ガチコイ 〜もし小野寺小咲が先に一条楽と付き合ったら?〜   作:nemu1116

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鍵が小野寺さんに見せたのは……


スジガキ

鍵が放つ光が、だんだんと薄れていく。

そのとき、小咲の瞳には、ゆっくりと浮かび上がる“最後の映像”があった。

ーーーーー

千棘「分かってるの…?

あんたが好きって言ってるその女の子は…

嫌なことがあったらすぐ拗ねるし

怒ったらすぐ手が出るし

口が悪くて、やかましくて……」

 

楽「ああ、知ってる」

 

千棘「傷つきそうになるとすぐ逃げるし

いつも心配ばかりかけて

迷惑もいっぱいかけて…

とっても、メンドクサイのよ…?」

 

楽「……ああ」

 

千棘「洗濯だって、部屋の片付けだってまともにできないし……ご飯も、いっぱい食べるのよ……?」

 

楽「ハハ……うん」

 

千棘「なにより……

わたしは……

あなたが探していた“約束の女の子”じゃないんだよ?

ニセモノだけど……それでもいいの?」

 

楽「……ああ。

お前がいいんだ」

 

ーーーーー

 

その一言を最後に、映像はふわりと色褪せて、光と共に消えていった。

 

……しん、と音のない世界に戻る。

 

風が頬をなでていく。

遠く、鳥の鳴き声。

草が揺れる音。

大地の静かな呼吸。

 

小咲は、鍵を両手で包んだまま、その場に立ち尽くしていた。

やがて、ぽたりと――涙が、頬を伝う。

 

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でも。

小咲の顔には、どこか晴れやかな微笑みが浮かんでいた。

 

小咲「……うん。知ってた……。分かってたんだ、ずっと前から……」

 

唇が、かすかに震える。

それでも笑顔は、崩れなかった。

 

小咲「でも……もしかしたら……って。この場所に来たら、何かが変わるかなって……ほんのちょっぴりだけ、期待しちゃってたんだよね……」

 

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小さく笑って、肩をすくめる。

 

小咲「……でも、やっぱりこれはーー抗いようのない運命。決まってる筋書き。神様が……描いた物語、なんだよね」

 

自分に言い聞かせるように、ぽつりぽつりと言葉を紡いでいく。

 

小咲「今まで、ありがとう……。この鍵のおかげで、わたし……ずっと、幸せな気持ちでいられたから……。恋は最後までは叶わなかったけど……でも、それでも……この気持ちに、出会えてよかったって……そう思えるよ」

 

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涙がこぼれながらも、小咲の目はとても優しかった。

何かを、受け止めた人間だけが持つ、静かな決意の瞳。

 

小咲は岩の上に腰をおろした。

懐かしい、あの日と同じように。

 

空を見上げる。

広くて、青くて、どこまでも遠い空。

 

小咲「埋める前に……もう少しだけ、こうしてて……いいかな?」

 

ぽつりとこぼした言葉が、風に乗って消えていった。

小咲は、小さく笑った。

この物語の最後のページを、自分の手で静かに綴じるために。

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