RESIDENT EVIL Tyrant reincarnation 作:ss好き
薬物保管室は思ったより狭く殆どが廊下だった。L字の廊下の奥に左右の壁に棚を設置し、そこに様々な薬品が置かれる形で保管されていた。廊下にはいくつかの蒸気が少し漏れたパイプが数本設置されている。
「身も蓋もないけどこれならレオンの言う通り、銃か爆弾で開けても良かったかも知れないわね」
私は思わず呟いてしまった。薬品の棚とは距離があり、銃弾は勿論のこと爆弾でも影響は無さそうな距離にあったからだ。パスワード探しに時間を取られてしまい、こじ開けたほうが早く回収できたと思わずにいられなかった。
「仕方がないさ、俺達からは扉の向こうがどうなっているかなんて分からなかったんだからな。それよりもオイル添加剤を見つけて、早く駅に戻ろう」
レオンがそう言ってフォローしてくれた。確かに今は嘆くよりも目的のものを回収しなくてはならない。私は棚に置かれた薬品を確認しながら、レオンと共にオイル添加剤を探した。
棚には様々な薬品が置かれているのだが、何故かガンパウダーも置かれていたのだ。レベッカもレオンも危険な火薬類であるガンパウダーをなぜこんな無造作においてあるのだろうかと訝しみ、レベッカは「杜撰ね」と呟き、レオンも同意するように頷いた。そう呆れている間にオレンジ色の大きめのボトルを見つけた。ラベルにはオイル添加剤と書かれていた。
「やったな」
「ええ、さあ戻りましょう。・・・ついでにガンパウダーも回収して」
オイル添加剤を回収し戻ろうとしたとき、レベッカがそう提案してきた。
「弾薬ならジャックがいれば大丈夫じゃないか?」
「万が一分断されたり、別行動になったときに備えて持っていたほうがいいわ。合流するまで弾薬を消費して、そのまま押し切られる可能性もあるし」
「なるほど、確かにその可能性もあったな。経験者が言うなら積極的に集めたほうがいいな」
レオンも納得がいった様子だった。ジョンは殿を引き受けて別行動になったからだ。また同じような状況にならないとも限らないなか、保険として自前で弾薬を補充する手段があったほうがいいと思った。レオンとレベッカがガンパウダーも回収し、薬物保管室から出ようと扉に向けて歩き出した瞬間、外から窓が割れる音がした。
営業所の外に数十人の人影が近づいていた。人影は身体の数カ所に噛み傷や食いちぎられた跡があり、服にも乾いたどす黒い血や汚れがこびり付いていた。人影は死してなおも安らぎを得られず、はてない飢えに突き動かされた
「まずいっ・・・!」
「来るわっ!」
窓が割れる音がした瞬間、無数のうめき声が聞こえてきた。そして扉がこじ開けられる音が廊下に響いた。その瞬間二人は扉のある廊下に走った。そして目にしたのは、十体以上のゾンビがこちらに両手を向けて迫ってくる光景だった。
『カルロス、こちらジル、断路器をすべて起動させたわ。今から戻るから、そっちはお願い』
「了解した」
カルロスはジルからの無線を受け、司令室の制御盤の前に来た。
「タイレル、カルロスだ。変電所の機器の操作を教えてくれ」
『分かった、まずは・・・」
タイレルの指示のもと制御盤を操作していき、最後に大きなレバーを操作した。制御盤の計器を見ると無事に必要な地区に送電されているのを確認できた。その時、ジルが戻り同じく計器を覗き込んできた。それと同時にタイレルからの通信もきた。
『カルロス、トンネルに明かりがついた。無事送電できたようだな』
「ああ、これで地下鉄を動かせる。他の三人は?」
『まだ連絡はないがもうそろそろ回収する頃だろ。お前さんらも駅に戻ってこい』
「了解、ちょうどジルも戻ってきた。これより帰還する」
カルロスはそう言って無線を終わらせた。ジルがこちらに顔を向けてきた。
「どうだった?」
「大丈夫だ、無事に送電されてるようだとタイレルから連絡が来た。三人からはまだ報告はないが、そろそろ回収してる頃だろ」
「よかった」
「もうここに用はない、駅に戻ろう」
その言葉にジルも頷いた。二人は司令室を出て、再び変電所の外に道路にやってきた。工事現場のリフトまで向かって走ろうとした瞬間、工事現場の隣の建物の壁が炎とともに吹きとんだ。
S.T.A.R.S.・・・!
