Blue Redemption   作:白黒モンブラン

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『連絡が来ました。ハヅキ会長から敵戦力を把握したいとのことです』

『それなら既に纏めてるぜ、ジョーカー。データで送っておく』

『感謝します、キング。…クイーン、そちらは?』

『ジョーカーとエースが集めてくれた情報を元に使えるのを集めてる。ジャックが敵の対空装備と警戒中の戦闘ヘリを落とす為の準備を進めていると同時にね』

『助かります。私が一度ハヅキさんと連絡と取ってきます。キング、クイーン、エースはこのまま準備の方をお願い致します』

『キング、了解』

『クイーン、了解よ』

『エース、了解しました』


第二次ハリネズミ化とはこう言う事

未だ物音収まらぬ車内は生徒たちで行きかう交差点の様だった。

先ほどよりも増して何かしらの機器の駆動音や工具を扱う音が聞こえる様になり、時間が過ぎれば過ぎていくほど豪華列車が武装列車へと生まれ変わりつつある、そんな午後。

カヨコとのちょっとした会話を交わした後、タキトゥスはブーツの拍車を鳴らしながら通路を歩いていた。

カイナの生徒の手伝いをしようと思えば出来る。が、手伝いを申しても人出は足りているから大丈夫と返ってくるに加えて、古い人間であるタキトゥスではまともな作業は手伝えない。

木を切ったり、釘を打つ程度の事は出来るだろうが、それだけの事。

どの道、足手纏いになるであろうと判断した彼はこの際に襲撃日に備えるべく、自分でも使えそうな武器が無いか探し回っていた。

既にあの大型アサルトリボルバーやカービン・リピーターやポンプ式ショットガンを持っているのだが、どうせなら幾らか拝借しようといった魂胆もないわけではなかった。

 

「鉛玉を連射出来るライフルに、空飛ぶダイナマイトを撃てる大砲…どれもこれも最新式というやつか」

 

複数ある内の一つである武器庫を見つけたタキトゥスはズラリと並んだ無数の銃を見て、そう零した。

使い方さえ知れれば使えるのだろう。生前もまた色んな銃を使ってきたのだから。

だがそこに並んだ最新式とも言える銃を手に取る気にはなれなかった。

 

「拳銃ならまだしも、こういった銃はな…」

 

近くにあった銃を手に取るタキトゥス。

弾倉にストック、長い銃身…所謂アサルトライフルに類するそれはこのキヴォトスでは何処にでもある銃だ。

新品から中古品、果てには祖製品まで本当何処にでもあるのだ。

普通の店に並び、普通に購入出来てしまう。

このキヴォトスにおいて銃はそういうものであり、アメリカとも変わらない。

強いて言えばアメリカの雑貨屋や銃砲店にはダイナマイトやらは置いていなかったがキヴォトスのコンビニと呼ばれる場所では手榴弾というものが当たり前のように置いているらしい。

そこだけが生前のアメリカとこのキヴォトスとの違いなのかもしれない。

 

「使っている弾の威力も、性能も違うのだろうが…何故か俺には合わない気がする」

 

理由は分からない。

けど、何故か合わないと思ってしまう。

本当に何でだと首を傾げながら手に持った銃を元の位置へ戻すタキトゥス。

どの道、ここに置いてあるものは自分では扱え切れる自信が無い。

良くて、あの大型アサルトリボルバーの弾を回収する程度に収まってしまうだろう。

せめて自身でも使えそうな銃があればと思うも、都合よく行くはずもなく。

弾だけ回収してその場を去ろうとした時だった。

 

「タキトゥスさん?」

 

「ん?」

 

タキトゥスの背後から声が掛かる。

ゆっくりと振り向けば、そこに居たのはスズキだった。

 

「どうした?他の連中の手伝いをしているんじゃなかったのか?」

 

「それが終わって手持ち無沙汰になったのよ。何か無いかと思って歩き回ってたら貴方がいたから」

 

肩を預けていた扉から離れて肩を竦めながらもタキトゥスの傍にまで歩み寄るスズキ。

周囲を見渡しながら、そっちは?と問う彼女にタキトゥスはそうだなと前置きを口にしつつ言葉を続けた。

 

「似た様な理由だ。使えそうなものがないか探していた」

 

「こんな所で?こう言っては難だけどそうは見えないわ。寧ろ自分にとって使えるものを探している様に見えるけど」

 

「なら、そういう事だ」

 

長居は不要。

大型アサルトリボルバーの弾は回収出来たので会話を切り上げてその場から去ろうするタキトゥス。

 

「だったら、もう少し探ってみない?」

 

立ち去ろうとする彼をスズキが呼び止めた。

その足は止まり、ゆっくりと振り返るタキトゥスに対してスズキもまた向き合うべく振り返る。

流れる様に腕を組みに肩をドアに預けながら、どうする?と言わんばかりに金色の瞳がそこに立つカウボーイを見つめる。

その視線にどうしたものかと悩むタキトゥス。

 

