ガチコイ 〜もし小野寺小咲が先に一条楽と付き合ったら?〜   作:nemu1116

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【挿絵表示】

ここからが本番です。小野寺小咲が先に彼女になった場合、本編がどうなっていくか?
全部は無理ですが、なるべく忠実に書いていきます。
※少なくともあと90話くらいは続きます。



コクハク

ペンダントが開き、お互いが約束の相手だと証明された。

小咲の手が、細かく震えていた。

目を潤ませたまま、それでも小咲は――ゆっくりと口を開いた。

 

小咲「ずっと、ずっと……中学の頃から……ううん、もっと遠い昔。……10年以上も前から……一条くんのことが……好きでした」

 

俯きがちに、でもしっかりと。

その声は震えながらも、

確かな決意を宿していた。

 

小咲「だから……私を……一条くんの彼女にしてくれますか?」

 

ふわりと、夕陽の光がふたりを包む。

数秒の、静かな間。

けれど、楽の答えは――迷わなかった。

 

楽「……何言ってんだよ」

 

優しく、少しだけ呆れたような声で。

 

楽「当たり前だろ……? 俺は、小野寺のことが……大好きなんだから……。ーー俺の彼女になってくれ、小野寺」

 

その瞬間。

小咲の足元が、ふらりと崩れた。

しゃがみ込み、両手で顔を覆う。

 

小咲「……っ、ひっく……うう……」

 

嗚咽が、漏れる。

 

小咲「ほん……とうに……?」

 

楽は、即座に答えた。

 

楽「ああ、本当に!!」

 

声が、少し裏返るくらいに。

本気で、心からの叫びだった。

でも、それはあの日――映像で見た、悲しい涙とは違った。

報われなかった未来ではない。

今この瞬間、ちゃんと届いた、本物の想いへの涙だった。

楽は、そっと小咲の肩に手を置く。

小さく震えるその肩を、優しく、でもしっかりと抱き寄せた。

 

楽「小野寺が……約束の女の子で……俺、本当に……良かったよ」

 

小咲「……わたしも……すっごく幸せ……」

 

その言葉は、空気の震えよりも確かに、楽の胸に響いた。

世界が、ふたりだけのものになったようだった。

楽に抱き寄せられたまま、小咲はそっと目を閉じた。

ほんの少し前まで――この手は、永遠に届かないと思っていた。

でも今、確かに楽のぬくもりがそこにあった。

 

小咲「……でも」

 

小さな声。

 

楽「……え? なに?」

 

小咲は、楽の胸元に顔を埋めたまま、震える声で言った。

 

小咲「……でも。よく考えたらさ……私たち……付き合えないよね」

 

楽「……は? つき……へ?!」

 

楽は、間抜けな声を上げた。

 

そして――思わず、吹き出す。

 

楽「ぶっ……!? な、な、なんで!?!? この流れで!? 付き合おうって言ったじゃん!? 今!!」

 

小咲は、顔を真っ赤にしながら、必死に言い訳を重ねた。

 

小咲「だ、だってぇ!! ……一条くんには……千棘ちゃんが……」

 

楽「あ〜……」

 

楽は、ポリポリと後頭部をかいた。

 

楽(そっか。小野寺にはまだ、“あれ”のことちゃんと言ってなかったんだ)

 

楽は、にっと微笑んで、言った。

 

楽「小野寺、実はな……あれ、演技なんだよ」

 

小咲「……え?」

 

楽「千棘とは、恋人のフリしてるだけ」

 

小咲「……な、な、な、えーー!?」

 

小咲は、完全に混乱していた。

 

小咲「え、え、え、え、え!? あ、あの、演技!? え、どこまでが演技で!? どこから本気で!?!? は? え? ドッキリ的な?! どういうことぉ?!」

 

楽は、肩を震わせながら笑った。

 

楽「落ち着いてwwいやドッキリではないんだけどさ、お互いなんつーの? 全然好きじゃないっていうか、むしろ嫌いなんだよw ほんと、笑っちゃうよな。だから小野寺は全然気にしなくていいんだよ」

 

小咲(うんうん……って、いやいやいや、全然気にするし、全然笑えないんですけどーー!?)

 

楽はふっと微笑みながら、ペンダントに指輪と手紙を、丁寧に戻しながら今置かれている状況を小咲に説明する。

小さく、カチャン、と音を立ててペンダントが閉じる。

 

楽「……と、いうわけなんだ。だからしばらくは“演技”続けなきゃなんない。戦争回避のためっていう、しょうもない事情だけど……」

 

小咲「そっか……大人の事情だったんだね」

 

小咲は、一瞬だけ迷った顔をした。

だが、すぐに顔を上げて、ふわっと笑った。

 

小咲「……えっと……うん、わかった!」

 

楽「……え?」

 

小咲「だ、大丈夫だよ! ごめん……ちょっと色々ありすぎて、頭が追いついてなくて……」

 

楽は、小咲のその一生懸命さに、またふっと笑った。

 

楽「だよなぁ……混乱させて悪かった。

にしても、まさかペンダントが開くとはな。しかも小野寺が約束の女の子って……こんな幸せなこと、想像してなかったよ」

 

ふたりは、顔を見合わせた。

そして、同時に――空を見上げた。

長く伸びたふたりの影が、足元で、ひとつに重なっている。

想いは、通じた。

でも、世界はまだ、完全にはふたりを受け入れてくれていない。

「本当の恋人」として始まったふたり。

そして小咲には“偽物の恋人”が大きな壁として立ちはだかる。

小咲は、まだ気づいていなかった。

 

これから先――

あの“偽りの関係”が、どれだけ自分を苦しめることになるかを。

 

小野寺小咲の物語は、静かに、しかし確実に動き出していた。

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