ガチコイ 〜もし小野寺小咲が先に一条楽と付き合ったら?〜 作:nemu1116
夏祭りの喧騒の中。
楽は千棘と解散し、人混みの中を駆け回っていた。
楽「おーい、小野寺〜!」
人混みの波に飲まれながらも、必死に小咲を探す。
楽「やばいな……完全にはぐれた。スマホも繋がらないし…」
楽に焦りが顔に浮かび始めた。
楽「一体どこ行ったんだ? まさか逆方向……?」
そこへ――
遠くから万里花がものすごい勢いで走ってくる。
万里花「楽様ぁぁぁぁぁあぁっ!!」
楽「うわっ!? 橘?! びっくりしたわ! 橘も来てたのか……」
万里花、膝に手をつき息を整える。
万里花「ええ、来ておりますわ、もちろん! このっ……、恋むすびを買うために!」
楽「ん……?って、お前……」
万里花の首には、ズラリと並んだピンク色のお守りが紐で連結され、まるで怪しい護符ネックレス状態に。
楽「お、おい……ww お前、まさか、それ全部……自分で買ったの?wwww」
万里花、ドヤ顔を決める。
万里花「もちろんですわ♪ 先ほど、私の私設部隊が買い集めたばかりの正真正銘の本物! 総勢28個の恋むすびでございますの!」
楽「ちょ、待て待て待てwww 恋むすびって確か限定30個って聞いたぞ?」
万里花「ええ、その通りでございますわ。というか、わたくし、本当は29個ありましたのに、わたくしの刺客……い、いえ、わたくしの私設部隊が、ドジって一つなくしてしまいましたの。ですから29個の予定が28個に……。ま、それが仮に拾われていたとしても、その方の強運に免じて差し上げる予定ですが♪」
楽「いや、買い占めすぎだろww バチ当たるぞw 神様に怒られんぞ、マジでww」
万里花「ふふ、それならそれで構いませんわ♪だって――」
一歩前へ出て、口角を上げる。
万里花「小野寺さんに! これを渡されるくらいなら! 神様からの罰のひとつやふたつ、甘んじて受け入れてみせますわ! あとついでに……あの野蛮なゴリラにも!」
楽、若干表情が引き攣る。
楽「えーと……うん。えっとさ……」
万里花、満面の笑みで小首をかしげる。
万里花「???」
楽「千棘も、小野寺も――本物の恋むすび持ってるぞ?」
万里花、理解が追いつかずピタッと静止する。
万里花「……。……は?wwwwwwwwwww」
楽「いや、うん……なんか、ごめん」
万里花「またまた、楽様ったらwwwww さすがにジョークのセンスなさすぎませんこと?wwwww」
楽「…………」
万里花「……え、マジと? 冗談じゃなかと?」
楽「……ああ。千棘は俺が偶然拾ったやつ渡したし、小野寺は人混みの隙をついてちゃんと自力でゲットした」
万里花「……は? え? ということは、わたくしの28個と……その2つで?」
楽「うん、つまり、橘が独占したと思ってる恋むすびは、この祭りで3人だけが手に入れてるって計算になるな。橘と、小野寺と、千棘……」
万里花の顔が見る見る青ざめる。
万里花「えええええええぇ?!!!」
万里花「そ、そんな……! じゃあ、わたくしが命をかけて準備したこの部隊と、作戦と、予算と、そしてこのわたくしの情熱は……っ!!」
たまらず膝から崩れ、涙目になる万里花。
楽「……いやでも、28個はすげえよ」
万里花、顔を上げる。
万里花「……いいえっ! 小野寺さんと桐崎さんの手に渡ってしまっては、わたくしが何個手に入れようと無意味に等しい敗北ですわっ!!」
楽「考え方が極端すぎないか?ww」
万里花「くぅぅぅ〜……この雪辱、来年こそ! 来年こそは! 必ず晴らしてみせますわぁぁぁぁ!!」
万里花は逃げるように彼方へ走り去っていった。
楽「な、なんだったんだ……?」