「GYyyaaaaaassssSS!」
「────────ッ!」
鉤爪が迫る。それを半身引いて受け流し、着地したところを下から蹴りあげる。
悪あがきのように振るわれた前足を短刀で切り裂き、がら空きの胴体を黒炎を纏わせた拳で撃ち抜く。
断末魔。
飛び散る血飛沫を黒炎で払うと、残っている敵は一匹だけ。
果敢にも逃げずに向かってくるその首筋に一閃見舞えば、付近の魔獣は粗方掃討し終わった。
少し遠く離れた場所で魔獣の群れと戦っていたアウラードも戻ってきた。首の下を掻いて労う。
ショッピングモールの中には魔獣が跋扈していた。
ほとんどが狼型の魔獣で、何体かゾンビや竜牙兵、ゴーストなんかもいる。
廃墟になってから長い月日が経っていたようで、ブティックらしき店に残されていた衣服は完全にボロボロになっていた。
ただ奇妙なのは、内装が残ったまま朽ちていったように見える点だ。閉店された後に放棄されたのではなく、何か不慮の事態によって閉鎖されていたかのような……。
───────!!!!!
空気が震える。聞く者全ての脳を揺さぶるかのような破壊の響き。
爆発音。
「──あっちだ!!」
両足に力を込めての疾走。迷路のような通路を駆けていく。
サーヴァント化の影響か、それとも『岩窟王』の影響か。生身とは思えない速度でスフィンクスと並走する。
道を塞ぐ魔獣を抜けると、巨大な吹き抜けに出る。
目に飛び込んで来たのは────。
「カハッッ…………」
吹き飛ばされた躰が太い柱にめり込み、放射状に罅を入れる。
息を吐かせる間も無く放たれた焔の杭から間一髪で逃れ、お返しに放った
廃墟となったショッピングモールを逃げ惑う男の体躯は、紺碧の軍服に包まれていた。
これはコスプレか?それとも映画の撮影か?
否。
男が右手を振るうと、同じ色の軍服を纏った兵士が音もなく現れる。
いや、同じなのは色だけだ。彼らの服──もはや鎧と呼ぶべきソレは戦争技術の到達点。
鉛の弾幕が、火薬の炸裂が、火炎の放射が、ありとあらゆる兵器がその敵を襲い、そして傷一つ着けることなく彼等は槍に貫かれ、粒子となって消えていく。
然し男が再び腕を振るえば、新たな兵士が新たな兵器を手に現出する。
これこそが男の宝具。
聖杯に喚ばれた英霊────
たとえ乗騎を喪い、軍服が砂と血に塗れようとも、その事実は変わらず。
なればこそ、それを追う敵もまた、英霊であるのは必定と言える。
黄金の槍を手に、太陽の擬きプレッシャーを放つ彼こそ、
彼の目の前でセイバーとバーサーカーを瞬きの間に屠った、彼にとっての絶望である。
「────ッッァア!!!」
届かない。
配下の特攻でさえ時間稼ぎにもならなかった。
神速の槍も、灼熱の焔も、戦士ではないライダーに避けきることは出来ない。
壁際に追い込まれ、最後の足掻きと迫り来るランサーに向き直り。
「!?」
突然ランサーが明後日の方向に跳躍した。
見れば何やら大きな獣がランサーと戦っている。
辺りの魔獣かとも思ったが、それにしては強いし、何より傍らに人影がある。
この幸運は、状況を打開するに足るものか。
獣はよく戦っているが、仕留められるのは時間の問題だろう。突然の横槍を最大限活用するには、迷っている暇はない。
「衝撃に備えろ!!」
乱入者へ向けて大声で叫び、同時に残っている魔力を掻き集めた。
「────え?」
瞬きの間の出来事だった。
目の前に飛び出した人影が手にした槍を振るう。
余りにも速く、鮮やかで、
衝撃、金属音。
オレの前に割り込んだアウラードが、その槍を受け止めた。
その音で意識が現実へと引き戻される。
対峙したその人影は。
「…………カルナ?」
施しの英雄。
聖杯探索の旅で何度も窮地を救われた槍兵が、目の前に居た。
何故、と思う前に異変に気づく。
白磁の様だった肌は褐色に濁り、目は赤く異様に光っている。
そして何より、槍を振るうその技量にキレがない。
無論圧倒的な強さではあるが、アウラードが防戦をこなせるほどに弱体化しているのが分かる。
「強化!」
体に染み付いた動きで礼装魔術を付与する。使えるか確認していなかったが、使えたので結果オーライだ。
それでもアウラードの体には傷が増えていく。じり貧であることには変わりがない。
次の一手を思案するオレの耳に、聞きなれない声が届いた。
「衝撃に備えろ!」
爆発音。
疑問に思う間も無く、床が崩れ落ちた。
降り注ぐ瓦礫の中なんとか五点着地を決める。
「こっちだ!」
声のする方に顔を向けると、ナポレオンが着ているような服に身を包んだ男性が手を振っている。サーヴァントだ。
今までカルナと戦闘していたのか、周囲の状況に負けず劣らずボロボロの様子だ。
円状の吹き抜けは壁、というより店舗で囲まれており、中央に噴水の跡が、四方に通路がある。彼はその一方入り口に立っている。
カルナの着地する気配。迷いを捨て、走り出す。
どこからか現れた機械化歩兵がカルナに跳びかかり、凪ぎ払われる。
隣を走っていたアウラードが、唐突に立ち止まり、振り返った。
