Blue Redemption   作:白黒モンブラン

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一難去ってまた一難

これまでの動きを逐一、誘拐犯グループへと流していた内通者はハヅキ達の手で捕まり、漸くというべきか次の段階へと進む時が来た。

今回の事件の被害者の一人であるミレイからの情報を伝える為に、タキトゥスたちは一度学内の生徒会室に足を運んでいた。

 

「…と言う訳だ」

 

犯人達はどうやって得たのか、列車を使用しており、加えて独自の路線を保有している。

運行は週に二、三回ほどであり、誘拐した生徒たちは最終駅である"狩場"へと送られる。

ただ何らかの事情があって今週末に列車は走るという事。

また誘拐された生徒の一人であるハルノはあの"狩場"にいる可能性が高い。

今回の事件の被害者の一人であるミレイから得られた情報をハヅキ達に伝えるタキトゥス。

一通りを聞き、自身の中で情報の整理を終えたハヅキは成程と頷く。

 

「列車を運用しているとは。それもこのカイナ地区にその路線があるとは思いませんでしたね。…ハクタクさんはなんと?」

 

「総力を挙げて調べているとの事だ。内通者の件が片付いた瞬間、今はそっちに付きっきりだ」

 

「そうですか…となると今はハクタクさんからの情報を待つ他ないと言った所でしょうか」

 

「今の所はな」

 

だが、とタキトゥスは前置きを口にする。

 

「列車を襲うとなれば、相手の数は館の時とは比べ物にならない。今まで以上に派手になるだろうな」

 

「それに列車には誘拐された他校の生徒もいると見ていいでしょう。そうなると武器や人手、加えて輸送の為のトラックも用意しなくてはなりませんね」

 

「そうだな。あとはどうやって列車を止めるか…それも考えないとな」

 

彼のセリフにその場にいた全員が頷く。

内通者の件が片付いたとしても、やるべきことは山積みの状態だ。

さて、どれからかかるべきかと思われた時、ハヅキは手をパンとたたき全員の視線を集めた。

 

「こうして情報を待つだけでは意味がありません、今出来ることをやりましょう。…私は人手の確保と救出した生徒を乗せるためのトラックの確保へと動きます。他の皆さんは襲撃に備えて装備を整えるなど、各々の判断で行動を起こしてください。もし私の手が必要でしたら、いつでも構いません。出来る限りの対応はさせてもらいます」

 

「でしたら、ハヅキ生徒会長。よろしいでしょうか」

 

手を挙げてハヅキの名を呼んだのはクロカ。

彼女の手には一枚の紙が握られており、クロカの隣に座っていたヒナはそこに描かれたものがちらりと見えた。

 

(…設計図かしら?)

 

全貌までは分からなかったが、何かしらの設計図でないかと推測するヒナ。

だが、さして興味なかったのか目を伏せて自身もこの後はどうすべきかと思考の海へと飛び込む。

 

「ミレニアムにですか?」

 

「はい。可能であれば取り次いで欲しいんです。ミレニアムにあるエンジニア部に依頼したい事がありまして」

 

「…愛用されているシュナイダー2000で事足りるかと思いますが」

 

「…先を見据えた上での判断です。どうかお願いします」

 

「……分かりました。急ぎミレニアムに取り次いでおきます。クロカはすぐに動ける様に準備だけは済ませておいてください」

 

「分かりました」

 

そんな会話が繰り広げられていたのだが、ヒナは気にすることもなく思考の海の中で泳ぐのであった。

それからはというものの、これからの事に備えて各々が行動を開始。

タキトゥスは一旦、便利屋68とヒナと共に自身の家に戻り休息を挟みつつすぐに動ける様に準備を始める。

このまま一日が過ぎるであろうと思われた時、誘拐犯グループが使っている秘密の線路を探していたハクタクからカヨコへと連絡が入り彼から聞いた情報をカヨコから聞いたタキトゥスは、とある物を準備して欲しいと伝えた。

最初こそは戸惑いを見せていたハクタクだが、その理由を聞いて了承。

そしてその二人のやり取りを聞いていたであろうカヨコは思わずタキトゥスへと訪ねる。

 

「それって、貴方が考えたの?」

 

「いや。…脳みその半分を狼に喰われて賢くなった奴の考えさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これからの事に備えるべく動き出したカイナの生徒たち。

ハクタクからの情報は上がってこず、時間はあっという間に過ぎていき外は暗闇と月明かりに照らされる地上が出来上がっていた。

誰しもは寝静まった真夜中。遠くから聞こえるさざ波の音をBGMに乗ってきた車の車体に背を預けていた少女はマイクの向こう側にいる生徒会長と会話を広げていた。

 

「そうか。…悪いね、面倒ばっかり押し付けて」

 

『大丈夫ですよ。暫く書類仕事に忙殺されていたのですから丁度いい運動になりましたとも』

 

「なら、良かった。こっちも仕事を終えた所さ。そっちの仕事に参加できるように早く戻る様にする。…それにアンタたちに手を貸してくれている大人ってにも会ってみたいからな」

 

『いきなり喧嘩吹っ掛けるような事はしないようお願いしますよ?』

 

「ハハッ、そんなことはしないさ。…それじゃあ、また後で」

 

『はい。また後で』

 

ややボサ付きつつも長く伸ばした髪。

カイナ農場学園の校章が描かれたコートを羽織り、山海経高級中学校の生徒たちが着ていそうな衣装に身を包んだ少女。

手にしたスマホをコートの懐に収めると、彼女は空高らかに浮かび上がった月を見つめながら──

 

「暫く鉄火場を離れていたからねぇ。…楽しませてほしいもんだ」

 

──少女らしからぬ獰猛な笑みを浮かべるのであった。




筆は進んだのですが、短めです…何卒ご容赦を。

またまた新しいキャラが出てきましたが…彼女の登場はまたいずれ。

ではではノシ
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