ソードアート・オンライン~破壊の剣《ブレイクブレイド》~   作:ソースケ_研究中

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排出中。



すみません。新しいゲームやってて遅れてしまいました。





ガァァンンンダァァァムゥゥブレイカァァァァァァァァ2ぅぅぅぅぅぅ!!!!!!


heart《心》

ある一室、ベットがあり、小さい丸いテーブル、タンスと一通り揃った1人部屋の中。人が1人座れるほどの風呂敷を広げ、近くに木で出来た試験管立てに三つほどある試験管が挿し込んでいる。小さいすり鉢、ビーカーなど小さいが実験道具を出して調合している。一人の黒いTシャツにゆったりとした余裕のある灰色のズボン、足首を絞ったブーツを履いた青年がウィンドウを操作しながら

 

 

 

 

「この素材アイテム、前の液体火薬みたいな体液よりかなり威力あるんだよな。」

 

 

 

 

ウィンドウに表示されている項目には素材の合成があり、合成成功率ある。yesか、noの最終確認を彼は迷わず押した瞬間、部屋を光が包み。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――――――――あ、失敗した。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辺りを掻き消すほどの眩い光が周りを包み込んだと思ったら、辺りを吹き飛ばす爆発が起こる。窓が無かった所であった為、部屋の中が黒煙に覆われて何も見えない。暫くしてこの部屋から出る為にある一つしかない扉が開き、喉太い男性の声が

 

 

 

 

 

「お前ま―――――!?ゴホッゴホッ!!何だこりゃ!?!おい!!デル!お前一体何を調合したんだ!!」

 

 

 

 

扉から入って来て風向きが唯一の扉の方に行くのは通りと言えよう。だから、その扉を開けて入ってきた男性は部屋中に充満した黒煙が一気に襲ってきた所為で盛大に咳き込むのは当たり前。そう、この爆発を起こした張本人であり、圏内でHPバーが減らない事を良い事に調合失敗の被害をまともに受けた青年は、クリスマスに盛大に中隊クラスの部隊に突っ込み、どんな攻撃をも受け付けない堅牢な姿で、あの部隊に恐怖を植え付けた黒銀の鎧の所有者である”デル”だ。

そしてまたかと思って呆れて来たつもりが此処まで盛大にやっているとは知らず、黒煙に咳き込んでるガタイの良い屈強な体付きが目立つ、上は黒いインナーの様な服、下は少しゆとりのある灰色のズボンに前掛けと言った服装。

顎髭だけ残したスキンヘッドの男性《エギル》。

彼は圏内では安く仕入れて安く提供するのがモットーな商人、フィールドではゴツイ斧を豪快に振り回す高レベルの斧使いプレイヤーでもあり、デルが良く色々とアイテム関連で取引している相手でもある。彼との交流はまだ荒れてた頃の三層辺りからの付き合いだ。その頃は要らない装備と回復系アイテム等と交換して貰っていた。

あんまり覚えていないが、あの時売った武器はその時かなりの性能を誇る武器だったらしい。何時も何処で取って来るんだと彼の驚いた表情ばかり思い出す。あの時はあまりそう言うのを考える余裕すらなかった事が良く分かり、何時も回復アイテムとステータス強化アイテムを持ち込み限界まで渡してくれたんだが、今さらだが、あの時の需要で考えるとそれ以上の値打ちがあったのではと何時も思う。まぁ、それ以上に稼いでいた彼にとっては今更どうでも良いのだが・・・・。昔の交流もあってデルが調合場所で此処を借りているのだが、外でやると作っている物が作っている物なのでモンスター寄ってくるし、宿屋じゃ出来ないし、路上だと人が集まってくる噂になるし、調合用の部屋は借りるお金無いし、店持ってて好き勝手出来る空き部屋があり、交流のあるエギルに頼んだのだ。

最近分かったのだが、生産系の失敗ペナルティは決まって素材の消滅のだが、極一部の今やっている攻撃系や目暗まし等の調合失敗は煙出たり、光ったり、爆発する事がある。前の《フレイムボトル》や《エクスプロシブ》も同様、今回のだって高ランク素材を使った新しい爆弾アイテムを作っていたのだが、成功率が20%下回っていたのに構わず了承した結果コレだ。部屋自体に武器や防具、アイテムの様な耐久値は無いから壊れる事は無いが、此処まで派手にやると黒煙が酷い。

暫くすると段々と黒煙が晴れて行き、視線を上げると見覚えのある屈強な黒人が目に入る。覗き込むように様子を窺うエギルの顔が反対に見えると言う事は、自分は倒れている証拠にもなる。

 

 

 

 

 

「ゴホゴホッ!?――――――ったく、盛大ふっ飛ばしやがって部屋ん中真っ黒じゃねぇか、一体何を使ったんだ?」

 

 

 

 

 

「ゴフッ―――――。最近取れた高ランクの爆発物系素材アイテムで新しいアイテム作ろうとしたらこうなった。」

 

 

 

 

頭を爆発させて毛が逆立ち、顔が所々黒くなっているデルは口から残った黒煙を吐き出す。以前言った通り痛みは無いが、リアルと同じで超煙い。こう言う所は如何して近いのか理解に苦しむ。前の砂嵐と良い、雪の寒さと良い、この黒煙と良い。あの人は感覚、呼吸関係で嫌な事があったのだろうか?冒険と言って調合スキルの熟練度が足りて無いのに了承する自分もどうなのだろうかと思うが、低確率でも成功すれば良いだろ的に考えていた結果がコレだ。

《エクスプロシブ》の改良は出来たが、新しいアイテムはどうにも上手くいかない。原因なんてわかりきっているが、この調合スキルは、《エクスプロシブ》を作る為に態々アルゴに聞いたクエストで道具を入手して習得した料理スキルの派生系の様なスキルだ。前はそんなの無くても作れたんだが、かなり複雑になるとこう言う専用スキルが必要になるらしい。

 

 

 

「また低確率の調合したのか?たまにこう言うポカやらかすよな、お前。」

 

 

 

「俺の冒険心に火が付いたんだという事だけ言っておこう。」

 

 

 

「派手に失敗してんのに威張ってんじゃねぇよ。」

 

 

 

格好付ける以前に頭爆発状態、黒くなった顔で自信満々に言う彼に呆れる。死なないとは言え、もう少し自重して欲しいと思うエギル。追記しておくと、ペナルティのこの爆発で変わった見た目は洗面台で洗わないと元に戻らない仕様になっている。いや、どう言う仕様だよと思うが、実際の所他にも身支度用のアイテムはあるのだが、洗面台で洗った方が早い。

もう年を越して2月23日、年越しは除夜の鐘も無いのに町中に鐘の音が響き渡った。あの日は年末から年初めにかけて迷宮区に潜っていた攻略組に緊急離脱者が続出した為、戦線が崩壊。血盟騎士団とこの大将を筆頭に立て直したが、死亡者多数の為攻略が遅れたそうだ。デル達も他のプレイヤーが出している新聞で知った時にはもう手遅れだった。年越しなんてレストランで出された食事で年越ししていた自分達にはその時の状況など知る事は出来なかったから仕方が無いと言えばそうなのだが、デル自身もリズをまた一人にするのは心苦しい。付け加えるなら切り札である《ブレイクブレイド》をまだ前線に出すには改良が不十分だと思う。最新の形態は驚異的な防御力と突破力を有しているが、時間制限がある以上、今の火力じゃボス戦を乗り切るには不十分だ。

此方も色々の案を出しているが、かなり煮詰まっている。複数の層による重装甲と全距離に対応した複数の武装を同時に使用できるように考案しているのだがを形状をどうするかで問題になっているのだ。

今の所採用されているのが、矢尻状の刀身に持ち手が保持力を高める為にフックやストッパーが付いているクナイ型の投剣《ネイルダーツ》と片手直剣の形状だった物を刀の形状に変えた《イーストシミター》、一様長さ的に片手棍より槍の部類に入り、かなりの重量と強度を誇る《三節棍》の三つが決まっている。

彼女的には、前のクリスマス見せた《ブレイクブレイド》の突進力を生かせる装備を作りたい様だ。デルもその案には賛成なのだが、前の装甲に埋もれて上半身が身動きが取れない状態だとデカいのに止められた時に他のモンスターに側面、後方から攻撃されたら堪った物では無い。ある程度の自由がある強固装甲、そうそう止められないような突破力を獲得すれば、本当に名前通りの破壊を具現化した存在に生まれ変わる事が出来る。

それが叶えば、これ以上の戦力は無いだろう・・・・・・。後はデル自身が使いこなせるかどうかにかかっている。以前の謎の敵やニコラス戦の時も思ったのだが、以前の様な細かい動作が難しくなっている。コレでもかなり上手く制御しているつもりだが、出せる馬力に対して本体が軽かったり、バランスが悪い為、よく武装重量に体が流されたりして姿勢制御が上手く出来ない。

必ず制動すると次の動作に僅かながらタイムラグが生じる。無理に動こうとするとスリップしたり、派手に転倒する恐れがある為、かなり神経を使って身体制御を行わないといけない。

コイツがただのRPGであるなら性能が良ければ良いで済むのだが、俺達がやってるSAOはそれだけでは駄目なのだ。実際此処で構成された自分自身の体を使ってコイツを使いこなさなければいけない。多分此処のプレイヤーの中でそれを一番強いられているのはデルかもしれないが、なってしまった物はしょうがない。

そこから思考をやめ、メニューウィンドウを展開してタオルとヘアブラシを出し、ある程度元に戻そうと座りなおしてから見た目を整え始めるとエギルが

 

 

 

「――――どうすんだ。まだやんのか?」

 

 

 

 

「いや、今日は良いや。素材も今ので大分使い込んじまったからな。―――――というか何か用があったんじゃないのか?」

 

 

 

 

「んあ?――――時間見ろ。時間。」

 

 

 

 

そう言われてタオルとヘアブラシを戻しながら時間を確認してようやくデルは、エギルに自分は作業に熱中して確認を怠っているかもしれないから時間になったら呼んでくれと言っていた事を思い出した。彼は調合道具を片付ける為にウィンドウを操作して

