RESIDENT EVIL Tyrant reincarnation 作:ss好き
地下鉄の車内はひどい有り様だった。座席や手すりは砕けるか切断され、窓や壁は破壊されるか大きく抉られたりしていた。赤いタイラントとジョンが狭い車内で器用に戦っており、車内の惨状は二人の戦闘の余波によるものだった。ジョンはアンブレラマグナムと斧、赤いタイラントは拳と足、小さいが鋭く頑丈な爪を使って一進一退の攻防を繰り広げていた。しかし、戦況はやや赤いタイラントが有利だった。力はジョンとほぼ互角だがスピードと反射神経は赤いタイラントに分があり、ジョンが一発撃つか殴る間に三、四発は殴るか切りかかってきており、ジョンは防御か
(まずいっ・・・!斧がいい加減限界だ・・・!)
斧の刃が何度もタイラントの爪やパンチを受けているうちに刃の部分が完全に刃毀れを起こしてしまっていたのだ。既に刃物としての機能は失われてしまっており、打撃武器としてなら使えるだろうという状態だった。
(刃だけじゃない・・・こう何何度もこいつの攻撃を受けていたら、刃だけじゃない。斧そのものも破壊される可能性がある)
武器である以上は使っていれば摩耗し、いつかは耐久に限界が来て壊れる。そうなってしまったら、代えの物に交換すればいいだけだがこの斧だけは何とか守りたいと思う。せっかくエマとシェリーがくれた贈り物なのだ、こんなあっさりと破壊されてしまうのはいつか壊れると分かっていても、どうしても受け入れられなかった。
ジョンは赤いタイラントの腹部に前蹴りを放ち距離を無理やり取らせその隙に斧をしまった。そして懐からセルゲイからの贈り物であるあのブーメランナイフを取り出した。刃毀れせず腐食もしない、磨けば磨くだけ刃が鋭くなる未知の金属を使用したナイフ。ジョンは三本のうちの一本を斧の代わりに装備した。
(バイオハザードのB.O.Wと登場人物、未来はもう分からないが、武器やアイテムに関してはまだ思い出せるんだな・・・形は違うがプライマルナイフだなこいつは)
ジョンはバイオハザードに登場する無限武器の一種であるナイフのことを思い出し、小さな笑みを浮かべた。登場タイトルは思い出せなくとも苦労して手に入れた記憶が朧気にあった。それだけにセルゲイナイフの説明を改めて思い出し、プライマルナイフという武器を思い出して懐かしいとジョンは感じた。だが、今は謎の強敵である赤いタイラントと戦闘中であるため、その思いを片隅に追いやり戦闘に集中した。赤いタイラントは雄叫びを上げながら拳を振りかぶり殴りかかってきた。ジョンは拳を躱しナイフで赤いタイラントの胸を切りつけた。ほとんど抵抗を感じることなくコートとその下の鋼のような胸筋に包まれた胸を深く切り裂いた。斧では火花が散っただけで傷つけられなかったにも関わらず、セルゲイのナイフはバターか薄紙を切るように滑らかに赤いタイラントに傷をつけたのだ。
「こいつはすげぇ!ほとんど抵抗を感じず切ることができるなんて、スーパーナイフって言うのもあながち間違ってなかったな!」
赤いタイラントは今度は爪を使って攻撃してきたが、再びパリィし今度はその両腕を素早く切りつけた。深くは傷つけられなかったが、浅い細かいキスを多数つけることができた。赤いタイラントは雄叫びとともに両腕を滅茶苦茶に振り回しながら、鋭い爪で切りかかってきた。ジョンはそのすべてをナイフでいなし、激しい火花が何度も散った。ナイフの刃は刃毀れ一つなかった。
「これで対等になったな、第二ラウンドだ」
赤いタイラントが憤怒の咆哮を上げた。
レオンとレベッカは地下鉄の中央付近の車両で二体のT-103型タイラントの挟み撃ちに合っていた。レオンそしてレベッカは改めてアンブレラの新型タイラントを見た。資料の写真*1でどんな姿をしているかは知っていたが、実際に実物を見てみると姿はジョンに似ているが、彼とは大きくかけ離れていると二人は思った。着ているコートは最初にジョンが着ているものと同じだが、着用者のタイラントはジョンと違い灰色の石像のような冷たい見た目の人間からはかけ離れた肌色をしていた。手に巨大な爪はなく五本指の人間の手をしているが、まるで野球のグローブのように大きく太い指をしており、あれではトリガーガードが広い銃でも持つことは不可能だろうと考えた。(そもそもジョンを見ていて感覚が麻痺していたが、改良したとはいえ銃を使えるほどの知能がタイラントにあるようには見えない)頭部も当然灰色の肌をしているが、レオンとレベッカが一番の違いを感じたのは目だった。ジョンの青色とは違う白濁した死人のような瞳。そこにはなんの感情も読み取れずまるでロボットのような印象をあたえた。ネメシスでもまだ感情がなんとなく分かったが、このタイラント達は肌と表情からB.O.Wというよりコートを着た石像といった感じだった。
「悪いが駆け込み乗車は禁止だ。電車から降りてもらおうか!」*2
レオンはジョークを飛ばしつつタイラントに向けて発砲し、レベッカもほぼ同時に撃ち始めた。レベッカ側のタイラントはゆっくり歩きながら片腕で顔を守りながら近づき、レオン側のタイラントは右手を軽く引き左手を前に出すファイティングポーズを取りながら走り寄ってきた。
「レベッカ!!」
「っ!!」
レオンの声に軽く後ろを確認したレベッカはタイラントに発砲しながらレオン側のタイラントの動向も警戒した。レオンも走り寄ってくるタイラントの頭部に向け発砲し牽制していたが、小さく左右に蛇行しながら走ることで頭部への被弾を最小限にしていた。二体のタイラントが接近し殴りかかろうとした瞬間、二人はタイミングを見て先頭方向側へとうまく躱しながら素早く移動した。
「コイツらをなんとかしないと、先頭車両の全員が危険だ」
「ええ、ジョンも心配だけど、今はタイラントをなんとかしないと」
ネメシスほどではないにしてもそこそこ速い速度で走行中の地下鉄の天井をぶち抜いて入ってこられる程度には頑丈な相手だ。グレネード弾でも使わなければかなり苦戦することになるのは想像に難くない。しかし、狭い車内ではグレネード弾は使えず銃火器のみで応戦するとなるとかなり厳しかった。纏うコートは高い防弾性能を持ち、攻撃が通じる頭部は銃撃すると防御や回避する程度には知能があり、当てるのはなかなか難しかった。怪我人であるマービンや子供たちもいる中でタイラント二体と戦うことはリスクが大きかった。
(どうする・・・!?ジョンに何とかこっちまで戻ってくるよう伝え、戻りしだい車両の連結を外してロケットランチャーで吹き飛ばしてもらうか?)
銃を撃ちながら後退しつつどうするか思案しているレオンだったが、その思考は突然の大きな揺れと身体が左右に大きく揺らされる感覚に襲われ、強制的に中断されることになった。
今回はIFストーリーはお休みさせていただきます。夜勤や早番、健康診断とプライベートがかなり忙しい感じになってしまい、なかなか執筆できずに申し訳ありません。失踪はしたくありませんが、かなり不定期な更新になってしまいます。それでもよろしい方はこれからも本作どうかよろしくお願いします。