Blue Redemption   作:白黒モンブラン

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「会長、囚われていた生徒さんを発見しました!」

「よく見つけました。それでは事前の打ち合わせ通り、行動を開始してください」

「了解しました!後は任せてください!」

「頼みました。……ミスズさん、私についてきてください。今からタキトゥスさんの元へ向かいます」










「終わったわね。セツラ、そっちは?」

「ピンピンしてる。まだまだ動けるぞ、先輩」

「そう。…今からタキトゥスさんの所に向かうわ。体力は残しておきなさい」

「言われなくとも!」










「これで小蠅は片付いたか。久しぶりの鉄火場にしちゃ…ちょいと物足りないかねぇ」

「そんな事は言えるのは貴女だけですよ、ルオン先輩」

「そうかい?…んで、ここからどうする?」

「私はタキトゥスさんの所に向かいます。…先輩は?」

「そりゃ最後まで楽しめそうな所に行くに決まっているだろう?」

「便利屋の連中もついてきな!もうちょっとだけ、ドンパチに参加してもらうよ!」


1899年より、油を絶やすことなかれ 6.5

視界を全て覆い隠そうと言わんばかりに紫色の嵐がヘルメット団員らを襲う。

その量は余りにも多く、まるで弾丸の嵐から光線の嵐へと変質している様にも見えるぐらいの物量。

それらが一斉に、そして確実にヘルメット団員らを対して抵抗させる間も、回避させる間も、与える事無く喰らいついていった。

悲鳴を上げる間も与えない。無慈悲そのものが襲い掛かり、その体が地面に崩れ落ちていく光景が広がっていく。

絶えのない銃撃。これだけの数を一人で相手取るヒナだが、この程度はさして問題にはならない。

烏合の衆では、彼女を止めることなど出来やしないのだから。

 

「…」

 

表情一つ変える事無く『終幕:デストロイヤー』を構えるヒナ。

凄まじい連射による銃撃を繰り出しながら銃をスライド。

吐き出された弾丸の嵐が次々と敵を倒しつつも同時に貨車に積まれたコンテナを破壊していく様子は、一見すれば闇雲に撃っている様にしか見えない。

だが、あのゲヘナ学園の風紀委員長がそんな事をするだろうか。

否。そのような事はないと言える。

寧ろ今の行いは未だに姿を見せない誰かをいぶり出している様にも見えると過言ではなかった。

そして当然と言うべきか。悪名高いドロドロヘルメット団の存在はヒナは知っている。

なんせ件の集団はゲヘナでも問題を起こしており、ヒナがそれの対処に当たった覚えがあるのだから。

相対した事による事実。故にこういった状況下で、どさくさに紛れて鉛玉を叩きこむ瞬間を伺っている奴がいるのを彼女は知っている。

 

(そろそろかしら)

 

引き金から指が離れる。

それを合図に銃声は止み、転げ落ちた薬莢の音が僅かに木霊する。硝煙がその場に立ち込める中で突然銃撃を止めたヒナを見ていたアーサーは何となく先ほどまでの彼女の行動を見て察したのか、沈黙を保ったまま何時でも攻撃へ移れるように身構えていた。

そんな彼をちらりと見つめた後、静まり返ったその場でヒナは口を開く。

 

「いい加減出てきたらどうかしら」

 

誰かへと向けられた声は響く、答える者はいない。

だが、その代わりに何者かが破壊されたコンテナの上を歩く音だけが響いていた。

一歩歩く度に響く音。一歩、また一歩と地を踏みしめる度にその音は近づいてくる。

そしてゆらりと暗闇の中から、その音の主が二人の前に姿を晒した。

 

(他の連中と似ているが…あいつだけ変わったマスクを着けているのか。少しだけ不気味だな)

 

ヒナとアーサーの前に姿を見せた人物。

服装は他のヘルメット団員らとに居ているが、唯一の相違点としてその者はヘルメットとガスマスクが一体化したものを身に着けている。

表情が見えないという点では他と同じなのだがフィルター部分に繋げられたチューブが特徴のやや古びたガスマスクを着けている点ではナイトフォークやマーフリーという不気味と通り越してとんでもない連中を見てきたアーサーからしてもその様相は不気味と感じさせるのには十分だった。

