後方腕組系TS吸血姫です。血をください。   作:寺西

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第5話

「はぁ、はぁ……ようやく到着だよ」

 

「ネスレの旦那、大丈夫ですかい?」

 

 リードを抱えて飛行する事30分。

 人間を抱えて飛行するというのは想像以上にキツかった。いや、マジで。

 

 だいたい消費BPは300くらいだろうと踏んでいたけど、まさか想定以上にBPを消費するとは……、リードから吸い取った分だけでなく、肝臓に蓄えていた予備のBPまで消費してしまった。

 

 胃の底から何かがこみあげてきそうなくらい気持ちが悪い……完全にやりすぎた。

 

「いや、ダイジョブだ。でも、流石に少々無理をしすぎた。10分だけ休ませてくれ」

 

「ええ、勿論たっぷり休んでください」

 

 と言う訳で近くにあった木にもたれかかって休憩タイム。

 ずっと太陽の下で飛行し続けていたから、すっかり体が熱くなってしまった。木陰に入るとなんともひんやりして気持ちがいい。

 

「あ”-、生き返るー」

 

 すっかり汗によって髪が濡れてしまった。

 

 無駄に腰まで長くしているので、べっとり張り付いてきて気持ちが悪かったので雑巾絞りと同じ要領で絞ってみる。おお、凄い、ぼちゃぼちゃ水が出てくる。おもしろ。

 

 これ飲んだらしょっぱいかな……お、すげ、めっちゃしょっぱい。

 おいリード、なんて顔をしているんだ。こっちが恥ずかしくなってくるだろ。

 

 ……さっきから失礼な目で見てやがって。仮にもこちとら乙女なんだぞ、そんな目で見られると結構傷つくんだぞ?傷ついちゃうんだぞ?大事な事なので二回いました。まぁ、中身男だけど。

 

 とまぁ、そんな感じでオレたちは10分ほど休憩した。

 

 

▽▲▽▲

 

「で、ところで魔力草が生えているらしい場所に来たんだけど、魔力草ってどんなところに生えているんだ?」

 

 休憩しつつだんだん息も落ち着いたところで、ふとそんな質問を投げかけてみる。

 

「えーっとですね、流石のわっしでも森に入る前に魔力草の生育条件なものは調べて基壇ですがね……なんでも魔力草ってのは暗くて湿度が高い安定した場所を好むらしいんですぜ」

 

「はえー、ってことはその暗くて湿度が安定した場所ってのを探せばいいってことだよな。じゃあ……あそことかに生えているんじゃないか?」

 

 指さす先は、ここから5分ほど歩けば辿り着くくらいの距離にある洞窟。

 洞窟の口は中々に広く、結構奥まで広がっていそう。

 あそこならばリードが言う魔力草の生育条件に適すだろう。

 だが……、

 

「……あそこ、ドラゴン住んでいそうじゃないです?」

 

「ですよねー」

 

 やっぱり、洞窟と言ったらドラゴンだ。

 それもあんな大きそうな洞窟なら、十中八九ドラゴンが住んでいるに決まっている。

 

「まぁ、さっき言ったようにオレは多少のドラゴンなら一応倒せるんだ」

 

「多少なら?」

 

「ああ、残念ながら特A級以上は倒せないんだ」

 

「なるほど、流石の旦那でも特A級は倒せませんか」

 

「そういう事」

 

 この世界の魔物には格付け的なものがある。

 

 多種多様な魔物が存在するこの世界では、分かりやすい魔物の危険度が必要だったのだろう。冒険者協会的なやつが魔物の凶暴性、凶悪性、強力性の三観点から魔物をランク付けしているのだ。

 

 基本的にランクはD級から始まり特S級まである。

 

 D級とかだと、身体強化を使えぬ一般人でも倒せるスタンダード魔物であるスライムだとかがいるが、特S級とかになってくると魔物たちを統制して人類に害する存在である魔王種を超えて、人類が手を出すことが困難になるレベルになってくる。

 