「ジルのパイプ爆弾と壁のスチームパイプに感謝だな」
「ええ、袋小路だし最悪押し切られてやられていた可能性があったものね」
廊下になだれ込んできたゾンビに対してレベッカとレオンはパイプ爆弾を投擲することを選択した。逃げ場のない状況で侵入したゾンビの数があまりにも多く
「それにしても・・・最後に現れた白い顔のないゾンビ*2は何だったんだ?レベッカ、なにか知ってるか?」
「いいえ・・・黄道特急や幹部養成所、洋館とアークレイ研究所でもあんなゾンビは見なかったわ」
「なら突然変異かアンブレラのB.O.Wの可能性があるな・・・」
二人は険しい顔で白いゾンビに対して考察した。数体だけ最後に現れたそれは数が少ないこともあり、ハンドガンで対応した。が、頭に撃ち込んでも倒れずハンドガンの弾を全弾直撃させても、再生して何事もなかったかのように歩いてきたのだった。レベッカも同じように頭部にサブマシンガンをフルオートで全弾撃ち込んだが、多少怯んだだけですぐに再生してこちらに迫ってきたのだ。二人はすぐに手持ちの武器で最高威力のマグナムに持ち替え頭部に発砲した。再生能力があるとはいえ、さすがに50口径のマグナム弾は耐えられなかったようだ。命中した瞬間、頭部が破裂して数歩歩いたところで倒れてしまった。
(姿は異様で動きがすこし早いこと以外は普通のゾンビと変わらなかったが、あの再生能力は厄介だな。クリムゾンヘッドも厄介だが敏捷な動きに慣れればゾンビとさほど変わらない。だがあの白色のっぺらぼうは、最低でもマグナム弾クラスの威力の銃じゃなければ頭を撃っても意味がなかった)
もしあんなのが今後更に増えてきた場合は厳しいと言わざる得なかった。
「とにかく目的のものは手に入った。また次が現れる前に戻るぞ」
「そうね、今度はゾンビの代わりに白いのが大群で現れたら厄介だわ。行きましょう」
レオンとレベッカは今度こそ薬物保管室を出た。営業所内はゾンビやクリムゾンヘッドが突き破った窓ガラスの破片や突き破った際に出来たであろう出血による血痕が大量に床に散らばっていた。二人は警戒しながら慎重に営業所の扉を開けて外の様子を確認した。ゾンビもクリムゾンヘッドもおらず、あの白いゾンビもいなかった。安全を確認し営業所を出た二人はそのまま路地を進み、警察署のある通りまで戻ってきた。
(敵がいないことは嬉しいが・・・何だか胸騒ぎがするな。こういうときはなにか良くないことが起きるもんだが)
レオンはそう心のなかで呟いた。ラクーンシティに来る前と来たあともこういった胸騒ぎがしたあとに悪いことが起きたため、レオンの勘がこのあと何かが起きると訴えていた。そしてその勘は早速当たった。
ピピピッ!ピピピッ!
突如レベッカの無線機からコール音がなった。レベッカ無線機を取った。
『レベッカっ!聞こえるっ!?ジルよ!』
「ジル!?どうしたんですか!?」
無線の相手はジルだった。しかし、その声は焦っており非常事態が起きた理解するのに十分すぎるものだった。しかも声に混じって獣の雄叫びのような声まで聞こえた。
『ネメシスがまだ生きてた!変電所を出たところで襲われたの!』
「嘘でしょ!?あれでまだ生きてるなんて!」
レベッカはジョンの話からネメシスはもう死んだと思っていた。火炎放射器の燃料に像撃ち用のマグナム弾、44口径マグナムにその他の可燃物の爆発に巻き込まれても生きているなんて。アークレイ研究所のT-002ならとっくに活動を停止していそうな攻撃を受けたにも関わらずネメシスは生きており、最重要任務であるS.T.A.R.S.隊員抹殺を再開したようだ。
(まずいっ!早く助けに行かないと!)
ジルは一度ネメシスと戦っているが、あのときはジョンがいてくれたから何とかなった。けど今度は装備を整えカルロスとツーマンセルを組んでいるとはいえ、最悪二人が殺されてしまうかもしれない!
「やばいのか?」
レオンが険しい顔で私に聞いてきた。ジルと私の声音で危機的状況だとすぐに分かり、いつでも救援に行けるよう準備しているようだった。
「ネメシスがジルを見つけて変電所の前で襲ってきたの。これから二人の救助に向かうわ」*3
「よし、なら急いで向かおう」
レオンはそう言って
『ジルッ!カルロスッ!聞こえるか!?ジョンだ!』
頼もしい声が聞こえてきた。
「ジョン!?」
『何とかガソリンスタンドの方まで来れるか!?アイツを倒す方法を考えた!』
前後で分けるのでちょっと中途半端かもしれませんが、今回はここまで。次回で地下鉄を動かせたらなと考えています。