ガチコイ 〜もし小野寺小咲が先に一条楽と付き合ったら?〜 作:nemu1116
桶の中、頭以外の全てを沈めながらも楽は必死だった。
楽「……なぁ、小野寺……何か、案はあるか?」
桶の中から声をひそめる。
小咲「ううん……どうしたらいいかは、まだ分からないけど……とりあえず、一番最後まで残っていれば、どうにかなるんじゃないかなぁ……」
楽「やばい、それは……のぼせ死ぬかも……」
小咲「だ、だってぇ……もう15人ぐらい入ってきちゃってるよ……? 下手に動いたら……タブン……うん」
楽「そりゃそうだけど……!」
千棘「ねえ、小咲ちゃん?」
小咲「は、ひゃい!!」
小咲が楽に気を取られている間に、いつの間にか千棘が近づいてきていた。
思わず声が裏返り、変な返事になる。
もちろん、楽の姿には気づいていない。
千棘「……なにその返事w 楽とはどーお? 順調?」
小咲「あっ……うん。順調……なのかな。ありがとう、気にしてくれて。でも、なんだろう……今はそれどころじゃないっていうか……(一条くん、後ろにいるし…!)」
千棘「そっか……そうだよね(それどころじゃない、か……。私の存在が重荷なのかな……)」
千棘「ねえ……小咲ちゃんは、楽のどんなところに惚れたの?」
小咲「どんなところ……? うーん、そうだねぇ……優しくて、思いやりがあって……私にとっては、いつも眩しい存在でね。なんだか、物語の主人公みたいじゃない? 一条くんって」
楽(小野寺……マジで大好き///)
千棘「……なるほどねぇ。って、主人公? 楽が?
どちらかというと、村人Aとか、荷物持ち係って感じじゃない?ww」
楽(千棘……お前の感想は求めてない……)
小咲「そ、そんなこと……ないよ。だって、一条くんはーー」
その時――
ぐいっ。
桶の中、楽が痺れた脚をわずかに動かしてしまい、
その足が、小咲の背中にふれてしまった。
小咲「ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁ?!??!」
小咲(一条くん……いきなりなにするのぉぉ!!?)
楽(……やばっ……!)
千棘「え!? び、びっくりした……ど、どうしたの?」
小咲「あっ、う、ううん! なんでもないの!あ〜、 な、なんだろう……ほら、ここ露天風呂だし! 叫んだら気持ちいいかなって! 思っちゃって! あはは……!」
小咲(自分でも言ってて意味が分からない……)
小咲「あ、そ、そうだ! 千棘ちゃんもやってみたら?! ひぎゃあって!!」
千棘「……い、いや。わたしは大丈夫……かな……」
小咲「そ、そっかぁ! 結構気持ちいいんだけどなぁ!
ひぎゃあ! って叫ぶの! ふ、ふふふ……!」
小咲(沈みたい……)
千棘「……楽は、きっと小咲ちゃんのこと、大切にしてくれるよ。私といる時ですら、“小野寺ガー小野寺ガー”って言ってるし……まるで、“オノデラー”なのよ?」
小咲「ぶふっwww オノデラーってww」
楽「ぶっwww(※桶の中から)」
小咲(ちょっと一条くん、声ッ!!)
千棘「ん? 今なんか……ぶって聞こえたような……?」
小咲「あっ、あ〜〜〜〜! そ、それはね……! ごめん、千棘ちゃん……わたし、さっき、サツマイモのお菓子たくさん食べちゃって……その……ガスが……! あははははぁ……」
小咲(…………死にたい……)
千棘「あっ、…………ご、ごめん……! わ、わたし向こう行くね……???」
小咲「わ、わたしこそ……ごめんね? やだなぁ、もう、こんな時に……」
千棘、そそくさと去る。
そして残された小咲、あまりの恥ずかしさに耐えきれず、バシャーン!!と顔から湯船へダイブ。
小咲(絶対、千棘ちゃんに……温泉でおならした女って一生思われ続ける…………うぅ、もう消えたいよぉ……)