RESIDENT EVIL Tyrant reincarnation 作:ss好き
小休止を終わらせ、各々装備を点検し地下鉄駅に向かう準備をはじめた。ジョンは新しい無線機をレベッカから受け取り、レオンはラクーン市警の制服を貰いウェスカーのデスクで着替えた。ロバートはエマが回復したことで戦闘に復帰するため、ショットガンをクレアから返してもらい更には武器庫からハンドガン[JMPHp3]とロングマガジンを装備した。JMPHp3は装弾数十三発とハンドガンの中では弾数が多い方だが、ロングマガジンを装着することで倍の二十六発まで装填できるようになっており、ある程度の時間持続した射撃ができるスタミナを獲得していた。更にジョンは装填可能な銃を持っているもの全員に強装弾を無限弾薬から取り出し配っていた。クリムゾンヘッドが出現したことにより、ハンドガンの火力ではいざというときに心もとないため、少しでも威力を上げるための措置だった。
「ジョンがいてくれて助かったぜ。弾薬を豊富に持っているやつが一人いるだけでも安心感が段違いだ」
「ほんとね、クリムゾンヘッドは動きが早いし耐久力も高いから倒すには弾を多く浴びせるか、頭を撃たなきゃ効果はないし。
レオンとレベッカはそう言いながら弾の交換を行っていた。実際にほぼ一つの街全てが敵といっても過言ではない状況で、弾の心配がいらないことはとても安心感があり精神的にもありがたかった。全員の準備が整ったことを確認しジョンが指示を出した。
「よし、それじゃ地下鉄駅に向かおう。前衛は俺が引き受けるその後ろにレベッカとクレアが付いてくれ。その後ろにエマとシェリー、ロバートは二人のそばにいて守ってくれ。レオンは殿を頼む、何かあれば俺を除く三人の誰かがレオンの援護を頼む。前はマシンガンナーの俺が何とかする、どうだ?」
「異論はないわ。一番火力のある銃はジョンが持っているし、いざとなったらなぎ倒しながら強行突破ができそうだし」
「俺も問題はない。武器も弾も豊富にある、後ろは任せろ」
「いざとなったらサブマシンガン二丁で蜂の巣にしてやるわ」
「エマ、パパのそばを離れるんじゃないぞ?シェリーもおじさんのそばから離れないで。必ず守るから信じてくれて」
「分かったわ、パパ」
「よろしくお願いします、おじさん」
全員異論はないらしく問題は無さそうだった。最後に女の子二人に片膝をついて屈んで真剣な顔で話しはじめた。
「エマ、シェリー、此処から先はいろんな怖い怪物がたくさん襲いかかってくると思う。怖いし叫んで逃げ出したくなると思うが、どうか頑張ってこらえてほしい。俺達が怪物をやっつけて守るから、君たちも俺達を信じて勇気を出して我慢してくれないかな?」
俺は優しくもしっかりと騒いだりパニックを起こさないようにと念を押した。子供相手に怖がらせるような、人によっては大人げない対応かもしれないが言わなければならない。街は警察署以上にゾンビやクリーチャーで溢れている。そんな中で先程のシェリーのようにパニックになり逃げ出したら、守りきれる保証がない。ロバートもこれに関しては特に何も言わず、エマとシェリーも真剣な顔で頷いた。
「ありがとう。さぁ、出発だ」
ジョンが扉に向き直りノブに手をかけようとした瞬間、
ガシャンッ!!! キシャア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ーーーーーーーッ!!!!!
ガラスが割れる音と何かの叫び声が廊下とS.T.A.R.S.オフィスに響いた。
ジョンが今まさにドアを開けようとした瞬間だった、廊下からガラスが割られる音と凄まじい叫びが響き渡り全員が硬直し、ドアを凝視して動けずにいた。最初に復帰したのはジョンで、彼は扉にそっと近づき耳を扉に近づけると聞き耳を立てた。
「何か硬いものが床や壁に当たる音がするな・・・移動しているから爪かもしれん・・・音は一つだけだと思う」
ジョンは音を頼りに相手の特徴と数を推測し全員に伝えた。皆強い緊張と警戒心があらわになっており、レベッカだけが比較的落ち着いた様子だった。ジョンは振り返りレオンを呼んだ。
「レオン、俺が先に出て様子を見るから後ろから援護してくれ。仕留められそうなら仕留める、レベッカは四人と待機してくれ」
「「了解」」
猟銃に持ち替え、音がならないように慎重に扉を開ける。銃や身体が飛び出ないようにしながら右側の廊下から確認する。ゾンビもクリムゾンヘッドもおらず、敵の姿は見えなかった。反対側を確認するため、ゆっくりと顔をだし声の正体を確認した。それは筋肉が剥き出しになった四足歩行のなにかだった。五本の巨大な爪を持ち、脳みそがむき出しになった頭部と先端が細い舌がゆっくりと左右に揺れていた。視力は皆無らしく扉が開いたにも関わらず顔はこちらには向けておらず、その場から動かず辺りを探るようにゆっくりと左右に頭を振っていた。
