ガチコイ 〜もし小野寺小咲が先に一条楽と付き合ったら?〜 作:nemu1116
8月半ば——とある海辺の民宿前ビーチ。
青い空。
照りつける太陽。
潮風に混じって焼きそばとラムネの香り。
そして何より、砂浜には高校生たちのはしゃぎ声が響いていた。
そんな中、楽たちのクラス仲良しグループは、念願の「海!民宿!男女!泊まり!」というフルコース青春イベントの真っ只中だった。
水着姿で砂浜に現れた小咲、千棘、万里花。
瞬間、周囲の男たちの視線が一斉に釘付けになる。
楽(ヤバい、マジでヤバい。視線のやり場が……! いや待て、ここで動揺したら負けだ。冷静に、冷静に……よし、まずは全員を平等にチラ見して……うん、やっぱ小野寺がいっちばん可愛いな……///)
万里花「楽様?」
ツカツカと歩いてきて、日傘をくるりと回しながら微笑む万里花は、上品なフリル付きセパレートタイプの水着……だが、布面積が絶妙に攻めすぎている。
万里花「わたくし、日焼けすると肌が荒れて死んでしまいますの。ですから…背中にサンオイル、塗っていただけませんこと?」
楽「ブフォッ!!……なっ…お前っ……その格好で俺に背中向けるなぁぁあ!!」
万里花「ささ、お願いしますわ♪ すぐ済みますから♪」
千棘が横からぬっと現れる。
千棘「あらぁ〜? サンオイルならダーリンじゃなくてこの私が塗ってあげるわよ?」
万里花「いえ結構ですわ。楽様じゃないと効果がありませんので。ささ、楽様!早くぅ〜!」
楽「わー無理だって!!」
万里花「あら、逃げましたわねww 全く……なんで真夏のビーチにゴリラが生息しているのでしょうか……」
千棘「アンタ、サンオイル飲ますわよ?!」
万里花「あら、それは飲み物ではございませんことよ?」
千棘「いや分かってるからww」
楽「頼むからケンカすんな……民宿の人に怒られる……」
一方その頃、浜辺の隅っこでは小咲がひとりで砂と向き合っていた。
水着のすそを気にしつつも、真剣そのものの表情で……超絶クオリティの砂の家を作っている。
小咲(ふふふ……もし一条くんと結婚したら、こんなお家がいいなぁ……)
小咲(ここがリビングで……キッチンはこっち、で……お風呂はこの奥にあって……)
小咲(……なんか、めちゃくちゃ豪邸みたいになっちゃった///www)
楽「なあ、寝室はどこにするんだ?」
小咲「ああ、うん、それはね、この辺にしようかと思っててーー」
小咲「ってうわぁぁぁぁ!!!??」
あまりの不意打ちに、バランスを崩して顔面から砂の家にダイブ。
楽「わっ!!だ、大丈夫か小野寺!?」
小咲、起き上がるが顔が砂まみれ。
小咲「き、気にしないで……/// ただちょっと、家の構造が不安定だっただけで……///」
楽「いやいや、構造の問題なの!? 小野寺が自分から突っ込んで行ったように見えたけどww てか顔、砂まみれじゃん!あははは!!」
小咲「わ、笑わないでぇぇぇぇ!!///」
浜辺に響く笑い声。
夏の空に、少しだけ泡のような淡い恋心が、溶けていった。