RESIDENT EVIL Tyrant reincarnation 作:ss好き
「レベッカ行くぞ!」
そうジョンが叫び、弾かれるように警察署の中に駆け出していった。突然の事に私は一瞬呆気にとられたが、直ぐに彼を呼び止める為に呼びかけたが、彼はそのまま走り去ってしまった。
「もう!なんなのよ!」
恐らくあの叫び声の元に向かったのだろう。一瞬見えた彼の顔は焦りの色があった。彼は何か知っているのだろうが、だからといって一人だけで動いてはほしくない。彼はタイラントの身体を持っている為、大抵の敵は問題ないだろう事は分かる。しかし、無敵という訳では無い。場合によっては死んでしまう事も十分に有り得る。彼が証人であり証拠でもあるが、それ以上に仲間である彼には一人で無茶をしてほしくないという思いがある。黄道特急、洋館で仲間が死ぬ光景を何回も目にしてきた。今もブラッドの死を見たばかりだ。ジョンとはまだ会って間もないが、大切な仲間だ。一人で無茶をするのではなく、仲間である自分をもっと頼ってほしかった。
「とにかく彼に追いつかないと」
ブラッドの開いていた瞼を閉じて、レベッカはジョンの後を追いかけるべく駆け出した。
ジョンは現在も聞こえる叫び声と銃声の場所に向かったのだろう。この叫び声の主が何者かは分からないが、友好的ではないだろう事は想像に難くない。爆発音とそれに伴う揺れが建物を軋ませている。一階の現像室近くの廊下まで来た時に銃声と声が聞こえた。廊下に出るとジョンとS.T.A.R.S.隊員のジル、そしてその少し奥に黒衣のコートというより拘束衣のようなものを纏った、タイラントが倒れていた。その顔はなんとも言えない異形の形をしていた。皮膚はケロイド状のようになり、右目部分は手術後の様な傷で潰れてしまっていて、その異形さに拍車をかけていた。口も唇がなく歯茎が剥き出しになってしまっている。首周りと右肩が露出しているが、正体不明の触手が身体から飛び出し、筋肉繊維が剥き出しになっていてとても不気味だった。この未知のタイラントはジョンに後ほど聞く事にして、今は仲間達に再会出来た喜びを噛み締めつつ、合流することにした。
「ジョン!ジル!」
「レベッカ!?レベッカなの!?」
俺はネメシスを倒せた事を確認して、一応の安堵をしていた時に呼び掛ける声に後ろを振り返った。レベッカが追いついてきたようだった。ジルは彼女が居る事にとても驚いている様子だった。
「レベッカ、貴女どうしてまだ街に?脱出しているはずじゃ?」
「アンブレラの妨害にあって思うように脱出できず、気づいたら街のバイオハザードに巻き込まれてしまいました・・・」
「そうだったの・・・、災難ね。けど不幸中の幸いね、貴女が無事に合流出来て良かったわ」
「はい!私もジルが無事で良かった!」
S.T.A.R.S.二人が無事の再会を喜び合って笑みを浮かべていた。しかしジルが急に真顔になりこちらに顔を向けながら真剣な声音で尋ねてきた。
「それでこのタイラントは何?貴女今ジョンって呼んだけどタイラントに名前があるの?どうして一緒に行動しているの?銃を使うし言葉を話すし・・・」
ジルとしては正体不明の新型タイラントが自分を助けただけではなく、明確な意志を持って言葉を話し、銃火器を使用しているのだから気になるのは仕方ない事だろう。
「ジル、説明はするけど今は此処を離れましょう。こいつが又起き上がって来るかもしれないから」
「・・・わかったわ、でもちゃんと説明して頂戴」
本当にレベッカが居てくれて良かったと思う。俺一人では話がこじれた可能性もある。バイオハザードの発生したこの状況での仲違いは生存率を著しく下がる。ジルとしては助けてくれたとはいえ、タイラントである俺はどうしても疑ってしまうのだろう。洋館事件で仲間が大勢死んで、自分も地獄のような戦いをくぐり抜け、最後はタイラントと死闘を繰り広げてきたのだから。