「何なんだアイツは・・・!?」
レオンはおののいたように呟いた。ゾンビやクリムゾンヘッドはまだ人間の形をしていたが、こいつは完全に人間の姿からはかけ離れていた。そしてジョンはこのクリーチャーに見覚えがあった。NEST2のファイルにゾンビが安定してカロリー補給を続けられた場合に発生するTウイルス感染者のさらなる変異した姿、舐めるものという意味を持つ
ジョンは持っていた猟銃をリッカーの頭部に向け引き金を引いた。轟音とともに70口径のマグナム弾が放たれ、リッカーの頭部に命中し頭部を完全に破壊した。更に図書室側の廊下の奥からもう一体のリッカーがやってきたが、再び猟銃の餌食になった。素早く装填を行い、新手が来ないか警戒していたが音も気配もなかった。
「いいぞ、とりあえず排除した。出てきても大丈夫だ」
ジョンが声を掛けるとS.T.A.R.S.オフィスからレベッカ達が出てきた。エマとシェリーがリッカーの亡骸に息を呑み、クレアとロバートは絶句しレベッカは驚きこそあれど冷静にリッカーを観察していた。
「何なの・・・こいつは・・・?」
クレアがリッカーの死体を見下ろしながら聞いてきた。
「こいつはリッカー。ゾンビが安定してカロリー補給を続けて起きた突然変異によって生まれる、イレギュラーミュータントの一種だ」
「これが・・・元々は人間だったのか・・・!?」
レオン・クレア・ロバートの三人にエマとシェリーも信じられないといった表情で死んだリッカーを凝視した。人間の面影など何も残っておらず、かろうじて手の骨格が人間の手に似ているくらいしか見つからなかった。自分たちもゾンビになったらこうなるかもしれないと思うとゾッとした。
「次が来ないうちに駅へ向かおう」
ジョンが空気を変えるようにそう言い、全員が賛成して今度こそ警察署を後にして駅に向かった。
地下鉄駅には驚くほどすんなりと着くことができた。道中はゾンビとクリムゾンヘッド、ゾンビ犬やカラスが襲ってきたが五人の火力の前に次々と倒されていった。特にジョンの機関銃は大群に対して大きな効果を発揮し、頭部に命中せずともその弾幕で倒しきってしまうほどだった。そしてさほど時間をかけず地下鉄[カイトブロス・レールウェイ]に到着した。駅構内へ入るとジョンは早速見知った顔に遭うことができた。
「ジル!カルロス!タイレル!無事で何よりだ!」
「ジョン!よく戻ったな!心配させやがって!」
「よく戻ってきてくれた!無事でよかった」
カルロスとタイレルは笑みを浮かべながら肩を掴んで揺らし、安堵とねぎらいの言葉をかけてきた。ジルは静かに歩みより声をかけてきた。
「ジョンお帰りなさい、無事でよかったわ」
「ああ。ジル、君も無事でよかった」
「マービンは大丈夫よ、ワクチンが効いたから回復してきてるわ。でも目を覚ますにはまだ時間がかかりそう」
そこまで言うとジルは真剣な顔になった。
「ジョン、レベッカがずっと心配してたわ。不安そうに落ち着かず、警察署にいたときはずっと戻ろないか気にして、駅に来た後もソワソワして・・・知っていると思うけどレベッカは自分のチームメイト全員が殉職してるの。だからもう仲間が死ぬのは見たくないってずっと言っていたわ、ラクーンシティを離れるのも少なからずそれが影響してる。あまり可愛い後輩に心配をかけるならこっちも考えがあるんだから」
静かだが迫力のある声と顔でジルはそうジョンに言ってきた。ジョンも自覚はあるのと美人の怒りは怖いと思いながらも、ジルも本気で心配しているからこそ怒っているのは分かっていた。
「ああ、肝に銘じるよ」
「よろしい」
そう言ってジルはやっと笑みを見せてくれた。他に生存者はいるか聞こうとしたとき、駅の奥から一人の男が歩いてきた。
「そいつがお前たちが言っていた男か」
男は背が高く細身だが鍛えられてがっしりした身体をしていた。しかし、目は少し落ち窪み虚無的な印象が強い目をしていた。だがその目の奥は狂気的な光と興奮の色が僅かに出ており、不気味で近寄りがたい雰囲気を晒しだしていた。カルロスが近づき男を紹介してきた。
「ああ、ジョン。こいつは俺達と同じU.B.C.S D小隊所属の隊員だ」
男は小さな笑みを浮かべて名乗ってきた。
「ニコライ・ジノビエフ軍曹だ、お見知り置きをMr.ジョン」
後にジョンは大きく後悔することになる男との邂逅だった。前世の記憶を思い出せず、この世界に転生してすぐに注意するよう自身で考えていたにも関わらず忘れてしまい、仲間として接し信頼してしまい大変な事態を引き起こすことになる男なのだから。
思いのほか筆が進んだため投稿しました。これからも本作をよろしくお願いします。