(確かに弾を回収しただけで終わりなのも、どうかと言った所か…)

 

自分でも使えそうな武器はなくとも大型アサルトリボルバーのホルスターや弾帯ベルトといった装備を必要としているのも事実。

そしてタキトゥスもスズキも手持ち無沙汰。両者ともに手が空いているという状況なのだ。

そこに誘いが来たのだ。答えなど最初から決まっていた。

 

「なら、お宝探しでも始めるか。地図と運、両方用意しておけよ」

 

「地図は不要よ。どの道に手当たり次第になるから。今いるのは運だけね」

 

「そうかい。じゃあ、出発だ」

 

時間は十二分にあるとは言えない。

だが、今だけはこうしていても良いのかも知れない。

何処か楽し気な様子を見せるスズキの横に並び立つタキトゥスはそんな事を思いながら、此処とは違う別の武器庫へと歩き出していく。

作業する音や誰かの喋り声や物音がそこら中から聞こえてくる。別の武器庫へと通ずるであろう通路の奥からも誰かしらの声…恐らくカイナの生徒たちであろう声が二人の耳に届いていた。

そんな、少しだけ騒がしい通路を、作業する生徒たちの間を縫う様に通り抜けていくタキトゥスとスズキ。

そして最初のお宝探しとなる武器庫に到着すると二人は早速行動を開始した。

所狭しと並ぶ武器群や装備群の中から使えそうなものがないかと探していくタキトゥスであったが、ふと気になったのか少し離れた位置で作業していたスズキへと声を掛けた。

 

「俺は兎も角、お前に武器は必要なのか?刀にショットガンがあるなら十分だろ?」

 

「ここまでだったらそうでしょうね。けど、狩場はそうじゃない。列車強盗した時よりの倍の戦力が控えていると見ていいわ。そうなれば、もう一つ武器が欲しい所。…こういう時、セツラが少し羨ましいけど」

 

「ライフルに銃剣にトマホーク、あまつさえは…何だ、あの物騒な鉄の塊は。あんなもん、何処から引っ張り出してきたんだ?」

 

「昔、ヤンチャしてきた時のをそのまま引っ張り出してきたのでしょうね。あの時の不良娘が転入生としてやってきて、気付けば副会長になっているなんて…感慨深いものね」

 

その台詞に引っ掛かりを覚えたのだろう。

ん?と疑問の声を上げるタキトゥス。

それを耳にして、そう言えばそうだったと納得したような声を出して言葉を紡ぐスズキ。

 

「あの子も昔はヤンチャしてたのよ。私やルオン、クロカと同じ転入生よ」

 

「あいつもそうだったのか。元からカイナの生徒かと思っていたが」

 

「意外でしょ?そこから色々あるのだけれど本人のいない所であれこれ話す気はないわ。気になるなら直接本人に聞いてみて」

 

「そうしよう。…スズキ、お前好みのを見つけたぞ」

 

会話を程ほどにして、スズキが好みそうな武器を見つけたタキトゥス。

持ち上げられないにしても重量はあるのか、持ち上げるにも少しだけ力がいる。

若くないにしても少々持ち上げるのは苦労しそうなそれを持ち上げて、部屋の中央に置かれた台の上にそれを置く。

台に置かれたソレを見て、スズキの目が僅かに見開かれる。

 

「これは…」

 

鉄に覆われた細身の箱。無骨でありながら長さのある柄。

柄から鉄の箱までの全体の長さは愛刀たる『雪景 氷晒し』の倍はあるであろうソレが何であるかとスズキは知っていた。

 

(…大太刀)

 

太刀、打刀の中でも刃長三尺以上…約90㎝以上の刃長を持つソレは特別大きな刀とも言えた。

大太刀、或いは野太刀と言われる武器であり、スズキの目の前に置かれた刀は銃社会であるキヴォトスに真っ向から逆らう様にして存在していた。

だがその姿は愛刀とは違い、何処か近未来的な…とある学園が製造したであろう特徴を隠し切れずにいた。

 

(ミレニアム製…意外ね)

 

長くすらりと伸びた鉄の箱……鞘とも言える部分に描かれた校章。

そこには確かにミレニアム製であると言う証拠が残されていた。

意外と言えば意外かもしれない。だがその事を気にしている暇はスズキにはなかった。

 

(…事件が解決したら後で返しに行かないといけないわね)

 

手に取り、携える。

重量はあるが気にするほどではない。寧ろ、手に取っただけ体に馴染む様な感覚が伝わってくる。

そしてこれが鈍か業物か…それも手に取った瞬間、理解できた。

 

(…悪くないわ)

 

──これなら戦える──

 

そう言い切れるだけの自信がスズキにあった。




セツラやクロカが新たな装備を引っ張りだしてきたので、既に強いのにスズキにも強化をぶち込ます。
どんな感じになるのかはお楽しみに。

ではではノシ
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