詠う小鳥は夜の魔王に出会う   作:リョウ77

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アニメ4期の情報はまだですかね・・・?
漫画もそうですけど、早くルミナス×クロエの話が見たいでござる。


私の隣に現れたのは、月が似合う女神様でした

いきなり現れた、銀髪に赤と青のオッドアイの女神様。

気にせず歌っていいって言われたけど、えっ、本当に大丈夫?気に入らないからってプチッとかポキッていかれたりしない?

そもそも私の歌とも言えない鳴き声のどこがいいのかさっぱりなんですけど・・・

 

『なんじゃ、わざわざ感想を伝えなければ歌えんというのか?』

『こいつ、直接脳内に・・・!?』

『こいつ?』

『あっいえ、スミマセン』

 

一回言ってみたかっただけなんです許してください。

冗談はさておいて、テレパシー的な技術があるのはビックリした。

ドラゴンがいた時点で何となく察してはいたけど、やっぱり魔法とかそういうのがある世界なのか。

なんてことを考えてたら、いきなり私の顔を覗き込んできた。

え、なに?なんか変なこと言いました?

 

『ふむ。もしや、お主は転生者か?いや、鳥なら転生鳥とでも言うべきか』

『どうしてそれを!?』

『さっきから思考が筒抜けじゃ。それに、前世の記憶を持つ転生者も、異世界から来た転移者も、そこまで珍しいものではない。異世界からの転生者は初めて見たが』

 

はぇー、そんな世界があるなんて。転生先としては当たりなんだかハズレなんだか。

・・・ん?さっきから思考が筒抜け?

 

『えっと、さっきのことは・・・』

『妾が女神様に見えたということか?お主は見る目があるのう』

 

思いっきりバレてる・・・!

素直な感想とはいえ、表現に“女神”なんてキザな言葉を選ぶような奴だと思われるのはちょっとキツイかもしれない・・・ってちょっと待って。

『見る目がある』?

それって・・・

 

『まさか、本当に・・・?』

『いや、違うが?』

『違うんですか』

『似たような扱いを受けることはあるがの』

 

つまり、神様ではないけど信仰なり畏敬の念を向けられるような人ではあると。いや、それは人か?

ともかく、すごい人であることに違いはなさそう。

まぁ、それはそれとして、

 

『それよりも、思考が垂れ流しになるのってどうにかできません?このテレパシー的なやつって魔法か何かなんですか?』

『これは“念話”じゃ。“精神感応(テレパシー)”とはまた別じゃな。ついでに言うと、魔法ではなくスキルと呼ばれるものじゃ』

『はぁー、なるほど』

 

曰く、この世界には魔素と呼ばれる万能エネルギーがあり、それを消費して魔法を使ったりあれやこれやできるらしい。正しくは“世界の法則に干渉できるエネルギー”らしいけど、まぁその辺は知らなくても別に大丈夫だそうな。

それで、“念話”とかっていうのは魔法ではなくスキルと呼ばれるもので、世界が成長を認めた時に与えられる特殊能力のようなもの。“念話”といった覚えようと思えば割と覚えられるものから、習得するのに特殊だったり厳しい条件があるものまで様々らしい。

いやー、色々と知らないことを教えてくれるのはすごいありがたい。

 

ちなみに、説明の一連の流れで私も“念話”を習得できた。

案外あっさりしてるけど、それは私が魔物であることも一つの要因らしい。

魔物とは、一般的な動物以外で人類と敵対している生物全般を指していて、魔素を生命源にしている、らしいんだけど・・・私はその辺がすごいフワフワしているんだと。

 

歌う小鳥(ソングバード)は、言ってしまえば歌が上手いだけの小鳥じゃな。普通の小鳥よりも多く魔素を有していること、生息地や個体によって独自の歌を編み出すこと、歌が時に他の魔物を呼び寄せることから魔物に位置づけられておるが、他の生態はただの小鳥じゃ。なんなら、貴族の娯楽として飼育されていることも多いぞ?」

『それはもうただの害鳥では?』

 

いや、害鳥呼ばわりされるよりは魔物扱いされる方がまだマシかもしれないけど。いずれにせよ、風評被害も甚だしい。

こっちは生きるために必死に歌っているだけなのに、人間の都合で悪者扱いされるとは。

まさか、転生先の世界で人間に振り回される生き物たちの気分を味わうことになるなんて・・・。

さらに悲しいのは、弱いけどそれなりの魔素を有しているせいで魔物だけでなく一般動物からも捕食対象にされているということ。

生まれた直後に思っていたよりも数倍ハードな生を押し付けられていたのか・・・。

F○cking神様。この落とし前をどうつけてくれようか。

ちなみに、これでも魔物界最弱ではないらしい。スライムなんかは攻撃能力どころか防衛手段や逃走手段すら碌にないんだと。だからってなんの慰めにもならないけどね。

 

「さて、お主の聞きたいことには答えた。そろそろ歌を披露してもらおうか?」

『おっと、上手いこと乗せられた感じですか?』

 

まぁでも、質問の対価を払わないといけないのも事実か。

幸い緊張はだいぶほぐれたから、特に拒否する理由もない。

さっき歌いかけてたやつと、ついでに前世で聞いた曲から良さそうなやつをいくつか歌ってあげるとしよう。

 

