まどマギキャラと色んなキャラが戦うだけ   作:shinshinta

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鹿目まどかvs高町なのは

境界の狭間

 

空の色は不確かで、足元はおぼつかない。

まるで壊れかけの鏡の中にいるような、不安定な空間。

かつて此処に存在したであろう「魔女」の気配だけが、色濃く残滓として漂っていた。

 

その空間に、二人の魔法少女が対峙していた。

 

一人は、純白のバリアジャケットに身を包み、宙に浮遊する少女、高町なのは。

手にしたインテリジェントデバイス「レイジングハート」が、分析結果を淡々と告げる。

 

 

『警告。未識別高レベル魔力反応を確認。エネルギーパターン、極めて不安定。対象に通告、全ての敵対行動を停止し、速やかに投降してください』

 

 

なのはは、強い意志を宿した瞳で、眼下の少女を見据える。

 

 

「ごめんね。直ぐに終わるから……」

 

 

対する少女、鹿目まどかは、慣れない異空間の雰囲気に戸惑いながらも、ピンク色の魔法少女の姿で弓を握りしめていた。胸のソウルジェムが、不安に呼応するように微かな光を放つ。

 

 

「だ、誰ですか……? 私、あなたと戦う理由なんて……」

 

 

目の前の相手が放つ、桁違いの魔力と威圧感に、まどかは明らかに怯えていた。

 

なのははレイジングハートを構える。

 

 

『モード、シューティング』

 

「少し、お話を聞かせてもらうよ。レイジングハート!」

 

『Yes, Master. Axel Shooter.』

 

 

数発のピンク色の魔力光弾が、牽制するようにまどかの周囲に放たれる。同時に、拘束を目的とした魔法陣がまどかの足元に展開した。

 

 

『Restrict Lock.』

 

「きゃっ!」

 

 

突然の攻撃に、まどかは悲鳴を上げる。だが、ただ怯えているだけではいられない。弓を引き絞り、咄嗟に光の矢を生成して光弾を撃ち落とす。

足元の魔法陣からも、かろうじて飛び退いて回避した。

 

矢の威力は、まどか自身が思うよりも遥かに強く、撃ち落とした光弾の爆風が周囲の瓦礫を吹き飛ばす。

 

 

「……! なるほど、見た目以上のパワーだね」

 

 

なのはは冷静に分析する。

 

 

「レイジングハート、カートリッジ・ロード!」

 

 

デバイスからカートリッジが装填される音が響く。なのはの魔力が一段と跳ね上がった。

 

 

「ごめんね、ちょっとだけ……痛いかも!」

 

『Divine Buster.』

 

 

レイジングハートの先端に、莫大な魔力が収束する。放たれたのは、空間そのものを圧し潰さんばかりの極太の桃色魔力砲。それが、真っ直ぐにまどかへと迫る。

 

 

「―――っ!!」

 

 

圧倒的な力の奔流。恐怖で体が竦む。だが、まどかの脳裏に浮かんだのは、守りたい友人たちの顔、そして「誰かの役に立ちたい」と願った自分の想い。

 

ソウルジェムが、今まで以上の輝きを放った。

 

 

「守るって……決めたんだからぁぁっ!!」

 

 

叫びと共に、まどかは弓を限界まで引き絞る。そこに現れたのは、一点の曇りもない、純粋な祈りの光を宿した巨大な矢。

 

放たれた矢は、一条の流星となってディバインバスターと正面から激突した。

 

轟音。閃光。

 

二つの強大な力がぶつかり合い、不安定な空間が悲鳴を上げるように震える。衝撃波が全てを薙ぎ払い、なのはもまどかも、その爆心地から大きく吹き飛ばされた。

 

やがて、眩い光が収まる。

 

宙で体勢を立て直したなのはは、驚きを隠せない表情でまどかを見つめていた。予想を遥かに超えるエネルギー量。あれだけの出力に耐える精神力。

 

一方、地面に叩きつけられながらも、すぐに立ち上がり弓を構え直したまどか。息を切らしながらも、その瞳には怯えだけではない、強い意志の光が宿っていた。

相手がどれほど強大であろうと、引くわけにはいかない、と。

 

先ほどの激突の余波が収まり、二人の魔法少女は再び対峙する。

なのはは、空中でレイジングハートを構え直し、冷静に分析を進めていた。

 

 

(すごい魔力……でも、制御ができていない。不安定すぎる。このままじゃ……早く保護しないと……!)

