恋と深空 【シン】【二次創作】   作:苺のタルトですが

2 / 2
人生が二度目だったらどう?【シン】

雪が舞い散る中、手をつないでいた。

数えきれないほどの冬を越えて、再び生まれた。

前世の記憶は、朧げな夢のように時折苦しめる。

家族を失った悲しみ、孤独、全く違う、静かで冷たい機械の音ばかりが響く世界でも、この手の中に感じる温もりは、夢なんかじゃない。

「どうした、ぼーっとして。寒いか?」

シンの透き通るような青い瞳が覗き込む、心配そうに眉をひそめる彼に、首を横に振った。

「ううん、シンといると全然寒くないなって思って」

シンは手に少しだけ力を込め、ふっと微笑んで、頭を優しく撫でた。

「お前は本当に可愛いな?さて、せっかくの冬イベントだ。もっと楽しもう」

巨大なクリスマスツリーが飾られた広場に向かう。

イルミネーションが煌めく中、たくさんの人で賑わって、笑い合い、大切な人と時間を過ごす当たり前の日常は奇跡のように、尊く感じられた。

 

広場の隅にあるベンチに座って、ホットチョコレートを飲めば立ち上る湯気が、ほんのりと甘い香りを運んでくる。

「シンは、冬は好き?」

さりげなく尋ねたら、シンはカップを両手で包みながら、少し考えるように視線をさまよわせた。

「ああ。冬は静かだからな。それに」

シンは顔を向け、少しだけ声を潜めた。

「お前と過ごす冬は、特別だ」

心臓が大きく跳ねた。

いつもはクールで、感情をあまり表に出さないのに、こんなにもまっすぐな言葉をくれる。

転生者としての自分を誰にも明かしていない、いるべき場所はここではないのかもしれない、という不安が、常に心の片隅にあったから。

シンに秘密を知られたら驚き、遠ざけるかもしれない恐怖が、秘密を閉じ込めていた。

でも、温かい眼差しを見ていると、恐怖は雪のように溶けていく。

「シン」

意を決して、手を握った。

「ねえ、もし私が、シンが想像もつかないような、すごい秘密を抱えてたら、どうする?」

少し驚いたような顔をした後、すぐにいつもの落ち着いた表情に戻った。

「どんな秘密だ?宇宙の真理でも知っているのか?」

冗談めかして言うけれど、瞳は本心を探ろうとしていた彼の目をまっすぐに見つめ、ゆっくりと口を開いた。

「もし私が、この世界に生まれたのが、二度目だとしたら?」

雪が、さらに強く降り始めた。

シンは何も言わず、じっと見つめている顔からいつもの余裕のある微笑みが消え、真剣な表情になっていく。どう思うだろうか、恐ろしいと思うだろうか。

受け入れてくれるだろうかと、シンの言葉を待てば冷たい風が吹き、静寂が包み込むシンは手をさらに強く握りしめた。

「二度目、か」

静かに呟いた声は、驚きや恐怖を含まない、深く、何かを考えるような響き。

「だったら、俺はラッキーだな」

シンの口から出た意外な言葉に、私は顔を上げた。

「ラッキー?」

シンは少しだけ微笑んだ瞳の奥には、変わらない穏やかさと深い優しさが宿る。

「ああ。もしお前が、俺が想像もつかないような、すごい秘密を抱えていたとしてもお前の過去の一部だ。秘密を俺に話してくれた。俺を信じてくれた証だろう?だったら喜ぶべきだな?」

凍りついた心を溶かしていく。

ずっと抱えていた秘密は、彼にとっては恐ろしいものでも、疎むべきものでもなく、もっと深く知るための、一つのきっかけでしかなかったのだ。

「それに、二度目の生で、この世界を選んでくれたんだ。俺と出会ってくれたことが、一番嬉しいぞ」

シンの指が頬にそっと触れると温かい体温が、凍えた心に染み渡っていく。

「ありがとう、シン」

溢れそうになる涙をこらえながら、胸に顔を埋めた。

シンの腕が自身を優しく抱きしめると心臓の音が、トクントクンと鼓動と重なっていく。

「どんな過去があろうと、どんな秘密があろうと、お前はお前だ。俺が愛しているのは、今ここにいる、お前という人間」

シンは囁き、頭にキスを落とした。雪が、二人の間に舞い落ち、二人の秘密を優しく祝福する雪の降る夜、孤独な記憶も、未来への不安もすべてシンに包み込んでもらえた気がする。

温かさを決して手放したくない。

例えこの世界が、誰かが創り出した虚構だとしても、彼とのこの時間が真実だと心の底から思えた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。