ここからさらに続きを見ていいんですか・・・!?
それはそれとして、本作もここまで書いていけるかなぁ、とも。
ある程度構想はあるんですけど、辿り着くのにいつまでかかることやら・・・。
ルミナス様につまみ食いされてからしばらく。
その後は特に何事もなく・・・いやまぁ、あれに連なるようなことがあったらあったで困るけど、ともかくとして普段どおりに過ごした。
強いて言うなら、放ったらかしにした分の埋め合わせを追加でしていたくらいか。
とはいえ、ルミナス様に贈る特別な歌の製作があまり遅くなるのもよろしくない。旅が終わった後という緩めの期間ではあるけれど、いくらでも先延ばしにしていいという意味ではないわけだし。
ということで、ルミナス様が存分に満足したタイミングで再び旅に出た。
向かう先は、すでに決めている。
「うーん、こうして実際に見ると久々感がすごいね」
そう言いながら見上げているのは、私が始めて訪れた街の外壁だ。
数十年も経てば久しぶりに感じるのは当然のことだろうけど。
外から見た感じでは、特に街並みが変わったという感じはしない。
まぁ、凶暴な魔物が蔓延るこの世界における街の開発や再開発は途方もない戦力と労働力、そして資金力が必要になる。
だから、大きな変化がないのは当然と言えば当然の話だ。
じゃあ何も変わっていないのかと言ったらそうでもなく、さすがに門番の衛兵は変わっている。
あと、気のせいじゃなければ外壁の向こうからちらほら
ブームになってるのかな?買おうと思ったら安くないはずなんだけど。
まぁ、その辺は街の中に入れば分かることか。
今回は特に何事もなく、すんなりと街の中に入れた。
そして、ラナさんの宿に向かう道中で、外壁越しに聞こえた鳴き声が気のせいではなかったと理解した。
「あちこちに
大繁殖して大騒音、とまではいかずとも、店の軒先はもちろんのこと、野良の個体までちらほらと見かけるレベルで増えてる。
どゆこと・・・?収容違反でも起こした?あるいは、私が呼び寄せた奴がそのまま居着いたとか?
ここまでくると、提案者としては誇らしいを通り越してもはや気が気じゃない事態になってるな・・・。
さすがにこの規模は魔物の二次被害が心配になってくる。大丈夫?定期的に魔物に襲われたりしてない?
諸々の困惑と不安を抱えながら歩いていけば、程なくしてラナさんの宿屋にたどり着いた。
以前来た時とほとんど変わらない姿だったからすぐに分かったけど、ここまでの流行を生み出しておいて改築らしい改築もしてないのはどういう理由があってのことなんだ?
余計に混乱しそうになるけど、ここで悩んでも仕方ない。
意を決して、宿の扉を開けた。
「いらっしゃいませー・・・あっ!」
受付から出迎えたのは、一人の女性だった。
記憶にある姿より大人びているものの、見間違うはずがなかった。
「お久しぶりです、ラナさん」
「アリアちゃん!久しぶり!」
私の姿を見るなり、ラナさんはカウンターを飛び出して私に抱きついてきた。
この仕事を放り出す感じも懐かしいなぁ。いや、懐かしんでる場合じゃないな。仕事をしろよ。
「あの頃と全然変わってないね。ちゃんとご飯食べてる?睡眠もちゃんと取れてる?」
「あの、気持ちは嬉しいですし、積もる話もありますが、まずはチェックインをさせてください」
「あっ、そうだね。ごめんね、つい感極まっちゃって」
そう言って、ラナさんはさっくり私を解放して手続きを済ませた。
昔は初々しさというか若さを感じさせたけど、今は先ほどのはしゃぎっぷりから一転してきちんと対応していた。
あのお転婆が成長したなぁ、って言うと私が老けてるみたいになっちゃうな。精神年齢的には私の方が上だろうけど。
ひとまず一週間分の予約をして、案内された部屋に入る。
「おぉ?ちょっといい感じになってる?」
私の記憶違いでなければ、昔よりも椅子やらベッドやらの質が上がっているように見える。
目に見えて豪華になってるわけじゃないけど、それでも一目であるから売り上げが伸びたんだろうなというのが分かる。
私の提案が上手くいったのは嬉しいけど、それはそれとして街の現状にどう繋がるのかが余計に気になってきたぞ。
これは、ラナさんから根掘り葉掘り聞く必要があるな。
「アリアちゃん、待たせてごめんね」
「大丈夫ですよ。むしろ仕事を優先しないと怒ります」
「あはは・・・それもそうだね」
ラナさんが私の部屋に現れたのは、夕飯を食べて湯浴みを済ませた後だった。
少し遅い時間帯ではあるけど、昔と比べて遥かにお客さんが増えたんだから、別に文句はない。
「実は、従業員が雇えるくらい繁盛するようになったんだよね。これもアリアちゃんのおかげだよ」
「そんな昔は家族だけで経営していたみたいな・・・そう言えば、メアさんはどちらに?」
思い返せば、ここに来てから一度もメアさんと会っていない。
いやでも、今の年齢を考えると、まさか・・・
「お母さん、歳だからかちょっと体を悪くしちゃって・・・」
ラナさんから帰ってきた答えは、予想通りのものだった。
文明レベルが中世くらいで魔物という脅威が蔓延っているこの世界では、前世よりも平均寿命が短い。
もし生涯健康的でいられたとしても、60代で天寿を全うすることがほとんどだ。
正確な統計はしようがないけど、魔物の襲撃などによる事故も含めたらさらに下がるだろう。
それを考えれば、メアさんの容態も不思議なことではない。
「病気とかはないんだけど、体力とかが衰えてきちゃって。従業員が増えてからは負担も減ったんだけど、最近腰をやっちゃったんだ」
「それは・・・大丈夫なんですか?」
「歩けないほどじゃないよ?でも、さすがに前ほど動き回れないから、実質引退だね。まぁ、お母さん自身は私が心配だからって働こうとしてるけど」
「過去のやらかしを思えば妥当ですよ」
「その節はご迷惑を・・・」
迷惑ってほどではなかったけど、まぁ対応としては間違ってたよね。相手が私で良かったなって話だ。
「一応、結婚してからは落ち着いたつもりなんだけどなぁ」
どうかなぁ。世の中、結婚して変わる人間がいれば変わらない人間も・・・
「ん?結婚?・・・えっ、結婚してたんですか!?」
「うん。15年前に結婚したよ。子供もいるし」
あっ、既婚者で子持ちでしたか・・・そっかぁ・・・。
15年前ってことは、私がこの街を離れてから10年前後ってところか。ラナさんの年齢も20代半ばくらいか?