 

「レイジングハート、アクセルモード!」

 

『Accel Mode. Standby ready.』

 

 

なのはの飛行速度が急上昇する。彼女はまどかの上空を高速で旋回し、撹乱するように動きながら、次なる攻撃を放った。

 

 

「これでどうかなっ! 『ディバインシューター』!」

 

 

ディバインバスターを分割したかのような、無数の細く鋭い魔力光線が、空からシャワーのように降り注ぐ。

それはまどか本人だけでなく、彼女の退路や回避スペースを塞ぐように、広範囲を制圧する弾幕だった。

 

 

「っ、速い……!」

 

 

目まぐるしく動き回る相手に、まどかの目は追いつかない。狙いを定めるのは不可能に近い。まどかは咄嗟に弓を天に向け、叫ぶ。

 

 

「お願い……当たらないでっ!」

 

 

祈りを込めて放たれたのは、一本の矢ではない。無数の小さな光の矢が、まどかを中心に放射状に広がり、降り注ぐ光線に対する迎撃の弾幕を形成する。

 

バチバチッ!と空中でいくつもの光が衝突し、小規模な爆発が連続する。まどかの矢は多くの光線を打ち消したが、その弾幕にはむらがあり、完璧ではない。

 

なのははその隙を見逃さなかった。

 

 

「そこっ!」

 

 

爆発の閃光を突いて、なのはは一気にまどかとの距離を詰める。近距離から、より強力な拘束魔法を放った。

 

 

『Chain Bind!』

 

 

前回よりも速く、太い光の鎖が、まどかの四肢と弓に絡みつく。

同時に、足元を狙った衝撃波『フラッシュインパクト』を放ち、まどかの体勢を崩した。

 

 

「きゃあっ!」

 

 

足元への衝撃で体勢を崩したところに、光の鎖が容赦なく締め付ける。弓を持つ腕が引かれ、動きが封じられる。

 

 

「放して……! いやっ!」

 

 

まどかは必死にもがき、ソウルジェムが不規則に明滅する。彼女から溢れる強大な魔力が鎖を軋ませ、火花を散らすが、なのはが込めた魔力の方が上回り、鎖はびくともしない。

 

やがて、なのはは拘束されて抵抗するまどかの前に、静かに降り立った。レイジングハートの先端は、警戒を解かずにまどかに向けられている。

 

 

「……これ以上抵抗しても、消耗するだけだよ」

 

 

なのはの声は、あくまで冷静で、諭すようだった。

 

 

「あなたのその力は、普通じゃない。危険なものかもしれない。だから、ちゃんと調べさせてもらう必要があるの」

 

 

捕らえられたまどかは、悔しさと恐怖で涙を浮かべながらも、なのはを強く睨み返す。

その瞳の奥には、まだ諦めないという頑なな光が宿っていた。

光の鎖は、彼女の力を吸い上げるように輝き続けている。

 

なのはが、拘束したまどかに手を差し伸べた、その瞬間だった。

 

 

「いやぁぁぁーーーっ!!」

 

 

まどかの心の叫びが、絶叫となって迸る。それと同時に、彼女の胸にあるソウルジェムが、限界を超えたかのように激しく明滅し、凄まじい量の魔力が爆発的に溢れ出した。

 

ピンク色の衝撃波が津波のように広がり、なのはを吹き飛ばす。まどかを縛り付けていた光の鎖は、その奔流に耐えきれず、ガラスのように砕け散った。

 

 

「くっ…!」

 

 

なのはは空中で体勢を立て直し、咄嗟に『ラウンドシールド』を展開して衝撃波の余波を防ぐ。レイジングハートが警告を発した。

 

 

『警告。対象の魔力出力、計測限界値をオーバー。空間への負荷、危険域に到達』

 

(これだけの力を……感情の昂りに任せて暴走させてる……? 危なすぎる……!)

 

 

なのはの表情が険しくなる。目の前の少女が持つ力は、彼女の想像を遥かに超えていた。そして、それはあまりにも不安定で、制御されていない。

 

もはや、単なる保護対象ではない。下手をすれば、この不安定な空間そのものを破壊しかねない危険な存在だ。

 

鎖から解放されたまどかは、ぜぇぜぇと激しく肩で息をしていた。先ほどの魔力放出は、彼女にも大きな負担をかけたようで、ソウルジェムの輝きが少し濁っている。

それでも、彼女はふらつきながらも立ち上がり、再び弓をなのはへと向けた。

 

その瞳には、恐怖よりも「負けられない」という強い意志が宿っていた。

 

だが、二人が再び構えを取ろうとした時、周囲の空間が悲鳴を上げた。

 

ミシミシと、ガラスにひびが入るような音が響き渡り、空や地面に亀裂が走り始める。

不安定だった境界空間が、二人の魔法少女が放った強大な魔力の衝突と、まどかの魔力暴走によって、ついに崩壊を始めたのだ。

 

空間の破片が、灰のように剥がれ落ちていく。

 

 

「……! この空間、もう持たない……!」

 

 

なのはは状況を即座に判断する。

これ以上の戦闘は、二人とも崩壊に巻き込まれかねない。

 

 

「もう戦ってる場合じゃないみたい!」

 

 

なのははレイジングハートを少し下げ、まどかに呼びかける。警戒は解いていないが、敵意よりも優先すべき事態が発生した。

 

 

「この空間はもうすぐ完全に崩壊する。一時休戦して、ここから脱出しないと……!」

 

 

なのはが言い終わるか否か、まどかの足元で、大きな亀裂が口を開けた。 バランスを崩したまどかが、その亀裂へと吸い込まれそうになる。

 

 

「きゃあっ!」

 

「危ないっ!」

 

 

なのはは、考えるよりも早く、まどかの方へと手を伸ばし、加速した―――!

 

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