とにかく説明すべく場所を移そうとした時、タイラント[ネメシス]の傍に何か落ちているのを見つけた。銀色のビジネスバッグくらいの大きさのケースだった。
「何あれ?」
「ジュラルミン製のケースみたいね」
レベッカとジルも気づいたようで、疑問の声を上げていた。俺自身もまさかとは思った。ゲームでは何回も見た光景だが、実際に見るとシュールと言うか違和感をとても感じる。ゲームでは難易度によってはネメシスを倒すと、アイテムを落とす仕様になっており、リメイク版でもそれは健在だった。しかしこの世界でもそうだとは考えもしなかった。持たせている目的が不明だからだ。
そう思いつつ俺はそのケースを回収し中を確認した。中には武器が一つ、ハンドガン[EAGLE6.0]が入っていた。
(ゲームと違ってパーツ分けされて入ってはいないんだな。となると予備の武器か?何にせよ有り難く頂こう)
「何でタイラントが武器のケースを?」
「さあな、俺にもわからん」
レベッカとタイラントと共に一先ずS.T.A.R.S.オフィスまで行くことにした。オフィスにはまだ、武器や無線機が残されているかもしれないからだ。道中にレベッカがこれまでの経緯を説明してくれた。何故まだ街に居るのか、このタイラント[ジョン]の事を。正直に言えば説明されても信じられないのが本音だった。タイラントが自我を持ち人間と同じ心を持つなど。しかし先程は自分を助ける為、身を挺して守ってくれたのも事実だ。借りが出来たこともあり、信じてみたいという思いもあるが、受け入れられない思いもある。これまでの言動と直感から、このタイラントが嘘を吐いていないとは分かるが、洋館事件と仲間達の死、この二つの要因が心に影を落とし、敵対心を拭えずにいた。
(タイラントでも命を救われた、それなのに礼の一つもまだだったわね・・・。本来なら私の態度は失礼どころか侮辱に値する。なのにどうしても素直になれない・・・最低ね私は・・・)
「ジル、あまり俺の事は気にするな。君が経験した事を考えればタイラントである俺を受け入れられないのは仕方がない。今は俺より生き残る為にどうするかに集中しろ」
思わずタイラントの顔を見つめてしまった。その目は優しそうで、此方への気遣いと少しの淋しさが見えていた。
(レベッカの言う通り
彼女は一度深呼吸をした後に改めて彼、ジョンに対して口を開いた。
「
ジョンは少し驚いた顔していた。
「気にするな、レベッカにも言ったが俺自身が人間じゃない自覚はある。だが謝罪と礼は受け取る。改めてよろしく頼む、ジル」
「ええ、こちらこそ改めてよろしく、ジョン」
私は最初と違い晴れやかな気持ちでジョンと握手し、礼を言う事が出来た。
「そういえば、あのロケットランチャーのタイラントは何者?S.T.A.R.S.で喋っていたけど」
「ロケットランチャーを使っていたんですか!?ジョン以外に武装を使えるタイラントが居るなんて・・・」
「ああ、アイツはネメシス-T型。タイラントをベースにした最新型のB.O.Wだ」
そう俺が話すと二人は驚いた顔で問いかけてきた。
「タイラントがベースの最新型って事はアイツは貴方より強いの?」
「ああ、[NE-α]と呼ばれる寄生生物をタイラントに寄生させて敏捷性と回復能力、知能の向上により複雑な任務を行えるようにしたのがアイツだ。あの見た目は寄生の副作用によるものだ」
「また新しい化物を・・・」
「俺がアイツに勝っているものは知能と人間とのコミュニケーション能力、後は人間のようなこの見た目ぐらいで、他はアイツの方が優れている」
俺はS.T.A.R.S.オフィスに着くまでに、知っている限りのネメシスの情報を二人に話した。
