ソードアート・オンライン~破壊の剣《ブレイクブレイド》~   作:ソースケ_研究中

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頭にたまったものを排出中。他の小説はもう少し待っていただきたい。


ではよろしこ




11/23修正箇所

最前線の攻略状況の詳細について



Soldier《兵士》

店番した次の日からソードスキル無しでの戦闘、主に補助スキルであるバトルスキルを駆使した戦闘と一応上げていたアイテム製作系スキルで作ったと言うか、生産スキルが無くても作れそうな外見、酒瓶に染み込む様に布を突っ込んだけの牽制兼攻撃用初級アイテム《フレイムボトル》。見たまんまの火炎瓶と言っても良い。下層クエストで入手した空き瓶に該当するモンスターから取れる発火性、爆発性のある液体を入れて導火線の代わりに布を突っ込んだけの、このほぼ製作に成功するであろうアイテムの効果はダメージはあまり稼げない代わりにあまり見ない”火傷”と”暗闇”による状態異常、短時間の”スタン”効果がある。それを使った簡単な戦闘法、下層モンスターにはある程度効くのだが普通40層附近のモンスターにはダメージ効果は無い。それでも投げつけたらスタン効果は得られるから隙を作るにはもって来いだ。さらに数本投げつければ小規模ながら相手の視界を包み込むほどの爆発で視界が潰れた瞬間にHPバーを削れるだけ削り、火傷と暗黒の追加効果はその後も持続するから火傷の追加ダメージはあまり期待できないが、デルが持っているバトルスキル、相手に気取られる事が少なくなる《ステルスポジション》に一時的に相手の身失わせる《スケアクロウ》、暫くの間バックアタックのダメージ量が上昇する《バックスタブ》を使えば、追加効果の暗黒の命中率低下も手伝って攻撃がうまく当たらないから少し数が多くても効率的に倒せる事が出来、よっぽどの事が無い限り此方のHPバーがレッドゾーンまで減らされる事は無い。

とは言ってもこのやり方は奇襲と言って良いモノで、相手を先に見つけている事と敵が此方をまだ見つけて無い事を前提にしており、短期決戦が望ましい。さらに数が異常に多かったり、移動速度の速い相手だと上手く使えない戦法だ。

クエストにいる指定アイテムや素材等はレべリング時に取ったのが大量に自分の倉庫にあるし、最近作ったから作り置きもあるのだが、一度に持てる数が10個まで、相手の強さ次第で数本は一気に使うから倒し切れなかったらその数本が無駄になってしまう。しょうがないので後は、攻撃パターンを読んで上手く立ち回るしかない。ソードスキルが使えなくなって安定した火力が無いのが惜しまれるが終わった事を言っても始まらない。最近分かったのだが、《ブレイクブレイド》を予測使用限界を越えて装備しているとそのまま硬直する。あの時は安全な圏内に居たから良いが、あの時取った《ワイトマント》を着て鎧が人目に付かない様に頭までフードを被ってベンチに座っていると時間が零になり、視界の中央に《強制停止》の警告文が表示されると体が動かなくなり、そのまま十二時間ベンチに座ったまま放置される事となった。まぁ、途中で相棒の異変に気付いたリズが見に来て動かなくなったデルを引き摺って帰ったのは記憶に新しい。

アレから大分日が経ち、もう12月20日になった。ソードスキル無しのバトルスキルとアイテムを駆使した独特な戦闘に慣れたデルは此処は前のクエストで行った様な、赤い荒れた土地と深い谷。第47層のアリ谷と呼ばれる場所に来ている。最近じゃ最前線は49層攻略中でそろそろ50層に行っている頃だろう。後はクリスマスに出てくるボスが蘇生アイテムをドロップするとかしないとか噂が流れている。赤い崖の岩壁に打ち込んだ杭に付いたロープを腰に巻き、出っ張った岩に上手く腰を掛け、町にある店で買った望遠鏡で辺りを見回している頭までフード様に被った黒い外套で身を隠す青年。”デル”が居た。