 

 

 

 

「分かった。もうそんな時間か、遅れるとどやされるし急いだ方が良いな。――――ありがとうエギル。帰るわ。報酬は何時も通りで良いか?」

 

 

 

 

「おお、なんか使えそうな物が出来たのか?」

 

 

 

 

「ポーションで全状態異常回復系とリジェネ系が数十個に、一時的なステータス上昇系を各ステータスに50個と言った所か・・・。こんなもんでどうだ?」

 

 

 

 

二、三本の白と青に緑の小瓶、さらにカラフルな数十個の小瓶をエギルに渡す。ポンポン出てくる持ち切れなくなった小瓶を倒れたテーブルを元に戻して上に置いていき、最後の一本を置き終えた後に

 

 

 

「――――――――コレで良いか?」

 

 

 

 

「売りもんとしちゃ十分な数だ。それに質も申し分無いしな。――――でも何時もこんなに良いのか?」

 

 

 

「散策してっと素材アイテムが余るんだよ。こまめに整理しておかないと上限超えて捨てないといけなくなるから、使わない分はどっかの誰かさんに有効活用して貰った方が助かる。それに必要分は何時も取ってるから気にすんな。」

 

 

ウィンドウを開いてアイテムの効果を確認しながら言うエギルにデルはそう説明する。帰った後はアイテムの整理を居ないと直に上限を超えてしまうから困りものだ。あの日からコレばっかやっている為、他のプレイヤーより素材アイテムが大量に入っている。

《ブレイクブレイド》を使い始めてから余計に武装に鉱石やインゴットが要るので良く取りに行ったりするし、その過程で取るアイテムも調合に使えそうなアイテムがいっぱいある。最近では、熟練度が上がってよく調合しないと手に入らなそうな質の良いアイテムが出来上がるのでデルとしてはソードスキルが使えなくなって面倒になったが、逆にアイテムやコルには困らなくなった。

デルは装備画面のウィンドウを操作して着替える。襟を立てたまま、襟や袖、前身頃、裾に白いラインの入った膝下まである黒いコートを羽織り、お腹辺りを皮のベルトで閉めて絞る。手には薄手の白い手袋を付けた姿に変わる。

それからエギルに部屋を貸して貰った礼を言ってその場を後にする。何時もなら気付いたら帰るか、エギルにもうそろそろ帰れと言われて帰るかの二通りあるが、大体帰る時間は夕方になる。今日は少し早めに出てきたが日が暮れ始めている事には変わり無い。彼は転移門を使ってリズとの待ち合わせ場所であり、以前クリスマスで突っ走った”迷いの森”の何処かにある魔剣、聖剣クラスの武器を取りに行くのが今回の目的だ。この情報はクリスマスの報酬としてアルゴに聞いた物だ。

前の蘇生アイテムよろしく、まだ見つけた奴がいない所為でNPCの情報以上の事は分かっていないそうだ。何かフラグを立てる必要があるまでは分かっているのだが、それ以上の事が分かっていないらしい。それで先にリズが行って圏内やフィールドでクエストに関係してそうなNPCが居ないか探しているが、自分はアイテム作りに専念しなさいと言われて此方に来ていた。

それで今日、彼女は店を休業して情報収集をしている。リズが言うには最近行き詰っていたから息抜きも兼ねていると言っていた。さらに言うなら機会があれば《ブレイクブレイド》を使って新しい専用武装の試運転もしようと思っているが、使う機会があるかどうか分かんない。

そんな事を考えながらフィールドを進んでいると何時もの服装に銀色の胴甲冑に左籠手、サイドアーマー。左籠手の手首から先を覆う大きな手甲の形状の小盾《フィストバックラー》を付け、腰に打撃部分が刃の様な鋭利な形状をしたメイス《アイアンウォーメイス》を下げたリズが迷いの森の入口に立っているのが目に入り

 

 

 

 

「おぉーい。リズ。」

 

 

 

 

「ようやく来たわね。デル。―――――ほら。」

 

 

 

そう言うと彼女からパーティ申請を貰い。ウィンドウを操作して了承しながら様子を窺う。一応収穫があったのか?悩んでいるわけでもない何時も通りの彼女の表情にデルは

 

 

 

「その分だと収穫があったのか?」

 

 

 

「一応ね。情報照らし合わせながらクエストを進行させてたんだけど、コレ、此処のクエスト受注中に出現する隠しルートを通って必要なフラグを立ててから武器のある層へ行かなきゃいけないみたい。フラグの方は今日行く35層の”迷いの森”にあるらしいわ。」

 

 

 

「うん?武器がある階層は?」

 

 

 

「47層よ。そこにもクエスト受注中の隠しルートが出現するらしいわ。話聞きまわってて分かったけど、今までルートが出現するフラグを立てる事が出来なかったからまともな情報が無かったみたいよ。コレ。」

 

 

彼女が言うにはアルゴの取って置きの情報は、フラグ立てが重要なクエスト。クリスマスの次の日の時では、完全に情報が集まっていなかったモノをまともな報酬にする為に今行ける圏内やフィールドを駆けずり回って調べてくれたらしい。彼女が言うにはたらい回しされる様にあっちこっちNPCに聞き回らなければならない為、途中で時間の無駄だと断念して最後まで行かないプレイヤーが続出し、いまだにクリアされていない。

だが、彼女はコイツはかなりのレアアイテムが入手できると踏んでいるらしい。彼女的にはこれだけ時間を食わされたんだから、それぐらいあっても良いだろとかなり願望が入った発言をしていた。

それで今日は、最低でも二日くらい店を開ける位の心づもりで此処に来ている。アルゴが言うにかなりの長丁場になると言っていたから、先にフラグ立をリズに任せていた。

 

 

 

 

「まったく、分かっていると言ってもあっちこっち歩きまわされて大変だったんだからね。感謝しなさいよ。」

 

 

 

 

「分かってるよ。その分ちゃんとアイテムを作って来ているからよ・・・!」

 

 

 

 

そう言いながらデルはウィンドウを操作してリズに飛ばし、彼女は中身を確認した後に了承してアイテムストレージに収納する。そうして準備を整えた二人は夕暮れの森の中に足を進める。遭遇するのは雪原限定の白い狼では無く、普段から居る灰色の狼型モンスター《フォレスト・アサイラント》の群れに植物系に昆虫系、猿人系。森に居そうなタイプがぞろぞろと居る。

とりあえず辺りを散策してモンスターの配置を確認後、一気に吹っ飛ばせそうな場所を探し、木の陰に《エクスプロシブ》を五本束にしてロープで括り付けた《エクスプロシブ×5》を十本ほど置いていって、痺れ薬を塗ったアイスピックの様な投剣《パラス・スティンガー》の本数を確認しながらリズに

 

 

 

「隠しルートってここらへんなんだよな?」

 

 

 

「うん、此処のエリアにある木の門を探すんだけど、どうすんのって・・・・。まさか!」

 

 

 

「辺りでブラブラしているモンスターが邪魔だからな。ちょっと吹っ飛ばす。」

 

 

 

 

「ちょっと吹っ飛ばすって、アンタね。他のプレイヤーが居たらどうすんの?一緒にふっ飛ばしたら大変な事になるわよ。」

 

 

 

 

「そこをリズに頑張って貰うんだろ?とりあえず俺のマント貸すからそこら辺に隠れて、他にプレイヤーが来ないか見張っててくれ。」

 

 

 

 

「え、それだとデルだけであの数引っ張って来る気?流石に危ないわよ。」

 

 

 

 

「アレぐらいの数なら何時もやってる数より少し少ないくらいだ。」

 

 

 

心配そうに言うリズにマントを渡してから準備運動しながら普通に受け答えするデル。相棒の《セミスパタ》を片手に反対側の手の指に挟む様に自動発火型の《エクスプロシブ》を四本持って全力疾走。最初は足の遅い植物系を《セミスパタ》斬り込んでから締まい。

そして《エクスプロシブ》のキャップを全部引っこ抜き、キャップの仕込まれたマッチの原理を利用して摩擦で発火。それを植物モンスター共に投げつけて直に離れる。数秒して纏めて影をかき消すような閃光に包まれ、次の瞬間にはモンスター共は爆風と爆炎に呑まれた。向こうは低レベルの植物モンスターに対して投げ込まれた爆発物は、植物を焼き払うには丁度良い爆炎を撒き散らす。火傷と言うより火達磨と言っても良い状態になっている植物モンスターは、最初の攻撃のダメージもあってそのまま焼け落ちて青白い粒子に還る。

そうしている間にも今の爆発を聞き付けてこっちへ向かってくる狼の群れ、全力で罠のある方に走り、逃げながらアイテムストレージから短剣型の投剣を引っ張り出して何かを集団で追い詰めている様子だが、こっちにはそんな都合知った事では無い。ヘイトをこっちに向けさせる為に木製の棍棒に縄で首を縛った壺を持った猿人型モンスター《ドランクエイプ》三体に向けて投げつける。

体の何処かしこに当たった三匹は、デルに気付くとこっちに跳ぶ様に走ってきた。一瞬、両サイドに髪を縛った小さい少女を見た気がしたが、まずは此処のモンスターの掃除が先だと、さらに近くに居るモンスターに投剣をさらに投げつけて意識をこっちに向けさせる。

 

 

 

 

 

暫くして相棒であったフェザーリドラの《ピナ》を亡くしたビーストテイマーの少女《シリカ》。悲しんでいる彼女に新たに迫ったモンスターを倒した黒尽くめの少年《キリト》。彼は羽根の形状をしたアイテム《ピナの心》を47層の思い出の丘に持っていけば、テイムモンスターを復活せられるアイテムが入手できる事を知り、彼も同行して取りに行く事で話しがついた直後だった。

先に襲ってきていた《ドランクエイプ》が走り去った方向から腹に響き渡る様な爆音が響き渡り、青白い大量の粒子と大きな黒煙が上がっていた。

 

 

 

 

「きゃ!?―――――――――――な、なんですか!?今の!!」

 

