RESIDENT EVIL Tyrant reincarnation 作:ss好き
朝になり行動を開始する。レベッカは寝る前より顔色がよくなっていた。話を聞く限りほぼ一日歩き回っていたため、特殊部隊といえど18歳の彼女には酷だっただろう。これからはゾンビやゾンビ犬より遥かに凶暴なクリーチャーやB.O.Wとの戦闘が考えられる。休める時は休んでおかなければ、次はいつ休めるかは分からない。ついでにウエストポーチにはカロリーが高いお菓子と非常食、水とジュースを大量に入れておく。もし生存者に会った時に体力回復と信用を得る為の手段として、持っていて損はないだろう。それと、レベッカにはハンドガンの弾を渡しておく。弾薬がサムライエッジの中にあるものを含めて27発しか残弾がなかった為、渡した時はとても安堵した顔をしていた。
武器のチェックを行い、倉庫を出ていく。目的地はラクーン市警察署。バイオハザードの記憶は曖昧だが、それは問題はないだろう。レベッカがこの時期にラクーンシティに居る時点で、ストーリーはあまり当てにならないだろう。残っている知識とタイラントの身体、後は度胸と出たとこ勝負で進むしかない。そう考えながら倉庫の扉を開けて、外に踏み出した。
因みに弾を渡した時に、どう見ても大きさが足りないポーチにハンドガンの弾のケースが入っていくのは、某日本の国民的アニメの青狸のポケットみたいだった。
警察署に向かいながらレベッカは彼に再びいくつか質問していた。銃の知識と言葉はどうやって覚えたのか?料理や軽口をどうして知っているのか?答えは案外簡単だった、保管されている時にコンピューターから様々な情報をインストールされた為、一般的な知識や常識、戦闘に関する事全般は一通り学んでいるらしい。しかしそれを話した時、なんだか小嘘をついた子供のような顔していたが、どうしたのだろう?
道中はゾンビが少なくない数歩いていたが、前衛を務めてくれたジョンがあっという間に片付けてくれた為、後衛の自分はあまりすることはなかった。少し申し訳なく思っていると、「君は後方支援がメインなのだろ?なら気にするな、俺は身体が丈夫だからちょっとやそっとじゃ問題ない」と言ってきた。気を使わせてしまったなと思いながら、今は彼に任せることにした。それにしても、彼の射撃を見て思ったがさすがはタイラントだと思った。44口径のマグナム弾を使用するリボルバーの筈なのに、発砲の反動をものともしていない。腕が全く振れてない為、高い命中精度を維持できるのだろう。そして彼自身も腕が良いからこその無駄弾のない安定した射撃が可能なのだろう。
警察署の屋根と時計が見えてきた。そして仲間の警官のゾンビと死体も少しずつ増えてきた。分かっていたがきつい。だがこうなってしまった以上、出来る事は活動停止にさせるしかない。悲しみと怒りを胸に抱きながら警官ゾンビを倒していく。
(レベッカにはきついだろうな。先輩で同僚でもある警官ゾンビを撃つのは・・・)
俺は銃を撃ちながらそう考えていた。見るからにつらそうだが、射撃はブレなく躊躇もない。「きついなら俺がやる」と言ったが、「いいえ、私もやる。こうなってしまったらもう楽にしてあげるしかないから」と彼女は怒りと悲しみの混ざった表情で警官ゾンビを倒していく。強い人だ、彼女が決めたならとやかく言うのは野暮なことだろう。そう思いながら、俺も警官ゾンビを排除していった。
数分ほどで警官ゾンビを全滅させ、再び警察署に向けて歩き始めた。その途中で警官ゾンビの何人かがハンドガン[M92]を装備していた為、回収しておく。警官の死体の中には、ショットガン[M870]とサブマシンガン[MP5]が近くに落ちていた為、そちらも回収してサブマシンガンをレベッカに渡した。サブマシンガンの弾も一緒に渡すと少し驚いた顔していた。
「いいの?貴方が使っても良いのよ?」
「俺はマグナムもある、今一番火力が無いのは君だ。ならサブマシンガンは君が持つべきだ。俺は前に出るから接近戦に有利なショットガンを使わせてもらう」
マグナムは強力だが弾数が少ない、このショットガンは装弾数が8発もある。ゾンビやクリーチャー、B.O.Wの戦闘は嫌でも接近戦になる場合が殆どだ。近距離で威力が最も高くなるショットガンは相性が良い。レベッカも納得したのか「ありがとう、それじゃ使わせてもらうわ」と言ってサムライエッジからサブマシンガンに装備を換えた。
「もうすぐ警察署よ、気を引き締めて行きましょう」
俺達は再び警察署に向けて歩き始めた。
「そんな!ブラッド!」
警察署正門に着き、張り詰めた心が少しだけ緩んだ。しかし、外から見た警察署はバイオハザード発生前の威容は陰っていた。窓はあちこちが割られているか、木の板で塞がれていて、更にはあちこちに血痕が有った。やっぱり警察署も・・・と落ち込んでいく心を奮い立たせた。
(まだよ!もしかしたらまだ生き残りが居るかも知れない!ジョンも居るし、探せばもしかしたら。)
そう考え気合を入れ直し、正門に手を当てて押し開けた。見慣れた市警の正面玄関、ラクーン市警の文字とエンブレムの描かれた旗、そして正門から離れた位置にいる、顔から大量の血を流しながら絶命している、S.T.A.R.S.隊員ブラッド・ヴィッカーズの死体がうつ伏せで倒れていた。
(ブラッドが死んでるって事は、ネメシスとジルはもう来てるか来た後か。自分では思い出せなくても、実際に目にすれば思い出すんだな・・・)
レベッカはブラッドの死体に近づき無駄だと分かっているが、脈を測り応急手当をしようとしていた。しかし、彼女自身触れた瞬間にもう手遅れだと理解していた。
「ブラッド・・・、ごめんなさい・・・」
悲しみにくれるレベッカに声を掛けようした瞬間に警察署全体に響く銃声と雄叫びが響いた。
バンッ!!バンッ!!
スターァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ズ!!!!
「な、なに!?この声!?」
「レベッカ行くぞ!」
「ジョン!?待って!」
レベッカが呼び止めるが答えている暇はない。雄叫びを聞いた瞬間、条件反射のように走り出していた。彼女なら倒せるという考えも浮かんだが、それはゲームだからであって今いるこの世界は、ゲームの様な道具は有るが現実の世界。もしかしたらネメシスに殺される可能性もある。物語が変わってしまうという考えも浮かんだが、それよりもまず身体が動き、助けなければという思いが沸いてきた。あれこれ考えるのは後だ。とにかく今は現在襲われているだろう、ジル・バレンタインを助ける為に走り続けた。
(クソッ!分かっていたけど、やっぱり死んでいなかった!)
そう悪態をつく一人の女性が警察署内の廊下を走っていた。彼女は洋館事件の生き残りであり、S.T.A.R.S.隊員のジル・バレンタインだ。彼女は事件以降の警察上層部とアンブレラの圧力に屈する事なく、ラクーンシティに残り調査をしていた。そして街が壊滅する程の大規模バイオハザードに巻き込まれてしまった。自宅のアパートから脱出し、道中ゾンビやゾンビ犬を排除しながらラクーン市警察署に到着し、そこで傷ついたブラッドと再会したがその直後にアンブレラの生物兵器、タイラントの改良型と思われる存在と遭遇し、ブラッドが殺害されてしまった。サムライエッジ・ジルモデルと道中に拾ったショットガンで何とか倒す事が出来たが、署内を探索中に再び遭遇してしまった。しかも最悪なことに先ほどとは違う状態で襲いかかって来たのだ。その左手にはロケットランチャーが握られていたのだった。
(武装できる程の知能が有るの!?まずいっ!そうなると武装が少ない此方が圧倒的に不利だわ!)
先程からロケットランチャーを乱射しながら署内の備品や壁、扉を破壊しながら追跡してくる新型タイラントに応戦しながら逃げているが、追いつかれるのは時間の問題だった。そう考えつつ、打開策はないか頭を回転させていると、奥の廊下の扉が勢いよく開いた。
(まさかまだ生き残りの警官が!?それとも生存者!?)
だとしたらまずい状況だ。後ろからはロケットランチャーで武装したタイラントが迫ってきている。このままでは自分の巻き添えになってしまう。そうなる前に急いで逃げる様に叫び、自分は殿になり時間を稼ごうとしたがそれは扉から現れた存在によって硬直してしまった事により、実行される事はなかった。2メートル以上の筋肉質の長身にモスグリーンのトレンチコート、金属部品の着いたグローブとブーツ、そして人間に近いが明らかにあの洋館で遭遇したタイラントと同じ顔、別のタイプの新型タイラントが前から現れたのだ。
(クソッ!ここまで来て挟み打ちかっ!ごめんなさいクリス、合流は出来そうにないわ)
そう心の中で相棒であるクリス・レッドフィールドに謝罪しつつ、それでも彼女は諦めることなく眼の前のタイラントを突破しようと銃を構えた瞬間。
「しゃがめ!!」
「っ!!」
なんと眼の前のタイラントが口を開き言葉を発したのだ。何故どうしてと考えるより先に反射的にしゃがんでいた。そして低く大きな、大口径の弾薬を使用した銃の射撃音が六回聞こえてきた。
ガァァァァァァァー!!!
背後を振り返ると後ろのタイラントが顔を押さえて叫び声を上げている。再び前のタイラントを見るとその右手には大型拳銃、マグナムリボルバーが右手に握られ自分の後ろに居るタイラントに構えていた。銃口からは硝煙が出ていた。
(まさか!?タイラントが私を助けた!?どういう事?殺そうとするならまだしも助けるなんて・・・)
そう考えているとトレンチコートのタイラントがいきなり肩を掴み、引き寄せながら抱きしめてきた。圧殺する気かと一瞬思ったが、掴まれた方は握る潰されるような痛みはなく、人間に強く掴まれた程の強さで、抱き寄せる行動もまるで何かから庇うような仕草だった。そう思った直後、爆発と衝撃波が襲ってきた。慌てて確認すると後ろにいたタイラントが顔を押さえながら、ロケットランチャーを撃ってきたが狙いが定まらず壁に命中して爆発したようだ。このタイラントはロケットランチャーを構えたのを見て咄嗟に自分の身を挺して私を庇ったのだ。一体何が起きているのか理解が追いつかない、混乱している間にロケットランチャーのタイラントが回復したようだった。再び発砲しようとした時、自分の近くで銃声がした。自分を守るタイラントが今度はショットガンを発砲したようだった。その弾丸は発射直後のロケット弾に命中し、ランチャーと共に大爆発を起こした。そのまま畳み掛ける様に連続で発砲、大ダメージを受けたのだろうロケットランチャーのタイラントは、肩を押さえて紫色の血を吹きながらふらついていた。
ウオゥゥーウ、スターァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ズ・・・・・!
断末魔のような声を出し、うつ伏せになって倒れ動かなくなった。それを確認したタイラントはゆっくりと此方を振り向き、歩いてくる。今だ混乱を脱せていない私はそれをぼんやり眺めていた。そしてそばまで来たタイラントは左手を差し出した。
「死にたくなければついてこい」
私は一先ずこの謎のタイラントが自分を殺す気がないと感じた為、その手を取ることにした。
不定期ですが、よろしくお願いします。