彼は深緑の外套に両頬に描かれた三本の線が特徴。髪の色は金褐色の少女。SAOプレイヤーの中で《鼠のアルゴ》で通っている情報屋であるアルゴ。彼女とも自棄になっていた頃から世話になっている彼女から聞いた採掘クエストに出向いたのは良いが、此処は視界が悪い事や隠れる場所が多い為、追い剥ぎやプレイヤー・キルこと《PK》等に最も遭いやすい場所でも有名だ。でも此処は経験値稼ぎの穴場である為、それを承知でレべリングする奴も多い。《PK》と言うのは、オンラインゲームにありがちな行為である。敵では無く他のプレイヤーを倒す。この行為は色々な思惑や悪意が含まれており、自分の強さを知らしめたいとか現実でのストレス発散を他のプレイヤーに八つ当たりとして行ってたり、相手の装備をはぎ取る行為などが出来るなら、欲しいアイテムや武器、ゲーム内通貨を奪うと言った目的が上げられる。必ずしもその三つの理由で行われていると言うわけでなく、NPCで無い人間である以上他にもいろいろな考えがあるのだろう。

と言っても《PK》を普通にするゲームがあるので一概に悪いと言うわけでも無いが、此処では、このSAOでは話が違ってくる。此処で死んだ者は現実でも死ぬ。それが分かっていてやるプレイヤーや組織を《レッドプレイヤー》、《レッドギルド》、《殺人ギルド》等と呼ばれている。実際の所、プレイヤーのカーソルは緑、他のプレイヤーを攻撃すると犯罪行為とみなし、カーソルがオレンジに変わる。これを《オレンジプレイヤー》と呼ぶ。これになると他のプレイヤーの印象が悪くなる他、一部のサービスが受けられなくなる。でもオレンジになってしまったら元の色に戻れないわけではない。カーソルを元の色に戻す専用の救済クエストも存在している。

その中でも殺人を行った《オレンジプレイヤー》を《レッドプレイヤー》と呼び、”レッド”と呼ばれているが、殺ったとしてもカーソルはオレンジのままだから区別が付きにくいし、自分が手を下さない強いモンスターが居たり、密集する場所に誘い込む《モンスターPK》もあり、プレイヤーの救済処置まで利用する輩もいる。誰か殺すという行為に関して人間の考える事は底が尽きないのだろうかと思ってしまうが、己が生き残る為の生存本能とこれと一緒にはして貰いたくない。何処の世界に行こうと、それがゲームの世界だろうとこう言う悪意は尽きないのだ。でも、現実味が離れているゲームだからこそと言っても良いかもしれない。デルは登った場所からロープでゆっくりと降りて道に戻り、アルゴに聞いた遭遇情報をマップデータと照らし合わせて極力そういう場所を避けながら指定された場所に向かう。

 

 

 

 

「―――――――――――ここら辺にするか・・・。」

 

 

 

狭い荒れた道、視線の先を角を曲がった後に少し広い広場の様な場所に20体の赤い目が輝く人型の石の化け物《ゴーレム》と最後に出てくる同じゴーレム系でありながら全身が今回取る堅くて重い鉱石アイテム《ハードクロム》と同じ金属のネームドモンスター《クロム・タイタン》を倒すか、岩石軍団の包囲網を抜けて発掘ポイントを向かうと言う手もある。でも《クロム・タイタン》を倒すと一発で必要分が手に入り、経験値も多く入ると言う一度で二度おいしいと言いたい所だが、ソードスキルが使えないバトルスキルだけのソロで突貫して生きて帰って来れる自信が無い。

そんなデルは考え付く限りの事を試し、編み出したシステム外スキルと言って良いのだろうか?とりあえず出来る様になったのが捕縛、攻撃アイテム等を使った《トラップ作成》スキル。技《スキル》と言うより、術《アート》に近い物と言って良いと思う。普通のトラップと同じで誘い込んで通過時に起動するように細工をする。近くに破壊可能なオブジェクトがあればさらに効果的な物となる。欠点と言えば、トラップに使っているアイテムの耐久値を考えて行動しないとせっかく誘い込めたのにトラップが無くて倒す事が困難になり、最終的に撤退する羽目になる。さらに消失したアイテムは戻って来ないときたもんだ。はっきり言ってそうなると泣ける。