 

 

 

「――――またか・・・最近多いな。」

 

 

 

 

ようやく落ち着いていたのに突然、響き渡った爆音に声を上げてしまう彼女。キリトはそんな中、驚いた様子も無く冷静だ。その知ってそうな口ぶりシリカは《ピナの心》をアイテムストレージに収納しながらキリトに問う。

 

 

 

 

「えっと・・・。知っているんですか?」

 

 

 

 

「うん?ああ、アレは最近噂になっている兵士《ソルジャー》の仕業だ。」

 

 

 

 

「・・・・そるじゃー?って、あの”兵士《ソルジャー》”ですか?」

 

 

 

彼女も噂位は聞いた事があった。なんでも珍しい攻撃系アイテムを駆使してモンスター共を一網打尽にする。その正体は爆炎と黒煙が邪魔して分からないが、その特徴的な戦いた方は他のプレイヤー達にも知れ渡っている。

最初はシリカ自信もなんで《ドランクエイプ》が途中で何処かへ行ってしまった事に少し疑問に思っていたが、偶々通りかかった。《兵士》が自分に意識を向けさせた為に、起こった事だったようだ。助かった事は喜ばしい事だが、共に悲報でもある。

さらに爆音が響きわたる中、キリトが

 

 

 

「ああ、だから直に此処から離れよう。兵士《ソルジャー》が居るって事は此処は戦場になる。」

 

 

 

「それってどう言う・・・?」

 

 

 

キリトの発言の意味が分からなかった。プレイヤーからしたらこの世界自体が己の生存を勝ち取る為の戦場と言っても良い。既にそうなのに今さら戦場になるなんて表現をする必要が何処にあるのか?その疑問に答える様に彼は

 

 

 

 

「アイツが居ると言う事は、その周囲にトラップを仕掛けているか、仕掛けようとしている可能性がある。

向こうも気にはしてくれているが、ひょっとしたらと言う事があるからな。使い切りアイテムなのに無駄にダメージ量が多いから、HPを消耗している状態で引っかかりでもしたらこっちが危ない。」

 

 

 

「あ、はい。わかりました。」

 

 

 

理由が分かったシリカはキリトに言われるように、今後の思い出の丘対策の話しをしながら足早にその場を離れた。

 

 

 

 

 

 

爆炎と黒煙の発生源の方では蒸せながら煙を払う様に出てくるリズと平然と気にした様子も無いデルがウィンドウを操作しながら後から出てくる。

 

 

 

 

「ごへっ?!ごほっ!!?――――――――煙た!!ったく、効率が良くたってこれだけは慣れないわ。」

 

 

 

 

「一気に片付けるのに手っ取り早いんだから少しは我慢してくれ。それじゃ、リスポーンする前に隠しルート探すぞ。」

 

 

 

 

「分かってるわよ。簡単に片付けられるって言っても、何度も煙たいのは勘弁して欲しいからね。」

 

 

 

 

 

近くにプレイヤーが居ないか気をつけながら《パラス・スティンガー》で麻痺状態にして動きを止めてふっ飛ばした後は、メイスで殴り倒し、《セミスパタ》と《イーストシミター》でめった切りにした。

そしてモンスターが居なくなって散策しやすくなり、辺りを手分けして調べているとリズが

 

 

 

「―――――デル!見つけたわよ!!」

 

 

 

「本当か?」

 

 

 

「コレよ。此処が入口になっているみたい。」

 

 

 

リズが居る場所、両隣りに大きな木がゲートを作る様にお互いの枝がくっ付いている。木の門に彼女が手を突っ込むと水滴が波紋を広げる様に空間が波打つ。聞いた情報通りの物がちゃんとあった。

多分これ、フラグ立たリズがパーティに居なかったらこんな現象は起きなかったかもしれない。面倒臭がったりするプレイヤー大体が経験しているといる思うが、一部のクエストやシナリオは順序を踏んで話を進めて行かないと近く通ったから”少し寄って行くわ”の感覚でそのイベントを受ける事は出来ないのだ。アルゴの御蔭で大分短縮されたと言っても半日近く掛かると言ってた。だからお昼から歩き回ってNPCの話を聞き終わった時間とデルが合流した時間の差は数十分しかない。役割分担だと言っても、それだけ面倒なフラグ立をやってくれていたリズには頭が下がる思いだ。

ここを通って中にいる重要なNPCに会いに行くのだが、鬼が出るか蛇が出るか、この先からは情報が無いので強力なモンスターが出る可能性もあるから覚悟を決めて彼等は木の門を潜って行った。

門の抜けたその先にあったのは、森のトンネル。ただ続く一本道、左右を向くと人間が一人入るには狭すぎる感覚で生えたと言うべきか、殆どお互いの間隔が無いので同化している様にも見える。

 

 

 

 

「な、なんて言うか凄いわね。コレ・・・。」

 

 

 

「そうだな。でもゆっくり鑑賞している暇は無いぞ。日も暮れてるし早めに行こうぜ。」

 

 

 

「言われなくたって分かってるわよ。」

 

 

足早にトンネルを抜けると広い場所に出た。広場になっており、先には森に囲まれるように巨大な湖がある。日が完全に暮れてしまって登っている月明りが照らし、湖に突きが映っていた。景色として見る分には申し分ないほど綺麗だと言って良い物だが、それ意外特に何も無い。

辺りを散策し様と広場の方に警戒しながら足を踏み出し、広場の中央に近づいた時だった。一瞬何か光ったと思ったら背筋を何が一気に駆け巡り、横に居たリズを蹴飛ばしてその場を離れる。お互いに離れると同時に黒い剣撃が今さっき二人が居た場所を通過した。

いきなりの事に吹っ飛んで横倒しになったリズが

 

 

 

 

「何すんのよ!!」

 

 

 

 

「ワリィ。――――何にしても空振りかと思ったら、こんなのが出てくるとはな・・・・!」

 

 

 

 

ご丁寧に色がにじみ出す様に姿を現したのは、血の様に赤い装飾の付いた黒い剣を持ち、赤い闘気を纏った黒い騎士だった。

突然な現れた敵、此方が認識したと同時にレッドカーソルと一本のHPバーが出現し、名は《トゥレチェリイ・ナイト》と表示される。見た目は兜に白いポニーテールの飾りが付いた黒いプレートアーマーに得物は黒い剣だけ、後は何も装備していない。

そして腰に下げていたメイスに手に掛けて立ち上がっているリズが

 

 

 

 

「――――――――――っ!!いきなり不意打ちとかふざけんじゃないわよ!!」

 

 

 

 

「リズ!?」

 

 

 

 

そう言って怒りのままに突っ込む彼女止めよう剣を抜いて駆け寄る時、一瞬だけ彼女と目が合った。彼女は黒騎士をメイスの射程内に入れ、力を込めて叩き込もうとするが、それよりも早くリズの方に踏み込んで黒剣を左から右へ横一線に振り切った。

残ったのは風を切ったような音だけで彼女の胴甲冑に斬った時に出来る赤いダメージエフェクトがまったく刻まれていなかった。

 

 

 

 

 

「あっぶな!?―――――――ってね。こちとらいろんな武器を見て来てんのよ。振った時の射程圏内なんて見ただけ丸わかりだっての!」

 

 

 

 

 

AIである以上、組まれたプログラムに従って動くから疑問に思う事は無いだろうが、彼女は振り込んできた瞬間、後ろにステップを踏んで射程圏内ギリギリの所で回避した事で生じた結果。戦闘経験より剣を打ったり、見ている方が長かったにも拘らず、見ただけで攻撃範囲を割り出して回避して見せた。伊達に彼女はこの世界で生き抜いて来たわけではない。

踏み込んで空振った事で僅かながら隙が出来た黒騎士の背後から《ステルスポジション》と《スケアクロウ》、《バックスタブ》のバトルスキルを発動させ、デルは《セミスパタ》を振り下ろす。

 

 

 

 

「―――――――――っ!?」

 

 

 

 

 

直に体勢を戻して振り向き様に剣を振り、寸前の所で剣撃を止める。隠密系のスキルを使って背後からの攻撃を受けられた事に驚かされるが、先に効果が無い事を知れて良かった。肝心な時に通用しない手段を取って、痛いしっぺ返しを食らう前だからまだ立て直しが出来る。

そしてリズとの位置関係を考えても好機だ。此処で一気に自分達のペースで押し通す為、結果的に囮なってしまったデルの背後からの攻撃で黒剣は抑え込んでいる。まだ終わったわけではない。

 

 

 

 

「リズ!!!」

 

 

 

 

「――――――― 予定変更ね!もらったわ!!」

 

 

 

 

デルから黒騎士を挟んで向かい側に居るリズは、ソードスキル発動の発光を纏わせたメイスを持って黒騎士の背後から迫る。

発動に合わせて突っ込んでくリズ、彼女はこれで完全に攻撃は当たると踏んでいた。いろいろ問題があったが上手く行ってるが、デルには違和感がった。隠密系のバトルスキルが通用しなかった事もあるが、これだけ戦士として完成していると思わせるネームドモンスターがこんな簡単に止められた事が引っかかる。

そう思った彼の思いに答える様に自分の得物に違和感を感じた。《セミスパタ》の刃に黒剣の刃が入っており、不味いと思って声を上げた時には剣が振られていた。

 

 

 

 

「リっ―――――!?!!がっ!?!!」

 

 

 

 

「え――――――!!ぐっ!?!!」

 

 

 

 

デルの《セミスパタ》の刀身が宙を舞う頃には、後ろに振り返り踏み込んでリズの胴に赤いダメージエフェクトを刻みこんでいた。黒騎士の攻撃によって発動前にキャンセルされ、HPバーも一気に半分以上まで減らされた。

さらに追い打ちをかける様に発動の有無に関係なく発生する硬直で動けない彼女にさらに追撃を行おうとする黒騎士。

 

 

 

 

「リズ!?そう簡単にやらせるかよ!!」

 

 

 

 

