いた。銃を持って飛び出したときは最悪の事態も覚悟したが、幸いにも相手は理性を持った人間であり誤解が解けると誠実に謝罪してくれた。クレアも安堵のため息を小さく吐いた。警官としていつかは遭遇する自体とはいえ、こんな状況下で人間と撃ち合いたくはなかった。

 

 「パパ・・・?」

 

 掠れた女の子の声が聞こえてきた。声のした方へ顔を向けると6〜7歳くらいの女の子が立っていた。レオンは安堵しかけたが、すぐにその子の様子がおかしいことに気がついた。顔は青白く目は焦点があっておらず虚ろな感じだった。ロバートが慌てた様子でその子に近づいた。

 

 「エマ!倉庫から出るなと言ったろ?」

 

 ロバートが言い聞かせるような口調で注意するが、女の子はぼんやりした様子で反応がない。パトカーでジョンが教えてくれたTウイルス感染症状に特徴が一致していた。クレアが遠慮がちに慎重に尋ねた。

 

 「ねぇ・・・その子の症状、ひょっとして・・・」

 

 「ああ・・・アイツらにやられたんだ・・・どんどん悪くなってるんだ・・・」

 

 絶望に沈んだ声でロバートが応えた。ジョンは二人に近づきながらしゃがんでエマの顔を覗き込んだ。

 

 「噛まれたのいつだ?」

 

 「まだ1日はたってないと思うが・・・」

 

 「なら・・・君たちは運が良い」

 

 ジョンはそう言いながらウエストポーチに手を入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (バード博士のワクチンはやはり凄いな、もう回復の兆しを見せ始めている。顔色が先程よりも良くなってきている)

 

 俺達は一度エマが出てきた倉庫に彼女を寝かせ、病院で入手したワクチンを彼女に摂取させていた。ロバートは最初は警戒心から疑り深そうな顔をして難色をしめしていたが、「どの道このままではこの子は人ではなくなる。可能性があるなら賭けてみるのも一つの手だ。それとも他に何か案があるか?」と言うと、彼もそれは分かっているためか「娘に何かあったら、ただじゃおかないぞ」と威圧的に言いつつ任せてくれた。ウエストポーチからワクチンを取り出し、注射器に移し彼女に打ち込んだ。効果はすぐに現れた。みるみる間に肌と目の焦点が戻り意識もはっきりしてきたのか、「パパ?どうしたの、泣いてるよ?」と首を傾げて聞いてきた。ロバートは号泣しながらエマを抱きしめ、何度も名前を読んでいた。

 

 「よかった・・・」

 

 エマはまだ疲労が残っているためか眠ってしまったが、顔色はよく寝息も穏やかで先程までの死にそうな様子は微塵も見られなかった。

 

 「本当にっ・・・!本当にありがとうっ・・・!!」

 

 「気にするな、したくてやった事だ」

 

 ロバートに何度も感謝されたジョンは気にするなとは言ったが、その顔には子供の命を救えたことに対する喜びと安堵の色が浮かんでいた。




中途半端な感じになってしまいましたが、ここで一回区切ります。次回で警察署に到着できると思います。
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