今の所このような戦法が完全に明記されている訳ではないが、出来るのであれば何でもする。そうしないと予測使用限界がある《ブレイクブレイド》にはあまり頼れないからソードスキル無しでやって行くのを想定するならコレぐらいやらないとソロでの素材集めはまだしも戦闘はキツイ。

彼はメニュー・ウィンドウを開いてアイテムストレージからオブジェクト化させた《フレイムボトル》を五本で一つにロープで縛った強化版攻撃用アイテム《フレイムボトル×5》を横幅が石のデカブツが四体居ても通れそうな道に五つ配置する。20体を纏めて吹き飛ばす事を想定して道の両端に配置されており、最後に道の中央に穴を掘って残りの五本も放り込んで埋める。

一本につき平均50で一束辺り250、それが此処にある10本合計2500と言う所。一発で倒すには全然足りないが相手が雑魚モンスターなら半分以上は一気に削れる。後は自力で移動しながら今作っている《フレイムボトル》を駆使して倒す。作戦はこんなもんかと再確認した彼はモンスターが密集した広場に入り、注目を集める為に《フレイムボトル》を相手に投げつける。このアイテム、一本だけだとこの階層であまり攻撃や目暗まし等の効果無いが、炸裂音で此方に気付かせる。

そして近くの奴は《セミスパタ》を出切り付け、遠くの奴は何処でも売っている投適用のナイフを使ってヘイト値を高め、誘導する。

 

 

 

 

《――――――――!!》

 

 

 

 

「―――――そうだ!こっちだ!!こっちへ来い!!」

 

 

 

 

複数の《ゴーレム》から繰り出される剛腕を回避し、つかず離れず囲まれない様に気を配り、ちゃんと後続が付いて来ているか、アイテムの耐久値まだ大丈夫か等を気にしながら後方へ退いて行くデル。この作業はかなり神経を使う、彼は眉間に皺を寄せながら剣を持った反対の方の手に投適用の4本のナイフを指の間に挟む様に持つと投的する。やり始めた頃から前から考えたら投的も少しは上手くなった。システム補助を受けられなくなった彼が実戦と修練の中で自力で習得した投的、まだ付け焼刃の域を出ないが狙った場所に当たる以上、短期間で覚えたにしては十分すぎる成果が出ている。とは言っても岩石である以上ナイフと剣なんて通るはず無く弾かれる。何度も何度もやっても火花を散らして弾かれるが意味が無いわけでは無い。赤いライトエフェクトが残っている以上なんとか通ってダメージは少しずつだが蓄積されている。それにそろそろトラップを仕掛けた場所に近付いている。後もう少し、と気を抜いたのがいけなかった少し視線を外し隙に叩き込まれた剛腕をどうにか《セミスパタ》を盾にする事で防いだが、吹き飛ばされて曲がり角にあった背中から岩に激突。

 

 

 

《――――――――!!》

 

 

 

「―――――――がはっ!?!!」

 

 

 

 

ゲームプレイ中に必ず発生するダメージ等の神経を電子的につないでいる為に起こる痛み。コレはシステム内で設定されたペインアブソーバと言う機能により管理されている。最低レベルに設定されている今の状態では少し不快感を感じる程度だが、吹き飛ばされ、肺を前と後ろから押しつぶされる様な錯覚に思わず声が漏れる。岩を一部砕きながら反対側にうつ伏せに落ちた彼は少しの間動けなかったが、重い足音を聞き直に体を起こして少し減ったHPバーをアイテムストレージからポーションを取り出して銜えながら直に手と足を付いて転がるように立ち上がると、その場所に叩き付ける様にその超重量を支える石の足が振り下ろされる。予定が少し狂ったがとりあえずポーションを飲んで自然回復効果を上げる《HPリジェネ》の効果を受けながら指定ポイントまで連れて来た。後はこいつ等が爆破範囲まで全員入り込む様に誘導する。デルは大量に《フレイムボトル×5》埋めた場所を飛び越えて、中央より端寄りに誘導し始める。隊列はバラバラ、そんな《ゴーレム》に投的を続ける。だが、先頭と最後尾少し開きがあるので上手く入り切らない。