折れた《セミスパタ》直に投げ捨て、何時も通りにウィンドウを即時展開して《超重量大剣》を上段から振り下ろす為に右腕を上げた状態で取り出す。白い巨大な刀身を重量と腕力に物を言わせて黒騎士の頭をかち割らんと振り下ろした。

だが、またあり得ない事が起こった。リズに追撃しようとしていた黒騎士が既にこっちを向いている。プレイヤーの反応速度なんてゴミ以下だと言った感じで攻撃に対して即時対応して来た。デルはそんなこと知った事かと言わんばかりにそのまま振り下ろすと黒剣を合わせて斬り付けて来る。

重い剣撃から繰り出される一撃を受け止め、甲高い金属音を響かせ、足を地面にめり込ませる黒騎士。

そろそろ硬直が解けるだろうと思ったデルは

 

 

 

 

「リズ!!直に離れろ!!」

 

 

 

「――――――――デル!?」

 

 

 

「俺はまだ大丈夫だ!!コイツを抑えている間に早く!!」

 

 

 

「―――――――っ!!」

 

 

 

 

そう言うとこのまま離れる事に少し戸惑っていたが、この状態では結局足手まといになると思った彼女はウィンドウを開きながら黒騎士から離れ始める。デルはウィンドウはまだ開いているのを確認し、鍔迫り合いの状態で防具装備欄から《ブレイクブレイド》と《イーストシミター》を引っ張り出して装備する。彼の体が青白い粒子を纏い始め、姿を現す頃にはオブジェクト化された所々装備された赤黒い装甲を付けられた黒銀の鎧と左腕に片手直剣を持っていた。

視界には予測使用限界と簡易図が表示され、目の様な幾何学な模様が光り輝くと同時にスキル発動して大剣が軽くなり、自由に動かせるようになる。

 

 

なんとか装備出来た。鍔迫り合いをしながらだから出来るとは思わなかったけど、無理すればいけるな。えっと注意しなければならないのは、リズに重装甲を取り付けて貰ってないから追加装甲以外は軽装甲な事、予測使用限界を含めた二点。

後は――――。

 

 

 

 

「―――――逃げるのも進むのもやるだけやってからでも遅くねぇ!!」

 

 

 

 

 

HPバーが一本だけど強さはネームドボス級、それ以上か?少ない分それ以上に強い!自分の射程範囲になると必ず反応して抑撃と反撃が来る。片手剣と大剣を持って一気に黒騎士の懐に飛び込んだ。抑撃の為に剣が上から来るが、こっちだって何も策が無いわけじゃない!剣を持った腕を側面から片手剣を持った手で裏拳で殴り付けて弾き飛ばし、さらに踏み込んで右から左に大剣の一閃を叩き付ける。

 

 

 

 

《―――――――!?》

 

 

 

「なめんなぁ!!テメェが必ず反応すんのは今さっきので知ってんだよ!!」

 

 

 

 

黒騎士の胴甲冑に罅の様な赤いダメージエフェクト、斬撃と言うより打撃に近い一撃が黒騎士を弾き飛ばして剣を突き立て、片膝を付いて土煙を巻き上げながら止まる。今のでHPバーが半分以下まで削れた。反応が早い理由はコレか、防御力はそこまで高くは無いようだな。

《ブレイクブレイド》を着た一発ならもう一撃くれてやれば沈められる。大体モンスターは攻撃をあまり避けない最後の一発をくれてやろうと体勢を立て直そうとする黒騎士に向かって跳ぶ。

防具で固めてあるこっちより防御力の高いリズがアレだと俺が食らうと一気にレッドラインまで削り取られる。あの剣の一撃は無駄に火力が高い。食らう前に早く決めないと長期戦は不利になる。黒騎士を射程圏内に取らえて構えて大剣を突き出すが―――――。

 

 

 

 

 

 

「――――――なぁ!?」

 

 

 

 

 

 

当てやすい胴体を狙って突き出した一撃を身を引いてすり抜ける様に”避けて”俺の後方へ跳ぶ。

嘘だろ避けた?受け止めるか抑撃だったのに今度は回避しやがった。HPバーの減りで行動が変わるのは知っていた。それはスキル発動と行動変化はあったが、回避されるのは初めてだ。

黒騎士の速度は着地と同時に距離を詰めるのは容易、着地してからの立て直しを考えても追撃の隙は十分ある。だったらどうする?普通の手段じゃまともに立て直すのに時間が掛かるし、”何か簡単に壊れ様な踏み台になる物でも”と跳んでいる最中に辺りを見回すが何も無い。

頑丈な物と言えば、右腕にある大剣に目が行って思いついた俺は大剣を逆手に持って地面に突き刺す。

 

 

 

 

 

「リズにはワリィが命には代えられねぇからなぁ・・・・・・!!!」

 

 

 

 

 

そのまま勢い任せに土を抉りぐる大剣に両足を乗せ、力を入れると《武器耐久値限界域》と言う警告文が表示され、大剣が罅割れ軋みをあげる。

 

 

 

 

 

 

 

「――――うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

《武器破損》の警告文が表示される前に俺は、大剣を刀身の中から圧し折りながら黒騎士に向かって跳んだ。視線の先に捉えた黒騎士はまだ此方を向いていない。抑撃体背を取られる間に会え!!右に持ち替えた《イーストシミター》を持って跳んだ。

此方の射程内に捉えるまであと数秒・・・。

と思った時には黒騎士と視線が合い、既に抑撃体勢に入っていた。これじゃまた避けられちまう。もう踏み台になる物は無いし、空中で進行方向の変更は出来無い。完全に詰んだ!どうすれば―――――!!

 

 

 

私はデルの戦いを見ていた。いや見てるしかできなかった。デルに言われるように一度退いた私はポーションと回復結晶を使って完全に回復する頃には、アイツは私が強化、改修した黒銀の鎧の鎧を纏っていた。

アレを纏っている時の戦いは何度か見た事があるが、何時見ても常軌を逸している。あの動きと力は最前線の高レベルプレイヤーでさえ出来ない。今のデルの動きに合わせるには私では全然早さも力も足りない。援護しようと無理に割り込んだら私の実力だと邪魔になる。

良し!!デルがあの黒騎士の攻撃を掻い潜って一発入れた!!やっぱりあの鎧を纏っている時の攻撃力は、耐久値を犠牲にしていだけの事はある。今のでHPバーも半分以下まで削れた。もう一発当てさえずればこっちの勝ちだ。

アイツも分かっているのか、一気に距離を詰める為に跳んで追撃を仕掛けに行った時にそれは起こった。

その結果に離れた場所で見ていた私は思わず声が漏れた。

 

 

 

 

 

 

「――――――――え!?」

 

 

 

 

 

 

 

まるで黒い煙がすり抜ける様にデルの攻撃が寸前の所で交わされた。そのまま空中で止まれるわけでも無く跳んで行くデル。あまりの速さにすり抜ける様に避けた様に見えたが、どちらにしても結果は同じ。

大抵のネームドモンスターはHPバーが減ると行動パターンが変化するのは、皆していると思うがどれもパワーアップか戦い方が変わる程度で、あんな避ける様な事は無かった。黒騎士も避けた後に一気に距離を開ける様に跳んで、デルを追撃しようと構える前に金属が罅割れ、砕ける様な音を聞いて私は、音のした方に目を向ける。

あんの馬鹿!!私が作ったせっかく作った大剣を足場して、さらにぶっ壊して跳びやがった!でもこれなら追撃される前にこっちが先手を取れる。

そう踏んでいたが、次に黒騎士の方に戻すと既に追撃するんじゃなく迎え撃つ為に構えていた。今までのモンスターと違ってパターンでは無く行動に対して自分で考えて最善の行動を取ろうしてる。

あの状態なら今さっきの様に避け、何かを足場にして飛ぶ事が出来ないデルの着地を狙って追撃すれば、着地でまともに対応できないアイツは何もできずに殺される。例え生き延びても使う時間に制限があるあの鎧では、戦いが長引けば不利になる。

追加装甲を含めても黒い剣の攻撃力を考えたら、あの防御力では持たない。せめてクリスマスの時の多重装甲なら話が別だったんだけど、今は多重装甲パージ状態。

多重装甲は私が直に付けないとストレージに装備状態では収納できない。どうやっても付けて収納できるのは頭や胸部、膝などの身に付けるタイプの追加装甲だけ。

 

そこで思いついたのは私自身が突っ込んで抑え込む・・・・・・・・・。のは無理ね。突っ込むアイツの邪魔になる。最悪の場合は私が昇天する可能性だってある。それはだけは御免だ。近づかずに黒騎士の注意を一瞬だけ逸らせる事が出来れば――――。

 

そう思った時には、既に答えは出ていた私は一か八かと砲丸投げの要領で回りながら”ある物”を振り回していた。

足手纏いだけでは終わらない!!その一心で私は声を張り上げながら

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――――――私の剣折っといて諦めそうになってんじゃっ!!ないっての!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

黒騎士に向けて私は全力でブン投げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

諦めかけていた俺に救いの声が響き渡り、それと同時に黒騎士の横から何かが飛来し、それを黒剣で弾き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――宙を舞うのはリズのメイス。

 

 

 

 

 

 

 

こっちは既に射程内に入っている。この一瞬の隙さえあれば叩き込める!!右手に残った《イーストシミター》を斬り方も気にせずただ一撃を入れる事だけを考えて黒騎士の胴に叩き込んだ。

叩き込んだと同時に急激に耐久力が減り始める。刀身にも罅が入り、今にも折れそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――うぉぉぉあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咆哮をあげながらそのまま力任せにHPバーを削り取って胴を斬り飛ばす。力任せに斬った直後に刀身は砕け散り辺りに散弾の様にバラけ、自分も勢い余って戦闘機がローリングする様に一回転して肩から滑る様に着地する。

宙を舞う斬り飛ばされた胴体から最後に折れの耳に届く

 

 

 

 

 

 

 

 

《き、shi、ヨ見事ナRI・・。KOレ、でWAタ、しは、ヨU、やく眠RI、にツKE、ル。》

 

 

 

 

 

 

 

