戦場のフーガ レッドブラックメロディ 作:マジカルドッセイヤ
自由の地ガスコの北西の辺境にあるテルヌーヴの森と呼ばれる森林地帯。今その森の中を強大な軍事国家ベルマン帝国の兵隊が戦車で移動していた。
「ち、雨が降ってきやがった。」
「もう十分捕らえただろ。とっとと戻りたいぜ。」
捕らえ損ねたヒトの捕縛任務を与えられた兵士たちは愚痴を言いながらも捜索を続けていく。
「それにしてもなんだよ! 女子供どころか老人まで一人残らず生かして連行しろだなんてよ。」
「仕方ないだろ。命令なんだからな。」
「それにしたって何人か潰してもよかっただろ。さっきの村だって」
兵隊の一人が制圧した中規模の村、プチ・モナ村でのことを思い返す。
「結構なヒトがいんだから少しくらい殺してもいいじゃねえか! 何人か返り討ちにあったんだろ!」
「ああ、しかも子供相手にだ。ベルマンの面汚しがっ」
驚くべきことに捕らえ損ねたのはまだ成人もしていない子供たちだという。しかもそのうちの一人が斧で兵士達を負傷させていた。
「もうめんどくさいから見つけ次第殺しちまうか。報告しなきゃばれないだろ。」
「馬鹿野郎!お前――――」
殺害を提案した兵士を聞き手が非難する。かと思いきや―――
「殺す前に楽しもうぜ! 特にネコヒトのガキだ! あいつの家で写真を見たがありゃ上玉だ!」
「確かにな! 男は銃の的にでもして、メスガキどもは犯すか! なんたってここは自由の地らしいからな!」
ははははははは!
兵士たちがこれからの予定を思い浮かべ股間を膨らませる。ちょうどその時子供の足跡が続く洞窟が見えてきた。
「よし、あの洞窟を探すぞ!」
所詮は子供の集まり。どうとでもなる。戦車を降りた兵士たちが洞窟に入ろうと―――
わあああああああああああ!
ズドーーーーーーーーーン
突如スピーカー越しの子供たちの叫び声と轟音が鳴り響く。洞窟の横当たりの壁が吹き飛び、いきなりのことに兵士たちも転げまわる。
「な、何が起こ――――」
訳が分からずとも状況を確認しようと兵士の一人が顔をあげ、そして硬直する
「なんだよ、これ―――」
それは自分達の戦車がおもちゃに思えるほどに巨大な鋼鉄の戦車だった。その戦車はベルマン軍の戦車を踏みつぶしながら遠ざかっていく。
「―――――――――」
乗ってきた戦車をすべて破壊され、追うこともできずに固まった兵士たち。辛うじて動けた通信兵が本隊に連絡を取る。
「本隊! 至急応答を願う! プレッツェル大佐に報告!」
巨大な、突然巨大な鋼鉄の戦車がああああああああああ!
本隊の返答も待たずに兵士が叫ぶように報告する。この瞬間からガスコやベルマン、そして子供たちの運命が変わった。
不定期の投稿になりますが読んでいただけると幸いです。