 

 

 

 

「HPにはまだ余裕はある・・・!此処で食い止めるしかないか!!」

 

 

 

デルは《セミスパタ》を収納して《超重量大剣》を代わりに呼び出し、その巨体を使って剛腕の攻撃を防ぐ。まだ集まり切らないが重い岩石の拳に徐々にHPバーを削れながら押され始める。反撃しようにも重量の所為で上手く振り回せないこの大剣では余計に危険になるだけ、此処は防御に徹するしかない。動きが鈍い所為で余計に集まりが悪い、アイテム耐久値だってもうそろそろヤバいし、やはりもう少し良い装備が欲しいな。と歯を食いしばりながら耐える。大剣の影から敵の数を数え、18、いや19?ぞろぞろ居る所為で数が把握しずらい!!その中で《ゴーレム》共の間から見え、不味い物を目にする。最後尾から近づいて来る一体の《ゴーレム》が《フレイムボトル》が大量に埋められている場所を通ろうとしている。

 

 

 

 

「――――――― ヤバい!!?!!?」

 

 

 

直に装備欄から《超重量大剣》を外して剛腕を回避しながらその場から離れる。背を向けて全力で逃げる彼。次の瞬間、周りの音を掻き消す様な連続した爆発音、さらに爆風に吹き飛ばされる。前のめりに倒れる。

 

 

 

 

「うげぇっ!?!――――って倒れている場合じゃないよなぁ!!」

 

 

 

 

黒煙を撒き散らし、倒せで無いであろう黒煙が密集する場所に目を向け、メニュー・ウィンドウから新しい武器を取りだす。新しくリズが作った黒い柄に鍔の無い細長い出刃包丁の様な直剣《イーストシミター》。一応これでも刀の部類に入る武器であり、ある一定の耐久値ならば刃を当てて引きながら切る事で部位欠損や防具、盾破壊、ダメージ量増大が発生する。そう言った所は現実に近い刀の仕様となってるが、代わりに耐久値が今まで使った中で低いのが欠点だ。大剣の様な叩き断つ様な扱いすれば簡単に折れる可能性があり、《セミスパタ》でも行っていた繊細な扱いが必要な武器である。

 

 

 

 

「もうなんかグダグダだが・・・・。――――――覚悟しろ!この石の化け物共!!」

 

 

 

 

そう言いながら気合を入れて黒煙の中に突っ込み、道を包み込む黒煙から鋭い物で斬り付けた様な金属音と破砕音、重い打撃音が何度も何度も響き渡る。黒煙が晴れ渡る頃には大量の青白い粒子が発生し、最後の《ゴーレム》も同じように粒子なって砕け散った。《イーストシミター》の耐久値を確認しながら爆風に晒されて負ったダメージ分をもう一本のポーションを飲んで自然回復効果を持続させ、広場に戻ると黒光りする金属ゴーレムのネームドモンスター《クロム・タイタン》がそこに立っていた。デルを見るなり周りに響き渡る様な唸り声を上げて向かってくる。

 

 

 

《―――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!》

 

 

 

 

「一対一なら負けねぇよ。―――そいじゃ、終わらしちまうか。」

 

 

 

作っておいた二、三本の《フレイムボトル》顔面に向かって投げつけて今さっきの岩石モンスター同様、金属類なので火傷は期待できないが、暗黒状態になったのを確認して《バックスタブ》、《スケアクロウ》、《ステルスポジション》の順に言ってバトルスキルを発動させる。

完全に命中率を削いでから背後を重点的にあらゆる方面から《イーストシミター》で撫でる様に斬りつける。堅牢な金属の腕を振り回すが、明後日の方向にブン回している為、全然当たらない。殆ど流れ作業の様に片付けられたモンスターは健闘空しく最初の《ゴーレム》達と同じように青白い粒子になって砕け散る。今さっきの《ゴーレム》同様にウィンドウが展開し、必要分の《ハードクロム》と一応ネームドモンスターだったので《ハードクロム・バスター》と言う片手剣をドロップした。