そう言った後、切り裂かれた黒騎士と破壊した二本の剣は青白い粒子に還った。

 

 

 

 

 

 

その後、デルが体を起こすと同時にレベルアップの効果音と展開したウィンドウを確認する。効果音が二重に聞こえたのでリズの方もレベルアップした様だ。これでクリスマスから徐々に上がっていたレベルは、今さっきのでリズはLv66、デルはLv77になった。

そしてドロップしたアイテムが表示されたウィンドウを確認する。中にインゴット系アイテムや補助アイテムが大量に表示されており、多分次の階層の隠しルートを見つけるのに必要そうなアイテム《湖の乙女の招待状》と言う物があった。

最後に黒騎士が散った場所より離れた所で刺さっていた奴の黒い剣が青白い粒子になって散ると、さらに新しくウィンドウが展開される。

表示されていたのはLAボーナスのアイテムであり、名は《ガスティガ=フォッリ》。了承してオブジェクト化させ、何なのか確認すると黒騎士が持っていた血の様に赤い装飾と文字が彫られた禍々しい輝きを見せる鍔の部分が逆扇状の黒い直剣だった。

テキスト内容は盟友である騎士の親類を斬り殺した事で魔剣に堕ちてしまった聖剣。

片手剣に部類され、性能は無駄にクソ高い火力と追加効果にヘイトが高いとダメージ量とクリティカル率が大幅アップするが、バックアタックのダメージ量が減少し、この剣は全ての片手剣ソードスキルの対象外となる。

デルは《ブレイクブレイド》を使い始めてソードスキルが使えないから今さら対象外だと言われても気にする必要が無いが、目暗まし戦法に干渉してくるから少し扱いづらい。

少し重いが、鎧無しのデルの筋力でも片手で扱えるくらいの重量である為、鎧無しの時の火力もある程度確保が出来た。デメリットもバックアタックとヘイトの問題以外は大丈夫だ。どちらかと言うと取れてラッキーと言っても良いぐらいだ。鎧を外してアイテムストレージに戻し、服装を最初の黒いコートに戻す。

変わった点は刀身を鎖に雁字搦めにされ、切っ先と鍔の二点でベルトに鎖で提げられた《ガスティガ=フォッリ》がある事以外は何時も通りだ。

とっさと機転で助かったリズに声をかけようと思ったデルは、彼女に視線を移す。

その彼女は湖の前で地面に両腕、膝をついて四つん這いになって項垂れていた。明らかに喜んでいると言うより落ち込んでいるという表現が正しいだろう。そんな彼女に声をかける彼

 

 

 

 

「ありがとう。お前の御蔭で勝ったぞ?―――――ど、どうした?リズ。」

 

 

 

 

 

「――――――――。」

 

 

 

 

何かぼそぼそ言ってるが良く聞こえないので彼女に近くまで行って彼は座り込む。

 

 

 

 

 

「――――――落ちた。」

 

 

 

 

「あ?何が落ちたって?」

 

 

 

 

弾かれるように体を越して胸ぐらを掴みながら、怒りながら半分涙目になっている彼女は

 

 

 

 

 

「―――――――湖に私の愛用のメイスが落ちたっつんてんでしょうが!!この馬鹿!!もう何なの!!剣は折るし、メイスは湖に落ちるし、なんで所有アイテム全オブジェクト化しても帰って来ないのよ!!もう踏んだり蹴ったりよ!!」

 

 

 

 

 

「ぐぉぉっぉぉ!?首!首締まっている!?」

 

 

 

 

要は自分の愛着のあった得物が裏技使っても帰って来ない事に落ち込んでいたようだ。黒騎士に斬られて一本、さらに勝つ為とは言え、二本御釈迦にしている。しょうがないのは分かっているが、納得がいかない彼女はどうしようもない怒りをデルにぶつける。

そんな二人の諍いを止める出来事が起こる。突然、湖が光り出して光の中から綺麗な深い青の長髪、肩の開いたドレスを纏った美しい女性がいきなり出現する。

それを二人は眼を見開いて驚く、ただ出て来ただけなら何処にでもありそうなイベントだから、そこまで驚く事が無かったが、二人か注目したのはダメージエフェクトかどうかは分からないが、赤くなって鼻血が垂れている様に見える鼻と右手に持ったリズのメイス。

 

 

 

 

 

「「―――――――あ、え?」」

 

 

 

 

 

『私はこの湖の女神《ヘルメス》、騎士と鍛冶師よ。よく後悔の念に囚われた彷徨える騎士を解放してくれました。感謝します。』

 

 

 

 

何もかにもどうなっているのか訳が分からなくなっている二人に袖で鼻辺りを拭きながら若干鼻声になっている湖の女神?様よく見ると若干涙目になっている。その時二人は理解した。この人めっちゃ我慢している。アレ?このNPCってなんでこんなに表情豊かなのだろうか?設定された行動パターンに従って動いている為、それ以外のリアクションは無い。SAOを稼働させているCPやプログラムがもとんでもなく高性能だから、こう言う事も出来ると言う事だろうか?

どう言う反応して良いのか戸惑っている二人を気にした様子も無く話を続けようとするヘルメス。

 

 

 

 

 

『お礼に騎士にはその剣を、鍛冶師にはコレを――――。』

 

 

 

 

 

そう言ってリズに渡されたのは大きい黄金の金槌。若干ピコハンに似た外見だが、金属の光沢を持った強固な金槌だ。

ヘルメスの手から離れると宙に浮かぶう様に自分の目の前まで来た金槌。それを少し戸惑いながらもリズは手に取る。最初は片手で手に取ったが、いきなり重さが来たのか、片手で支えられないと思った彼女は直にもう片方の手でも支える。

彼女の方に展開されたウィンドウには《ゴヴニュ・ハンマー》と表示されており、ヘルメスは言葉を続ける。

 

 

 

 

『では、 旅のご無事とご武運をお祈りしています。』

 

 

 

 

そう言って帰ろうとする。普通ならこのまま帰って貰っても良いのだが、彼女のメイスを持ったまま帰って貰うわけにはいかない。

リズはウィンドウ消して、内容を読まないままレアそうなハンマーをアイテムストレージに放り込んで

 

 

 

 

 

「――――――まって!!私のメイスを返して!!」

 

 

 

 

 

『・・・・。』

 

 

 

今までぎこちない表情で賛辞と感謝を言っていたが、ついに本性を現したと言って良い程ヘルメスの表情が変わった。冷めた目で俺達を見る。その中に怒りの感情も混ざっているようにも思える。

NPCの癖に人間の様に根に持っているなんて思えるわけが無い。と言いたい所だが、明らかにそう言う風にしか見えない。

 

 

 

 

『コレは貴女のだと言うのですか?』

 

 

 

 

手に持ったメイスを彼女に見せる様に前に持って行き、ヘルメスは少しドスが聞いた言葉で問い。

そしてリズはその言葉に頷くとさらにヘルメスは問う。

 

 

 

 

『何故湖に戦棍を投げ入れたのですか?』

 

 

 

この場合どう言えば良いか、”普通ならそのまま事情を話す”が最良と言える。暴君であればそんなのは関係無いと罰を与える可能性だってある。こっちだってただで罰を受けるわけにはいかないから戦うという方法を取るだろう。

その場合、今の状態で戦うのははっきり言って自殺行為に近いと言って良い。ヘルメスの強さは戦い向きではないが、それでもこの世界では女神の位置付けにある以上かなり強い事は分かる。逃げるしても戦うにしても《ブレイクブレイド》が無いとかなりキツイ。目には目を歯には歯を常軌を逸した存在には異常な存在をぶつけたい所・・・。

鎧無しでも勝つ事は出来なくとも逃げる事は如何にか出来るかもしれない。

それ以外にも戦いを避ける為に嘘をつくと言う選択肢もあるが、コレも戦うと言う未来を避ける可能性よりさらに厳しい戦いを呼び込む可能性ほうが高い。―――――――と言っても問われているのはリズだ。デル自身には戦いに備えるぐらいしかできない。

デルは自分の相棒の言葉に耳を傾ける。

 

 

 

 

「それは私が、コイツを、デルを助ける為に必要だった事で別に投げ入れたわけじゃ・・・・。」

 

 

 

 

『ではその騎士を助ける為に必要な事であり、故意では無かったと?』

 

 

 

 

「そうよ。」

 

 

 

彼女は続けて小声でこう続ける。

 

 

 

「――――――私は足手纏いは嫌なの。」

 

 

 

「―――――ん?」

 

 

 

『何か仰いましたか?』

 

 

 

「別に何でもないわ。――――何にしても御免なさい。許してくれるならそのメイスを返して下さい。」

 

 

 

リズがそう謝罪する。審議はどうかわからないが、向こうは納得したのかヘルメスの表情が少しほぐれる。如何にか戦わないで済みそうだ。かなわない相手と事を構えるのは勘弁して貰いたい。

納得したヘルメスは、メイスに手を添えると水色の淡い光に包まれる。その後、金槌と同じように宙に浮かべて彼女に返す。光が消えて姿を現した自分の相棒に変化があった。メイスの柄頭に鎖越しに繋げられ、絡み付いた二匹の蛇と翼の紋章がある水色のクリスタルが付いていた。

そしてアイテム名にも変化があり、《カドゥケウス・ウォーメイス》と言う名だった。

性能は一撃の威力は強化されており、追加効果は状態異常の治りが早く、常にHPリジェネの自然治癒能力が付加されると言った物だ。

 

 

 

 

 

『貴女の言葉は心に響きました。その思いは特に・・・・。私も貴女の思いに答えて武器に再生の加護を付けさせて頂きました。』

 

 

 

 

「うぅ・・・・・。」

 

 

 

笑みを浮かべるヘルメスに少し戸惑った彼女は少し顔が赤い。デルは何故そうなると訳が分からなくなっている。

含みのある言葉に問いかける前にヘルメスは

 

 

 

 

 

『では改めてもう一度、貴方達の旅の御無事と御武運をお祈りしています。』

 

 

 

 

 