 

* * *

 

 

「うむ、なかなか良かったぞ!異世界の歌というのも、新鮮で面白いものじゃな」

『はぁ、どうも・・・?』

 

一通り歌い終わると、たいそう気に入ったのか拍手までしてくれた。

小鳥アレンジとはいえ、まさか異世界でJPOPがウケるとは。

まぁ、大丈夫そうなやつを慎重に選んだから全部が受け入れられるわけじゃないだろうけど。

それにしても、こうして純粋に歌を誉めてもらえるのは久しぶりな感じがする。ここ数ヵ月は生き残ることの方が重要だったからかな。

だけど、それならちゃんと人の言葉で思い切り歌いたいけど・・・

 

「ふむ、そうじゃな。お主が良ければ、妾の下に来ぬか?」

『へ?』

 

急な提案に、私は思わず間抜けな声を漏らしてしまった。

いや、言ってることの意味は分かるんだけど・・・

 

『その、いいんですか?』

「うむ。お主に音楽を学ばせるのも面白そうじゃ。ついでに、妾の国の音楽家もマンネリ気味になり始めておるからな。良い刺激になろう」

 

なるほど、たしかに私にとって利益になる話だ。

たしかに、私はこの世界の文化について何も知らない。

別になろう系主人公を忌避してるわけじゃないけど、音楽に限らず美術系はだいたい「何かやっちゃいました?」が通用しない、と思ってる。

何せ、美術の価値は『どれだけ人に認められるか』によって決まる。たしかに生前はダメだったけど死後認められるようになったケースはあるけど、私はどうせなら生きている内に認められたい。

そのためには、この世界の文化を学んで基盤を整える必要がある。

それを考えたら、この人の提案は断る理由がない。

まぁ、音楽家に小鳥の何を学ばせるんだって話ではあるけど、きっとその辺のことも考えているんだろう。

ここは喜んで・・・

 

「それに、お主のスキルにも興味がある」

『はい?』

 

え?スキル?私の?

 

『えっと、使った覚えがないんですけど』

「ふむ、自動で発動するタイプか・・・自覚がないようじゃが、妾に対して歌を介して精神干渉をしとったぞ?ついでに、妾の魔素と生命力も吸収しておったな」

『はい・・・?』

 

えっ、何それ、どういうこと?

つまり私は、この人に対して洗脳をけしかけた挙げ句、エネルギーまで奪おうとしてたってこと?

もしかして、私の歌で集まってきてた同族もそういう・・・?

 

「おそらく、お主の歌に聞き惚れたものを掌握する類のスキルであろう。じゃが、精神干渉と言っても思考をある程度偏らせる程度のものじゃ。そもそもお主の歌に興味を惹かねば発動せぬようじゃし、お主が不安に思っているようなことはないと思うぞ」

『あっ、そうですか?』

「うむ。鍛錬次第で使いこなせるようにもなるじゃろう」

 

さらっと私の思考回路が読まれているのは別として、どうやらスキルで無理やり私の歌を聞かせているとか、そういうのではないっぽい、のかな。

良かった、薄い本が厚くなるようなハーレムルートはキャンセル可能みたいで。

とはいえ、変に誤解されて私の歌を聞いてくれる人がいなくなるのも嫌だし、その辺のコントロールは出来るようにしておかないと。

そういう点でも、この人についていくのはメリットって言えるか。

 

『そういうことなら、喜んでお供させていただきます。えっと・・・』

 

・・・そう言えば、この人の名前を知らない。

というか、私も名乗る名前を持ち合わせていない。

それは、この人もすぐに気づいたらしい。

私の隣に座ったまま、なんてことのないように自己紹介をした。

 

「そう言えば、まだ名乗っておらんかったな。

 

妾は真祖の吸血鬼にして、十大魔王が一柱“夜魔の女王(クイーン・オブ・ナイトメア)”ルミナス・バレンタインじゃ」

 

へぇ~、ルミナス様ね。吸血鬼で魔王だなんてすっごい・・・へ?吸血鬼?魔王??

 

『その・・・とんだご無礼を・・・』

「気にせんでも良い。今宵の妾はただの観客じゃからな」

 

翼で顔を覆いながら平伏したけど、気にしてないらしい。

いやまぁでも、そうか。そりゃあ魔法とかドラゴンが存在するんだから、魔王がいてもおかしくはないか。

だけど、十大魔王とか言ってなかった?魔王が10人もいるの?

転生者とか異世界転移者が普通にいることといい、ここがどういう世界なのか分からなくなってきた。設定が闇鍋状態だったりしない?

 

「さて、こうして出会ったのも何かの縁じゃ。妾を楽しませてくれた褒美に名前を与えてやろう」

 

ふむ、私の名前とな?

口ぶり的に何か特別なものを感じるけど、ルミナス様に名前をつけてもらえるのは悪くないどころか、むしろありがたい。

ルミナス様は少し悩む素振りを見せつつ、私を手の平に乗せて嘴を指で小突きながら告げた。

 

「そうじゃな・・・アリア。お主の名前は“アリア”じゃ。これからはそう名乗るがよい」

 

アリア・・・それが、私の名前・・・

 

『分かりました。これからよろしくお願いします、ルミナス様』

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