どんな物か装備してみると少し重くて色は黒、銃底に長いチェーンに咆哮を上げる獅子のキーホルダー、柄と鍔はマグナムで銃身の代わりにナイフの様に先端の片方が反っており、平均的な直剣より大きく長めの刀身、見た目はガンブレードと言っても良い物、此処の世界は投的武器以外に遠距離武器は無かったはず、さらに言うならこのような銃の様な射撃武器をあの開発者が放り込むとは思えない。

確かめる為にシリンダーを展開すると弾が入っており、とりあえず元に戻してデルは引き金を引く、そうすると機構通りにシリンダーが回転して撃鉄が雷管を叩き、炸裂音を響かせ、平べったい刀身に掘られた駆ける獅子が赤く輝き始める。弾が出る訳でも無くただ炸裂しただけ、後は刀身に掘られた獅子が赤く輝ているだけ?振ってみた所、赤い光の軌跡を描くだけで特に変化はない。武器のテキストを確認すると

 

 

 

 

「・・・えぇっと、”弾丸には一時的にSP消費を無視してスキルを無制限に使う事が出来る効果がある”ね。」

 

 

 

煽り文句を飛ばして性能を見ると元々耐久値が高い金属で出来ているから堅く、ソードスキル発動後は《ソニックインパルス》より二、三十秒だけ硬直時間が短く、通常でも片手剣にしたら高い威力を誇る武器。普通のプレイヤーにしたら火力重視のレアな部類だろうが、《ブレイクブレイド》で使ったらすぐにぶっ壊れそうな感じだし、回転弾倉の最大装填数は六発、圏内に戻るまで再装填されないらしいが、ソードスキルが使え無い彼にとっては無用の長物と言っても良い代物だ。最近はSP消費なんてバトルスキル以外に使ってない為、そこまで気にする必要が無い。

にしても射撃武器じゃ無かったが、魔剣や聖剣なら分かるがこんな機械剣を採用するとは思わなかった。見た目は気に食わなかったが性能はそれなら良いんじゃね的な感じかな?なんにしてもデルの中でこの武器は売り物決定になった瞬間であった。アイテムストレージにも戻して《セミスパタ》を装備し直し、発掘ポイントに向かう。

そして指定された金属アイテムを大量にドロップする事に成功し、帰ろうともと来た道を戻っていると黒尽くめの服装、中学生ぐらいでデルが170cm位だから彼より4、3cm低い小柄の少年が居た。

 

 

 

 

「アレ、大丈夫か?」

 

 

 

 

 

『―――――――――――!!!』

 

 

 

 

どんどん奥に入って行く彼の剣捌きはデルが此処で磨いた我流の剣よりかなり綺麗だと思うが、少し取り憑かれた様に一心不乱に片手剣を振り回している様に見え、さらに谷に反響して聞こえる少年の叫びは憤りや悲しみなど感じる。

明らかに精神に異常をきたしている様にしか見えない無理なレべリングをしている少年に嘗ての自分を思い出させ、気になったデルは装備欄から《ワイトマント》を呼び出し、さらに隠密スキルを使用して大分離れた場所から岩陰に隠れる。見えさえすればどうでもよかったので遠くて視認できるのがやっとだが、それで良い。ああ言うタイプは視線に敏感で、近づきすぎると気付かれる可能性がある。それにクエストも時間制限付きで無い為余裕はある彼は夕方まで少し見て居る事にした。

暫くして日も暮れても彼は剣を振り続ける。ああなってしまっては手のつけようが無い。デルの場合は彼と心が近かったリズが止めてくれたから良かったが、あそこで止めに入っても他人の俺の声はアイツには届かない。これ以上長いしてもしょうがないからその場を後にしてクエストの報告と転移門で店に帰る為に町の方へ戻る。

