革命軍総本部バルディゴのバルコニーにて、ドラゴンは外を眺めていた。
昨今の情勢は芳しくない。
世界徴兵によって新たな力を得た海軍。
黒ひげ海賊団は青雉を仲間に加え白ひげ亡き後、四皇として君臨している。
革命軍も時代の潮流に負けじと各国に働きかけてはいるが、少しでも気を緩めれば呑まれてしまう。
つい3日前から世界会議に参加すべく代表者が、続々とマリージョアへと集まっている。
ドラゴンも肝いりの部下を送りだしたばかりだ。
あとは、作戦の成功を祈るばかりである。
「ドラゴン、随分と気を張っちゃナブル」
「イワンコフ」
巨大な頭に特徴的な睫毛、イワンコフが彼の隣に立っていた。
「少しは休んだ方がいいんじャッナブル!」
「こんな局面で休んではいられない。マリージョアでは総長たちが戦っている。俺は俺の為すべき事を成さねば」
「ヒーハー!! 相変わらずの堅物」
「天竜人への革命などという奇跡を起こすためには、相応の代償を払わねばならない」
イワンコフへ水を向けると、彼は手すりに背を預け呟いた。
「奇跡舐めんじゃないわよ」
「そうだ」
ドラゴンは苦笑した。
少しでも逃げ出そうとした時、イワンコフはそう言って引き留めた。
オハラで学者たちの最期を見た。彼らはバスターコールを受けながらも大量の書物を後世に残した。
それは奇跡ではなく、学者たちの行いの結果である。
奇跡とは、全て自らの行動の果てにある。
「ヴァナタの言う通り、間違っていナッチャブル。でもね、彼らが失敗した時どうするつもり?」
「もちろん、俺が指揮を執る。失うには痛い者達だが、それでも進まねばならん」
「そうね。けれど政府がこの隙を逃すわけがないわ。拷問でもなんでもして、この場所を突き止めるかも。
そうしたら、すぐにここを離れないといけないのよ。その指揮をへとへとのあなたが執れるの?」
「執るしかあるまい」
「変な意地を張って、部下の命を脅かしてどうするのって言ってんの!」
「張らねばならない意地もある」
ドラゴンは淡々と返した。
それにイワンコフは青筋を立てる。
「面子と命、どっちが大事!? これだから男って生き物は!!一回反省しなさい!!!」
「エンペリオ・女ホルモン!!」
「うぐっ」
彼の脇腹にイワンコフの右腕が突き刺さる。
すると、ドラゴンの髪が艶を帯び、顎筋が細くなった。
ずり落ちそうになるロングコートを右腕で必死に抑える。
「ヒーハー!! あら可愛い。こうして見ると麦わらボーイとそっくりじゃない。やっぱり親子ね」
「何をするイワンコフ」
随分と背が低くなったドラゴンが、イワンコフを見上げる。
「女のヴァナータにはもう男としての面子は存在しナッチャブル。
これでゆっくり休む気になっちゃったんじゃなあい」
「イワ、性別が変わろうと、俺は俺だ」
不敵な笑みを浮かべた彼を、ドラゴンは鋭い目で睨んだ。
どこからかやってきた雷がバルディゴを包む。
雨がイワンコフの睫毛を叩いた。
「ン~ DEATH WINK」
「ぐぁ!!」
「ここまで来ると堅物を通り越して、岩ね。岩。もう!!勝手にしやがれ」
「エンペリオ・催淫ホルモン!!」
「ヒーハー!! これで女の喜び、教えてヤッチャブル。
でも、まずは後ろの穴からね。新人類の開発技術、タタキ込んでやるわ!!」
「ケツ穴、舐めんじゃないわよ!!!!」
この後、まもなくして黒ひげ海賊団が襲来。
ケツ穴の快楽に狂っていたドラゴンは対応できず、翌日のニュースクーの紙面を飾ったという。