 

(それにあいつが持っている銃…確か、グレネードランチャーという武器だったか。その弾を弾帯ベルトに差し込んでいるのか)

 

不気味さを醸し出すガスマスク。携えたグレネードランチャーに弾帯ベルト。

相手を威圧するには十分と言えるだろう。

少なくとも普通の一般人相手なら委縮するだろうが、そこにいる二人は違う。

片やゲヘナきっての最強、片や暴力と混沌の時代を歩んできた男。

その程度で委縮する様な事はないと言える。

 

「ったく…使えないゴミ共め。そこらの安物より多少マシなものをくれてやったと言うのに…」

 

見上げてくるヒナとアーサーには目をくれる事もなく、その者は気を失い地面に倒れ伏す手下へと視線を向けていた。

しかしその口から出た言葉は決して相手を思いやる様なものはなく、紛れもない悪態だった。

 

「また私を裏切るのか…そうやって裏切るんだな!?お前も!お前も!!お前も!!!」

 

だが先ほどの様子から一変、突然の豹変にアーサーは困惑した。

味方が易々と倒された事が、彼女にとっては裏切りを意味している様だがその真意は分からない。

何が何だかといったアーサーに気付いたのか、ヒナが自身が知る情報を伝えた。

 

「悪名高いドロドロヘルメット団の頭目…それが彼女よ」

 

「纏め役にしては随分と…言い方はキツいが狂っている様にしか見えないな」

 

「狂っている…確かにそうかも知れないわね。団を抜け出した者がいたら必ず見つけ出して連れ戻し、集団でリンチするようにと平然と指示するような奴だから」

 

「他にも犯罪を犯しているだったか?不良武装集団にしては…いや、どっちかと言えば凶悪武装犯罪集団か。やってる事がそこらの犯罪組織顔負け。それを子供がやっているとなると…実に笑えん話だ」

 

そんな笑えない事をやっているのはどうしようもない大人たちだけで良い。

少なくとも、あの時代のアメリカではそうだったであろう。

だと言うのに、このキヴォトスでは子供がそれをやってしまっている事実が確かにあった。

 

(本当に笑えん……本当に)

 

自身もまた所謂『笑えない事』をやっていた大人であったからこそ。

ムカつきはしたもののサンドニの子供たちがやっていた事がまだ笑えると今となって思えた程に、このキヴォトスの子供たちがする事は笑いの一つも出ない。

それはそれで、何処か悲しくあり虚しいというのがありアーサーはそれを感じ取っていた。

 

「…元は善良な生徒だったらしいわ。それも何処かの学校の生徒会長だった」

 

「……」

 

学校の生徒会長。

そういった立場に就くまで、一体どれほどの努力がいるのだろうか。

学校の仕来りというのを深くまで知らないアーサーからしても、生徒会長の座に就くのは生半可な努力では叶わないと何となくではあるが想像できた。

故に、未だに錯乱したように叫び散らかす人物が元々は善良で、学園の生徒会長だったと言う事実に信じられずにいた。

だがそんな感情はヒナが次に口にした言葉で否が応でも否定せざるを得なかった。

 

「学校の運営資金の横領の罪を問われたそうよ。それも濡れ衣、だけど」

 

「…それで?」

 

善良で生徒会長が人物が横領の濡れ衣を被せられた。

では真犯人は誰か?