外套を装備から外してアイテムストレージに戻してリンダースに帰ってくると最初辺りで説明した彼は深緑の外套に両頬に描かれた三本の線が特徴、髪の色は金褐色の少女”アルゴ”の姿が目に入った。”よう”と片手を少し上げて軽く挨拶すると

 

 

 

 

「――――ん?デルじゃないカ。その分だとクエストは成功したみたいだナ。」

 

 

 

 

「まぁな。アルゴの情報通りだったからなんとかやれたさ、暫くはあんな堅い奴等見たくないけどな。」

 

 

 

 

「それだけ無駄口叩ければまだまだ大丈夫だロ?――それにしても少し気になってたけど最近、戦い方が変わったカ?」

 

 

 

「そうか?」

 

 

 

「いや、そうかっテ。デルに調査依頼で用心棒を頼んだ時には他のプレイヤーと同じで火力稼ぎにはソードスキルを使ってただロ?それから最近になってオレッチに牽制用、攻撃用アイテムの製作方法と携帯用の調合器具、必要スキルをデルが聞きに来た後、ここら辺の40階層附近のフィールドで頻繁に大きな煙とか大きな爆発音に耳にキーンと来る音が聞こえるって情報を集めたら良く聞くんだヨ。目撃者も遠くに居て見えなかったり、煙で見えなかったりでどんな奴か確認できないかったとか言ってたけど、1人のプレイヤーがある道で数十体のモンスターが纏めてドカーンって吹っ飛んだのを目撃したらしイ。最初はありがちなフィールドトラップとか思ったらしいけど普通フィールドの道にトラップなんて仕掛けて無いからナ、まぁ、そいつも爆発の煙の中で人影を見たんだとサ。」

 

 

 

「ふぅん。それで。」

 

 

 

「そんで何時も1人しか目撃されてないからソロってわかるけド、SAOのシステムにも無いトラップを使った変な戦い方をするから他の奴らは、最近そいつ事を”兵士《ソルジャー》”って呼んでいるんダ。」

 

 

 

最近にってデルが辺りをふっ飛ばしたり、スタン系アイテムや目暗まし系アイテムを盛大に使うから目撃者からそういう風に見えているらしい。

でも少し引っかかると思ってデルは

 

 

 

「なんだそりゃ?姿を見せないとか言うなら暗殺者《アサシン》じゃないのか?」

 

 

 

「まぁ、爆発物とかも使うけど暗殺者にしたら派手すぎるだロ。忍者にしてもアレだけ盛大に爆破してたら周囲の奴らに気付かれてとても忍んでいる様には見えないからどっちかって言うと兵士ダ。なんか理由であるのカ。」

 

 

 

「俺はその兵士《ソルジャー》って事は決定済みなんだな。――――――誤魔化したってしょうがねぇか、ソロでの安全な戦法はどれだけダメージを受けないように敵を倒すかだろ?複数の場合は囲まれる前に奇襲で片づけた方が効率が悪いが死亡率は下がるし、トラップは扱いを間違わなければ一気に殲滅できるから1人の時は助かる。」

 

 

 

そう聞くと満足そうに頷く彼女に少しは自分を心配してくれたのだろうかとときめきかかったデルだったが

 

 

 

 

「そうかそうか、役に立ってて何よりダ。―――オイラも金蔓が減らなくて万々歳だゾ。」

 

 

 

 

「―――――おい!!」

 

 

 

 

何時もの通り守銭奴だったアルゴに絶望した。と言っても情報屋の商品である情報をアルゴから買う奴はかなり居るがデルほど頻繁に利用している客もそう居ないのだ。だがら金蔓と言われてもしょうがないとは言え、もう少し良い言い方と言う物があるのでは?とも思ってしまう。もしかしたら知り合いが死ぬかも知れないんだから、もう少し心配してくれてもいいのでは?とも思ってしまう彼である。少し落ち込んでいるデルに思い出したようにアルゴが

 

 

 

「・・・兵士《ソルジャー》がデルなら、最近出回っている噂の”黒銀”は違うカ。」

 

 

 

