雪が舞い散る中、手をつないでいた。
数えきれないほどの冬を越えて、再び生まれた。
前世の記憶は、朧げな夢のように時折苦しめる。
家族を失った悲しみ、孤独、全く違う、静かで冷たい機械の音ばかりが響く世界でも、この手の中に感じる温もりは、夢なんかじゃない。
「どうした、ぼーっとして。寒いか?」
シンの透き通るような青い瞳が覗き込む、心配そうに眉をひそめる彼に、首を横に振った。
「ううん、シンといると全然寒くないなって思って」
シンは手に少しだけ力を込め、ふっと微笑んで、頭を優しく撫でた。
「お前は本当に可愛いな?さて、せっかくの冬イベントだ。もっと楽しもう」
巨大なクリスマスツリーが飾られた広場に向かう。
イルミネーションが煌めく中、たくさんの人で賑わって、笑い合い、大切な人と時間を過ごす当たり前の日常は奇跡のように、尊く感じられた。
広場の隅にあるベンチに座って、ホットチョコレートを飲めば立ち上る湯気が、ほんのりと甘い香りを運んでくる。
「シンは、冬は好き?」
さりげなく尋ねたら、シンはカップを両手で包みながら、少し考えるように視線をさまよわせた。
「ああ。冬は静かだからな。それに」
シンは顔を向け、少しだけ声を潜めた。
「お前と過ごす冬は、特別だ」
心臓が大きく跳ねた。
いつもはクールで、感情をあまり表に出さないのに、こんなにもまっすぐな言葉をくれる。
転生者としての自分を誰にも明かしていない、いるべき場所はここではないのかもしれない、という不安が、常に心の片隅にあったから。
シンに秘密を知られたら驚き、遠ざけるかもしれない恐怖が、秘密を閉じ込めていた。
でも、温かい眼差しを見ていると、恐怖は雪のように溶けていく。
「シン」
意を決して、手を握った。
「ねえ、もし私が、シンが想像もつかないような、すごい秘密を抱えてたら、どうする?」
少し驚いたような顔をした後、すぐにいつもの落ち着いた表情に戻った。
「どんな秘密だ?宇宙の真理でも知っているのか?」
冗談めかして言うけれど、瞳は本心を探ろうとしていた彼の目をまっすぐに見つめ、ゆっくりと口を開いた。
「もし私が、この世界に生まれたのが、二度目だとしたら?」
雪が、さらに強く降り始めた。
シンは何も言わず、じっと見つめている顔からいつもの余裕のある微笑みが消え、真剣な表情になっていく。どう思うだろうか、恐ろしいと思うだろうか。
受け入れてくれるだろうかと、シンの言葉を待てば冷たい風が吹き、静寂が包み込むシンは手をさらに強く握りしめた。
「二度目、か」
静かに呟いた声は、驚きや恐怖を含まない、深く、何かを考えるような響き。
「だったら、俺はラッキーだな」
シンの口から出た意外な言葉に、私は顔を上げた。
「ラッキー?」
シンは少しだけ微笑んだ瞳の奥には、変わらない穏やかさと深い優しさが宿る。
「ああ。もしお前が、俺が想像もつかないような、すごい秘密を抱えていたとしてもお前の過去の一部だ。秘密を俺に話してくれた。俺を信じてくれた証だろう?だったら喜ぶべきだな?」
凍りついた心を溶かしていく。
ずっと抱えていた秘密は、彼にとっては恐ろしいものでも、疎むべきものでもなく、もっと深く知るための、一つのきっかけでしかなかったのだ。
「それに、二度目の生で、この世界を選んでくれたんだ。俺と出会ってくれたことが、一番嬉しいぞ」
シンの指が頬にそっと触れると温かい体温が、凍えた心に染み渡っていく。
「ありがとう、シン」
溢れそうになる涙をこらえながら、胸に顔を埋めた。
シンの腕が自身を優しく抱きしめると心臓の音が、トクントクンと鼓動と重なっていく。
「どんな過去があろうと、どんな秘密があろうと、お前はお前だ。俺が愛しているのは、今ここにいる、お前という人間」
シンは囁き、頭にキスを落とした。雪が、二人の間に舞い落ち、二人の秘密を優しく祝福する雪の降る夜、孤独な記憶も、未来への不安もすべてシンに包み込んでもらえた気がする。
温かさを決して手放したくない。
例えこの世界が、誰かが創り出した虚構だとしても、彼とのこの時間が真実だと心の底から思えた。