続きを促すように問いかける様に吐かれたアーサーの言葉の意味をヒナは察していた。

 

「犯人は彼女とは小さい時からの友人で最も信用できる人物によるもの。犯行理由は単なる欲しさ。…その影響は彼女の精神を狂わせるに至った。突然豹変するのはそういった背景があるの」

 

「…最も信じていた奴に裏切られる、か」

 

裏切り。

その言葉にアーサーの胸の内がざわついた。

 

(ダッチからすれば…俺の行動は裏切りだったのだろうか)

 

不治の病を患い、自覚した短くない人生。

罪を自覚し、残された時間を贖罪に、誰かを助ける事を捧げたあの時。

だが、その行動は息子の様に思ってくれた(ダッチ)からすれば裏切りだったのかもしれない。

 

(…だが、そうでも──)

 

自らの行いを恥じる気などない。

それだけは断言出来た。

 

(信用していた奴に裏切られた…同情出来たとしても、そこだけだ)

 

その痛みは想像絶するものだったのだろう。

狂うのも無理もないだろう。

同情は出来なくもない。だが、それ以上は看過出来るものではない。

 

「ああ…あの時もそうだった。あいつは私を裏切ったんだ…だから私は復讐を誓ったんだ…。クヒヒッ…あはっ…そうさ、復讐を誓ったんだ…!」

 

ぐるんと不気味な双眸がヒナとアーサーを捉える。

気味の悪い不気味な笑い声が漏れ出し、静まり返ったその場に何故か大きく響く。

だが、その声はどこか──

 

「お前も、お前も…消えろぉ…消えろぉ!消えろぉッ!!!」

 

武器を構え、その狙いを定める少女の口から出たものは言葉に表現できない、どこか悲痛な叫びの様でもあった。

 

「来るわ…!」

 

「!」

 

開幕の狼煙の如く、グレネードランチャーから榴弾が飛び出す。

空気が抜けるような音と共に放物線を描きながら向かってくる弾を前に二人は直撃から逃れる為、それぞれの方向へと向かって体を飛び込ませて回避。

着弾と同時に小規模な爆発が起きる中、いち早く体勢と戻したヒナはすぐさま『終幕:デストロイヤー』で攻撃開始。

 

「…!」

 

翼が広がり、ヘイローが自らを主張するように大きくなる。

そして、つい先ほど見せたあの紫の嵐がその銃口から吐き出され、回避すら不可能な攻撃がドロドロヘルメット団の頭目へと襲い掛かった。

一発一発が体に重たく、そして強烈な衝撃として襲い掛かる。

回避すら儘ならない中、その場で立つのが精一杯。

だが次の瞬間、襲い掛かってくる一発が弾帯ベルトに差し込まれた榴弾に直撃した。

 

「ッ!」

 

紫の嵐の中で、ヘルメット団の頭目を中心に大きな爆発が空へと向かって花を咲かせた。

突然の爆発にアーサーは何事かと目を丸くするも、ヒナは自身の攻撃が弾帯ベルトに差し込まれた榴弾に直撃し、そのまま誘爆を起こしたのだと理解していた。

 

(終わりね)

 

あれほどの爆発に巻き込まれたのだ。

その中心にいた人物も、恐らく気絶しているだろう。

爆発から数十秒後、静寂が支配しつつあるその場で肩の力を抜きつつ、銃の銃口をそっと下ろすヒナだったが直後に聞こえた駆動音に反応して即座に銃を構えなおした。

 

「…面倒な」

 

「なんだ…あれは」

 

黒煙の中からゆらりと表す鋼の巨体。

両腕に備えられた重火器、人一人を容易く葬る事が出来るであろう巨砲。

そして、そのコクピットには誘爆に巻き込まれた筈のあの頭目の姿がそこにあった。

 

「潰す…潰すぅ…!潰す潰す潰す潰す潰す潰す…」

 

復讐心に取りつかれたように、呪詛を巻き散らかす様に。

その身を煤に塗れながらも、ゴリアテと呼ばれる兵器に乗った彼女は──

 

「潰すぅ!」

 

抑えが利かない復讐心を、その夜空へと向かって悲しき悲鳴に交えて叫ぶのであった。




はい…色々あれですが…こんな感じです。
飛ばし飛ばしですが、何卒ご容赦を。

ブルアカを始め、今や新米先生として頑張っています。
うん?フレンドはいないのかって?身内や友達はやっていないのでゼロ人ですねぇ。
それでも私は何とか頑張って、生徒に癒されながらも頑張っております。

ではではノシ
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