 

 

「あん?黒銀?」

 

 

 

 

 

「最近デルと同じく凄いソロプレイヤーが出没し始めたんだゼ。壊れた剣の角と背びれを付けた黒銀の鎧。システム的に持てないかなり重そうな両手剣と小ぶりのランスを片手で振り回し、軽業スキルを持った高レベルプレイヤーでも度肝を抜く様な跳躍力を持った化け物みたいな奴ダ。48から40層付近にあるフィールドにある今の所最高難易度のダンジョンの最下層に居るネームドボスを短時間でぶっ倒したって噂になってル。」

 

 

 

 

「そ、そいつはガセネタじゃねぇのか?普通無理だろ?あそこ最近、情報が公開されてソロで潜ったら確実に死にに行くようなもんだぜ?」

 

 

 

 

「最初はオイラもそう思ったんだけどヨ。二組パーティ組んで潜った奴らが最後に勢い任せにランスをボスにブン投げて倒したのを目撃しているらしいし、他でもフィールドで限定的に出現する強敵モンスターを倒したり、死にそうになっているプレイヤーを助けた目撃例も少なくないんダ。だけどドロップやプレイヤーの安全を確認すると近付く前に跳んで逃げちまウ。戦い方が狂戦士な所から、ただバーサーカーってんなら血盟騎士団の閃光様が居るから狂狼《べオウルフ》とか破壊を象徴する剣《ブレイクブレイド》って呼ばれているんダ。」

 

 

 

 

若干冷や汗を流しながら”ああ、それ俺だわ”と思うデル。最近鉱石やインゴット、武器が取れなくなってまだ行ってない所ならと思って隠密スキルと装備効果を重複させて強敵を避け、宝箱を探しながら最短で潜ったらそこにボスっぽいのが居た。デルは隠密系スキルと装備効果の重複で限りなく見つける事が困難な状態になっているのにもかかわらず。ボス部屋を覗こうとした瞬間、入口が見えない壁に塞がれて付いている効果とスキル効果が消し飛んだ。ドラゴンの様なモンスターが襲いかかって来て《ブレイクブレイド》で応戦。その時のデルはクエストの経験値とクエストの過程で倒したモンスターの経験値でLv63になって居た彼に爆発的な身体能力補正を掛けられ、紙装甲でありながら、どれだけ威力があっても当たらなければ如何と言う事は無いのだよ状態で戦闘を終えた。その時に助走をつけて思いっきりランスをブン投げた所為で、青白い塵に帰った事をリズにお話しすると”もう少し大事使えって言ったでしょ!!”と怒鳴られた。せっかく作った物をぞんざいに扱われては怒るのも当然だ。今の所、彼女からぶっ壊したランスの代わりに新しく作って貰った《イーストシミター》を使っている。付け加えるなら《ブレイクブレイド》でコレも一度折った事があり、実際これは二本目だ。

後は、通り名が”破壊の象徴する剣《ブレイクブレイド》”なのはしょうがないにしても、”狂狼《べオウルフ》”ってのはどうなんだよ。デル自身言い始めたの誰だよと言いたい。自分の本名がおおかみと剣で、さらにアバターネームがデルフィング。このデスゲームの前に読んだ伝説物で出て来た剣、元ネタのフルンティングを少し変えてつけたモノだ。たまたま付けたにしては少し出来すぎている様な気がするが、ただの思い違いだろうと、憶測でこれ以上考えるとどつぼに嵌まりそうなので止めておく事にした。そんなこと思っているデルを気にした様子も無くアルゴは続ける。

 

 

 

 

 

「でも、一つおかしい事があるんだヨ。」

 

 

 

「なんだよ。それ?」

 

 

 

「目撃例が決まって見つかってから最大で一日に3、40分の短時間の内しか目撃されてないってことなんだよナ。」

 

 

 

 