よせ、ダメだ。
飛び出そうとする言葉を飲み込んで脚を動かす。
どちらかが足止めしなければ間に合わないと言うならば、共倒れすることになるオレではなく、オレの宝具であるアウラードが行くのは合理的な判断だ。
奥歯からゴリッ、という音がした。
連続した金属音。
爆発。
背を撫でる熱感。
「何か」がオレの中に戻る感覚がしたのと、通路に到達したのは同時だった。
振り替えると、カルナが凄まじい速さで踏み出して────。
通路の入り口に仕掛けられた爆薬が作動した。
ガラガラと音を立てて入り口が崩れ去る。
一瞬で瓦礫は通路と吹き抜けを完全に遮断した。
オレは瓦礫が赤熱し、くだけ散る様を幻視したが、向こうは不気味なほど静かだ。
「やれやれ……あんたのお陰で助かったぜ。それにしてもあのランサー強すぎるな?私の部下が手も足も出ないってどうなってるんだよ」
コツコツと靴音が反響し、青い軍服を着た壮年の男性が歩いてくる。血と砂に塗れながらも堂々とした態度は損なわれていない。機能性と洒脱さを兼ね備えた軍服とサーベルに、右手の機関銃がミスマッチだ。
そこまで考えて、漸くオレは自分がへたり込んでいる事と、目の前の彼が自分の恩人であることに気が付いた。
「あ……ありがとう、ございます」
「いやいや、それはこっちのセリフだ。我が軍はもはや壊滅状態、君が来てくれなかったら私はあのバカ強いランサーに殺されていただろうからな。……君の仲間を守れなくてすまない。こんななりでも私は騎兵でね。乗騎を喪う辛さは分かっているつもりだよ」
「いえ……はい、そう言ってもらえるだけでも、あいつも喜ぶと思います。…………あの、何が起こっているのか教えてもらえますか?オレ、何が何だかさっぱりで……」
そういうと彼は少し大げさに肩をすくめ、オレに手を差し出してきた。
有難く手を握ると、力強く立ち上がらせてくれた。
「そういえば自己紹介がまだだったな。歩きながら話そう。」
瓦礫を一瞥し、反対方向に歩き出す。
オレは慌てて左手に握ったままだった短刀をしまい、それを追いかける。
「私はこの聖杯戦争に喚ばれた英霊だ。そして最後の生き残りの片割れでもある。クラスはライダー。真名は────────」
「ジョージ・ワシントンだ。」
プロフィール
クラス:ライダー
真名:ジョージ・ワシントン
身長:183cm
体重:79kg
出典:史実
属性:秩序・中立・人
地域:北米
ステータス
筋力:C
耐久:C
敏捷:B
魔力:E
幸運:A
宝具:B
スキル
騎乗:C+
ライダーのクラススキル。乗り物を乗りこなす才能。
戦場を駆ける指揮官として、高い適正と能力を持つ。
軍略:B
一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。
自らの対軍宝具の行使や、逆に相手の対軍宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。
ライダーは人類史上で最も名の知れた司令官の一人である。
建国の父:B+
カリスマが変化したスキル。彼は超大国アメリカの祖であり、その信仰は国造りの権能にさえ肉薄する。彼より後の世界の存在に、彼の影響を受けていない物は無い。
1776年以降に発生した存在に対して優位性を獲得する。
ワシントンの斧:D-
ライダーはその振る舞いによって、自らの誠実さを周囲に示し続けた。軍司令官として政治に振り回されず、大統領となった後も派閥の中で中立を貫き、周囲の調整に徹した。
相手から信用を得る判定に補正がかかる。
史実ではない創作を骨子としているため、ランクが下がっている。
宝具
『立ち上がれ、銃を持て大陸軍(リボルディング・アメリカ)』
ランク:B
種別:対軍宝具
レンジ:1~99
最大捕捉:700人
自由のため、独立のため立ち上がった大陸軍、その精鋭たる直属の部下を召喚する。
彼らは召喚された時代のアメリカ軍が保有する武装を装備して現れ、ライダーはそれを的確に運用することが可能になる。
兵士は魔力が尽きるまで無尽蔵に召喚でき、撃破される際もライダーへのフィードバックは無い。
また、ミサイルや戦車等の兵器も使用できるが、相応の魔力が必要である。
『■■なる■■■(ザ・■■■■■・■■■■)』
ランク:B+
種別■■■■
レンジ:なし
最大捕捉:なし
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一対一の聖杯戦争では無く、多対多の聖杯大戦などで活躍できるサーヴァント。せめて「初代大統領」として喚ばれていれば違った、とは本人談。
アメリカ合衆国において召喚されれば、神話の英雄さえ凌駕する能力を発揮する。
オリ鯖登場!!
ステータスとかランクの決め方とかぜんぜんわからない俺は雰囲気で二次創作を書いている。
お読み下さり本当にありがとうございます。
宜しければ是非評価、感想等お願いします。