そう頬笑みながら心からその言葉を贈ると、ヘルメスは空気に溶ける様に姿を消した。だが、二人の疑問は溶ける様に解消する事は無かった。原因は、NPCであるはずのヘルメスがあれほど”人間の感情”と言う物を表現できるのかが気になる。プログラム通りの芝居にしても、どう見ても人生の酸いも甘いも知っている大人としての風格と言うか、そんな物を感じた。

とまぁ考えていても答えは出ないのでデルは、リズに

 

 

 

 

 

「――――てかなんでお前、顔赤いの?」

 

 

 

 

「うっさい!?あ、赤くなんてなって無いわよ!!」

 

 

 

色々と疑問がある事が多かったが、とりあえずキーアイテムの《湖の乙女の招待状》を確認しながら来た道を帰っていた。このアイテムは、第47層のフィールドにある”思い出の丘”の何処かにある隠しルートの入口を出現させる為の物だ。さらにマップに出現ポイントを表示しているから今日みたいに捜索の為に邪魔なモンスターを一掃する必要はない。

今日も遅いし、時間的にレストラン開いてない。調合関係で試行錯誤した時に取得した料理スキル。そのスキルで作ったおにぎりと熱いお茶が入った水筒で簡単に食欲を満たすと1人ずつ1人部屋を借りて寝た。

彼等は疲れていた為、帰りからずっとほぼ流れ作業の様に各部屋に入ってベットに沈んだ。短時間とは言ってもかなり神経を使う戦闘だったからデルの方は完全に動かなくなっている。リズの方は途中から起きて備え付けのシャワーを使って寝間着に着換えて就寝した。

 

 

そして翌朝・・・・。

昨日の疲れが残ったまま死んだ魚の様な顔になっているデルとさっぱりしてきっちりと決まったリズ。その二人が豪華な門とレンガの道、見渡すかがり花畑が広がる庭園の様な場所。午前中だと言うのに男女のカップルばかりはっきり言って心情的にキツイ

 

 

 

 

「クソォ・・・・。リア充爆発しろ。」

 

 

 

 

「何涙目になってんのよ。―――――ふぅん。アンタうらやましいの?何なら此処限定で恋人のふりをしても良いわよ。」

 

 

 

 

「――――ん?お前と恋人・・・・・?何かピンと来ねぇな。」

 

 

 

 

「アンタ、失礼にも程があるわね。こんな可愛い子が一時的にも恋人になってあげるって言ってんのよ。そこは泣いて喜ぶとこでしょ?」

 

 

 

 

「言ってて恥ずかしくないか?」

 

 

 

恋人のくだりから少し顔が赤かった彼女は、デルに指摘されて余計に赤くなる。勢いに任せて言ってみたが、自分でもらしくない事を行ったと思って少し恥ずかしいのだと思う。

 

 

 

「―――――――ぐっ、自分でもらしくない事言ったと思うけど、そう言う事を真顔で返されると普通に腹立つわね。」

 

 

 

 

「いや、リズは可愛いのは否定はしないけどな。」

 

 

 

 

「―――――――なぁ!?」

 

 

 

 

彼の発言で素に戻った状態でいきなりこんな返しをされた所為で、余計に顔を赤らめる彼女。デルは、そんな彼女に普通に感想を言って驚く彼女に首を傾げる。

彼女は、恥ずかしいとか嬉しいとか訳が分からなくなった感情を隠そうと、本来の目的である”思い出の丘”に早く行く為に強引にデルの手を握って引っ張る。

 

 

 

「さっさと早く行くわよ!!――――ああ!もう!!此処に居ると変な空気に中てられて頭がおかしくなりそうだわ!!」

 

 

 

「――――うおお!?!ちょっ!?リズ!?」

 

 

 

 

そのまま”思い出の丘”に向かってリズに引っ張られる様に歩き出すデル。フィールド内に入るまでには如何にか落ち着いた様だが、このまま引っ張られながら突入していたらどうなったか分からない。と言って此処の階層に居るモンスターと此方のレベルを考えれば、少しアクシデントが起きても如何にか出来るだろう。

指定されたポイントに行く途中で腰に提げている黒剣の試し切りをしてみた。前と変わって背中から腰の位置になったので少し感覚が変わったが、普通に大丈夫そうだ。デルが剣を抜く様に柄に手を掛けると鎖が外れ、束縛から解放されるように金属を擦る音と共に鎖が走り、吸い込まれるように鍔の中央に消えて行った。さらにモンスターの視線がデルの方に集まると剣の装飾と文字がさらに赤く輝きだし、一閃するとモンスター共が横に両断されていた。

ギミックがかなり中二臭い仕様だが、威力は申し分無い。かなり威力はあると思っていが、此処までとは思わなかった。多分、レベルが上がっていている分、威力も底上げされているのだろうが、剣自体の性能を考えるとあの階層に居る頃に黒騎士のクエストに挑んでいたらあそこで死んでいたのは、黒騎士では無く自分達だったかもしれない。

ソードスキルが使える頃に挑んだとしてもかなり危なかっただろう。早期に決着を付けないとこっちも危なかったとは言え、あの騎士に勝てたのは黒銀の鎧とリズの援護があったからだ。

デルはそんな事を考えながら歩いていたが、そこで思考をやめる。目的地に着いたからだ。迷い森同様に木のゲートがあり、最初と同じように警戒しながら二人はそこへ入って行った。

彼等が潜った先には森が広がっていた。深い森の中、光源は木漏れ日だけ、木は二人が経っている場所を避ける様に立っており、二人の正面は何も遮る物は無い一本道となっていた。気を引き締め、二人は心して進む。

暫く警戒しながら歩いていると、木々が少なくなり日差しが余計に二人を照らし始め、暗さに慣れていた二人は手で影を作る様に庇う。段々と慣れてきた二人は目を開ける。最初に映ったのは光を反射して光り輝く巨大な湖。次に近くに立っている屋敷と陸地に繋がれている船が目に入る。

 

 

 

「最初に入った所もなかなかだったけど、此処も綺麗な所ね。」

 

 

 

 

「そうだな。とりあえずあそこの屋敷を訪ねてみないか?」

 

 

 

「多分あそこにクエストに関係するNPCかなんかが居るんでしょね。――――さっさと行くよわ。予定として開けていたけど、二日も店開けてるんだから今日中には如何にかしたいわ。」

 

 

 

 

屋敷の方へ行って二階建ての大きな一軒家、その装飾を施されたドアをデルがノックする。

 

 

 

 

「御免下さい。誰かいませんか?」

 

 

 

 

『はぁい。今出ます。』

 

 

 

 

聞き覚えのある女性の声に二人は眉を顰める。昨日聞いた声と似た様な声にまさかと思ったが、扉を開けて出来たのは、格好は中世時代の貴婦人といった感じで、髪の色が焦げ茶色である事を覗けば、昨日会ったヘルメスと瓜二つの女性が出て来て二人は驚愕する。

声に出して彼女の名前を呼ぶ前に目の前の女性が

 

 

 

 

 

『ようやく訪れましたね。選定の旅人達。私は《ヴィヴィアン》。貴方達を選定の剣へと導く者です。少し支度をするので待っていてください。』

 

 

 

 

そう言って一礼してから彼女はドアを閉めてしまった。受け答えして普通に話していた彼女とは全然違い、一方的に話を終える所を見ると昨日あったNPCとは違うみたいだ。

同じような思いをしているだろう彼女に何か言う前に、直に戻ってきたヴィヴィアンが

 

 

 

 

『では、行きましょう。』

 

 

 

支度を終えた彼女が笑顔でそう言うが、どう見てもNPC解く言うのパターン的な動作思える。ある程度の受け答えするタイプも居ると聞くが、コレは完全にクエスト受注の時と同じようなNPCだ。多分、ああ言うNPCがかなり珍しい部類に入るのだろう。

二人は彼女の先導された二人は、三人が乗れそうなボートに乗り込む。一緒に乗り込んだ彼女が、船のロープを外してから湖の中心に行くと言うのでそのまま待っている。だが、船に付いたオールを取るどころかヴィヴィアンはそれ以降行動しない。

 

 

 

 

「なぁ、リズ。」

 

 

 

「私は漕いだ事無いわよ。」

 

 

 

「まだ何も言ってないだろうが・・・。俺だって漕いだ事ねぇよ。」

 

 

 

「じゃあどうするの?このNPC。これ以上動く様子は無いわよ。」

 

 

 

「テレビだと二人で漕ぐと定番で船が回るよなアレ・・・。」

 

 

 

「まぁ、そうね。じゃあどっちかが、やった方が良いじゃないかしら。」

 

 

 

じーっと自分の方見ているリズに、俺がやれってかと思うデル。しばらく沈黙が続き、しょうがないとため息をつきながら

 

 

 

「ど素人にやらせてんだ。船がひっくり返っても恨むんじゃねぇぞ。」

 

 

「馬鹿言ってんじゃないわよ。ひっくり返った恨むわよ。」

 

 

「無茶言うんじゃねぇよ。――――――ったく、どうなっても知らないからな。」

 

 

「ちょっと、待ちわぁ!?」

 

 

デルが立ち上がった所為で少し船揺れ、直に体背を立て直そうとリズは船の手摺にしがみ付く。彼はそのまま覚束ない足でゆっくりとオールがある方にまで行って船の中央に座り込むんで、オールを取ってテレビでやっていた様に水を掻く用に船体を押し出した。如何にかこれであってる様なので船が進み始めた。

ぎこちないが、それでも進んでいる船を見てリズは

 

 

 

「おお、進んでる進んでる。やればできるじゃない。」

 

 

 

「人事だと、思って、言いやがって!コレ、感覚が、分かりずらいんだぞ!!」

 

 

 

「ボートから見た湖もなかなかなモノね。最初の時も思ったけど、かなり綺麗。」

 

 

 

「人の話を聞けよ!!」

 

 

 

その後、「うっさいわね。良い気分だったのに台無しじゃない」と言う彼女に何度か抗議するデル。そのまま無駄口を叩きながら巨大な湖の中心まで漕いで行く。そこにはぽつんと湖の底からそびえ立つように岩の台座らしき物に刺さった剣があった。