S.T.A.R.S.オフィスに着いた俺達は一息入れつつ、装備の調達と今後の目標を話し合っていた。道中の説明でレベッカが俺の事を説明し、何とか彼女に受け入れてもらえた。オフィスに着いてからは、残された武器の回収を行い、装備を整えたら今後の行動について話し合う事になった。オフィスの中には大型ロッカーと武器庫、隊長用の小部屋があり、内装はバイオ3とRE2、3が混ざったようだった。大型ロッカーには小型無線機の他にHk-p グレネードランチャーとバリー・バートンが使用したマグナム[シルバーサーペント]が保管されており、手書きのメモが書かれており、
”ジルへ、この手紙を読んでいるという事は、お前さんが困難な状況に直面して、装備を取りに来たからだと思う。俺の愛銃をお前に託す。こいつがお前の助けになる事を願って。 バリー・バートン”
と書かれていた。
「バリー・・・、ありがとう」
ジルはその手紙を見て感謝の笑みを浮かべていた。レベッカはドングルキーを兼ねたS.T.A.R.S.バッジをコンピューターに差し込み、武器庫のドアを開けた。ゲームと違い中にはアサルトライフルやショットガン、マグナム[ライトニングホーク]やサブマシンガン[MQ11]などが保管されていた。レベッカはライトニングホークと弾丸を取り、残りはそのままにしHk-p グレネードランチャーは俺が装備する事になり、二人には装備している銃の弾薬を渡した。その際に礼と共に俺にも無線機が渡され、連絡が取り合えるようにしてくれた。
「装備が整ったな、さてこれからどうするか」
俺は二人に問いかけた。
「私は街からの脱出を優先したいわ。こんな状況じゃ市民の救助どころではないし、生存者が居るかも分からない」
「そうね・・・、酷な言い方だけど市民が生きている可能性はかなり低いし、私達も生き残れるか分からない状況だもの。まずは自分達の身を守らないと、途中で生存者がいたら救助するけど積極的に捜索には行けないわ」
「やはりそうか・・・」
やっぱり生存者の安否は絶望的であり、捜索には人も装備もまるで足りない。分かっていたが、改めて現実を突きつけられるときつい。タイラントの身体とは言え無敵でもなく、一人が出来る事はたかが知れている。無力感に苛まれながらも脱出ならば、俺も知っている事を話そうと暗い気持ちを振り払うように話し始めた。
「脱出するなら一つあてがある。ラクーンシティの地下にはNESTと呼ばれるアンブレラの研究所があり、搬入用か緊急避難用の列車がある筈だ」
それを伝えると二人は驚いた顔をしていた。
「地下にまで研究所を作っていたなんて、本当にラクーンシティはアンブレラの支配下に置かれているようね」
「でも確かに洋館でも地下に研究所があったし、カモフラージュの事を考えると合理的なのかもしれませんね」
そう二人で話しているとジルが此方を見ながら話しかけてきた。
「でもリスクが高いわ、街ですらこの有様なのに研究所なんて、どんな化物が居るかわからないのよ」
「私もジルに賛成かな、リスクが高い気がする」
「だが確実に脱出できる手段があり、証拠になる資料もサンプルも入手出来ると思うが?」
全員で意見を出しているが、話が平行線になってきた為、どうしたものかと悩んでいる時。
「誰か其処に居るのか・・・!」
苦しそうな男の声が外から聞こえてきた。この声には聞き覚えがある、何度もゲームをプレイして聞いてきた、警察官の鏡のような男。
「この声は・・・マービン!?」
「ジル!?ジル・バレンタインか!?」
「マービン警部補!」
「レベッカ!?君も居るのか!?」
そう言って扉を開けて一人の警官が足を引きずりながらS.T.A.R.S.オフィスに入って来た。
「ジル、レベッカ・・・!無事で何よりだ・・・!」
ラクーンシティ警察の警部補、マービン・ブラナーが顔色が悪い傷だらけの状態で入ってきた。
次回からゾンビやクリーチャーだけでなくB.O.Wも多く出せたらなと考えています。