この世界は、平均寿命が短ければ結婚適齢期も早い。だいたい20歳前後といったところか。
それを考えれば、ラナさんはちょっと遅いくらいだ。
まぁ、宿屋の受付嬢なんて出会いがありそうで無さそうだし、そんなものか。
いや、それにしても結婚かぁ・・・考えたこともなかったなぁ。
魔物は結婚というか交尾事情が強いか弱いかでかなり変わってくる。
弱い種族の場合、分かりやすく多産化しやすい傾向がある。とにかく生んで数を増やして、少しでも生き残る可能性を増やそうって感じで。
強い種族になると、話が逆になってくる。
つまり、強い子供を生もうってことだ。
ただ、これには一つ問題があって、けっこう洒落にならないレベルで消耗・弱体化するのだ。
なにせ、子供に受け継がれる力というのは元は親のものであり、子供に引き継がせた力の分だけ親は弱体化する。
そこからさらに名付けしようものなら、普通に命の危機にも関わってくる。
だから、強い個体同士での婚姻というか交尾はあんまりない。あるとしたら、余程の愛情か目的意識によるものだ。
じゃあ、私はどうなんだって話をすると、私はどちらかと言えば強い部類に入る。
でも、別に添い遂げたい相手がいるわけでもないんだよね。
強いて言うなら、つまみ食いしたルミナス様に責任を取ってほしい気持ちもなくはないけど、わざわざ弱体化するのを承知で子供がほしいかと言われたらそうじゃないし、そもそも身分が違いすぎて畏れ多いって話になる。
私の他にいい感じの進化した
まぁ、仮に見つけてもルミナス様が認めるかと言われたら、どうだろう?そこまで執着や束縛が強いタイプではないけど、それはそれとしてバカ高いハードルは用意しそう。
いや、それよりも今はラナさんの方だ。
「お子さんはどちらに?こちらでは会ってないですけど」
「経営の勉強をしたいからって、商会で下積みしてる」
「なるほど、将来は安泰ですね」
「本人はひぃひぃ言ってるけどね。でもやりがいは感じてるみたい」
・・・一応、時間があれば個人的に様子は見ておこうかな。個人的に都会の商人の印象ってあまりよくないし。
いやほんと、何度誘拐されそうになったことやら・・・。
ラナさんの子供がやりがい搾取をされてるようなら、ちょっと私の方でお話をしておこう。
Notブラック労働の精神は大事。
まぁ・・・子供が当たり前のように働いてたり奴隷産業が存在してる時点で今更感はあるけど・・・。
「ちなみに、旦那さんは?」
「厨房で働いてるよ。元々は冒険者だったんだけど、お母さんのことがあって最近引退してこっちに来たんだ」
へぇ~、最近引退したってことは、結婚した時点ではバリバリ現役だったと・・・あっそうだ、冒険者で思い出した!
「そう言えば、久しぶりにこの街を訪れて驚いたんですけど・・・
「あ~、やっぱり気になっちゃうよね・・・」
そう言いながら、ラナさんはそっと私から目を逸らした。
あっ、何かやらかしたな?
少なくとも、私の目をまっすぐ見れないようなことを。
「まぁ、別に私は金銭的な利益は二の次ですし、技術や権利を独占しようとは思いません。ですが、これはあなただけの問題ではありませんよね?増えすぎた
小さく縮こまるラナさんに問い詰める私。
なんか普段の私の立場から逆転してるなぁと思いつつ絞め上げると、ラナさんは罪を告白するように私がいなくなってからのことを話し始めた。
結論から言うと、別にラナさんの罪ってわけではなかったんだけど。
まぁ、あれだ。
人間の業ってのは甘く見たらいけないね。