RESIDENT EVIL Tyrant reincarnation 作:ss好き
ジョン、レオンとレベッカが後部の車両へ様子を見に行ってから数分は経った頃だった。銃声と明らかに人間のものではない咆哮が、列車の走行音と共に車内に響いていた。無線の連絡もなく、様子を、状況によっては援護に加わったほうがいいのではないかと言う意見が出てきていた。ミハイルも無線連絡もなく銃声と咆哮が聞こえる状況にアンブレラのB.O.Wが襲ってきた可能性が高いと考えており、二名程で後部車両へと向かうためのチーム編成を考えていた。話し合いの末、メンバーはジルとカルロスに決まった。二人は装備を整えて後部車両へ向かおうとしたときだった。
「タイレル!前!前!」
運転席側にエマと共にいたシェリーが焦ったようにタイレルを呼ぶ声が聞こえた。タイレルが運転席に向かった。
「シェリー!どうしたんだ!?」
「線路になにかいる!」
シェリーはミハイル達が話し合いが終わったあたりで、何気なく運転席の方を向き外の様子を眺めていた。そのときに距離は離れているが、線路上に何かがいるのが見えたシェリーがタイレルを呼んだのだ。トンネルは暗くタイレルは目を凝らしてそれを確認しようとし、その何かの正体が分かった瞬間に絶句した。トンネルの照明の僅かな明かりに照らされたそれは、地下鉄車両一両分の大きさはありそうな巨大なミミズの化物*1だった。それがこちらに向かってきており、このままでは正面衝突も時間の問題だ。タイレルは素早く行動を起こした。
「全員後ろの車両に走れ!」
そう叫ぶと同時にタイレルは緊急停止ボタンを叩き潰す勢いで押し、シェリーとエマの背中を押して後ろの方へと退避を開始した。ミハイルたちもタイレルの鬼気迫った表情と声に弾かれるように後ろの車両へと避難を開始し始めた。
(もうこの距離じゃブレーキは効かないがないよりマシだ!とにかく後ろへ下がり、後はそこまでひどい脱線じゃないことを祈るしかない!)
頼むから身体がバラバラになるようなことだけは勘弁してくれよ。ここまで来たんだ、こんなところで死んでたまるか!。
タイレルは、生存者たちはとにかく後方へと走り、少しでも生存性を上げるため下がり続けた。そして、生存者たちが三号車と四号車で丁度半々に分かれたとき、”グチャリ!!”と湿ったものが潰れ、大量の液体がぶちまけられる音が聞こえたとともに、大きな衝撃と激しい振動が車両全体を襲った。全員が床や壁に叩きつけられ、うずくまるか手近なものに掴まるのが精一杯の状況だった。揺れは更に大きくなり、車両が一瞬だけ持ち上がるような感覚がしたと思うと、更に激しい揺れと振動が襲ってきた。
「まずいっ!脱線した!」
地下鉄車両とほぼ同じ大きさの化物とぶつかったのだ。むしろすぐに脱線しなかったのが奇跡だった。
「掴まれーーーーっ!!!!」
激しい揺れと振動、金属が軋む音とともについに限界が来た列車はトンネルの壁や柱に何度もぶつかりながら脱線した。
ジョンは赤いタイラントと殴り合い、斬り合いの応酬を繰り広げていた。最初は苦戦していたジョンだったが、いまや赤いタイラントの攻撃はパリィするか防ぎ、逆にナイフで一方的にダメージを与えていた。赤いタイラントはスピードと反射神経はジョンより高かったが力任せに殴るか鋭い爪で切りかかる、時折前蹴りを行ってくるなど力任せの単調な攻撃しか行わず、すでに何度もB.O.W、クリーチャーと戦闘を行ったジョンからすればパターンを読み、効果的な反撃やカウンターを返すことなど容易だった。特徴的な赤いトレンチコートは既にナイフの切り傷でボロボロになり、赤いタイラント自身も出血多量で少し動きがぎこちなくなり始めていた。勝てる、そう考えたジョンは決着をつけるべく一気に接近し首をナイフで切り落とそうと考え、走り寄ろうと構えたときだった、
グチャリ!!
と湿ったものが潰れる音とともに列車全体が大きく揺れて振動し始めた。
「何だ!?脱線か!?」
ジョンは動揺したように先頭方向へ顔を向けた。隙と捉えたのか赤いタイラントがジョンに急接近する。振り下ろされた爪を咄嗟に防ぎ前蹴りを放った。揺れと振動で踏ん張りが効かなかったのか、赤いタイラントは後ろに大きく吹き飛ばされ、連結部を飛び越え最後部車両まで飛んでいってしまった。ジョンは素早くロケットランチャーを取り出して構えた。
「お客さん、終点だよ」
その言葉とともに引き金を引き、ロケット弾が赤いタイラントに向けて飛翔した。赤いタイラントは雄叫びを上げつつも蹴られた衝撃で動けず、直撃とともに大爆発の爆炎に包まれた。それと同時に最後部車両の連結が衝撃で外れ、最後部車両は脱線し横に回転しながら柱や壁を破壊して停止。やがて遠ざかり見えなくなった。しかし、勝利の余韻に浸かるまもなく、ジョンのいる車両も立っていられないほどの揺れと振動が襲い、ジョンも壁に叩きつけられ気絶してしまった。その直後列車は脱線した。
「自分で言うのも何だが・・・よく生きていたな、俺達」
「私はこれが二度目よ、列車の脱線に巻き込まれるのは。奇跡って続くものなのね」
レオンとレベッカが脱線し大破した車両から脱出し、地下鉄の惨状を眼の前にそんな言葉が口から出てきた。T-103とどう戦うか考えを巡らせていたとき、突然列車が立っていられないほどの大きな揺れに見舞われ、レオンとレベッカは床や壁に叩きつけられ身動きが取れなくなってしまい危機に陥った。しかし、二体のT-103は二人を襲わず顔を見合わせ、扉を破壊し脱出してしまったのだ。脱出という思いもよらないT-103の行動に思考が一瞬止まるが列車が持ち上がるような感覚がしたため、二人はすぐに対ショック姿勢をとり衝撃に備えた。幸いレオンとレベッカがいた車両はそこまでひどい脱線にはならず、二人は大きな傷を負うことなく脱線を乗り切り脱出できた。
「皆のことが心配だ。二手に分かれて探しに行こう」
「そうね、じゃあ私はジョンを、レオンは皆をお願い。何かあったら無線で」
「了解」
無線機を取り出しながら、二人は仲間の安否を確認すべく二手に分かれて動き始めた。
脱線し大破した最後部車両の傍に脱出した二体のT-103が佇んでいた。二体は拉げた車両を見廻し、比較的原型をとどめた部分を発見した。T-103の一体がその部分まで近づく。車両の天井部分のようで歪んでベコベコになっていた。T-103は拳で天井に穴を開けると一気に天井を引き裂き、車内へと入っていった。車内にはボロボロだが五体満足で仰向けに倒れている赤いタイラントが気絶していた。T-103は赤いタイラントに近づき、肩に担ぐなり車両から脱出した。その直後、車両がなにかに引火し爆発した。爆炎を背後に二体のタイラントと肩に担がれた赤いタイラントが照らされた。
この作品ではあんまり乗り物が事故らないと思いましたか?
しっかり事故りますよ、バイオハザードですから。書いていて自分でも思っていましたが、まだあまり乗り物に乗って事故ったり、襲われたりしてないなと。多分ここから襲われたり事故ったりすると思います。