目撃者の証言から短期間の内にそこまで割り出すアルゴの情報収集、整理能力に感服する。用は彼女は黒銀のチート能力が巨大化して怪獣と戦って光線とか武器で止めを刺す某ヒーローと同じで時間制限があると踏んでるらしい。露店で転々として居たデルとリズは10月末には48層が解放され、稼いだ全財産をつぎ込んで11月に入る前に店を購入。それから黒銀を使い始めたのが店番をした11月5日以降から今日12月20日。デル自身、性能確かめる為に使用していが、頻繁に使っていたわけでもないのにそこまで割り出したのだ。やはり伊達に通り名は付いていないらしい。

彼女の言葉で《ブレイクブレイド》を纏う時と脱ぐ時には注意を払わないとこの脱いだ姿でも面倒事に巻き込まれかねないし、リズに迷惑がかかりそうだから気を付けないと思うデルは話題を変えようと思い出したように彼女なら知ってるのかと興味本位で

 

 

 

 

「そういや、今日行ったアリ谷とこで黒尽くめの服装をした中学生くらいの男子が、盾無しの片手剣を血相変えて必死にブン回してたの見かけたけど知ってるか?」

 

 

 

 

「――――ッ!?ああ、やっぱりキー坊は無理なレべリングをしてたカ・・・。」

 

 

 

何時も余裕そうな彼女の表情が珍しく心配そうな色がある。デルは彼女が小声で言ったキー坊?と言う少年と知り合いなのは分かったが、どう言った奴なのか聞く前に彼女が真剣な雰囲気を漂わせながら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――デル。前線に引けを取らない腕を見込んで頼みたい事があるんダ。オイラの依頼を聞いてくれるカ?」

 

 

 

 

 

 

「・・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、暫く話して今まで世話になっている以上無碍にするわけにいかず了承し、アルゴと別れて来客用のドアからベルを鳴らしながら店に入ると何時もの接客スマイルで

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ!ようこそ、リズベット武具店へ!―――――って、またアンタね!」

 

 

 

 

 

「――――リズ。少し良いか?」

 

 

 

 

 

何時も通り来客用のドアから入ってきたデルを咎めようとするリズに何時もと違う真剣な表情で言ってくるデルに少し、呆気に取られて少し間を開けるが、如何したのかと思って彼女は

 

 

 

 

 

 

「―――何よ?」

 

 

 

 

 

「12月24日のクリスマス。俺と付き合って欲しいとこがあるんだ。」

 

 

 

 

 

 

「うん。その日は別に―――――――――――――っえ!!?!!?」

 

 

 

 

 

 

 

真剣そうなデルにそう言われて信号機の様な顔色になったリズであった。

 

 




そろそろ《ブレイクブレイド》ことデルフィングが大活躍。



合言葉は轢き逃げ!!


そして今週の武器はこちら


《ハードクロム・バスター》


種類:片手剣

外見:色は黒、銃底に長いチェーンに咆哮を上げる獅子のキーホルダー、柄と鍔はマグナムで銃身の代わりにナイフの様に先端の片方が反っており、平均的な直剣より大きく長めの刀身、見た目はガンブレードと言っても良い物ような機械剣(分からなければヒントはスコール)


性能:元々耐久値が高い金属で出来ているから堅く、ソードスキル発動後は《ソニックインパルス》より二、三十秒だけ硬直時間が短く、通常でも片手剣にしたら高い威力を誇る武器。普通のプレイヤーにしたら火力重視のレアな部類に入り、レアな理由は回転弾倉に装填された弾丸を炸裂させると一時的にSP消費を無視してスキルを無制限に使う事が出来る効果があるからだ。最大装填数は六発、圏内に戻るまで再装填されない。



オリジナルアイテム


《フレイムボトル》


外見:まんま火炎瓶


性能:あるモンスターから取れる発火性、爆発性のある液体を瓶に入れて導火線代わりに瓶の口に布を突っ込んでる。初級アイテムな為威力はすごく弱いが、SAOでは珍しい火傷の異常状態を引き起こす。それ以外にも命中率を下げる暗黒やスタン効果もあるが、かかりにくいので数本同時に投げないと意味がない。数本を増やすことで強化改修可能な素材にもなる牽制兼攻撃用アイテム。


ではまた次回。
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