転生者暁は生き残りたい   作:海江山風

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寄り道します。いつか他の作品も投稿できるよう頭こねくり回しますのでお待ちください。


1話

長い、長い夢から醒めるように目覚め、シバつく眼を擦りながら辺りを見渡す。そこには一面の大海原が広がっていて目の奥が青くなった。

 

どうしてここにいるかと記憶を呼び起こす。呼び起こされたのは電車が突っ込んでくるという光景であり、冷静に自分は死んだんだと思った。しかし一面に広がる海であるが何故自分は海の上に立っているのだろうか。まさか小島の上に居るのではと思い後ろを見るも、変わらず一面の大海原である。吹き抜ける風が気持ちよく暗くなった気持ちを少し晴らしてくれる。下を見て気付いたが、どうやら女の子になっているようだ。紺系のセーラー服を見に纏い、襟のところに英数字の3を思わせる銀色に光るバッジが着いておりなにか既視感が芽生える。それがなんだったか思い出せないが今はここから移動するのが先決だと思う。

 

前に進むと決めると後ろから駆動音が響き水面を疾る。なんだろうと背中を見ると艦橋や煙突を背負っていて右側には台座の上に軍艦等に搭載されている連装砲が備え付けられていた。そこで既視感の正体に気づいた、『艦これ』のキャラ…おそらく駆逐艦『暁』だということに。ここで一つの考えがよぎる、『艦隊これくしょん』の世界に転生、あるいは暁に憑依したのではないかと。しかし憑依したとは考えづらい、暁本来の自我を感じないし、暁を押しのけているというのはよく思わない。

 

辺りを見渡すも変わらず陸地は見えず、大海原が広がるだけでここが何処なのかわからない。もしここが『艦これ』の世界ならば深海棲艦等と遭遇したりするかもしれない。遭遇すれば姫級はおろか重巡にも勝てるか分からない、一撃必殺の魚雷があるとはいえ所詮は駆逐艦にすぎない。遭遇しないよう祈りながらアイススケートのように滑って進んでいく。何回かバランスを崩すもやがてコツを掴んだのか安定して進軍していった。

 

海面に波を立てながら、風を感じ海と空の景色を眺めていた。波によって上下しつつ前へ進んでいると、遙か前方に陸地のようなものが見えてくる。陸地を見つけたことに安心し、それを目指して速度を少し上げる。この時、気付かなかったが私は見らていた。

 

陸地を見つけ、着く頃には辺りは暗くなっていた。とりあえず上陸しようと上がれそうな場所を探すも砂浜には何かの残骸が散乱していてそこからの上陸は難しそうだった。ため息をつきつつ辺りを見渡す、すると小さな防波堤を見つけた。テトラポットから足を滑らせないよう慎重に登って、陸地に上陸した。そして陸地に来た安心感からなのかそれとも限界が来たのか、ヘタリと座り込んでしまう。艤装を外し、硬いコンクリートの上で横たわる。そのまま私は眠りについた。

 

朝、目が覚めた。立ち上がる朝日に照らされ意識がしっかりしていく。実は夢でした、なんてことはなく私は暁のままだ。周囲を見渡すと暗くてわからなかったが、どうやらここら辺は深海棲艦の襲撃があったようで、爆撃の後があちらこちらに残されていた。再び艤装を付け、周囲を探索する。ここはもう廃棄された鎮守府のようだと分かった、まだ重油を補給する場所はかろうじて生きていて燃料の補給ができそうだ。ひとまずこの場所を拠点に他の鎮守府か人のいるところを探さなければ、流石に人に会いたい、ずっと1人は気が狂ってしまうかもしれない。

 

比較的崩れていない建物に入り、艤装を下ろす。どうやらこの建物は艦娘たちの寮だったようでいくつも部屋があり、標識には住んでいた艦娘の名前が刻まれていた。ある部屋の標識が目に留まる、付着した煤を払うとこの身体とかなり縁がある名前が刻まれた標識で、住んでいたのは雷と電だった。

 

「…この部屋には雷と電がいたのか。ここの鎮守府の子たちはどうなったのだろう」

 

それなりに大規模な襲撃があったのだ、5体満足とはいかないだろうけど無事逃げおおせたことを祈る。雷たちの部屋の扉を開く、中は荒れていて物が散乱していた。急だったのだろう、読みかけの本が机の上に置いてあった。机に近寄り本を手に取る、本の内容は料理について書かれた本で開いているページには補足としてペンで文字が書かれていた。「この料理は司令官の大好物!」と。どちらが書いたかは分からないが、どうやらここの司令官は慕われていたようだ。本を閉じ、机に戻す。料理を見たからかお腹がくぅと音を出す、そういえば転生してから何も食べていない。ここが鎮守府ならば何処かに缶詰とかあるだろう、そう思い部屋を後にした。

 

「あるなら食堂とかだよな、どこにあるんだ?」

 

備え付けられた地図とかないかなと廊下を見渡していると曲がり角に何かが動いた。一瞬しか見えなかったが金色のなにかが曲がり角から消えるのを見た。生存者かと思いつつも警戒しながら見えた場所まで移動する、曲がり角を出ると金色の何かの正体が判明した。金色の髪をし、前髪の上に黒い細身のリボンをつけた女の子が怯えた表情で座り込んでいた。その女の子を私はよく知っている、ゲームでよくお世話になったから。

 

「夕…立…?」

「暁ちゃん…沈んだはずっぽい…!」

 

どうしてそんなあり得ないものを見るような顔でみるんだ。

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