その剣は十字剣に近い形をしており、柄が青、金色の鍔が刀身を少し覆っている。鍔から伸びるのは白銀の刀身はとても綺麗で、湖の光が反射して幻想的な美しさを持っている。さらに金の鍔と刀身には青の装飾と文字、青の柄には金の装飾が付いている剣。コレが湖の中央にあると言う事は、彼女の言う選定の剣なのだろう。

デルは如何にか剣の傍に船をつけるとヴィヴィアンが

 

 

 

『着きました。コレが選定の剣《カレトヴルッフ》です。では、どちらがこの剣の抜くのですか?』

 

 

 

 

「リズは―――――。」

 

 

 

「私はメイス使ってるからそいつは使えないわ。――――だからアンタが抜きなさいよ。」

 

 

 

「まぁ、そうなるわな。」

 

 

 

船の上で少し揺られながら立ち上がって《カレトヴルッフ》の柄を両手で握って力いっぱい引っ張るが――――――。

 

 

 

 

「うぎぎぃ――――。抜けないぃ!?」

 

 

 

「はぁ、男でしょ!気合入れなさいよ!気合!!!」

 

 

 

「ふんならばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

「もうちょっといい掛け声は無かったの?」

 

 

 

「うっさいわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!――――――――はぁはぁ、しんど・・・・。」

 

 

 

柄頭に手を置いて少し休む彼は、暫く息を切らせたように休んでいるとヴィヴィアンが

 

 

 

『貴方はまだ全力では在りません。』

 

 

 

「―――――――――ん?」

 

 

 

『ただ無心に抜けばいいと言うわけではありません。選定の剣を抜くにはそれ相応の貴方の思いを力に変えなければいけません。』

 

 

 

「思いを力にね」と呟きながらデルは思う。なんでこの剣が必要だと思うのか、此処まで来たからかなりのレア物なのだろう。それも欲しい理由になるが、でも彼にとっては違う。多分、そう言う意味じゃない。

そして強い思いとして行き当たったのは、彼は彼女と共にこのデスゲームから脱出するその時まで生き抜く事。さらに約束した通り事、一緒に居る為に彼女を守り抜く力が欲しい。

《ブレイクブレイド》を使えない時は限界がある。昨日だって直に今の状態だと無理だと分かって使ってしまった。状況によっては、今の状態だと守り切れない場面に遭遇する可能性がある。それに敵はモンスターだけでは無く、レッドプレイヤーなどの人間だって相手をしなければならない状況になるかもしれない――――――――。

 

 

 

 

 

「―――――――その為に俺に力を貸せ!《カレトヴルッフ》!!」

 

 

 

 

その思いと共に彼は柄を再び握り締め、抜く為に全力で引っ張ると岩から金属が抜ける様な異音がしたと思ったら、簡単にすっぽ抜けて船に勢い任せに倒れ込んだデル。

その所為で船が盛大に揺れてリズが少し騒がしかったが、アレだけ抜けなかった剣がいきなり抜けた事に驚いてほとんど聞いていなかった。

言われた通りにしたら本当に抜けるなんて思わなかった。このゲーム、どうせ、数値ぐらいでしか此処に居る人間を図って居ないと思っていたが、そうとは言い切れないのかもしれない。何か奥底に眠る何かがあるのかも・・・・。今日の出来事とは彼自身にはそう思えた。

屋敷の方に帰った三人は、ヴィヴィアンが《カレトヴルッフ》が入りそうな古い鞘を持ってきた。それは同じような青と金の装飾を施された鞘であり、彼女が《カレトヴルッフ》を渡して下さいと言うので、デルは言われた通りに剣を渡す。

そして彼女は、持って来た鞘に剣を納めると古い鞘が、新品同様の輝きを取り戻した。それをデルに渡した彼女は笑顔でこう言う。

 

 

 

 

『おめでとう。コレでこの剣は貴方の物です。貴方がこの剣を抜く時に込めた強い思いは、この先の旅路を照らす道標になるでしょう。その事を忘れないでください。』

 

 

 

 

そう言ったと同時に二人の前にクエストクリアのウィンドウが開き、デル方は報酬アイテムと一緒にウィンドウが展開され、ボーナスとして青い粒子へと変わり、加わった《カレトヴルッフ》。そうして巨大な湖と屋敷を後にして思い出の丘のフィールド内に戻り、来た道を帰る。漕ぐのに手間取ってしまった為、かなり時間を食ってしまった。

そして来た道を帰りながら突然リズが彼に

 

 

 

「――――――ねぇ、デル。」

 

 

「何だよ。」

 

 

「あの剣を抜いた時、何を思って抜いたの?」

 

 

「あ、えっとそいつはな。ほらアレだよ!もっと楽してぇとかそう言うの考えながら抜いたんだよ!」

 

 

「あからさまに嘘ついてるんじゃないわよ。ほら、お姉さんに行ってみなさい。笑わないから。」

 

 

そう雑談しながら帰っていると二人が通って来た橋の方で数人のプレイヤーが集まっていた。よく見ると黒尽くめの少年はキリトで、その隣に居るツインテールの少女。さらに大人の集団とその頭を張ってそうなウェーブのかかった赤毛の女性がいざこざを起こしているようだ。

 

 

 

「デル。アレって・・・・。」

 

 

 

「どう見ても集団PKにしか見えないだろ。リズ。最近俺が使っているマントより性能が低いが、ヘイトを下げるマント持ってただろ?」

 

 

 

「え、うん。持ってるけど・・・。」

 

 

 

デルは言いながら装備欄から出した何時も着ている黒い外套とクールタイムを終えた《ブレイクブレイド》を纏う。さらにアイテムストレージから一応予備で持たされていた刀型の《イーストシミター》と三節棍を引っ張り出す。

デルはスキルを発動させながら

 

 

「ああ言う奴は、他のレッドプレイヤーとも繋がりが少なくともある。店出している俺達にとって顔を見られるのは、都合が悪いだろ?」

 

 

 

「あ、そうね。わかったわ。―――って、首突っ込む気満々ね。ま、私もあんなの見せられて黙って居られるほど御人好しじゃないけどね。」

 

 

 

 

彼女もアイテムストレージから焦げ茶色の外套を引っ張り出す。

二人合わせてこの格好だと完全に不審者だが、面倒事に関わる時は顔が見えない方が後々楽で済むから良いのだ。特に店を構えている二人にとっては、暴力店員と暴力店主のレッテルはかなり営業に響くからそう言う所を気にする。前回の店番の時に変な態度を取っていた時はどうなんだって?それは、見知った相手だからやってんの。割と寝ているけど、知らない相手にやるわけねぇじゃん。

まぁ、そんな感じで二人は、通行妨害をしているこのいざこざに介入する。

 

 

 

俺とシリカは十字槍を片手に持つウェーブのかかった赤毛の女性《ロザリア》と彼女が率いる”タイタンズハンド”の武装したレッドプレイヤーから集団PKに襲われていた。

要求物は此処で手に入れたテイムモンスターの蘇生アイテム。シリカには悪いが、俺にとってはコレは待ち望んでいた場面でもある。彼が受けた”シルバーフラグス”からの依頼は、彼女等を監獄エリアに幽閉する事であるからだ。

依頼して来たギルドはタイタンズハンドの被害者、リーダー以外の4人が死亡。なけなしの金で勝った監獄へ放り込む為の回廊結晶を片手に彼は、最前線の転移門広場で泣きながら仇討をしてくれと他のプレイヤー達に縋った。

殺したいほど憎いはずなのにそのリーダーは幽閉を選んだ。どう言う思いでその結論に至ったか、それは彼本人しか分からないだろう。

俺自身も同じく一時期入ったギルドを自分の保身の為にレベルを偽って全力を出さなかった結果、壊滅させてしまった。そう言う己個人の問題も混在しているかもしれない。それでも彼等を許せないと言う所では、彼と俺は同じだからこそ受けた。

それなのに知った事ではないと彼女は言う。此処で死んでも本当に現実で死ぬのか此方側で確認できない以上、分からないからだと・・・。だからといってやって言い事と悪い事の区別ぐらいは普通は付くだろう。彼女の言っているのは子供の戯言と変わりないのだ。

そう言う軽い気持ちが、人を殺す。こう言う奴等は野放してはいけない。俺は出て来た大人数に慌てながら逃げる事を進言するが、彼は安心させる様に彼女の頭を少し撫でてから

 

 

 

 

「大丈夫。俺が逃げろって言うまで、そこでクリスタルを用意して待ってて・・・。」

 

 

 

「え、はい。―――――でも、キリトさん。キリトさん!!」

 

 

 

そのまま背中の剣を抜かずに堂々と進む。そんな中、タイタンズハンドのメンバーの一人がシリカが呼んだ名に聞き覚えがあった。攻略組に居るビーターに特徴がよく似てる。集団が少しざわつき始め、少し尻込みしたような雰囲気が漂っている自分のギルドメンバーにロザリアが渇を入れようと口を開こうとした瞬間、それは”飛来”した。

 

 

 

「お前ら―――――――!!」

 

 

 

「ロ、ロザリアさん後ろ!!」

 

 

 

「――――ったく今度はなんだい!!」

 

 

 

次の瞬間、集団の後ろに爆発を響かせながら飛来し何かに視線が集まる。一瞬だけ頭上を通り過ぎる影に気付いて彼女等の後ろに居る何かに注目する。彼にとって頭上を跳ばれたのはコレで二度目だ。だが、まさかと思いながらそれを否定する。ヒーローじゃあるまいし、そう都合よく現れるなんて事はあり得ない。

と思った時には土煙が晴れて姿を現していた。鎧を着ているのか、その外套から出る独特なシルエットに目を奪われる。手甲に覆われた両手には、鋭利な刀身を持った刀と武骨でかなり重量がありそうな三節棍が握られている。着地の衝撃でフードが取れてしまったのか、その壊れた剣の一本角に赤黒い装甲のスリットから覗く赤い幾何学な模様の形をした目が、光輝いている特徴的な兜。