 とまぁ、そんな感じのランク付けなのだが、オレの危険度というのはだいたいA級に属するくらいなのだろう。このまえ、うっかりA級のドラゴンと遭遇して満身創痍になりつつも勝利できたから、大体そのくらいなんだと思う。あ、ちなみにそのあとウィンドに「戦わないで逃げろ」ってこっぴどく叱られたけどね。

 

 だからこそ、A級くらいであるオレでは特A級の魔物には勝てない訳なんだけど……。

 

「ま、まぁ、特A級のドラゴンなんてそうそういないし、大丈夫でしょ」

 

「で、ですよねー。流石にそんな魔物、そうそういないですぜ」

 

 そう、そんな魔物早々いないのだ。

 というか、居てもらっては困る……ハズなんだけど。

 

 両者顔を見合わせる。

 

「……」

 

「……」

 

 うん、なんかフラグ立ったね。

 これは絶対特A級のドラゴンがいるパターンだ。

 

 

▽▲▽▲

 

「ギャアアアアアアァァァァァ!!!!」

 

 大地に響き渡る咆哮。

 ビリビリとそれが放つ威圧感が、腹の底を響かせる。

 

 念のためにリードを置いて一人で洞窟に入ったわけなんだが、正解だった。

 あいつを連れてきていたら間違いなく気絶していた

 コイツが放つ魔力は、何をしなくとも人体に害がある。

 覇〇色的な感じで、それを浴びた人間は気絶してしまうのだ。

 

 だからこそリードを置いてきておいて正解だった訳なんだけど……。

 

「こりゃ、そもそも洞窟に入ったのが不正解だったな」

 

 藪をつついて出てきたのは、まさかの赤龍。

 推定200年は生きるドラゴンだ。

 当然長く生きているという事はそれ相応に凶暴で凶悪で強力だという事。

 危険度は推定特A級オーバーだ。

 

「うーん、死んだかもしれない」

 

 そう、コイツに勝てる未来が見えない。

 幸い洞窟の中は広い。十分に戦えるだけの広さはあるだろう。

 まぁ、だから何だという話ではあるんだけど。

 

 ……取り合えず戦えるだけ戦ってみるか。勝てる気しないけど。

 それに、ここで逃げたらリードの母親を助けることが出来なくなる。

 流石にそれはいやだからやれるだけやってみることにする。

 

 ゆっくりと腰を落とし、構える。

 そして、戦いは始まった。

 

 

▽▲▽▲

 

 ジュウウウウウ

 

「痛ってててて、もっと優しくして欲しい」

 

「そうはいっても旦那、これでも十分優しくしているんですぜ」

 

 そう言いながら、リードはオレの左腕に水をかけていく。

 ここは洞窟から出てすぐそこのところにある水たまり場。

 重度の火傷によりただれてしまったそれに水をかけ、冷やしていると言う訳だ。

 回復術式を施しているはずなのに、全然治らないんだからとんでもない傷だ。

 

 さて、結論から言う。

 オレはあの赤龍に負けた。それも完膚なきまでに。

 何もできないままやられた。

 攻撃は一度だけ加えることが出来たけど、龍鱗が固すぎてまともに通らなかった。

 

 うーん、攻守どっちを取っても完全に負けた。これは酷い。

 ちょっとくらいなら戦えると思ってたんだけど……、流石に思い上がりだったようだ。

 

「で、どうします、旦那?」

 

 心配そうな顔をするリード。

 たぶん、このままじゃ魔力草が採取できない事を心配しているのだろう。

 まぁ、そう心配するなって。

 

「大丈夫、左腕をやられただけ。無策で行ったせいで焼かれてしまったけど、ちゃんと策を立てれば何とかなるとは思うよ」

 

「うーん、策、ですか」

 

「まぁ、何の策を立てればあのドラゴンと戦えるのかってのが一番の問題なんだけどね」

 

 そう、それが一番の問題なのだ。

 うーむ、どうした物かなー。

 あのドラゴン、どうやったら倒せるんだろ。




こっちの方で消化できなさそうなアイデアが湧いてしまったので、形にしてみました。更新頻度は遅くなりそうですが、よければ見ていってもらえますと嬉しいです。

【速報】面倒くさがりの龍娘系美少女さん、ブラックすぎるダンジョン経営をするらしいです
https://syosetu.org/novel/375797/
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