頭上を飛び越えて現れたその姿は、まるで此処から先は通さんと言わんばかりに立っている。それを見たメンバーが

 

 

 

「一度に二つ装備できない武器を当然の如く持ってて!その壊れた剣の角!――――嘘だろ!!今度は”黒銀”が出て来るなんて!!」

 

 

 

 

「―――――な!?最近噂になっている。狂狼《べオウルフ》がなんで此処に!!」

 

 

 

 

俺の通り名に動揺していたメンバーにさらに追撃を与える。ビーターと黒銀に板挟みになっている状態。黒銀が出て来た事は予想外だが、この状況は使えると思った俺は

 

 

 

 

「よう。手筈通りだな。」

 

 

 

 

そう。黒銀とは何の知り合いでも無いが、此処は奴も乗って来るそう思った。考えれば分かる事だ。俺自信は他人の空似等で言い訳が出来るが、黒銀にいたってはそうはいかない。あんな鎧を身に纏っている奴はアイツ以外は何処にも居ないからだ。向こうもこっちの意図を汲み取ってか、声を出さずに刀の持っている方を軽く上げて返事をする。

あの時と同じで喋らないが、こっちの案には乗ってくれるようだ。さらに黒銀は俺の後ろの方に刀のを持っている方の腕を上げて人差し指を指す。少し後ろの方に視線を送るとレアそうなメイスと武骨な手甲の形をしたバックラーを持った。茶色の外套を着てフードを深く被った奴が少し手をあげて立って居いた。シリカもようやく気付いたのかその姿に驚いている。少しシリカより高いくらいの背格好のフードの奴は、黒銀の仲間の様だ。

そして完全に勝てないと縮こまってしまったタイタンズハンドに俺は、アイテムストレージから彼から渡された回廊結晶を見せつける様に掲げる。

 

 

 

 

 

「コイツは俺の依頼人が全財産を叩いて買った回廊結晶だ。監獄エリアが出口に設定されている。全員コレで監獄エリアに飛んで貰う。」

 

 

 

 

 

さらに動揺が走るメンツの中で、それでも1人だけ逃げようと声を荒げるロザリア。

 

 

 

 

 

「ぐ、グリーンの私を傷付ければアンタらがオレンジに―――――――!?」

 

 

 

 

そう言いきる前に集団の中を駆け抜け、俺からは彼女の眼前に剣、黒銀から首に添えられる様に刀が突き付けられた。途中から来て内容も分かって無いにコイツと俺は似た様な覚悟は出来ているようだな。そう思いながら言葉を止められた彼女に俺は自分の思いを口にする。

 

 

 

「言っとくが俺はソロだ。一日二日オレンジになるくらいどうって事無いぞ。」

 

 

 

そう言うと諦めたのか、ロザリアは自分の得物を落とした。

そしてタイタンズハンドを監獄エリアに送った後、俺とシリカ、黒銀とフードの奴と橋超えた場所で向かい合う様に立っていた。

黒銀が外套と刀、三節棍をアイテムストレージに収納し、壊れた剣の背びれがある背中の左サイドにフードの奴が捕まる。多分、このまま跳躍して此処から去るのだろうと思った俺は

 

 

 

 

「なぁ、黒銀。」

 

 

 

 

そう言うと大体身長はクラインぐらいだろうか、その背を向けていた黒銀が此方に体を向けて赤く輝く幾何学な模様の様な目を向けてくる。

 

 

 

 

「ああ、えっと・・・。そうだ。お前、あのアイテム使ったか?」

 

 

 

 

黒銀は直に首を横に振る。どうやっても喋る気は無いようだ。それは良いとしてさらに言葉を続ける。

 

 

 

 

「――――まさか売ったのか?」

 

 

 

 

今度少し間をおいて、俺に向き合う様に体を向けて真剣な雰囲気を出しながら首を横に振った。死に物狂いで取ったあの蘇生アイテムを自分が換金したと俺が思っていた事に少し腹を立てている様にも見える。

 

 

 

「すまん。こんなこと聞くべきじゃなかったな。――――別に一人でも大丈夫だったが、お前達が来てくれたおかげでアイツら、タイタンズハンドの連中を簡単に捕まえる事ができた。ありがとう。」

 

 

 

「えっと、私も一言良いですか?――――あの、今日は助けてくれてどうもありがとうございました。」

 

 

 

俺とシリカの言葉を聞くと黒銀は再び背を向けて無言でその場から跳び、青い大空へと舞い上がった。

最後に残ったのは捲き上がった土煙だけ、シリカは

 

 

 

「助けれくれたのは嬉しかったのですが、最後まで声も顔も分かりませんでしたね。――――あの人達は一体何だったのでしょう。」

 

 

 

「まぁ、あんな未知のスキルを持っているんだ。顔がバレたくないんだろう。」

 

 

 

あの異常なパワーと人1人乗せてアレだけ高く跳べるあの跳躍力、普通ならシステム的に持てない二つの武器を操る事が出来る黒銀。緑のカーソルが頭上に合った以上、アイツはプレイヤーに違いない。だが、このSAOではありえない存在だろう。

そして俺は、そこで思考を止めてシリカを囮にした罪悪感を思い出しながら、ぎこちない雰囲気のまま俺達は町の戻った。

 

 

 

装備を元に戻したデルとリズは、圏内に戻って転移門を使って自分達のホームタウンに戻って来た。

 

 

 

「アレがアルゴが言ってたキザっぽいのが”キリト”ね。デルが言って時の雰囲気より大分マシになっているみたで良かったわね。」

 

 

 

「ああ、あの時死人みたいな表情をしていたからどうなるかと思ったが、あれなら大丈夫そうだ。」

 

 

 

「アイツも隅に置けないわね。――――あんな可愛い娘を連れているなんて。」

 

 

 

「前はあんな子連れては居なかったんだけどな。つか、あの状態じゃ誰もより付かなかっただろうし・・・・。」

 

 

 

そう言ってから、リズは軽く背伸びする様に腕を上げて体を伸ばす。デルはどうせ鳴らないが、首を解す様に回す。

 

 

 

「ちょっとハラハラする展開もあったけど、良い息抜きにはなったわ。―――色々イメージ湧いてきたし、さぁ、明日からは仕事しないとね。」

 

 

 

「それなら俺も頑張って素材集めをしないとな。」

 

 

 

「――――――よろしく頼むわよ。騎士様。」

 

 

 

「――――――ああ、任せろ。鍛冶姫様。」

 

 

 

「鍛冶姫様って何よ」とかリズが笑って言い、「なかなかのネーミングセンスだろ?」とデルも笑って言う。

そして笑い声と共に雑談しながら日の暮れて山吹色に染まる町を二人は陽気に歩く。

 




今回は、アニメ三十分分を出すつもりが、此処まで時間がかかるとは予想外でした。
それに心情を表現するのは難しい。うまく出来ているか心配。


いつも通りの武器、アイテム紹介


フィストバックラー

分類:小盾

外見:手甲の様な形状の小盾

性能:少し重い事を除けば、扱いやすく頑丈で打撃武器にもなる小盾。体術スキルが無くとも僅かながらダメージが与えられ、次の攻撃を繋げる事が出来る。
デルが見つけてきたモンスタードロップ品。

ガスティガ=フォッリ

分類:片手剣

外見:血の様に赤い装飾と文字が彫られており、禍々しい輝きを見せる鍔の部分が逆扇状の黒い直剣

性能:盟友である騎士の親類を斬り殺した事で魔剣に堕ちてしまった聖剣。
無駄にクソ高い火力と追加効果にヘイトが高いとダメージ量とクリティカル率が大幅アップするが、バックアタックのダメージ量が減少し、この剣は全ての片手剣ソードスキルの対象外となる。
鞘が無い代わりに刀身を鎖に雁字搦めにされ、切っ先と鍔の二点でベルトに絡みついて保持される。
剣を抜く様に柄に手を掛けると鎖が外れ、束縛から解放されるように金属を擦る音と共に鎖が走り、吸い込まれるように鍔の中央に消える。
追加効果発動時は、剣の装飾と文字がさらに赤く輝きだす。
デル曰く『ギミックが中二臭い。』


カレトヴルッフ

分類:片手剣

外見:十字剣に近い形をしており、柄が青、金色の鍔が刀身を少し覆っている。鍔から伸びるのは白銀の刀身はとても綺麗で、幻想的な美しさを持っている。さらに金の鍔と刀身には青の装飾と文字、青の柄には金の装飾が付いている剣。

性能:選定の剣と呼ばれ、湖の中心にある岩の台座に刺さっていた剣。
本編では語れらなかったが、ガスティガ=フォッリ同様、高い火力と追加効果にヘイトが高いと強力なHPリジェネとSPリジェネが付加されるが、バックアタックのダメージ量が減少し、この剣は全ての片手剣ソードスキルの対象外となる。
腰に提げる時は、同じような青と金の装飾を施された鞘に納める。



カドゥケウス・ウォーメイス

分類:片手棍

外見:アイアンウォーメイスと同じだが、メイスの柄頭に鎖越しに繋げられ、絡み付いた二匹の蛇と翼の紋章がある水色のクリスタルが付いている。

性能:一撃の威力は強化されており、追加効果は状態異常の治りが早く、常にHPリジェネの自然治癒能力が付加される。


パラス・スティンガー

分類:投剣

外見:そのままアイスピック

性能:痺れ薬が針に塗られたアイスピック、刺さると大体の確率で麻痺状態になる。
足の速いモンスターを止めたい時に有効。


ゴヴニュ・ハンマー

分類:ハンマー

外見:大きい黄金の金槌。若干ピコハンに似た外見だが、金属の光沢を持った強固な金槌

性能:本編では語れらなかったが、鍛冶の成功率が高く、普通のハンマーでは打つ事が出来ない特殊なインゴットや鉱石を打つ事が出来る。
リズ曰く『まだ、そんなの打った事無いからすごいのか分からないけど、とりあえず良いハンマーなのは間違いないわ。』


ではまた次回
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